4 / 43
本編
第3話 バカップルじゃないから
しおりを挟む
昼休み。
クラスが違うカオルと合流して、三人で中庭に向かう。
気心の知れた三人で静かにお昼を食べるのがあたし達の学校でのルーチンだ。
この学園に給食はないから、お昼を食べるのには二種類どちらかを選ぶしかないわ。
一つ目は学食。
ここの学食は高校の施設とは思えないくらいでお洒落なファミレスみたいなのだ。
見た目だけじゃなくて、味の方も確かでお値段もお手頃ということで学食で食べる学生は結構、多いみたい。
二つ目はお弁当やパンの持参だ。
あたしはタケルママこと結奈さん公認でタケルのお弁当を任されてるから、自分の分とタケルの分。
それになぜか、カオルの分までお弁当を作ってるのだ。
ユイナさん曰く『好きな男を捕まえるにはまず、胃袋だよ』だそうで近い将来、姑になるかもしれない人から、ずっと料理を教えてもらってるあたしに死角はない。
モデル活動をするくらい見た目が整ってて、料理が出来るんだよ?
これで告白してくれないタケルって、すごく鈍感なのかな?
あたしのことを好きじゃないって可能性もあるんだけど、それはあまり考えたくない。
勉強はちょっと苦手だけど……まさか、そのせい!?
「今日は唐揚げなんだね」
「そうだけど何か、文句あるの?」
「な、ないけど。むしろ、唐揚げ大好きだよ?」
そうよね。
タケルが唐揚げが好きなの知ってて、入れてるの。
タケルはあたしに文句どころか、愚痴も言わないって知ってるしね。
それに甘えちゃ、駄目だって分かってるのについ甘えてしまう自分が許せない。
もっとタケルのこと考えて、献立考えないと駄目だよね。
「はい、あーん」
「あ、あーん」
「おいしい?」
「うん、美味しいよ」
タケルの口に唐揚げを運んであげて、それでもぐもぐ食べているタケルを見ていると幸せな気分に浸れるのだ。
まるで新婚さんみたいだから。
「あなたたち、ここ学校だけど?」
「そうだね」
「それが問題あるの? カオルも早く食べないと昼休み終わっちゃうわよ」
いつものことなのにカオルの視線が冷たい。
慣れてるから、どうってことないけど慣れてない子が見たら、勘違いするかも。
カオルが怖い子だって。
本当は誰よりも優しくて、意外と熱血なんだよね。
それに他の誰よりもあたしとタケルのことを心配してくれてるってのも分かってる。
「卵焼きもあるの。どう? はい、あーん」
「あーん」
「どっちもどっちね。バカップルさん、ごちそうさまでした。はぁ、お先に失礼するわ」
「「バカップルじゃない(わ)!」」
実はカオルは食べるのがすごく早い。
身体に悪いんじゃないのって、言っても癖はそうそう直らないものらしい。
カオルもいなくなって、あまり人が来ない中庭は静かでまるでタケルと二人きりみたい。
もしかしたら、今なら言えるんじゃない?
「あ、あのね。タケル」
「ん? どうしたの?」
「あ、あの……あたし、タケル……す、す……」
「す……?」
「すき焼きでいいよね?」
「は!? え、うん。すき焼きでいいよ。夕食の話……だね」
「夕食に決まってるでしょ」
「うん、そうだよね」
気まずい空気になってしまった。
どう考えても今の雰囲気は好きって言わなきゃいけなかったのに。
どうしよう……タケルも変だって思ったはずだし。
顔が熱いから、真っ赤になってるのかも。
タケルの頬もあたしが変なこと言ったせいか、頬が赤いし、目が泳いでるよ。
まずい、やばい、どうしよう。
そんなあたし達を嘲笑うかのように昼休み終了五分前の予鈴が鳴るのだった。
「教室戻ろうか」
「わ、分かってるわよ。さっさと戻りましょ」
結局、いつものように心とは真反対のことを言ってしまって、挽回しようとタケルの手を握って、教室に戻るのがあたしの精一杯だった。
そんなあたしは足利さんがその様子を興味深げに観察していたなんて、気付きやしなかった。
クラスが違うカオルと合流して、三人で中庭に向かう。
気心の知れた三人で静かにお昼を食べるのがあたし達の学校でのルーチンだ。
この学園に給食はないから、お昼を食べるのには二種類どちらかを選ぶしかないわ。
一つ目は学食。
ここの学食は高校の施設とは思えないくらいでお洒落なファミレスみたいなのだ。
見た目だけじゃなくて、味の方も確かでお値段もお手頃ということで学食で食べる学生は結構、多いみたい。
二つ目はお弁当やパンの持参だ。
あたしはタケルママこと結奈さん公認でタケルのお弁当を任されてるから、自分の分とタケルの分。
それになぜか、カオルの分までお弁当を作ってるのだ。
ユイナさん曰く『好きな男を捕まえるにはまず、胃袋だよ』だそうで近い将来、姑になるかもしれない人から、ずっと料理を教えてもらってるあたしに死角はない。
モデル活動をするくらい見た目が整ってて、料理が出来るんだよ?
これで告白してくれないタケルって、すごく鈍感なのかな?
あたしのことを好きじゃないって可能性もあるんだけど、それはあまり考えたくない。
勉強はちょっと苦手だけど……まさか、そのせい!?
「今日は唐揚げなんだね」
「そうだけど何か、文句あるの?」
「な、ないけど。むしろ、唐揚げ大好きだよ?」
そうよね。
タケルが唐揚げが好きなの知ってて、入れてるの。
タケルはあたしに文句どころか、愚痴も言わないって知ってるしね。
それに甘えちゃ、駄目だって分かってるのについ甘えてしまう自分が許せない。
もっとタケルのこと考えて、献立考えないと駄目だよね。
「はい、あーん」
「あ、あーん」
「おいしい?」
「うん、美味しいよ」
タケルの口に唐揚げを運んであげて、それでもぐもぐ食べているタケルを見ていると幸せな気分に浸れるのだ。
まるで新婚さんみたいだから。
「あなたたち、ここ学校だけど?」
「そうだね」
「それが問題あるの? カオルも早く食べないと昼休み終わっちゃうわよ」
いつものことなのにカオルの視線が冷たい。
慣れてるから、どうってことないけど慣れてない子が見たら、勘違いするかも。
カオルが怖い子だって。
本当は誰よりも優しくて、意外と熱血なんだよね。
それに他の誰よりもあたしとタケルのことを心配してくれてるってのも分かってる。
「卵焼きもあるの。どう? はい、あーん」
「あーん」
「どっちもどっちね。バカップルさん、ごちそうさまでした。はぁ、お先に失礼するわ」
「「バカップルじゃない(わ)!」」
実はカオルは食べるのがすごく早い。
身体に悪いんじゃないのって、言っても癖はそうそう直らないものらしい。
カオルもいなくなって、あまり人が来ない中庭は静かでまるでタケルと二人きりみたい。
もしかしたら、今なら言えるんじゃない?
「あ、あのね。タケル」
「ん? どうしたの?」
「あ、あの……あたし、タケル……す、す……」
「す……?」
「すき焼きでいいよね?」
「は!? え、うん。すき焼きでいいよ。夕食の話……だね」
「夕食に決まってるでしょ」
「うん、そうだよね」
気まずい空気になってしまった。
どう考えても今の雰囲気は好きって言わなきゃいけなかったのに。
どうしよう……タケルも変だって思ったはずだし。
顔が熱いから、真っ赤になってるのかも。
タケルの頬もあたしが変なこと言ったせいか、頬が赤いし、目が泳いでるよ。
まずい、やばい、どうしよう。
そんなあたし達を嘲笑うかのように昼休み終了五分前の予鈴が鳴るのだった。
「教室戻ろうか」
「わ、分かってるわよ。さっさと戻りましょ」
結局、いつものように心とは真反対のことを言ってしまって、挽回しようとタケルの手を握って、教室に戻るのがあたしの精一杯だった。
そんなあたしは足利さんがその様子を興味深げに観察していたなんて、気付きやしなかった。
0
あなたにおすすめの小説
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる