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第五章 友哉とあきらの視える日常
5-(4) 踏切に立つもの 後編
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◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
黒い靄が消えてすっきりとした空間を、8匹の狼が機嫌よく駆けてくる。あんなものを食べてよく腹を壊さないものだと思うけど、エネルギーとして吸収するのにキレイもキタナイも無いのかもしれない。
俺が手を上げて合図すると、不動産屋の駐車場にいる雪華は四季の結界を閉じ始める。
結界が消えたのを確認して、急いで友哉のもとへ戻るとその瞳が赤く潤んでいて肝が冷えた。
「友哉? え、なに、どうしたの?」
ミコッチから奪うようにして友哉の手を取ると、泣き笑いの顔が俺を迎えた。たくさん泣いたみたいで目元は赤く腫れて、手にはハンカチを握っている。
「あんまりにも綺麗でびっくりして……ああ……」
感極まったように声を出し、滲んでくる涙を拭う。
「たった一瞬だったけど、視力が戻ったみたいだった」
「……そっか……」
目が見えなくなってからの友哉はずっと前向きで、出来るだけ自分のことは自分ですると言って楽しそうに努力を続けていた。一度もつらいとか苦しいとか恨みごとを言わなかった。
でも、この涙が見えないつらさの裏返しなのは俺にも分かる。結界の庭が光に満ちていればいるほど、いつも闇夜の中にいる自分を思い知ったに違いない。
熱くなった体温が指先から伝わってきて、つられるように俺の目も潤んでくる。
「そっかぁ、そんなに綺麗だったんだ」
気の利いたことが言えなくてもどかしい。俺にできるのは隠れて復讐をすることだけで、奪われた視力を戻してやることは出来ない。
自分の力不足が悔しくて、泣けてくる。
「また泣く。あきらは泣き虫だな」
「友哉だって」
「俺のは感動の涙だから良いんだよ」
友哉はハンカチを俺の手に持たせてから、ゆっくり頭を下げた。
「雪彦さん、ありがとうございました」
友哉の向いている方向は雪華のいる位置とずれていたが、雪華はわざわざそこまで移動してから口を開いた。
「君が望むなら、また何度でも見せてあげよう」
「はい、ありがとうございます……」
友哉が涙に濡れた顔でくしゃっと笑った。
俺は友哉に渡されたハンカチで自分の涙と友哉の涙を拭いた。
「友哉、もう帰ろうか」
「そうだな……」
―― あのぉ。
忘れていた存在が話しかけてきて、友哉がびくっと振り返った。
「あれ? 竹久? お前成仏しなかったのか?」
―― あはは。
気まずそうに幽霊が笑う。
内臓に群がっていた無数の手はすでに消えているのだが、竹久自身は最初と同じ存在感で吉野の背中にくっついていた。
―― いやぁ、俺もあんな天国みたいな庭を見せられて、てっきり成仏した気でいたんだけどさぁ。なんか、してなかったみたいなんだよな。
「ええ、じゃぁどうすんだよ」
―― どうすんだよって言われてもなぁ。
間抜けな幽霊が頭をかいている。
「とりあえず、吉野君から離れてもらえるかい」
―― おお? ほんとだ。まだつかんだままだった。
雪華の指摘に驚いて、やっと竹久が吉野の背中から手を離す。
すると、ふわっと竹久の体が浮いた。
「竹久?」
―― おわー、さすが幽霊、すげぇ体が軽い。
「そうなのか? 天国まで行けそうか?」
―― やってみる。
竹久は空気をかくように手を動かしたが、それ以上は登れないようだった。
相変わらず腹から内蔵が垂れているが、浮いたおかげで引きずってはいないし、もう血はボトボト落ちてこないから改善はしているようだが。
「なぁ、何がどうなっているか教えてくれよ」
ミコッチが焦れたように言った。
「竹久、成仏できず。そこで犬かきして天に昇ろうと間抜けな格好であがいている」
―― 久豆葉、言い方ぁ。
竹久の抗議の声に友哉がくすくすと笑っている。
吉野がぶんぶんと頭を振ってから、ゆっくりと立ち上がった。
「すぅー、はぁー」
両手両足を伸ばして深呼吸をする。
「あああー、開放感がすごいです」
「吉野さん、具合は?」
「御子神君、ありがとう。頭痛と耳鳴りは消えました。みなさん、ありがとうございました」
顔色の蘇った吉野が晴れやかに挨拶をする。
「ええと吉野さん、状況分かってる?」
「ええ、僕に竹久君が取り憑いたのを、離してくれたんですよね」
「吉野部長にも竹久が見えるのか?」
吉野は周囲に首を動かしたが、残念そうに首を振った。
「いえ、見えません。でも多分、ここら辺ですかね?」
―― そうです。ここです。ここにいます。
「そうですって言ってる」
友哉がうなずくと、吉野は竹久の方へ向き直った。
「竹久君……」
―― 吉野先輩、すいません。迷惑かけてしまって。
竹久は上半身だけで器用に礼をしたが、吉野には分からないようだった。
「吉野部長、竹久がすいませんって」
「竹久君……。僕の方こそすみませんでした。これまでリンリンで何度もメッセージをやり取りしたのに、君が悩んでいたなんてこれっぽっちも気付きませんでした。僕はがんばれって人ごとみたいに応援するだけで、何の力にもなっていなかったんですね。許してください」
―― 吉野先輩……。違います。俺、別に死ぬ気なんて無かったんです。確かに名門校へ入ったら、今までとレベルが違いすぎてビビりましたけど。でもほんのちょっと弱気になっただけで、これからも頑張っていくつもりだったんです。ほんとです。何で死んじゃったのか自分でも不思議で……何かに呼ばれたような感じで……多分、ちょっと魔が差したとかそんな感じなんで、先輩が気にすることじゃありませんよ。お花、供えてくれて嬉しかったです。
竹久が通訳しろと俺を見てくる。俺はふぅっと息を吐いた。
「魔が差して死んだだけだから気にすんな。花ありがとう、だって」
「あきら、省略しすぎだ。吉野部長、ええと竹久が言っているのは……」
友哉は丁寧に通訳してやり、吉野と竹久の会話を手伝っている。
俺は野球にも竹久にもあまり興味が無いので、ぼんやり人ごとのように聞いていたのだが、急に友哉が信じられないことを言ったのは聞き逃さなかった。
「竹久、俺に取り憑くか?」
―― は?
「は? 友哉、何を言ってるの」
その場にいる全員が目を剥いて驚く。
友哉はさらに言葉を続けた。
「だって成仏も出来ずにこんな所にひとりでいるのは寂しいだろ。俺とあきらと雪彦さんは見えるし会話もできるから、うちに来れば話し相手が三人もいるしさ、俺は学校にも行ってないから多少具合が悪くなっても……」
「ダメだ、友哉。多少じゃすまない」
友哉は自分の体と魂が弱っていることを、まだよく分かっていない。
―― そうだよ。吉野さんにくっついちゃったことも後悔しているのに。
「でも、竹久をひとりでここに置いて行きたくないよ」
「友哉君、それはいけない。君が犠牲になるのはおかしい」
「いえ、犠牲なんてそういうのではなくて」
「友哉がどうしてもっていうなら、俺に憑かせるケド」
「そんな、待って、あきら」
「俺の方が頑丈だから、その役目は俺の方がいいでしょ」
「ダメだ、あきらにはそんなことさせられない。俺のわがままに付き合わなくていい」
「どうして? 友哉の望みは俺の望みだ。体の丈夫な方がやればいいことだろ」
まぁ俺に取り憑いたら、後でこっそり狼に喰わせて成仏したことにしてやるけど。
腹の内で密かに黒いことを思っていると、竹久は首を振った。
―― 倉橋も久豆葉もサンキュ。その気持ちだけ受け取っておくよ。
「竹久」
―― 俺はもう誰にも迷惑かけたくない。たまーにでいいから、また花を供えてくれ。それだけで、すごく嬉しいから。
竹久はスポーツマンの見本みたいに、ニカッとさわやかに笑った。
踏切に巣食っていた化け物は手当たり次第に獲物を探していて殺す相手は誰でも良かった。
竹久にしてみれば、ほんのちょっとした心の隙を突かれて奪われた命だ。深い理由など何も無くて、たまたまそこを通っただけで奪われてしまった人生だ。もっと泣き叫んで運命を呪って、絶望に黒く染まってもおかしくは無いのに。
理不尽でどうにもならないことを受け入れてしまう竹久の鈍感な強さは、どことなく友哉に似ているのかもしれないと思った。
「俺、また来るよ。何回でも来るよ」
友哉は竹久をまっすぐ見て言う。
いいよな、竹久はちゃんと友哉と目が合って。と、口に出そうになるのを俺は我慢した。
―― うん……。生きている時に、もっと倉橋と話したかったな。
「これからだって、いっぱい話せる。絶対にまた来るから」
―― 待ってる。
竹久はふわりと泳ぐように動いて、花の供えられている場所に浮かんだ。
―― ここで待っているから。
俺は半分妖狐だが、霊にもあやかしにも詳しくはない。それでも、竹久はたいして時間をかけずに成仏するだろうなということは分かった。竹久は善人だ。良くも悪くも執着心が薄い男だ。吉野に対しても、友哉に対しても、自分の人生に対しても、もうあっさりと諦めてしまっている。
俺だったら理不尽な仕打ちには理不尽でやり返す。大好きな人から離れて大人しく待ったりしない。俺は死んでも友哉を離してやらない。俺はまったく善人じゃない。
自分の考えたことにハッとして、俺は友哉の目を見た。
だから友哉のきれいな目に、俺は映らないんだろうか。
「じゃあ、またな」
友哉は少し浮かんでいる竹久に手を振った。
通りがかりの人が何だろうとそちらに目を向け、何も無い空間に首をかしげて行ってしまった。
俺は友哉の右腕をつかんで、自分の腕につかまらせる。
「帰ろう、友哉」
促すように歩き出すと、友哉は少し後ろを振り向いたけどちゃんと俺について来た。
車を停めてある有料駐車場までゆっくりと歩く。俺達の後ろから雪華、御子神、吉野もついてきていた。
段差の前で足を止めると、友哉も止まる。
「ここに10センチくらいの段差があるよ」
「了解」
俺が足を踏み出すと、友哉も段差につまずくことなくついてくる。
「初めて外に出たけど、大丈夫? 怖くない?」
「いや、竹久のことでいっぱいいっぱいだったから何も考えていなかった。やっぱ家の中と違って、あっちこっちから色んな音がするな」
車の走行音、歩行者の立てる足音や声、店先から流れる音楽やざわめき。
「そうだ。これから毎日散歩して歩く練習しようか」
「いいなそれ」
「もし幽霊を見たらすぐ教えてよ」
「怖いから?」
「そうだよ、めちゃ怖いよ」
俺の見えているものと友哉の見ているものの違いを先に把握しておかないと、どんな危険があるか分からない。俺にはそれが怖い。
有料駐車場が見えてきて、雪華が小走りで先に車まで行くと後部座席のドアを開けた。
「車についたよー。こっちがドアで、こっちが車の屋根。頭ぶつけないでね」
友哉の手を取って片手をドアに、片手を出入り口の上の部分に触らせる。
「分かった、サンキュ」
友哉が乗り込もうとするのを邪魔しないように、横から腕を伸ばして出入り口の上の所に手のひらでガードする。
ミコッチが観察するように俺と友哉を見て言った。
「息ピッタリだな」
「家の中では歩く練習してたんだ。初めての外にしては上手に歩けたでしょ」
「ああ、そうだな」
友哉の隣に俺が乗り込むと、その後からミコッチが入ってきた。雪華は運転席に、吉野は助手席に座った。竹久と悪霊がいなくなった分、来た時よりも車内がかなり広く感じる。
雪華がエンジンをかけて、ゆっくりと車を動かし始めた。友哉に振動が行かないように、丁寧に運転しているのが分かる。車に興味は無かったけど、見えない友哉と一緒なら公共機関より車の方が安全で自由度が高い。免許が取れる年齢になったら、すぐに取ろうと心に決めた。
「ねぇ友哉、俺、野球始めようかな」
隣に座る友哉に話しかける。
「何だよ急に」
「だって俺、竹久より速く走れるよ。竹久より速い球を投げられるし、野球のルールだってすぐに覚えられる」
友哉は小さく噴き出した。
「そうかもな。あきらはスペックが高いからきっと何でもできる」
「俺が野球やったら嬉しい?」
「いや、無理に野球なんてしなくていいよ」
困ったように笑う友哉と、甘えた声を出す俺を、横のミコッチが冷たい目で見ている。
俺はおかまいなしに続けた。
「えー、じゃぁ何をしたら俺に憧れるの?」
友哉は穏やかに微笑んで、首を振った。
「あきらには憧れない」
「うっ、友哉ひどい」
「憧れってのは、遠い存在への感情だろ。あきらは一番近い存在だから何をしても俺は憧れたりしない。あきらが何かに打ち込んだり何かを成し遂げたりしたら、めちゃくちゃ嬉しいなって思うだけだ」
「そっかぁ。何をしたら一番嬉しい?」
臍の緒の封印が解かれてから、俺の能力は格段に上がった。運動神経も五感も鋭敏になったし、記憶力もやたらに良くなった。きっとどんな道に進んでも、ある程度まで行けると思う。
「どこで何をしていてもあきらは俺の一番だから、俺に関係なく好きなことをしろよ」
友哉はそう言って、俺の方へこぶしを突き出した。
「あきらの選んだことなら俺は全力で応援するからさ」
その顔は笑っていたけど、どこか儚げで寂しい感じがする。
「友哉……?」
「ほら、こぶしコツン」
「う、うん」
突き出されたこぶしをそのままに出来なくて、俺もコツンとこぶしをぶつけた。指をぐっとつかんでパチンと手を合わせる。
コツン、グッ、パチン……微妙にタイミングのずれた友情の合図。
「あのさ、友哉。俺が『もういい』って言うまで一緒にいてくれるっていう約束、忘れてないよね」
「ああ、もちろん。いつでも『もういい』って言っていいんだからな」
「…………う、うん、わかった」
あーあ、と心の中で俺は嘆く。
うっかりしていた。
友哉はまともな人間で、俺とはまったく違う考え方をするんだってことをすっかり忘れていた。
まともな人間のまともな思考回路では、きっとこう考えているんだ。
『目の見えない自分の世話なんかで、あきらの将来を妨げてはならない。出来るだけ早く自立できるようにならないと。あきらが本来歩むはずだった人生を奪うわけにはいかない』
友哉のそういう生真面目なところはものすごく愛おしいけれど、それは俺の望みとは掛け離れている。この先も二人一緒にいるためには子供みたいに甘えてみせるだけではダメだということが分かった。もっと決定的な『何か』が無いと、友哉は俺から離れようとするだろう。
いきなり失明してしまって、両親とも離れてしまって、頼れる相手は俺だけなんだから俺を頼ってくれればいいのに友哉はそうしない。自分よりも俺の将来を優先して考えるのはすごく友哉らしいけれど、もどかしくてたまらない。
俺が執着と嫉妬と独占欲を前面に出して、痛いメンヘラになって追いつめるという手もあるにはある。友哉を物理的に手に入れるだけなら拘束して監禁してしまえばいいんだし、今の俺なら誰に咎められることも無くそれを実行できるだけの金も力もある。
でも、俺が欲しいのはきれいなままの友哉の、きれいなままの愛情だ。
幼馴染で親友で兄弟である久豆葉あきらに向ける友哉の純粋な愛情だ。
友哉の心の中にわずかでも俺に対する嫌悪や恐怖が混ざってしまったら、それはもう俺の欲しい感情じゃない。
何かいい手はないかな。
自然で、無理がない形で、今まで通りに兄弟として生きていく方法。
友哉は依存心が薄いから、俺が働いて養うという形はとらない方がいいかもしれない。
むしろ俺の弱いところをみせて、友哉に自分から『あきらと一緒にいてあげなくちゃ、そばにいて支えなくちゃ』と思ってもらう方がいい。
考え事をしている内に、隣の友哉はすぅすぅと寝息を立て始めていた。
目の光を失ったあの時から友哉は疲れやすくなり、よくうたた寝するようになった。体も魂も弱っているからだと雪華は言っていた。
友哉の体に手を回して俺の肩に寄り掛からせる。優しい体温がじんわりと伝わってくる。
「倉橋は寝たのか」
ミコッチが小声で聞いてくる。
「うん」
「そうか……」
「何だよ、また友哉を解放しろとか言うのか」
「いや」
何かまた正論をぶつけてくるのかと思ったけど、ミコッチは身を乗り出して友哉の寝顔を覗き込み、ポソリと言った。
「何が正解か、俺にも分からなくなった」
「どういう意味?」
「竹久の幽霊は俺には見えなかったし、ほとんどの人間は見ることが出来ない。倉橋の両親にだって幽霊は見えないだろ。でも、倉橋には霊が見えるし話も出来る。それってなんかヤバイ気がするんだ」
「うん、ヤバイね」
友哉の中途半端な見え方はひどく危険なのに、友哉自身は霊に対して無防備すぎる。
「盲目なのにそんな怪しげなものだけが見えるなんて、きっと誰にも理解されない。ただでさえハンディを抱えているのに、さらに余計なものが見えてしまうなんてどんな無理ゲーだよ」
「うん、ほんとヤバイよ。ミコッチみたいに何も見えない方がはるかにましだ」
ミコッチは冷たい目で俺を見る。
「俺は、三乃峰の病院であったことを忘れられない。あの出来事は世間的には、野犬に襲われたことによる集団パニックということになったけど、俺はそうじゃないことを知っている。お前が人でなしの悪魔だってことをよく分かっている」
「はは、ひどい言い方」
「でもさ……お前は倉橋だけは守るだろ」
「もちろん守るよ」
ミコッチはハーッと息を吐いた。
雪華も吉野も聞こえているはずなのに、俺達の会話に入ってこようとはしない。
「そもそも倉橋がそんなんなったのはお前のせいなのに、結局お前にしか倉橋を守れないなんて、すげぇ癪だしすげぇムカつく」
「ミコッチ、最近俺のこと久豆葉ちゃんって呼ばなくなったね」
「そりゃな。俺は家族や彼女の名前を出されてお前に脅されたんだぞ」
「じゃぁもう友達じゃない?」
ミコッチはガリガリと頭をかいてから、俺を睨んだ。
「久豆葉ちゃん、倉橋をこれ以上ひどい目に合わせるなよ」
「うん」
「大事にしてやれ」
「うん、大事にする」
俺は友哉の髪の毛に顔を寄せて、その清浄な空気を胸に吸い込んだ。
黒い靄が消えてすっきりとした空間を、8匹の狼が機嫌よく駆けてくる。あんなものを食べてよく腹を壊さないものだと思うけど、エネルギーとして吸収するのにキレイもキタナイも無いのかもしれない。
俺が手を上げて合図すると、不動産屋の駐車場にいる雪華は四季の結界を閉じ始める。
結界が消えたのを確認して、急いで友哉のもとへ戻るとその瞳が赤く潤んでいて肝が冷えた。
「友哉? え、なに、どうしたの?」
ミコッチから奪うようにして友哉の手を取ると、泣き笑いの顔が俺を迎えた。たくさん泣いたみたいで目元は赤く腫れて、手にはハンカチを握っている。
「あんまりにも綺麗でびっくりして……ああ……」
感極まったように声を出し、滲んでくる涙を拭う。
「たった一瞬だったけど、視力が戻ったみたいだった」
「……そっか……」
目が見えなくなってからの友哉はずっと前向きで、出来るだけ自分のことは自分ですると言って楽しそうに努力を続けていた。一度もつらいとか苦しいとか恨みごとを言わなかった。
でも、この涙が見えないつらさの裏返しなのは俺にも分かる。結界の庭が光に満ちていればいるほど、いつも闇夜の中にいる自分を思い知ったに違いない。
熱くなった体温が指先から伝わってきて、つられるように俺の目も潤んでくる。
「そっかぁ、そんなに綺麗だったんだ」
気の利いたことが言えなくてもどかしい。俺にできるのは隠れて復讐をすることだけで、奪われた視力を戻してやることは出来ない。
自分の力不足が悔しくて、泣けてくる。
「また泣く。あきらは泣き虫だな」
「友哉だって」
「俺のは感動の涙だから良いんだよ」
友哉はハンカチを俺の手に持たせてから、ゆっくり頭を下げた。
「雪彦さん、ありがとうございました」
友哉の向いている方向は雪華のいる位置とずれていたが、雪華はわざわざそこまで移動してから口を開いた。
「君が望むなら、また何度でも見せてあげよう」
「はい、ありがとうございます……」
友哉が涙に濡れた顔でくしゃっと笑った。
俺は友哉に渡されたハンカチで自分の涙と友哉の涙を拭いた。
「友哉、もう帰ろうか」
「そうだな……」
―― あのぉ。
忘れていた存在が話しかけてきて、友哉がびくっと振り返った。
「あれ? 竹久? お前成仏しなかったのか?」
―― あはは。
気まずそうに幽霊が笑う。
内臓に群がっていた無数の手はすでに消えているのだが、竹久自身は最初と同じ存在感で吉野の背中にくっついていた。
―― いやぁ、俺もあんな天国みたいな庭を見せられて、てっきり成仏した気でいたんだけどさぁ。なんか、してなかったみたいなんだよな。
「ええ、じゃぁどうすんだよ」
―― どうすんだよって言われてもなぁ。
間抜けな幽霊が頭をかいている。
「とりあえず、吉野君から離れてもらえるかい」
―― おお? ほんとだ。まだつかんだままだった。
雪華の指摘に驚いて、やっと竹久が吉野の背中から手を離す。
すると、ふわっと竹久の体が浮いた。
「竹久?」
―― おわー、さすが幽霊、すげぇ体が軽い。
「そうなのか? 天国まで行けそうか?」
―― やってみる。
竹久は空気をかくように手を動かしたが、それ以上は登れないようだった。
相変わらず腹から内蔵が垂れているが、浮いたおかげで引きずってはいないし、もう血はボトボト落ちてこないから改善はしているようだが。
「なぁ、何がどうなっているか教えてくれよ」
ミコッチが焦れたように言った。
「竹久、成仏できず。そこで犬かきして天に昇ろうと間抜けな格好であがいている」
―― 久豆葉、言い方ぁ。
竹久の抗議の声に友哉がくすくすと笑っている。
吉野がぶんぶんと頭を振ってから、ゆっくりと立ち上がった。
「すぅー、はぁー」
両手両足を伸ばして深呼吸をする。
「あああー、開放感がすごいです」
「吉野さん、具合は?」
「御子神君、ありがとう。頭痛と耳鳴りは消えました。みなさん、ありがとうございました」
顔色の蘇った吉野が晴れやかに挨拶をする。
「ええと吉野さん、状況分かってる?」
「ええ、僕に竹久君が取り憑いたのを、離してくれたんですよね」
「吉野部長にも竹久が見えるのか?」
吉野は周囲に首を動かしたが、残念そうに首を振った。
「いえ、見えません。でも多分、ここら辺ですかね?」
―― そうです。ここです。ここにいます。
「そうですって言ってる」
友哉がうなずくと、吉野は竹久の方へ向き直った。
「竹久君……」
―― 吉野先輩、すいません。迷惑かけてしまって。
竹久は上半身だけで器用に礼をしたが、吉野には分からないようだった。
「吉野部長、竹久がすいませんって」
「竹久君……。僕の方こそすみませんでした。これまでリンリンで何度もメッセージをやり取りしたのに、君が悩んでいたなんてこれっぽっちも気付きませんでした。僕はがんばれって人ごとみたいに応援するだけで、何の力にもなっていなかったんですね。許してください」
―― 吉野先輩……。違います。俺、別に死ぬ気なんて無かったんです。確かに名門校へ入ったら、今までとレベルが違いすぎてビビりましたけど。でもほんのちょっと弱気になっただけで、これからも頑張っていくつもりだったんです。ほんとです。何で死んじゃったのか自分でも不思議で……何かに呼ばれたような感じで……多分、ちょっと魔が差したとかそんな感じなんで、先輩が気にすることじゃありませんよ。お花、供えてくれて嬉しかったです。
竹久が通訳しろと俺を見てくる。俺はふぅっと息を吐いた。
「魔が差して死んだだけだから気にすんな。花ありがとう、だって」
「あきら、省略しすぎだ。吉野部長、ええと竹久が言っているのは……」
友哉は丁寧に通訳してやり、吉野と竹久の会話を手伝っている。
俺は野球にも竹久にもあまり興味が無いので、ぼんやり人ごとのように聞いていたのだが、急に友哉が信じられないことを言ったのは聞き逃さなかった。
「竹久、俺に取り憑くか?」
―― は?
「は? 友哉、何を言ってるの」
その場にいる全員が目を剥いて驚く。
友哉はさらに言葉を続けた。
「だって成仏も出来ずにこんな所にひとりでいるのは寂しいだろ。俺とあきらと雪彦さんは見えるし会話もできるから、うちに来れば話し相手が三人もいるしさ、俺は学校にも行ってないから多少具合が悪くなっても……」
「ダメだ、友哉。多少じゃすまない」
友哉は自分の体と魂が弱っていることを、まだよく分かっていない。
―― そうだよ。吉野さんにくっついちゃったことも後悔しているのに。
「でも、竹久をひとりでここに置いて行きたくないよ」
「友哉君、それはいけない。君が犠牲になるのはおかしい」
「いえ、犠牲なんてそういうのではなくて」
「友哉がどうしてもっていうなら、俺に憑かせるケド」
「そんな、待って、あきら」
「俺の方が頑丈だから、その役目は俺の方がいいでしょ」
「ダメだ、あきらにはそんなことさせられない。俺のわがままに付き合わなくていい」
「どうして? 友哉の望みは俺の望みだ。体の丈夫な方がやればいいことだろ」
まぁ俺に取り憑いたら、後でこっそり狼に喰わせて成仏したことにしてやるけど。
腹の内で密かに黒いことを思っていると、竹久は首を振った。
―― 倉橋も久豆葉もサンキュ。その気持ちだけ受け取っておくよ。
「竹久」
―― 俺はもう誰にも迷惑かけたくない。たまーにでいいから、また花を供えてくれ。それだけで、すごく嬉しいから。
竹久はスポーツマンの見本みたいに、ニカッとさわやかに笑った。
踏切に巣食っていた化け物は手当たり次第に獲物を探していて殺す相手は誰でも良かった。
竹久にしてみれば、ほんのちょっとした心の隙を突かれて奪われた命だ。深い理由など何も無くて、たまたまそこを通っただけで奪われてしまった人生だ。もっと泣き叫んで運命を呪って、絶望に黒く染まってもおかしくは無いのに。
理不尽でどうにもならないことを受け入れてしまう竹久の鈍感な強さは、どことなく友哉に似ているのかもしれないと思った。
「俺、また来るよ。何回でも来るよ」
友哉は竹久をまっすぐ見て言う。
いいよな、竹久はちゃんと友哉と目が合って。と、口に出そうになるのを俺は我慢した。
―― うん……。生きている時に、もっと倉橋と話したかったな。
「これからだって、いっぱい話せる。絶対にまた来るから」
―― 待ってる。
竹久はふわりと泳ぐように動いて、花の供えられている場所に浮かんだ。
―― ここで待っているから。
俺は半分妖狐だが、霊にもあやかしにも詳しくはない。それでも、竹久はたいして時間をかけずに成仏するだろうなということは分かった。竹久は善人だ。良くも悪くも執着心が薄い男だ。吉野に対しても、友哉に対しても、自分の人生に対しても、もうあっさりと諦めてしまっている。
俺だったら理不尽な仕打ちには理不尽でやり返す。大好きな人から離れて大人しく待ったりしない。俺は死んでも友哉を離してやらない。俺はまったく善人じゃない。
自分の考えたことにハッとして、俺は友哉の目を見た。
だから友哉のきれいな目に、俺は映らないんだろうか。
「じゃあ、またな」
友哉は少し浮かんでいる竹久に手を振った。
通りがかりの人が何だろうとそちらに目を向け、何も無い空間に首をかしげて行ってしまった。
俺は友哉の右腕をつかんで、自分の腕につかまらせる。
「帰ろう、友哉」
促すように歩き出すと、友哉は少し後ろを振り向いたけどちゃんと俺について来た。
車を停めてある有料駐車場までゆっくりと歩く。俺達の後ろから雪華、御子神、吉野もついてきていた。
段差の前で足を止めると、友哉も止まる。
「ここに10センチくらいの段差があるよ」
「了解」
俺が足を踏み出すと、友哉も段差につまずくことなくついてくる。
「初めて外に出たけど、大丈夫? 怖くない?」
「いや、竹久のことでいっぱいいっぱいだったから何も考えていなかった。やっぱ家の中と違って、あっちこっちから色んな音がするな」
車の走行音、歩行者の立てる足音や声、店先から流れる音楽やざわめき。
「そうだ。これから毎日散歩して歩く練習しようか」
「いいなそれ」
「もし幽霊を見たらすぐ教えてよ」
「怖いから?」
「そうだよ、めちゃ怖いよ」
俺の見えているものと友哉の見ているものの違いを先に把握しておかないと、どんな危険があるか分からない。俺にはそれが怖い。
有料駐車場が見えてきて、雪華が小走りで先に車まで行くと後部座席のドアを開けた。
「車についたよー。こっちがドアで、こっちが車の屋根。頭ぶつけないでね」
友哉の手を取って片手をドアに、片手を出入り口の上の部分に触らせる。
「分かった、サンキュ」
友哉が乗り込もうとするのを邪魔しないように、横から腕を伸ばして出入り口の上の所に手のひらでガードする。
ミコッチが観察するように俺と友哉を見て言った。
「息ピッタリだな」
「家の中では歩く練習してたんだ。初めての外にしては上手に歩けたでしょ」
「ああ、そうだな」
友哉の隣に俺が乗り込むと、その後からミコッチが入ってきた。雪華は運転席に、吉野は助手席に座った。竹久と悪霊がいなくなった分、来た時よりも車内がかなり広く感じる。
雪華がエンジンをかけて、ゆっくりと車を動かし始めた。友哉に振動が行かないように、丁寧に運転しているのが分かる。車に興味は無かったけど、見えない友哉と一緒なら公共機関より車の方が安全で自由度が高い。免許が取れる年齢になったら、すぐに取ろうと心に決めた。
「ねぇ友哉、俺、野球始めようかな」
隣に座る友哉に話しかける。
「何だよ急に」
「だって俺、竹久より速く走れるよ。竹久より速い球を投げられるし、野球のルールだってすぐに覚えられる」
友哉は小さく噴き出した。
「そうかもな。あきらはスペックが高いからきっと何でもできる」
「俺が野球やったら嬉しい?」
「いや、無理に野球なんてしなくていいよ」
困ったように笑う友哉と、甘えた声を出す俺を、横のミコッチが冷たい目で見ている。
俺はおかまいなしに続けた。
「えー、じゃぁ何をしたら俺に憧れるの?」
友哉は穏やかに微笑んで、首を振った。
「あきらには憧れない」
「うっ、友哉ひどい」
「憧れってのは、遠い存在への感情だろ。あきらは一番近い存在だから何をしても俺は憧れたりしない。あきらが何かに打ち込んだり何かを成し遂げたりしたら、めちゃくちゃ嬉しいなって思うだけだ」
「そっかぁ。何をしたら一番嬉しい?」
臍の緒の封印が解かれてから、俺の能力は格段に上がった。運動神経も五感も鋭敏になったし、記憶力もやたらに良くなった。きっとどんな道に進んでも、ある程度まで行けると思う。
「どこで何をしていてもあきらは俺の一番だから、俺に関係なく好きなことをしろよ」
友哉はそう言って、俺の方へこぶしを突き出した。
「あきらの選んだことなら俺は全力で応援するからさ」
その顔は笑っていたけど、どこか儚げで寂しい感じがする。
「友哉……?」
「ほら、こぶしコツン」
「う、うん」
突き出されたこぶしをそのままに出来なくて、俺もコツンとこぶしをぶつけた。指をぐっとつかんでパチンと手を合わせる。
コツン、グッ、パチン……微妙にタイミングのずれた友情の合図。
「あのさ、友哉。俺が『もういい』って言うまで一緒にいてくれるっていう約束、忘れてないよね」
「ああ、もちろん。いつでも『もういい』って言っていいんだからな」
「…………う、うん、わかった」
あーあ、と心の中で俺は嘆く。
うっかりしていた。
友哉はまともな人間で、俺とはまったく違う考え方をするんだってことをすっかり忘れていた。
まともな人間のまともな思考回路では、きっとこう考えているんだ。
『目の見えない自分の世話なんかで、あきらの将来を妨げてはならない。出来るだけ早く自立できるようにならないと。あきらが本来歩むはずだった人生を奪うわけにはいかない』
友哉のそういう生真面目なところはものすごく愛おしいけれど、それは俺の望みとは掛け離れている。この先も二人一緒にいるためには子供みたいに甘えてみせるだけではダメだということが分かった。もっと決定的な『何か』が無いと、友哉は俺から離れようとするだろう。
いきなり失明してしまって、両親とも離れてしまって、頼れる相手は俺だけなんだから俺を頼ってくれればいいのに友哉はそうしない。自分よりも俺の将来を優先して考えるのはすごく友哉らしいけれど、もどかしくてたまらない。
俺が執着と嫉妬と独占欲を前面に出して、痛いメンヘラになって追いつめるという手もあるにはある。友哉を物理的に手に入れるだけなら拘束して監禁してしまえばいいんだし、今の俺なら誰に咎められることも無くそれを実行できるだけの金も力もある。
でも、俺が欲しいのはきれいなままの友哉の、きれいなままの愛情だ。
幼馴染で親友で兄弟である久豆葉あきらに向ける友哉の純粋な愛情だ。
友哉の心の中にわずかでも俺に対する嫌悪や恐怖が混ざってしまったら、それはもう俺の欲しい感情じゃない。
何かいい手はないかな。
自然で、無理がない形で、今まで通りに兄弟として生きていく方法。
友哉は依存心が薄いから、俺が働いて養うという形はとらない方がいいかもしれない。
むしろ俺の弱いところをみせて、友哉に自分から『あきらと一緒にいてあげなくちゃ、そばにいて支えなくちゃ』と思ってもらう方がいい。
考え事をしている内に、隣の友哉はすぅすぅと寝息を立て始めていた。
目の光を失ったあの時から友哉は疲れやすくなり、よくうたた寝するようになった。体も魂も弱っているからだと雪華は言っていた。
友哉の体に手を回して俺の肩に寄り掛からせる。優しい体温がじんわりと伝わってくる。
「倉橋は寝たのか」
ミコッチが小声で聞いてくる。
「うん」
「そうか……」
「何だよ、また友哉を解放しろとか言うのか」
「いや」
何かまた正論をぶつけてくるのかと思ったけど、ミコッチは身を乗り出して友哉の寝顔を覗き込み、ポソリと言った。
「何が正解か、俺にも分からなくなった」
「どういう意味?」
「竹久の幽霊は俺には見えなかったし、ほとんどの人間は見ることが出来ない。倉橋の両親にだって幽霊は見えないだろ。でも、倉橋には霊が見えるし話も出来る。それってなんかヤバイ気がするんだ」
「うん、ヤバイね」
友哉の中途半端な見え方はひどく危険なのに、友哉自身は霊に対して無防備すぎる。
「盲目なのにそんな怪しげなものだけが見えるなんて、きっと誰にも理解されない。ただでさえハンディを抱えているのに、さらに余計なものが見えてしまうなんてどんな無理ゲーだよ」
「うん、ほんとヤバイよ。ミコッチみたいに何も見えない方がはるかにましだ」
ミコッチは冷たい目で俺を見る。
「俺は、三乃峰の病院であったことを忘れられない。あの出来事は世間的には、野犬に襲われたことによる集団パニックということになったけど、俺はそうじゃないことを知っている。お前が人でなしの悪魔だってことをよく分かっている」
「はは、ひどい言い方」
「でもさ……お前は倉橋だけは守るだろ」
「もちろん守るよ」
ミコッチはハーッと息を吐いた。
雪華も吉野も聞こえているはずなのに、俺達の会話に入ってこようとはしない。
「そもそも倉橋がそんなんなったのはお前のせいなのに、結局お前にしか倉橋を守れないなんて、すげぇ癪だしすげぇムカつく」
「ミコッチ、最近俺のこと久豆葉ちゃんって呼ばなくなったね」
「そりゃな。俺は家族や彼女の名前を出されてお前に脅されたんだぞ」
「じゃぁもう友達じゃない?」
ミコッチはガリガリと頭をかいてから、俺を睨んだ。
「久豆葉ちゃん、倉橋をこれ以上ひどい目に合わせるなよ」
「うん」
「大事にしてやれ」
「うん、大事にする」
俺は友哉の髪の毛に顔を寄せて、その清浄な空気を胸に吸い込んだ。
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