【恋愛偏差値《脳筋》な友人の俺への頼み事がいつも悉くおかしいんだが、そろそろ告白くらいしてくれたらどうだろうか?】

清白(すずしろ)

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・第一話 ③

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 互いに接点が何もなく、{馬・気}が合わなそうだと思ったディアスとコーニーリアスが友として仲良くなったのは、意外にも早かった。
 初等部の一年生として学園に通うようになって、然程時間は要しなかっただろう。
 遠巻きにされていた二人がまさかの同じクラスだったことも、きっかけとしては大きなものであるかも知れない。

 良くある話だ、ディアスとコーニーリアスが仲良くなった経緯は。

 庶民の分際でと、同級生貴族達にコーニーリアスが絡まれていたのを助けたのが、たまたま通り掛かったディアスだった。

 ちなみにコーニーリアスも始めは助けた側だった。先に絡まれていた別の庶民生徒を。
 だが間に入って助けてやったその生徒はこれ幸いとばかりにコーニーリアスを身代わりにし、さっさと自分だけ逃げてしまった。
 決して逃がしてやったわけではない。
 邪魔立てされた腹癒せもプラスで、同級生貴族三人組から執拗な口撃を一身に浴びせられていたのを、真面目で正義感が強かったディアスが助けてくれたのだ。
 助けた…と言うよりは庶民イジメの現行犯を見て激怒したディアスに、三人組が恐れをなして逃げ出したと言った方が正しいのかも知れないが。
 なんにせよ、「身の程を弁えろ」だの「我々貴族に楯突いてくるな」だのと、延々と幼稚な言葉を浴びせられ続け辟易し始めていたコーニーリアスにとって、助かったことに変わりはなかった。

 ただ、聞かれたので絡まれた経緯を話したら、ディアスは逃げた庶民生徒にも怒りを露にしていた。
 助けてもらっておいて薄情だと。
 コーニーリアスからすればそんなことは日常において良くあることなので、気にしていなかったのだが…。
 それに感謝して欲しくて助けたわけではなかった。

 《行い》とは、自分へと返るもの。
 そう教えられて育てられた。
 だから困っている同級生を助けてったのだ。
 いつかその《善行行い》が、困った時の自分へと返るように。
 なので、別に感謝などされずともコーニーリアスは構わなかった。勝手にやっただけなのだから。いつかの自分のために。

 この時既に庶民生徒の間で《閣下》とあだ名がつけられていたディアスの方が、コーニーリアスよりも気分を害し暫く怒っていたほどだ。

 それに、自分ならば同じ庶民でもある程度“自衛”出来ると踏んだから間に入ってやっただけだ。

 何しろ家業が家業。
 貴族生徒の親にも、東花街のは多い。
 そしてコーニーリアスは家族にも店の者達にも可愛がられている。



 ─⁠─⁠─⁠うちのリアをいじめたら…、承知しませんよ?



 そして案の定、その一件を知るや否やはすぐに出された。
 東花街に世話になっている全ての貴族家に。迅速かつ秘密裏に。
 それはもうわかりやすく要約するなら、『うちの子いじめさせるなよ?ましてや手なんか出させるなよ?そんな事したら………お前達が店でほろ酔いご機嫌良い気分で喋りまくった諸々、バラすからな?東花街も出禁にするからな?』と言う、脅しを。

 貴族達はすぐに学園に通う自身の子ども達に言い聞かせた。
 貴族として庶民イジメなどと言うそんなみっともない真似はするなと、そんな建前を。
 本音は、バラされたら困る諸々がある&出禁は嫌だ!、だ。
 予想以上に効果は上々。以降、貴族生徒達が庶民生徒達に、無暗やたらと言い掛かり気味に絡んでくることは目に見えて減った。

 そしてこの一件で、コーニーリアスはどう言うわけかディアスに興味を持たれたのだ。

『俺の代わりに怒ってくれてありがとぉ、閣下~』

 ディアスが抱いたイメージ通りのやわな笑顔をへにょりと浮かべた、コーニーリアスに。
 一体何が彼の興味を引いたのかわからないが。

 それからだ。
 コーニーリアスと顔を合わせると、ディアスからそれとなく声を掛けられることが増えていったのは。
 挨拶以外にもその日の授業の内容やその日の空模様など、些細なことで。
 すると、元々クラスでも浮き気味で入学当初から互いに一人で行動する事の多かった二人は、どう言うわけか行動するのも自然と段々一緒になっていった。
 一緒に行動すると当たり前だが会話も増える。
 互いの家のことや趣味、苦手な科目などをポツポツと。

 ディアスは見た目そのままに騎士の家系であること。三人いる兄に剣の腕前が早く追い付けるよう、家ではほぼ鍛錬に明け暮れていることなど。
 座学は苦手なので学園では体育の時間が唯一楽しみでならないなどなど…。
 それに殆ど相槌を打って聞き役に徹しているのがコーニーリアスだ。
 自分が東花街を牛耳る商会の末っ子だと話してはみたが、いまいちディアスがピンときていなさそうなのは反応でわかった。
 兄弟は兄と姉がそれぞれ二人ずつの五人兄弟の末っ子であること、店の姐さん兄さんネェさん達に似合いそうな(ちょっとエッチな)服(と下着)のデザインをするのが好きなこと。
 体を動かすのは怠く、なよっとした見た目のせいかよく生徒(…や酔っ払い)に絡まれるのが悩みであることなど、ディアスに聞かれるたびにいつもののんびりと間延びした口調で答えていた。

 コーニーリアスはディアスと話し、見た目そのまんまに育ったんだなぁと言う感想を持ち、ディアスはコーニーリアスがよく絡まれると聞き守ってやらなければとそんな使命感を抱いた。

 合わなそうで意外にも相性の合った二人の《友人》としての関係は順調だった。………はず、だった。



「…じゃあ、触ります…よぉ?閣下ぁ…」
「頼む!コーニーリアス!」



(なぁ~んで…こんなことになっちゃったんだろぉねぇ…)



 たぶん、今日この日までは。確実に。


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