【完結】日本で生まれたのに見た目はファンタジーな私!日本語しか喋れないんだけど、何か悪いの?~ピンク髪のヒロインはVRゲームの中で恋愛する~

黒幸

文字の大きさ
5 / 43
本編

第4話 アリスちゃんはツンデレ

しおりを挟む
 午後の授業は特にストレス感じることなく、終わったわ。
 タケルは足利さんに教科書を貸す。
 教科書の無いタケルはあたしの方に机を近づけて、一緒に教科書を見るしかない。
 超接近で心音までは聞こえないけど、息遣いは確かに感じる。
 授業の内容がほぼ右から左に抜けていったのもしょうがないことよ?
 周りからもすごく生温かい目で見られてた気がするし。

 それで今、あたしは仲の良いスミカと会議中なのだ。
 スミカは田村澄華たむら すみかっていうのがフルネームなんだけど中学に入ってから、最初に仲が良くなった子だ。
 中学・高校とずっと付き合いが続いている親友といっていい存在。
 あたしに近付いてきて友達になろうって言ってくる子はたいてい、モデルになりたいとか、芸能界に入りたいっていう打算が見え見えの子ばっか。
 だから、上辺だけ仲良いように見えるだけ。
 決して、友人ではないのだ。
 スミカはそんな子達とは違う。
 素のあたしと正面から、付き合ってくれるのはあの二人とスミカくらいだもん。

 黒髪におさげで真面目そうな外見のスミカなんだけど、文芸部にいるせいか、妙な知識に偏ってる。
 あたしの知らないことをたくさん知ってるのだ。
 そう! おばあちゃんの知恵袋みたいに知らないことを何でも教えてくれる。
 たまに間違ってるけどね。

「アリスちゃん、それでついに好きって言ったの?」
「……言ってない。誤魔化して、すき焼きって言っちゃった」

 それじゃなくても大きな目をこれ以上ないくらい開いて、『あちゃーっ』という表情をしている。
 すき焼きはやっぱり、失敗なのね。
 自分でもやっちゃったと思ったけど。

「うーん、アリスちゃんはツンデレですもんねぇ。そう言ってるのに人まであーんをしていたんでしょ?」
「そ、それはほら、タケルは食べるのが遅いから、しょうがなく食べさせてあげてるだけよ。それ以上でもそれ以下でもないわっ」
「そんなの甘々な恋人とか、新婚さんのすることでしょ? そこのところ分かってるの、アリスちゃん」

 スミカはあたしの両肩にしっかりと手を置き、見つめてくる。

「あなたたちをよーく知ってる周りはもうあなたたちを夫婦みたいなもんって認識してるから、いいのよぉ。でも、そうじゃない人はどうかなぁ?」
「そ、そうなの!?」
「あの転校生、気を付けた方がいいと思わない?」
「足利さんのこと? 確かにかわいいけどタケルなら大丈夫よ」

 タケルにはあたしっていうかわいい幼馴染で未来の妻がいるのよ。
 余所見なんて、するはずがないもん。
 タケルはあたしのことだけを見てくれるって信じてるから。

「うーん、アリスちゃんも楠木くんも純粋過ぎて、逆に心配だよぉ。そうねぇ、部長から教えてもらったんだけどねぇ。聞きたい? 聞きたいよね?」
「何? 何の話なの?」

 スミカのお目目がキラキラ輝いているってことは良くないことを企んでいる時なんだよね。
 良くないって言ってもあたしが心にもないこと言うから、失敗しちゃうだけでいいところまではいけるんだよね。
 つまり、あたしにとってはいい話……でいいんだよね?

「うふふっ、アリスちゃんなら興味持つと思ったよぉ。えっとね、VRMMOって知ってる?」
「VRってバーチャルのでしょ? MMOって???」
「大規模多人数オンラインの略語なんだけどまぁ、簡単に言っちゃうと世界中の人が同じ世界で同じゲームをしてる、みたいな感じ?」
「ふ、ふーん、よく分からないけど、それがどうしたの?」
「実はね。部長から、一緒に遊ぼうって誘われてるゲームがあってねぇ。それがMMORPGっていうんだけど。RPGは分かる?」
「ドラクエとか、FFみたいのでしょ? 遊んだことはないけど何となく?」
「何となくかぁ、まぁ、その方が新鮮な気分で遊べていいかもしれないねぇ。て訳でアリスちゃんも一緒に遊ぼ?」
「へぇ!? あたしもやるの、それ? どうして?」
「最近の技術は進んでるんだってぇ。それでね、主人公っていうか、自分の分身を作れるのよ。アバターって言うんだけどね。なんと、それを自分の容姿そのままで遊べるらしいよぉ。すごいよね」
「へ、へぇ? って、それ、あたしがやって平気なの? あたしのこれとか、これって目立つんだけど」

 目立つピンク色の髪を指先で弄びながら、『これって、身バレしちゃうやばいのじゃない?』と思ってしまう。
 事務所の社長さんがすごくいい人であたしのことをかなり守ってくれてる。
 極力、顔が映らないようなモデルの仕事だけを選んでくれるし。
 それなのに大丈夫かなぁ、この目立つ髪と目なのに。

「大丈夫だって。このスミカさんにばぁーんと任せておきなさいって」

 自信たっぷりにあたしよりもかなり大きな胸を張って、言い放つスミカを信じちゃいけないと思いつつも信じてしまう。
 結局、そのMMORPGの詳しい話を聞いたあたしは帰ったら、すぐにVR機器とゲームをネットでポチることにした。
 スミカと別れて、帰り支度をしようと教室に入ろうとするとそこにタケルとこちらに背を向けて、表情の見えないカオルの姿があった。
 二人は何か、話をしてるようだけど二人にしては珍しく、苛立ってるのか、声が妙に刺々しい気がした。
 ほとんど聞き取れなかったけど聞き取れた言葉にあたしはその場に座り込んで動けなくなった。

「……もう……我慢……好きだから……いいよね?」
「……分かったよ……好き……いいよ」

 タケルとカオルがお互いに好きってこと?
 あたしなんて、最初から出る幕なかったってことなの?
 戦う前に負けてたってこと!?
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜

百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。 「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」 ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!? ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……? サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います! ※他サイト様にも掲載

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない

ラム猫
恋愛
 幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。  その後、十年以上彼と再会することはなかった。  三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。  しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。  それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。 「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」 「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」 ※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。 ※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...