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癒しの時
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ミユキがいなくなって二週間、今度は江洲田がいなくなる番だった。
もう何度も泣いたので、今日は涙は出ないだろう。
「しばらくお別れやな」
と王崎は言った。
「次はいつ帰ってくるんや?」
「まだ分からんけど、一年くらい先かな」
そして、オレの方に振り向いてこう言った。
「中村、今回は残念やったな。うまく言えないけど、その・・・」
「あぁ、あの女のことか。もう忘れたよ」
「そうか、まぁ元気、出せよな」
「おまえも新しい職場で頑張れや」
オレたちの会話は、お通夜のように暗かった。
それから荷物をタクシーのトランクに入れて、江洲田は去って行った。
江洲田がいなくなる寂しさを、ミユキで埋めようと思っていたけど、その目論見はうまくいかなかった。
また、いつか新しい彼女が見つかるだろう。
それからしばらく、オレは仕事に打ち込んだ。
それくらいしか、寂しさを紛らすことができなかったからだ。
数日後、オレは王崎のBMWを運転していた。
落ち込んでいたオレを励まそうと、王崎はドライブに誘ってくれたのだ。
王崎のBMWは、国産車にはない重厚な音を出していた。
「外車ってええな。こんな車、初めて運転したよ」
「けっこうスタイルええやろ?」
「ああ、ほんま、かっこええわ。それに加速する時の音が、気持ちええ」
山を切り開いた国道を、オレは爽快に飛ばしていた。
王崎にとっては、こんな車、何度も乗ってきただろうけど、オレはおんぼろ車しか運転したことがなかったので、すごく興奮した。
オレでも、いつかこんな車を持てるだろうか。
いや、そんな希望は持たない方が身のためだ。
それに、この車だって、王崎が買ったわけじゃない。
結局は、親の資金力なのだ。
それは妬んでも仕方がない。
オレは海に向かってアクセルを踏んだ。
車内には、KISS の「NAKED CITY 」が流れていた。
「江洲田は今ごろ何してるやろなぁ」
王崎はタバコに火をつけた。
オレたちは、海岸が見える場所で車を停め、穏やかな波を眺めていた。
「寮の飯には慣れたやろか?」
と王崎が言った。
「寮の飯なんて絶対無理やろ。これまであいつ、母親の飯しか食ってこなかったんやで」
オレの言葉には、嘲りの気持ちが含まれていた。
「ハハハ、やろうな」
王崎は笑った。
空には、カモメが気持ち良さそうに浮かんでいた。
「おまえ、もう気持ちは落ち着いたか?」
煙を吐きながら、王崎は聞いた。
「あぁ、いろいろあったけど、もう乗り越えられそうや」
オレは遠くを見つめながら、そう言った。
「それを聞いて安心した。オレにも少しは責任があるからな」
王崎やユキを恨む気持ちなんて、まったくない。
ただ、自分の力では何ともできないことが、やりきれなかっただけである。
穏やかな波と潮風が、オレの心を癒してくれていた。
もう何度も泣いたので、今日は涙は出ないだろう。
「しばらくお別れやな」
と王崎は言った。
「次はいつ帰ってくるんや?」
「まだ分からんけど、一年くらい先かな」
そして、オレの方に振り向いてこう言った。
「中村、今回は残念やったな。うまく言えないけど、その・・・」
「あぁ、あの女のことか。もう忘れたよ」
「そうか、まぁ元気、出せよな」
「おまえも新しい職場で頑張れや」
オレたちの会話は、お通夜のように暗かった。
それから荷物をタクシーのトランクに入れて、江洲田は去って行った。
江洲田がいなくなる寂しさを、ミユキで埋めようと思っていたけど、その目論見はうまくいかなかった。
また、いつか新しい彼女が見つかるだろう。
それからしばらく、オレは仕事に打ち込んだ。
それくらいしか、寂しさを紛らすことができなかったからだ。
数日後、オレは王崎のBMWを運転していた。
落ち込んでいたオレを励まそうと、王崎はドライブに誘ってくれたのだ。
王崎のBMWは、国産車にはない重厚な音を出していた。
「外車ってええな。こんな車、初めて運転したよ」
「けっこうスタイルええやろ?」
「ああ、ほんま、かっこええわ。それに加速する時の音が、気持ちええ」
山を切り開いた国道を、オレは爽快に飛ばしていた。
王崎にとっては、こんな車、何度も乗ってきただろうけど、オレはおんぼろ車しか運転したことがなかったので、すごく興奮した。
オレでも、いつかこんな車を持てるだろうか。
いや、そんな希望は持たない方が身のためだ。
それに、この車だって、王崎が買ったわけじゃない。
結局は、親の資金力なのだ。
それは妬んでも仕方がない。
オレは海に向かってアクセルを踏んだ。
車内には、KISS の「NAKED CITY 」が流れていた。
「江洲田は今ごろ何してるやろなぁ」
王崎はタバコに火をつけた。
オレたちは、海岸が見える場所で車を停め、穏やかな波を眺めていた。
「寮の飯には慣れたやろか?」
と王崎が言った。
「寮の飯なんて絶対無理やろ。これまであいつ、母親の飯しか食ってこなかったんやで」
オレの言葉には、嘲りの気持ちが含まれていた。
「ハハハ、やろうな」
王崎は笑った。
空には、カモメが気持ち良さそうに浮かんでいた。
「おまえ、もう気持ちは落ち着いたか?」
煙を吐きながら、王崎は聞いた。
「あぁ、いろいろあったけど、もう乗り越えられそうや」
オレは遠くを見つめながら、そう言った。
「それを聞いて安心した。オレにも少しは責任があるからな」
王崎やユキを恨む気持ちなんて、まったくない。
ただ、自分の力では何ともできないことが、やりきれなかっただけである。
穏やかな波と潮風が、オレの心を癒してくれていた。
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