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閑話 顕現する桜竜
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(三人称視点)
その美しい女は胸元を強調し、裾には大胆なスリットが入った煽情的なデザインの赤いイブニングドレスを華麗に着こなしていた。
人の姿を模した紅の飛竜ヴェルミリオンだ。
その竜眼がレイチェルを捉えた瞬間、不思議なことが起きた。
レイチェルの体をまるでヴェールで覆うように薄い緑色の竜巻が突如として、発生した。
『あああああっ』というレイチェルの叫び声が途中から、風音と混じり、獣の咆哮のように変わっていく。
「黙って、見ていなさい」
ヴェルミリオンから、放たれる尋常ではない威圧感を前に砂漠の民は誰一人、動くことが出来ず、ただ呆然と立ち尽くしていた。
ただ一人、カーミルだけが抗うように鋭い視線をヴェルミリオンへと向けている。
そして、レイチェルの体を取り巻くようにうねっていた竜巻が弾けるように収束すると、凄まじい風が広場を吹き抜けていった。
「ガオオオオオン」
竜巻は消えたが、そこにレイチェルの姿はない。
薄い桃色の鱗で覆われた飛竜が周囲を威嚇するようにその顎を開き、恐ろしい咆哮を発した。
まさに災厄そのものと言っても過言では無い姿をしていた。
民家よりも巨大な体躯。
大地を掴む強靭な両足には鋭く尖った爪が生えている。
腕から進化した巨大な両翼は鋭い鉤爪と棘で武装されていた。
その場にいる誰もが息をすることすら忘れ、目の前で起こった光景に我が目を疑った。
「あらあら? ごめんなさい。お母さん、これはどういうこと!?」
桃色の飛竜の口から、発せられた声は先程の咆哮ではなく、鈴を振るような美しい少女の声だ。
レイチェルの声だった。
彼女自身が動揺しているのか、立派で見るだけでも恐ろしい見た目をした飛竜がどこか、おどおどとしていた。
「なっ!?」
「ま、まさか……そんなことが……」
「嘘だろ」
あまりの出来事に砂漠の民達の間にも動揺が広がっていく。
だが、それは決して否定的なものではない。
「さすが聖女様だ!」
「聖女様かっこいい!」
「素敵! 聖女様、こっち見てー!」
皆、口々に歓喜の声を上げ、拍手喝采が巻き起こる。
そんな中、カーミルだけが険しい表情を浮かべたまま、ヴェルミリオンを見つめていた。
「これは一体……何をしたんだ?」
「その者は神に殺されない。その者は竜に殺されない。その者こそ、世界に終わりをもたらすであろう」
紅の美女ヴェルミリオンは何かの一節を唱えるように呟いた。
「終末の獣じゃな」
「そうね。だから、レイチェルと……あなた!」
ヴェルミリオンはゆったりとした所作で腕を上げるとカーミルを人差し指で指した。
「……?」
「人でもない。神でもない。竜でもない。あなた達にしか、出来ないのよ」
「えぇぇぇ」
ヴェルミリオンの後ろでレイチェルは飛竜の姿のまま、嘆いているが姿が姿だけに可愛らしいとは言いにくいものだ。
娘の様子に肩を竦め、ふぅと軽く、息を吐いたヴェルミリオンはカーミルに向けていた右手をレイチェルの方へと向けた。
人差し指・中指・薬指を立て、指し示した。
「三……?」
「そう。三日。三日で竜化を覚えなさい」
ヴェルミリオンの金色の瞳は不穏な煌きを見せていた。
否という選択肢を許さない。
そう目が語っている。
「はい……」
消え入りそうなレイチェルの声とともにその姿も徐々に縮んでいった。
数秒後、 彼女の絹を裂くような声が広場に響き渡ることになり、『はいはい。男どもは見たら、どうなるか、分かっているでしょうね?』という世にも恐ろしいヴェルミリオンの声に男達が縮み上がることになるのだが、それは別の話である。
◇ ◇ ◇
今回、レイチェルが姿を変えたワイバーンですが、簡単にイメージするなら……〇ンスター〇ンターのリオレ〇ア亜種です。
はい、ぶっちゃけた。
ピンクのきれいな鱗できれいなのですが、トゲトゲが多くて、あくまで見た目は狂暴そうというアンバランスな感じ。
その美しい女は胸元を強調し、裾には大胆なスリットが入った煽情的なデザインの赤いイブニングドレスを華麗に着こなしていた。
人の姿を模した紅の飛竜ヴェルミリオンだ。
その竜眼がレイチェルを捉えた瞬間、不思議なことが起きた。
レイチェルの体をまるでヴェールで覆うように薄い緑色の竜巻が突如として、発生した。
『あああああっ』というレイチェルの叫び声が途中から、風音と混じり、獣の咆哮のように変わっていく。
「黙って、見ていなさい」
ヴェルミリオンから、放たれる尋常ではない威圧感を前に砂漠の民は誰一人、動くことが出来ず、ただ呆然と立ち尽くしていた。
ただ一人、カーミルだけが抗うように鋭い視線をヴェルミリオンへと向けている。
そして、レイチェルの体を取り巻くようにうねっていた竜巻が弾けるように収束すると、凄まじい風が広場を吹き抜けていった。
「ガオオオオオン」
竜巻は消えたが、そこにレイチェルの姿はない。
薄い桃色の鱗で覆われた飛竜が周囲を威嚇するようにその顎を開き、恐ろしい咆哮を発した。
まさに災厄そのものと言っても過言では無い姿をしていた。
民家よりも巨大な体躯。
大地を掴む強靭な両足には鋭く尖った爪が生えている。
腕から進化した巨大な両翼は鋭い鉤爪と棘で武装されていた。
その場にいる誰もが息をすることすら忘れ、目の前で起こった光景に我が目を疑った。
「あらあら? ごめんなさい。お母さん、これはどういうこと!?」
桃色の飛竜の口から、発せられた声は先程の咆哮ではなく、鈴を振るような美しい少女の声だ。
レイチェルの声だった。
彼女自身が動揺しているのか、立派で見るだけでも恐ろしい見た目をした飛竜がどこか、おどおどとしていた。
「なっ!?」
「ま、まさか……そんなことが……」
「嘘だろ」
あまりの出来事に砂漠の民達の間にも動揺が広がっていく。
だが、それは決して否定的なものではない。
「さすが聖女様だ!」
「聖女様かっこいい!」
「素敵! 聖女様、こっち見てー!」
皆、口々に歓喜の声を上げ、拍手喝采が巻き起こる。
そんな中、カーミルだけが険しい表情を浮かべたまま、ヴェルミリオンを見つめていた。
「これは一体……何をしたんだ?」
「その者は神に殺されない。その者は竜に殺されない。その者こそ、世界に終わりをもたらすであろう」
紅の美女ヴェルミリオンは何かの一節を唱えるように呟いた。
「終末の獣じゃな」
「そうね。だから、レイチェルと……あなた!」
ヴェルミリオンはゆったりとした所作で腕を上げるとカーミルを人差し指で指した。
「……?」
「人でもない。神でもない。竜でもない。あなた達にしか、出来ないのよ」
「えぇぇぇ」
ヴェルミリオンの後ろでレイチェルは飛竜の姿のまま、嘆いているが姿が姿だけに可愛らしいとは言いにくいものだ。
娘の様子に肩を竦め、ふぅと軽く、息を吐いたヴェルミリオンはカーミルに向けていた右手をレイチェルの方へと向けた。
人差し指・中指・薬指を立て、指し示した。
「三……?」
「そう。三日。三日で竜化を覚えなさい」
ヴェルミリオンの金色の瞳は不穏な煌きを見せていた。
否という選択肢を許さない。
そう目が語っている。
「はい……」
消え入りそうなレイチェルの声とともにその姿も徐々に縮んでいった。
数秒後、 彼女の絹を裂くような声が広場に響き渡ることになり、『はいはい。男どもは見たら、どうなるか、分かっているでしょうね?』という世にも恐ろしいヴェルミリオンの声に男達が縮み上がることになるのだが、それは別の話である。
◇ ◇ ◇
今回、レイチェルが姿を変えたワイバーンですが、簡単にイメージするなら……〇ンスター〇ンターのリオレ〇ア亜種です。
はい、ぶっちゃけた。
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