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「やはり、さっきのお店にあったモノの方がいいんじゃありませんの? この大きさだと通れる場所が限定されますわ」
「でもこっちの方が生活する分には良くない? 強度が同じくらいなら大きい方がいい感じじゃん」
「クランの方針としては採取が主で、いずれは探索クエストを受けていくつもりなのでしょう? それならどんな場所でも移動できるよう、馬車のサイズは小さめな方がいいに決まってますわ」
「言いたいことは分かるけどさ、やっぱりリラックスできる空間って超大事じゃん。第一、六人でギリギリな感じなら、クランの人数が増えたとき困るでしょ」
「人数が増えたなら、もう一台同じサイズの馬車を買えばいいのですわ」
「いやいや。この金額見えてる感じ? いくら何でもこんな高いものいくつも買えないからね」
「馬車をもう一台買える余力がないのなら、悪戯にクランの人数を増やすべきじゃありませんわ。ある程度の成果が安定して出るまでは今の人数で活動すればなんの問題もない話ですわね」
三軒目の魔車屋。最初の一件目は比較的和やかな雰囲気だったのに、次第にどんな馬車を買うかでアリリアナとイリーナさんが激しく意見をぶつけるようになった。
手持ち無沙汰になった私は隣のドルドさんへと視線を向ける。ちなみに手を離すタイミングが掴めなくて、私は未だに少女の姿をしたドルドさんと手を繋いだままだった。
「えっと、ドルドちゃ……さんはどれが良いとかないのかな?」
「特別な法で護られていなければ、どのような強固な形もより強い力によってその形を変える。変わりゆくものの今に固執することは果たして意味があるのかないのか、少なくともその答えを私は持っていない」
「な、なるほど。さ、参考になる……かな?」
どうしよう、何言ってるのかさっぱり分からない。でも私が話しかけないとドルドさん、ずっと黙ったままだし。唯一の救いは今のドルドさんの姿が可愛いらしい少女であることだ。でないすっごく気まずかったと思う。
「とにかく、私としてはこっちの馬車よりも前の店にあったやつの方がオススメな感じなわけよ」
「ですから、私はそっちの馬車よりもこっちの馬車の方がいいと言ってますの」
二人の議論はますますヒートアップしてるし、そろそろ止めた方がいいのかな?
「やってるな」
「へ? えっ!? レオ君?」
どうしたんだろ? 今日は来れないって言ってたのに。
「学校はどうしたの?」
「ああ。考えてみたら今日のは出なくても問題のない科目だったから、こっちに来てみた」
「そう……なんだ」
確かに魔法学校の授業は必要な単位さえ取っていれば進級も卒業も可能だから、落としても構わない科目というのはあるけど、色々あってここ最近あまり授業に出れてないから、当分は学校の方に専念するって言ってたのに。
「それで二人は何を揉めてるんだ? それとその子は?」
レオ君の行動にちょっとした違和感を覚えたけど、妙に機嫌の良さそうな顔で質問されて、私は疑問の言葉を飲み込んだ。
「えっとね、この子はドルドさんで、アリリアナとイリーナさんは馬車の大きさで揉めてるんだよ」
「なるほど、ドルドさ……はっ!? ドルドさんってあのドルドさんか?」
「うん。びっくりだよね」
私達の視線を受けて、ドルドさんは例によってとっても長い言葉を放つ。それを聞いて納得した様子のレオ君に、私は事情を話した。
「ドッペル族。その変身能力は有名だけどこうして見ると本当にすごいな。何処からどうみても完全に別人じゃないか」
「うん。性別を変えたりするくらいならともかく、全身の骨格をここまで変化させるなんてすごいよね」
「ああ。けどよ。ドルドさんがドッベル族なのは分かったけど、なんで手を繋いでるんだ?」
「へ? ええっと、それは……な、成り行きかな?」
手を繋いだのはいいけど、離すタイミングが全然見つからない。
「ふーん」
レオ君がなんとなく面白くなさそうな顔をしてるけど、ひょっとしてレオ君もドルドさんと手を繋ぎたいのかな? なら私がアリリアナみたいにドルドさんに頼んでみようかな。いや、でもアリリアナは私の考えを勘違いしたわけであって、レオ君も別に手を繋ぎたいわけじゃないのかも。……あれ? なら何が面白くないんだろう?
「こうなったら手っ取り早い方法で決着をつけませんこと?」
「上等な感じじゃん。……で? 手っ取り早い方法って?」
あっ、なんか二人の会話に進展がありそう。
アリリアナの問いにイリーナさんは腕を組むと、縦ロールな金髪を揺らしながら言った。
「クランの仲間となったお互いの力量を知るちょうどいい機会ですし、三対三の模擬戦をしませんこと? それで買った方の意見を採用ですわ」
「面白そうじゃん。その模擬戦受けた。でも怪我しない感じでお願いします」
威勢がいいのか悪いのか、兎にも角にもアリリアナがそう言ったことでイリーナさん達と模擬戦をすることになった。
「でもこっちの方が生活する分には良くない? 強度が同じくらいなら大きい方がいい感じじゃん」
「クランの方針としては採取が主で、いずれは探索クエストを受けていくつもりなのでしょう? それならどんな場所でも移動できるよう、馬車のサイズは小さめな方がいいに決まってますわ」
「言いたいことは分かるけどさ、やっぱりリラックスできる空間って超大事じゃん。第一、六人でギリギリな感じなら、クランの人数が増えたとき困るでしょ」
「人数が増えたなら、もう一台同じサイズの馬車を買えばいいのですわ」
「いやいや。この金額見えてる感じ? いくら何でもこんな高いものいくつも買えないからね」
「馬車をもう一台買える余力がないのなら、悪戯にクランの人数を増やすべきじゃありませんわ。ある程度の成果が安定して出るまでは今の人数で活動すればなんの問題もない話ですわね」
三軒目の魔車屋。最初の一件目は比較的和やかな雰囲気だったのに、次第にどんな馬車を買うかでアリリアナとイリーナさんが激しく意見をぶつけるようになった。
手持ち無沙汰になった私は隣のドルドさんへと視線を向ける。ちなみに手を離すタイミングが掴めなくて、私は未だに少女の姿をしたドルドさんと手を繋いだままだった。
「えっと、ドルドちゃ……さんはどれが良いとかないのかな?」
「特別な法で護られていなければ、どのような強固な形もより強い力によってその形を変える。変わりゆくものの今に固執することは果たして意味があるのかないのか、少なくともその答えを私は持っていない」
「な、なるほど。さ、参考になる……かな?」
どうしよう、何言ってるのかさっぱり分からない。でも私が話しかけないとドルドさん、ずっと黙ったままだし。唯一の救いは今のドルドさんの姿が可愛いらしい少女であることだ。でないすっごく気まずかったと思う。
「とにかく、私としてはこっちの馬車よりも前の店にあったやつの方がオススメな感じなわけよ」
「ですから、私はそっちの馬車よりもこっちの馬車の方がいいと言ってますの」
二人の議論はますますヒートアップしてるし、そろそろ止めた方がいいのかな?
「やってるな」
「へ? えっ!? レオ君?」
どうしたんだろ? 今日は来れないって言ってたのに。
「学校はどうしたの?」
「ああ。考えてみたら今日のは出なくても問題のない科目だったから、こっちに来てみた」
「そう……なんだ」
確かに魔法学校の授業は必要な単位さえ取っていれば進級も卒業も可能だから、落としても構わない科目というのはあるけど、色々あってここ最近あまり授業に出れてないから、当分は学校の方に専念するって言ってたのに。
「それで二人は何を揉めてるんだ? それとその子は?」
レオ君の行動にちょっとした違和感を覚えたけど、妙に機嫌の良さそうな顔で質問されて、私は疑問の言葉を飲み込んだ。
「えっとね、この子はドルドさんで、アリリアナとイリーナさんは馬車の大きさで揉めてるんだよ」
「なるほど、ドルドさ……はっ!? ドルドさんってあのドルドさんか?」
「うん。びっくりだよね」
私達の視線を受けて、ドルドさんは例によってとっても長い言葉を放つ。それを聞いて納得した様子のレオ君に、私は事情を話した。
「ドッペル族。その変身能力は有名だけどこうして見ると本当にすごいな。何処からどうみても完全に別人じゃないか」
「うん。性別を変えたりするくらいならともかく、全身の骨格をここまで変化させるなんてすごいよね」
「ああ。けどよ。ドルドさんがドッベル族なのは分かったけど、なんで手を繋いでるんだ?」
「へ? ええっと、それは……な、成り行きかな?」
手を繋いだのはいいけど、離すタイミングが全然見つからない。
「ふーん」
レオ君がなんとなく面白くなさそうな顔をしてるけど、ひょっとしてレオ君もドルドさんと手を繋ぎたいのかな? なら私がアリリアナみたいにドルドさんに頼んでみようかな。いや、でもアリリアナは私の考えを勘違いしたわけであって、レオ君も別に手を繋ぎたいわけじゃないのかも。……あれ? なら何が面白くないんだろう?
「こうなったら手っ取り早い方法で決着をつけませんこと?」
「上等な感じじゃん。……で? 手っ取り早い方法って?」
あっ、なんか二人の会話に進展がありそう。
アリリアナの問いにイリーナさんは腕を組むと、縦ロールな金髪を揺らしながら言った。
「クランの仲間となったお互いの力量を知るちょうどいい機会ですし、三対三の模擬戦をしませんこと? それで買った方の意見を採用ですわ」
「面白そうじゃん。その模擬戦受けた。でも怪我しない感じでお願いします」
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