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170 一年後
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「え~と、『アリリアナ組の皆様、ポタラ様からの指名依頼が来ております。つきましては依頼書を確認して、今日中にご返信頂きたく存じます』だってさ、アリリアナ」
「……ん~? 今何か言った感じ?」
ベッドの上で大きく伸びをするアリリアナ。その横ではイリーナが酒瓶を抱えたまま猫のように丸くなってる。
「言ったよ。ポタラさんから依頼が来てる。多分いつもの配送の護衛じゃないかな」
ポタラ•アカウントさん。一年前にあったラミアを初めとした魔物の大侵攻で被害を受けた国の復興支援に尽力してる商人さんで、年が近く、同じ女性ということで私達を贔屓にしてくれてる。
「ちょっと待っててね。今依頼書を開くから」
文字と一緒に送られてきた魔法陣に解析の魔法をかける。これはあらかじめギルドから暗号術式を渡された者だけが解読できる仕組みだ。
魔法を使った私の瞳の中で、魔法陣が文字へと早変わる。
「前に言ってた魔力種の苗が手に入ったみたい。それを隣国に運ぶのを手伝ってほしいって。出発は……三日後だって。了承の返事してもいいよね」
「りょ~かい。戻ってきたばかりなのに、またしばらくはベッドとおさらばな感じね」
「そういう生活が好きなんでしょ? ほら、起きて。この間のクエストでポーションの備蓄切れたから、諸々の買い出し含めて今日中に終わらせることがいっぱいあるよ」
「あ~。そうだった。ほら、イリーナ、仕事よ。仕事」
「ん~? ……頭がガンガンしますわ」
アリリアナのベッドの上でネグリジェ姿のイリーナが眠そうに目を瞬いた。寝癖でいつもの縦ロールが大爆発してる。
「だから飲み過ぎな感じって言ったじゃん。ドロシー、イリーナのブラシとって」
「はい」
「サンキュー。ほら、ジッとしてなさいよ」
「う~。動いてるのは私ではなくて世界の方ですわ」
アリリアナにブラシされるイリーナ。フィジカルに特化した騎士なのに、どうして私達の中で一番朝とお酒に弱いんだろう?
「ドロシー、二日酔いの薬まだあったっけ?」
「確かイリーナのバッグの中に……あった。はい」
「ありがと。てかさ、このブラシもそうだけど、もう誰の部屋か分かんない感じよね」
オオルバ魔法店でお茶会をしたりお酒を飲む時、イリーナは高確率で泊まっていく。それを繰り返すうちにイリーナの私物がどんどん多くなって、今や私達の私物よりも目立ってるくらいだ。
そういえばあのハニワはなんでウチにあるんだっけ?
酔って持ってきたのはイリーナだったか、アリリアナだったか。あ、いや、二人一緒だったかも。だって二つあるし。
「別にいいじゃありませんの。同じ部屋で寝泊まりした方が、クエストの相談とかもしやすいですし」
「まぁ、そうなんだけどさ。それならいっそここに住めばいい感じじゃない?」
苦笑しながらもアリリアナは職人さん顔負けの手際で、イリーナの爆発頭を見事な金髪縦ロールへと変えていく。
「そうですわね。それも面白いかもしれませんわ。考えておきますわね」
「オッケー。ドロシーも大丈夫な感じ?」
「うん。というか、もう半分住んでるようなものじゃないかな」
「アハハ。確かに」
あ、いけない。もうこんな時間だ。
「私は下で朝食のお手伝いしてるから、着替えたら降りてきてよ。買い出しに馬車の点検、他にもやることいっぱいあるんだから二度寝しちゃ駄目だからね」
「安心なさって。私がいる限りそんな心配は無用ですわ。アリリアナが寝そうになったらちゃんと起こします」
「え? ……あっ、うん。お願いね」
イリーナに言ったんだけど。
アリリアナがイリーナの背後で軽く肩をすくめた。私はそれに苦笑を返すと部屋を出る。既に一階からはいい匂いが漂い始めていた。
「オオルバさん、おはようございます」
「おはよう。今日も早いね」
台所に立っていたオオルバさんーーううん。私のお婆ちゃんが包丁片手に振り返った。
「……ん~? 今何か言った感じ?」
ベッドの上で大きく伸びをするアリリアナ。その横ではイリーナが酒瓶を抱えたまま猫のように丸くなってる。
「言ったよ。ポタラさんから依頼が来てる。多分いつもの配送の護衛じゃないかな」
ポタラ•アカウントさん。一年前にあったラミアを初めとした魔物の大侵攻で被害を受けた国の復興支援に尽力してる商人さんで、年が近く、同じ女性ということで私達を贔屓にしてくれてる。
「ちょっと待っててね。今依頼書を開くから」
文字と一緒に送られてきた魔法陣に解析の魔法をかける。これはあらかじめギルドから暗号術式を渡された者だけが解読できる仕組みだ。
魔法を使った私の瞳の中で、魔法陣が文字へと早変わる。
「前に言ってた魔力種の苗が手に入ったみたい。それを隣国に運ぶのを手伝ってほしいって。出発は……三日後だって。了承の返事してもいいよね」
「りょ~かい。戻ってきたばかりなのに、またしばらくはベッドとおさらばな感じね」
「そういう生活が好きなんでしょ? ほら、起きて。この間のクエストでポーションの備蓄切れたから、諸々の買い出し含めて今日中に終わらせることがいっぱいあるよ」
「あ~。そうだった。ほら、イリーナ、仕事よ。仕事」
「ん~? ……頭がガンガンしますわ」
アリリアナのベッドの上でネグリジェ姿のイリーナが眠そうに目を瞬いた。寝癖でいつもの縦ロールが大爆発してる。
「だから飲み過ぎな感じって言ったじゃん。ドロシー、イリーナのブラシとって」
「はい」
「サンキュー。ほら、ジッとしてなさいよ」
「う~。動いてるのは私ではなくて世界の方ですわ」
アリリアナにブラシされるイリーナ。フィジカルに特化した騎士なのに、どうして私達の中で一番朝とお酒に弱いんだろう?
「ドロシー、二日酔いの薬まだあったっけ?」
「確かイリーナのバッグの中に……あった。はい」
「ありがと。てかさ、このブラシもそうだけど、もう誰の部屋か分かんない感じよね」
オオルバ魔法店でお茶会をしたりお酒を飲む時、イリーナは高確率で泊まっていく。それを繰り返すうちにイリーナの私物がどんどん多くなって、今や私達の私物よりも目立ってるくらいだ。
そういえばあのハニワはなんでウチにあるんだっけ?
酔って持ってきたのはイリーナだったか、アリリアナだったか。あ、いや、二人一緒だったかも。だって二つあるし。
「別にいいじゃありませんの。同じ部屋で寝泊まりした方が、クエストの相談とかもしやすいですし」
「まぁ、そうなんだけどさ。それならいっそここに住めばいい感じじゃない?」
苦笑しながらもアリリアナは職人さん顔負けの手際で、イリーナの爆発頭を見事な金髪縦ロールへと変えていく。
「そうですわね。それも面白いかもしれませんわ。考えておきますわね」
「オッケー。ドロシーも大丈夫な感じ?」
「うん。というか、もう半分住んでるようなものじゃないかな」
「アハハ。確かに」
あ、いけない。もうこんな時間だ。
「私は下で朝食のお手伝いしてるから、着替えたら降りてきてよ。買い出しに馬車の点検、他にもやることいっぱいあるんだから二度寝しちゃ駄目だからね」
「安心なさって。私がいる限りそんな心配は無用ですわ。アリリアナが寝そうになったらちゃんと起こします」
「え? ……あっ、うん。お願いね」
イリーナに言ったんだけど。
アリリアナがイリーナの背後で軽く肩をすくめた。私はそれに苦笑を返すと部屋を出る。既に一階からはいい匂いが漂い始めていた。
「オオルバさん、おはようございます」
「おはよう。今日も早いね」
台所に立っていたオオルバさんーーううん。私のお婆ちゃんが包丁片手に振り返った。
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