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幕間
12 それは拷問というより甘い辛苦
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予想通り、ハリーはおとぎ話のガラスの靴を持ってくる王子様のように迎えに来てくれた。
来てくれたけど……。
時間はもうちょっと考えるべきだと思う。
早い。
朝が早すぎて、さすがに想定外だった。
支度が済んでいるどころか、目覚めてすらいない時間に来ないで欲しい。
しかもここは女子寮であって。
男子禁制なのに迎えに来た。
しかも窓から来るなんて、聞いてない。
思わず、「ぎゃー」と変な声を上げるところだった……。
「ハリー。乙女は支度に時間がかかるものなんです。それに窓からやって来るなんて」
「悪かったって。門番みたいのに止められたからさ。それなら、壁を行けばいいってな」
「だからって、やることが無茶なんです」
想像して欲しい。
窓をコンコンと叩く音がして、目を覚ますと窓に蜘蛛みたいに張り付いている男がいるのだ。
あっという間に目が覚めたのは言うまでがない。
ハリーをそのままにしておくのも問題になるので部屋に入ってもらい、支度を済ませた。
彼はウィステリア家の執事見習いだけど、実は偽りの身分ではないのかと疑っている。
身のこなしや行儀作法はスマートだけど、付け焼刃に近い気がする。
確かにある程度、質の高い教育を受けたのは間違いないとは思う。
もしかしたら、彼の能力を買って、サマンサ様が雇ったエージェントみたいなものかもしれない。
私も同じようなものだから、親近感が湧いてくる。
「あまり高い物はいらないんだけど?」
「でもさ。お嬢様が今回の御褒美ってことで用意してくれたんだぜ」
そう言いながら、札束をぴらぴらと振るのは止めてもらいたい。
ちょっと恥ずかしい。
滅多に来ることがないどころか、一生縁の無さそうな高級ブランドの店をハリーとはしごする羽目になった。
サマンサ様が報酬代わりにプレゼントしてくれるけど、私が自分の目で好きな物を選べばいいと気を利かせてくれて。
そのエスコートをしてくれるのがハリーだった。
それだけの話なんだけど、これではまるでデートしているみたいじゃない。
結局、何軒のブティックを回ったのか、記憶にない。
文字通り、一日中付き合うを実践することになったけれど、悪くない一日だった。
買ったのはなんだかんだ言って、スカーフ一枚だけど……。
「本当にそれだけでいいのか?」
「ええ、いいんです。これで」
「あんた、欲がないんだな」
「無理をしたくないだけ。ほら、私って地味なモブ令嬢ですし?」
「それ、本気で言ってるのか?」
「?」
高級ブランドのドレスやスーツなんて、身の丈に合わない。
下手に目立ちたくないのだ。
スカーフが私の身の丈に合ったアイテムだと思う。
そう思ったのにハリーはなぜか、ちょっと不機嫌になった。
なぜ!?
帰りの車中はどちらも口を開かないまま。
沈黙が支配して、何とも居心地の悪い空気だった。
私が悪いのかしら?
よく分からない。
これで今度こそ、ハリーとはお別れになるのかもしれない……。
何とも後味が悪い。
そう思っていたら……。
「じゃあ、またな。メリーさん」
彼は「またな」と言って、去っていったのだ。
どうやら、まだ終わっていないみたい。
来てくれたけど……。
時間はもうちょっと考えるべきだと思う。
早い。
朝が早すぎて、さすがに想定外だった。
支度が済んでいるどころか、目覚めてすらいない時間に来ないで欲しい。
しかもここは女子寮であって。
男子禁制なのに迎えに来た。
しかも窓から来るなんて、聞いてない。
思わず、「ぎゃー」と変な声を上げるところだった……。
「ハリー。乙女は支度に時間がかかるものなんです。それに窓からやって来るなんて」
「悪かったって。門番みたいのに止められたからさ。それなら、壁を行けばいいってな」
「だからって、やることが無茶なんです」
想像して欲しい。
窓をコンコンと叩く音がして、目を覚ますと窓に蜘蛛みたいに張り付いている男がいるのだ。
あっという間に目が覚めたのは言うまでがない。
ハリーをそのままにしておくのも問題になるので部屋に入ってもらい、支度を済ませた。
彼はウィステリア家の執事見習いだけど、実は偽りの身分ではないのかと疑っている。
身のこなしや行儀作法はスマートだけど、付け焼刃に近い気がする。
確かにある程度、質の高い教育を受けたのは間違いないとは思う。
もしかしたら、彼の能力を買って、サマンサ様が雇ったエージェントみたいなものかもしれない。
私も同じようなものだから、親近感が湧いてくる。
「あまり高い物はいらないんだけど?」
「でもさ。お嬢様が今回の御褒美ってことで用意してくれたんだぜ」
そう言いながら、札束をぴらぴらと振るのは止めてもらいたい。
ちょっと恥ずかしい。
滅多に来ることがないどころか、一生縁の無さそうな高級ブランドの店をハリーとはしごする羽目になった。
サマンサ様が報酬代わりにプレゼントしてくれるけど、私が自分の目で好きな物を選べばいいと気を利かせてくれて。
そのエスコートをしてくれるのがハリーだった。
それだけの話なんだけど、これではまるでデートしているみたいじゃない。
結局、何軒のブティックを回ったのか、記憶にない。
文字通り、一日中付き合うを実践することになったけれど、悪くない一日だった。
買ったのはなんだかんだ言って、スカーフ一枚だけど……。
「本当にそれだけでいいのか?」
「ええ、いいんです。これで」
「あんた、欲がないんだな」
「無理をしたくないだけ。ほら、私って地味なモブ令嬢ですし?」
「それ、本気で言ってるのか?」
「?」
高級ブランドのドレスやスーツなんて、身の丈に合わない。
下手に目立ちたくないのだ。
スカーフが私の身の丈に合ったアイテムだと思う。
そう思ったのにハリーはなぜか、ちょっと不機嫌になった。
なぜ!?
帰りの車中はどちらも口を開かないまま。
沈黙が支配して、何とも居心地の悪い空気だった。
私が悪いのかしら?
よく分からない。
これで今度こそ、ハリーとはお別れになるのかもしれない……。
何とも後味が悪い。
そう思っていたら……。
「じゃあ、またな。メリーさん」
彼は「またな」と言って、去っていったのだ。
どうやら、まだ終わっていないみたい。
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