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4 学んで鍛えて偽って
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晴れて冒険者になれたからと言って、当然まだまだ安泰からは程遠い。
この当時の俺の一番の問題は身内の存在だった。
ベータとわかった途端それまで以上に蔑ろにされ始め、貴族子女の義務とも言える幼少期からの教育すら手抜きされそうになった。
同い年の義理の兄弟には学習もマナーもそれなりの家庭教師を雇ったのに、俺には身なりからして安く雇えたのがわかるダメ教師をあてがった。
そもそも家庭教師自体省かれそうになった。
オメガだと告げた時はバカで礼儀知らずでは高く売れないかも知れないからと、義理の兄弟と同じ家庭教師をつけてもらえたが、ベータだとわかった途端、父からは更に関心を失われた。
そこはまあ寧ろ予想通り過ぎて、思わず笑いそうになったのを堪えるのが大変だった。
俯いてプルプル震える俺を見て義理の母と兄弟は泣いてると勘違いしたらしく、ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべていたが。
(…ざんねん、泣いてなんかないもんね~)
心の中で二人に向かい舌を出し、俺は父に言った。
どんな先生でも良いから自分にも家庭教師をつけて欲しいと。
でないと将来、学園に通うようになってあまりにもバカで礼儀知らずだとリンドリー子爵家の家名のキズになるし、他の子息子女よりもあからさまに劣ればその先の就職にも支障がでる、と。
暗に………『俺がマナーもなってない無知だと他の生徒に蹴落とされて、良いトコに就職出来ませんよ~?』と匂わせたのだ。
売り飛ばして金に変える価値もなくなった俺を馬車馬のように働かせたい父に、俺のその言葉は効果覿面だったらしい。
一週間にたった一度、それも学習・マナー合わせて二時間程度の授業しか受けさせてもらえない、ダメ家庭教師と言えど雇ってもらえたのだから。
そしてこの家庭教師…本当にダメだった。
幼少期教育の基礎教育もマナーもひどかった。
本当に貴族なのかと疑いたくなるレベルで…、それはもう…。
俺に《一度目》の人生での知識がなければ下手すればこの時点で詰んでいたかも知れなかった。
正直、俺としてはどうしても家庭教師が必要なわけじゃなかった。
だけど何も教わってないのに義理の兄弟と同レベルのことを、当たり前のように知ってるのも不自然だと考えたのだ。
文字の読み書きもこの頃から教わり始める。
貴族間のマナーや食事のマナーなんかも。
家族からあやしまれないためにも、建前的に置いておきたかっただけだ。
…だからってここまでダメダメだとは思わなかったけど。
字だって…ギリ読めるレベルの、大変個性的な筆跡だったし…。
何も知らず、この先生に教わった通りに育っていたら、きっと俺は世に出てから大恥を掻いていただろう。
ただこの家庭教師、《今世》の俺にとっては当たりだった。
『ルーファス坊っちゃん、実は俺はな、座学ってヤツよりも体を動かしてる方が性に合っているんだよ』
それが、小さな机一つを挟んで向かいに座っていた、インテリ系の堅苦しくない、こざっぱりとした性格だった先生と早々に打ち解けられる切っ掛けだった。
向こうも向こうで、どうも俺が見た目通りのこどもじゃないと薄々勘付いていたらしく、数度顔を合わせただけのある日、退屈な授業の最中にいきなりそう告げられた。
自分は所謂“脳筋”の部類なのだと。
家庭教師の仕事は家が貧しいので已む無くやっているだけなので、もしももっとちゃんとした授業内容を求めてるなら義理の兄弟と同じくそれなりの家庭教師を雇った方が良いのではないかと。
「剣を振るってる方が性に合ってるなら、騎士団とか兵士とか…そっちの道に進めば良かったじゃないですか」
「……妻が病気でな。好きで娶った女だ。出来るだけ傍に居てやりてぇじゃねーか」
そう言って照れくさそうに笑った先生に、こどもながらにうっかりときめきかけたのは内緒だ。
…一途に愛してもらえていいな。…とか、別に?、全然これっぽっちも羨ましがってなんかないし…っ?
剣を持つ方が性に合ってるならと、俺は思い切って先生に授業内容の変更を持ち掛けた。
もちろん父には内緒で。
「お給金は俺には上げてあげることが出来ないのが申し訳ないんですけど…」
「俺はそれでも構わねー…ってか寧ろ得意分野だから助かるが、坊っちゃん…本当に良いのか?説得力のカケラも無いだろうけど、この時期の基礎教育はそれなりに大事だぞ?」
本当に説得力の無いセリフだった。
「はい。そっちの方は、まあ…どうにか出来ると思うので。それよりも、実は俺も、強くなりたいんです」
何しろ人生二周目だ。
一応基礎教育もマナーも読み書きも身に付いている。
申し訳ないがこの家庭教師から教わらなければ困る事は、本当に何も無い…!
狭い室内でわざとらしく声を潜めてみせた俺に、先生が目を瞬かせる。
更に俺が首から下げているそのタグを取り出してみせると、細身にしてはがっしりとした骨格の先生が目を見開いた。
「坊っちゃん…! まさかのお仲間だったのか…!?」
驚きも露に破顔した先生がよれたシャツの胸元から、俺と同じようにタグを取り出し目の高さでぶら下げてみせた。
銅製のタグに刻まれたランクはC。
物凄く強いってわけじゃないレベルだけど、俺が教えを乞うには十分な強さだった。
「しかしその若さでなんでまた…」
「俺にも事情ってヤツがあるんですよ。…見ればわかるでしょ、うちの家族」
「あ、…あー。まあ確かに…ルーファス坊っちゃんにとってはかなり居心地の良さそうな家じゃあねぇわな」
「その上将来搾取される未来しか待ってないなら、良いタイミングのとこでこんな家逃げ出したいって思うのは当然でしょう? だから、いずれ一人で生きていくためにも、俺はそれなりに強くならなきゃいけないんです」
「なるほどねぇ…。だったらまさに冒険者はうってつけってわけか」
「はい」
俺の家族の俺への態度を思い出した先生が半眼で乾いた笑いを浮かべる。
「…つまり俺はルーファス坊っちゃんを、ある程度強くなるよう鍛えてやれば良いってことか?」
「あと室内でもこっそり体を鍛えるにはどうすれば良いか、アドバイスももらえれば嬉しいです」
「よし!わかった!そう言うことなら引き受けよう」
「ありがとうございます!」
話のわかる先生からの快諾に俺も笑顔になった。
がしっと固い握手を交わす俺と先生。
やった!また一歩最悪な未来を回避するための行動に繋げられた!
そう思うと俺の顔もほくほくになる。
タグを服の中に戻しながら早速今日から教えを乞おうと張り切ってた俺に、一応…みたいな感じで先生が少し躊躇いがちに聞いてきた。
「でも…本当に良いのか坊っちゃん…? 俺が言うのもなんだが…逃げ出すにしろ貴族家の子である内は、この時分の教育ってのも大事なもんなんだぜ?」
先生のその(ありがたくも迷惑な)言葉には。
「あ。はい。本当に、全然、ダイジョウブです!」
即答でお断りの言葉をお返しさせて頂いた。
…大丈夫。
俺、読み書きも出来るし、マナーもバッチリだし、基礎知識ももうあるから!
足りなくても自主学習でどうにかするから!
だから先生、その教本…もう仕舞ってもらって本当に大丈夫です。
自分で“脳筋”暴露をしてきたクセに、座学を全力で拒んだらしょんぼりするのはなんなんだ…。
ちょっとした罪悪感に襲われながらもその日から俺の授業内容は、父には内緒で戦闘トレーニングへと変わった。
…──学んで、鍛えて、そして色々誤魔化しながら偽って。
ちゃっかり冒険者ランクもDまで上げて。
そうして俺は十五歳の学園入学のタイミングで、すっかり冷えた関係となった家族から逃れるようにして寮生活を始めたのだった。
【2025.10.18】
晴れて冒険者になれたからと言って、当然まだまだ安泰からは程遠い。
この当時の俺の一番の問題は身内の存在だった。
ベータとわかった途端それまで以上に蔑ろにされ始め、貴族子女の義務とも言える幼少期からの教育すら手抜きされそうになった。
同い年の義理の兄弟には学習もマナーもそれなりの家庭教師を雇ったのに、俺には身なりからして安く雇えたのがわかるダメ教師をあてがった。
そもそも家庭教師自体省かれそうになった。
オメガだと告げた時はバカで礼儀知らずでは高く売れないかも知れないからと、義理の兄弟と同じ家庭教師をつけてもらえたが、ベータだとわかった途端、父からは更に関心を失われた。
そこはまあ寧ろ予想通り過ぎて、思わず笑いそうになったのを堪えるのが大変だった。
俯いてプルプル震える俺を見て義理の母と兄弟は泣いてると勘違いしたらしく、ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべていたが。
(…ざんねん、泣いてなんかないもんね~)
心の中で二人に向かい舌を出し、俺は父に言った。
どんな先生でも良いから自分にも家庭教師をつけて欲しいと。
でないと将来、学園に通うようになってあまりにもバカで礼儀知らずだとリンドリー子爵家の家名のキズになるし、他の子息子女よりもあからさまに劣ればその先の就職にも支障がでる、と。
暗に………『俺がマナーもなってない無知だと他の生徒に蹴落とされて、良いトコに就職出来ませんよ~?』と匂わせたのだ。
売り飛ばして金に変える価値もなくなった俺を馬車馬のように働かせたい父に、俺のその言葉は効果覿面だったらしい。
一週間にたった一度、それも学習・マナー合わせて二時間程度の授業しか受けさせてもらえない、ダメ家庭教師と言えど雇ってもらえたのだから。
そしてこの家庭教師…本当にダメだった。
幼少期教育の基礎教育もマナーもひどかった。
本当に貴族なのかと疑いたくなるレベルで…、それはもう…。
俺に《一度目》の人生での知識がなければ下手すればこの時点で詰んでいたかも知れなかった。
正直、俺としてはどうしても家庭教師が必要なわけじゃなかった。
だけど何も教わってないのに義理の兄弟と同レベルのことを、当たり前のように知ってるのも不自然だと考えたのだ。
文字の読み書きもこの頃から教わり始める。
貴族間のマナーや食事のマナーなんかも。
家族からあやしまれないためにも、建前的に置いておきたかっただけだ。
…だからってここまでダメダメだとは思わなかったけど。
字だって…ギリ読めるレベルの、大変個性的な筆跡だったし…。
何も知らず、この先生に教わった通りに育っていたら、きっと俺は世に出てから大恥を掻いていただろう。
ただこの家庭教師、《今世》の俺にとっては当たりだった。
『ルーファス坊っちゃん、実は俺はな、座学ってヤツよりも体を動かしてる方が性に合っているんだよ』
それが、小さな机一つを挟んで向かいに座っていた、インテリ系の堅苦しくない、こざっぱりとした性格だった先生と早々に打ち解けられる切っ掛けだった。
向こうも向こうで、どうも俺が見た目通りのこどもじゃないと薄々勘付いていたらしく、数度顔を合わせただけのある日、退屈な授業の最中にいきなりそう告げられた。
自分は所謂“脳筋”の部類なのだと。
家庭教師の仕事は家が貧しいので已む無くやっているだけなので、もしももっとちゃんとした授業内容を求めてるなら義理の兄弟と同じくそれなりの家庭教師を雇った方が良いのではないかと。
「剣を振るってる方が性に合ってるなら、騎士団とか兵士とか…そっちの道に進めば良かったじゃないですか」
「……妻が病気でな。好きで娶った女だ。出来るだけ傍に居てやりてぇじゃねーか」
そう言って照れくさそうに笑った先生に、こどもながらにうっかりときめきかけたのは内緒だ。
…一途に愛してもらえていいな。…とか、別に?、全然これっぽっちも羨ましがってなんかないし…っ?
剣を持つ方が性に合ってるならと、俺は思い切って先生に授業内容の変更を持ち掛けた。
もちろん父には内緒で。
「お給金は俺には上げてあげることが出来ないのが申し訳ないんですけど…」
「俺はそれでも構わねー…ってか寧ろ得意分野だから助かるが、坊っちゃん…本当に良いのか?説得力のカケラも無いだろうけど、この時期の基礎教育はそれなりに大事だぞ?」
本当に説得力の無いセリフだった。
「はい。そっちの方は、まあ…どうにか出来ると思うので。それよりも、実は俺も、強くなりたいんです」
何しろ人生二周目だ。
一応基礎教育もマナーも読み書きも身に付いている。
申し訳ないがこの家庭教師から教わらなければ困る事は、本当に何も無い…!
狭い室内でわざとらしく声を潜めてみせた俺に、先生が目を瞬かせる。
更に俺が首から下げているそのタグを取り出してみせると、細身にしてはがっしりとした骨格の先生が目を見開いた。
「坊っちゃん…! まさかのお仲間だったのか…!?」
驚きも露に破顔した先生がよれたシャツの胸元から、俺と同じようにタグを取り出し目の高さでぶら下げてみせた。
銅製のタグに刻まれたランクはC。
物凄く強いってわけじゃないレベルだけど、俺が教えを乞うには十分な強さだった。
「しかしその若さでなんでまた…」
「俺にも事情ってヤツがあるんですよ。…見ればわかるでしょ、うちの家族」
「あ、…あー。まあ確かに…ルーファス坊っちゃんにとってはかなり居心地の良さそうな家じゃあねぇわな」
「その上将来搾取される未来しか待ってないなら、良いタイミングのとこでこんな家逃げ出したいって思うのは当然でしょう? だから、いずれ一人で生きていくためにも、俺はそれなりに強くならなきゃいけないんです」
「なるほどねぇ…。だったらまさに冒険者はうってつけってわけか」
「はい」
俺の家族の俺への態度を思い出した先生が半眼で乾いた笑いを浮かべる。
「…つまり俺はルーファス坊っちゃんを、ある程度強くなるよう鍛えてやれば良いってことか?」
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「でも…本当に良いのか坊っちゃん…? 俺が言うのもなんだが…逃げ出すにしろ貴族家の子である内は、この時分の教育ってのも大事なもんなんだぜ?」
先生のその(ありがたくも迷惑な)言葉には。
「あ。はい。本当に、全然、ダイジョウブです!」
即答でお断りの言葉をお返しさせて頂いた。
…大丈夫。
俺、読み書きも出来るし、マナーもバッチリだし、基礎知識ももうあるから!
足りなくても自主学習でどうにかするから!
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…──学んで、鍛えて、そして色々誤魔化しながら偽って。
ちゃっかり冒険者ランクもDまで上げて。
そうして俺は十五歳の学園入学のタイミングで、すっかり冷えた関係となった家族から逃れるようにして寮生活を始めたのだった。
【2025.10.18】
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