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第193話【アーファの苦難を打破する】
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「ミナトさん!?」
マグナムの後ろから聞こえる僕の声にアーファが反応して跳び上がるように立ち上がる。
「お久しぶりです。いつエルガーに来られたのですか? と言うより今まで何処に行かれていたのですか? ロギナスギルドに問い合わせても教えてくれないし心配したんですからね」
「はは、すまない。色々と事情かあって国外に出ていたんだ。それより仕事の方はどうだい? うまくまわせているかな?」
僕は個人的な事をあまり突っ込まれたくなくて話題をアーファの仕事の事へ変える。
「仕事……。そうですよ、ミナトさんのせいで仕事が回らなくて大変なんです! 責任をとってくださいよ!」
「ぼ、僕のせいで?」
アーファの言葉に心当たりのない僕は首を傾げてそう聞き返す。
「知らないとは言わせませんよ。ノーズと王都から大量のカード化された荷物が送られて来たじゃないですか。その出どころを聞いたらミナトさんがカード化してまわったって言ってましたよ!」
「ああ、その件か。なるほど、確かにそれは僕が関わった案件だね。それで今はアーファさんが仕事が回っていなくて大変だ……と」
僕はその言葉にため息をついてギルドマスターへ問いかけた。
「マグナムギルドマスター。これは一体どういった事なんでしょうか? 僕のところに彼女が研修に来て一生懸命にスキルをのばしてもらったのは各ギルド間の物資移動を円滑にするためでしたけどその中心を担う者は複数名必要だと伝えていたはずですが、あれから彼女以外のスキル使用者のレベリングはどんな状態なんですか?」
「そ、それは……。募集はしているのだが、なかなか適正者が集まらんのだ。それに日頃はそう仕事が回らないほどではないから彼女だけでもなんとかなっていたのだよ」
マグナムは僕の質問に冷や汗をかきながらそう答える。
「なるほど。ギルド便の要となる花形部署になると思っていたんですけどエルガーではそういった捉え方は広がらなかったという事ですね。非常に残念です」
「私もギルドに頼られて頑張ってはいますが元々ただの料理人なのですから在庫の管理とか言われても困ってしまいます」
アーファは日頃言えながったであろう気持ちを吐き出しながら涙目になる。
「はー、分かりました。今来ている荷物は僕が整理をしますのでアーファさんは指示のされている事を教えてください。それと、ギルドマスターは早急に彼女の補佐を最低2人は確保してください。募集なんて生ぬるい事を言ってないで半強制でも構いません。それが出来ないと言うならば彼女はロギナスへ連れて行きます」
「なっ!? それは困る!」
「なぜです? 彼女が居るから他の人が育たないなら彼女が居なくなれば誰かを育てなければならないでしょう? 僕の言っていることは間違っていますか?」
「ギルドにはギルドのやり方があるのだ。いくら君の貢献度が高いからとギルドの人事にまで口を出すことは控えて貰いたい」
「僕はカード収納スキルを持つ人の地位や暮らしを向上させたいだけですよ。スキルが有用と言われだしても職場がそれを認めなければ嫌々やるしかないですよね? そんなものは地位の向上でもなんでもないです。確かに彼女を移動させる権限は僕にはありませんが王都ギルド本部に現状を報告して掛け合ってみますので楽しみにしていてください。最悪、エルガーにはギルド便での荷物は届かなくなるかもしれませんね」
僕がそう言って荷物の整理に向かおうとするのをマグナムが呼び止める。
「……わかった。早急に手配をすると約束しよう」
「そうですか。では宜しくお願いしますね」
僕はマグナムにそう言ってアーファとノエルと共に物資倉庫へと向かった。
◇◇◇
「――すみません。私が不甲斐ないばかりにミナトさんにご迷惑をかけてしまいました。でも良かったのですか? ギルドマスターに対してあんな態度をとっても……」
「まあ、あまり褒められたものじゃあないだろうね。所詮僕はいち冒険者だからね。ギルドマスターに睨まれたら冒険者としてやっていけなくなるかもしれない」
「なら、どうして!?」
「さっきも言ったけど僕はカード収納スキル持ちの人の地位向上と自信を持って貰いたいから色々と活動をしているんだ。その原点を崩してまでギルドにへりくだるつもりはないよ。最悪の場合は他国へ行けばいいだけだしね。ただし、その時は主要な人たち全員を引き連れて行くつもりだからアーファさんにも声をかけさせて貰うよ」
僕の言葉にアーファは直ぐに答えを返す。
「その時は絶対に行きますから声をかけてくださいね」
そう言って笑う彼女はたどり着いた倉庫に積み上げられている荷物と目の前にある多量のカードをうんざりした目で見ながら説明をしてくれる。
「ここにある開放した荷物の再カード化とまだ届いたままのカードを一度開放して配布地域ごとに再度カード化していく作業をしないといけないんですが正直言って魔力が足りなくて追いついていないんです」
「なるほど、悪いけど荷物のリストを貰えるかな? それが難しければ僕の側で指示を頼むよ。ノエルは危ないから反対側の椅子に座って見学をしていてくれるかな?」
僕はそうふたりに指示をしてから荷物と向き合った。
マグナムの後ろから聞こえる僕の声にアーファが反応して跳び上がるように立ち上がる。
「お久しぶりです。いつエルガーに来られたのですか? と言うより今まで何処に行かれていたのですか? ロギナスギルドに問い合わせても教えてくれないし心配したんですからね」
「はは、すまない。色々と事情かあって国外に出ていたんだ。それより仕事の方はどうだい? うまくまわせているかな?」
僕は個人的な事をあまり突っ込まれたくなくて話題をアーファの仕事の事へ変える。
「仕事……。そうですよ、ミナトさんのせいで仕事が回らなくて大変なんです! 責任をとってくださいよ!」
「ぼ、僕のせいで?」
アーファの言葉に心当たりのない僕は首を傾げてそう聞き返す。
「知らないとは言わせませんよ。ノーズと王都から大量のカード化された荷物が送られて来たじゃないですか。その出どころを聞いたらミナトさんがカード化してまわったって言ってましたよ!」
「ああ、その件か。なるほど、確かにそれは僕が関わった案件だね。それで今はアーファさんが仕事が回っていなくて大変だ……と」
僕はその言葉にため息をついてギルドマスターへ問いかけた。
「マグナムギルドマスター。これは一体どういった事なんでしょうか? 僕のところに彼女が研修に来て一生懸命にスキルをのばしてもらったのは各ギルド間の物資移動を円滑にするためでしたけどその中心を担う者は複数名必要だと伝えていたはずですが、あれから彼女以外のスキル使用者のレベリングはどんな状態なんですか?」
「そ、それは……。募集はしているのだが、なかなか適正者が集まらんのだ。それに日頃はそう仕事が回らないほどではないから彼女だけでもなんとかなっていたのだよ」
マグナムは僕の質問に冷や汗をかきながらそう答える。
「なるほど。ギルド便の要となる花形部署になると思っていたんですけどエルガーではそういった捉え方は広がらなかったという事ですね。非常に残念です」
「私もギルドに頼られて頑張ってはいますが元々ただの料理人なのですから在庫の管理とか言われても困ってしまいます」
アーファは日頃言えながったであろう気持ちを吐き出しながら涙目になる。
「はー、分かりました。今来ている荷物は僕が整理をしますのでアーファさんは指示のされている事を教えてください。それと、ギルドマスターは早急に彼女の補佐を最低2人は確保してください。募集なんて生ぬるい事を言ってないで半強制でも構いません。それが出来ないと言うならば彼女はロギナスへ連れて行きます」
「なっ!? それは困る!」
「なぜです? 彼女が居るから他の人が育たないなら彼女が居なくなれば誰かを育てなければならないでしょう? 僕の言っていることは間違っていますか?」
「ギルドにはギルドのやり方があるのだ。いくら君の貢献度が高いからとギルドの人事にまで口を出すことは控えて貰いたい」
「僕はカード収納スキルを持つ人の地位や暮らしを向上させたいだけですよ。スキルが有用と言われだしても職場がそれを認めなければ嫌々やるしかないですよね? そんなものは地位の向上でもなんでもないです。確かに彼女を移動させる権限は僕にはありませんが王都ギルド本部に現状を報告して掛け合ってみますので楽しみにしていてください。最悪、エルガーにはギルド便での荷物は届かなくなるかもしれませんね」
僕がそう言って荷物の整理に向かおうとするのをマグナムが呼び止める。
「……わかった。早急に手配をすると約束しよう」
「そうですか。では宜しくお願いしますね」
僕はマグナムにそう言ってアーファとノエルと共に物資倉庫へと向かった。
◇◇◇
「――すみません。私が不甲斐ないばかりにミナトさんにご迷惑をかけてしまいました。でも良かったのですか? ギルドマスターに対してあんな態度をとっても……」
「まあ、あまり褒められたものじゃあないだろうね。所詮僕はいち冒険者だからね。ギルドマスターに睨まれたら冒険者としてやっていけなくなるかもしれない」
「なら、どうして!?」
「さっきも言ったけど僕はカード収納スキル持ちの人の地位向上と自信を持って貰いたいから色々と活動をしているんだ。その原点を崩してまでギルドにへりくだるつもりはないよ。最悪の場合は他国へ行けばいいだけだしね。ただし、その時は主要な人たち全員を引き連れて行くつもりだからアーファさんにも声をかけさせて貰うよ」
僕の言葉にアーファは直ぐに答えを返す。
「その時は絶対に行きますから声をかけてくださいね」
そう言って笑う彼女はたどり着いた倉庫に積み上げられている荷物と目の前にある多量のカードをうんざりした目で見ながら説明をしてくれる。
「ここにある開放した荷物の再カード化とまだ届いたままのカードを一度開放して配布地域ごとに再度カード化していく作業をしないといけないんですが正直言って魔力が足りなくて追いついていないんです」
「なるほど、悪いけど荷物のリストを貰えるかな? それが難しければ僕の側で指示を頼むよ。ノエルは危ないから反対側の椅子に座って見学をしていてくれるかな?」
僕はそうふたりに指示をしてから荷物と向き合った。
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