まつろわぬ番【完結済・番解除した僕らの末路シリーズ】

藍生らぱん

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まつろわぬ番・裏 V視点

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いつもクリスマス休暇はセフレを何人か連れて別荘に行っていたけれど、今回は一人で自宅に引き籠っていた。

「珍しく健全なクリスマスだな。」
二つ上の次兄ヘンリーが、からかうように言って俺の隣に座った。
「誰か好きな奴でもできたのか?」
「・・・あたり。」
「へぇ~・・・へっ!? だ、誰?」
「教えない。」
「トール、お兄ちゃんに恋愛相談しなよ~」
「絶対しない。」
「え~何でだよ~」
「ウザいから。」
「なんだよ~教えろよ~」
あまりにしつこく絡んでくるので、根負けして少しだけ教えてあげた。

ヘンリーはアーサーの両親がメンバーだったロックバンド「ブルーアンバー」の大ファンだから、アーサーが二人の息子だと知ったら絶対会おうとするかもしれない。
ヘンリーは大学に通いながら俳優とかモデルをしていて、弟の俺から見ても、ものすごくハンサムでカッコいい。
顔はうちの両親の良いとこどりで、体型も理想的だし、色気もある。
だから、アーサーがヘンリーのことを好きになったら嫌だから、本当は絶対教えたくない。
でも、頑なに隠すと勝手に調べたりするかもしれないから、情報の匙加減が難しい。

「同級生のアルファだよ。」
「男?女?」
「男・・・」
「ふーん。」
「驚かないの?」
「まあ、運命でもない限りお前がオメガに惚れ込むことはないだろうからな。」
「運命なんて、都市伝説だよね。」
「お前、そのせいであんな目にあったのに、都市伝説だと思ってたのか?」
「何のこと?」
「お前を誘拐したオメガとベータ、親父の愛人だった奴らだぞ。」
「は?」

初耳なんだけど?

「親父がこの屋敷の奥で囲ってる男オメガ、つまり俺らの母親が運命なんだとさ。親父に捨てられた腹いせに、母親に一番似ているお前が元愛人たちに誘拐されたんだ。」

俺たちの両親は番届を出しただけの事実婚で、未だに正式に結婚していない。
母親は自分の実家が経営している大手製薬会社の研究者で、家庭よりも研究を優先しているからだ。

ヘンリーの話によると、そのせいで親父の愛人たちは身の程知らずにも、正妻の座を狙って俺たちの母親に対して嫌がらせをしていたらしい。
うちの使用人や親父の会社の秘書の中にも愛人がいたらしく、嫌がらせの数々に辟易した母親が、親父に愛人たちにされた嫌がらせや被害状況の数々を克明に記録したデータを渡して自分との「番解除」を迫ったらしい。
親父は「番解除」をせずに、愛人全員を捨てた。
つまり、俺たちの母親をとった。
それを逆恨みした愛人たちが俺を誘拐した。
元使用人や元秘書だった奴らが主犯だったから、家のセキュリティを掻い潜って俺を誘拐するのも雑作なかったんだろう、とのことだった。

「な、なんだよ、それ・・・」
「しかもさ、俺らの母親、もともとはベータで、親父が運命だからと言い張って、ビッチングしてオメガにしたらしいぞ。」
「ビッチングって、できるものなの?」
「できたから俺らがいるんだよな。もしかしたらさ、親父と同じこと、俺らもできるかもな。」
「え?」
「好きな奴、アルファなんだろ? ビッチングして番にすればお前も相手も、オメガのフェロモン利かなくなるぞ。」
「それ、本当?」
「同じバース性同士とか、片方がベータだとさ、番になれないから、フェロモンの香りで苦労するじゃん。でも、ビッチングして番になれれば、お互いにその不安もなくなるぞ。」

それが本当なら、アーサーをオメガに変えて、番になれるかもしれない。
アーサーが俺の番になったら、俺もアーサーもオメガで苦労することが無くなるんだ!
それって、とっても素晴らしい!

「ヘンリー、いいこと教えてくれてありがとう!」
「じゃあ、お前の恋人のアルファ、今度うちに連れてきて見せろよ。」
「まだ恋人じゃないよ?」
「ん、じゃあ、まだ友達か?」
「・・・・・・」
「まさか、友達にもなってないのか?」
「だって、どうやって友達になるのかわからない・・・」
「マジかよ・・・」
「どうしたらいいと思う?」
「難しく考えるな! 行動あるのみ!」
だから、それが上手くできてないから友達にもなれてないんだよな・・・

ああ、ヘンリーも自分から友達作ったことないんだな・・・と悟った。
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