異世界を統べるのは人ではなく竜だ

第一部 第1章 竜の目覚め篇

第4話 この世界

　可愛い？俺が？そうしているうちに俺は3人に囲まれていた。

　「このドラゴンちっちゃくて可愛い！」

　「しかも言葉を話せるなんて珍しい」

　「見たことない種類ですね」

　3人はどうやら俺を敵だとは思っていないようだ。

　「おいお前ら！いくら可愛いからと言ってもそいつはモンスターなんだぞ？ 」

　流石に教官は警戒するよなぁ。

　「待ってくれ俺に敵意はない。情報が欲しかっただけだ」

　俺は今までの経緯を話した。異世界から来たことは多少ぼかしたが。話がわかる人たちで助かった。

　「それは大変だったな。私でよければ話そう。私は王都のギルドで教官をしているミラだ。君は？」

　「俺はリュートだ」

　この世界ではこういった名前の方が馴染むだろう。

　「ではリュート、この世界について説明しよう」

　教官の話ではこうだ。

　この世界の名はセラム。そしてここはアル大陸の中央にあるダール王国。他にもいくつか大陸や国があるらしい。1年は365日で、地球と違い、閏年がない。時間は1日24時間でこれは地球と変わりない。エルフや、獣人など、様々な種族がいて、モンスターは数え切れないほど多くの種類がいるそうだ。モンスターと人の差は、レベルがあるかどうかだ。人間にはレベルが存在して、高いほど強い。逆にモンスターはランクが存在して、こちらも高ければ高いほど強い。そして人間とモンスターの決定的な違いは「進化」するかどうかだ。モンスターはランクが一定数上がると進化するらしい。

　「ランクはどうやって上げるんだ？」

　分からないので、聞いておきたかった。

　「恐らく人間と同じならば、経験を得れば上がるのではないかな。私もモンスターについてはそこまで詳しくないんだ。すまないな」

　「いえいえ。教えてくれるだけありがたいですよ」

　最初に会った人物がミラたちで本当に良かった。しかし、進化かぁ…。俺もいつか出来るのだろうか。そんな妄想をしていると、辺りが急に暗くなってきた。

　「不味いな。嵐が来るか。みんな戻るぞ」 

　ミラは他の3人に帰還の支度をさせた。

　「君はどうする？残念だが、恐らく街に君は入れない。本当に申し訳ない」

　まぁそうだろうな。話せると言っても俺はモンスターだ。怖がるやつも出るだろう。

　「いいえ、あなた達に出会えて良かった。本当に助かりました。また俺が無事だったら会いましょう」

　「もちろんだ！この辺りは比較的に安全だが、君はモンスターだ、襲い掛かってくる輩もいるだろう。気を付けて」

　そう言い残し、4人は街の方へ戻って行った。そして俺は4人とは違う方向に歩き出した。