2 / 5
第2話 幼女の女神
しおりを挟む
(この子はいったい……)
僕の存在には気がつかない様子の子供は空に向かって両手をあげて気の抜けた口調で「あめあめあがれ、おひさまきらり~」と歌いだした。
次の瞬間、あれだけの雷が鳴るどんよりとした厚い雨雲が急に消えていき薄くなった雲の隙間から明るい太陽の光が差し込んでくる。
「は、晴れた。あれだけ土砂降りの雨が降っていたのに!?」
あまりの天気の急変に驚いた僕は天を見上げながらそう叫んでいた。
「あーっ! に、人間がいるー!」
僕の叫びに気づいた子供は今度は僕を指差しながらそう叫んで慌てて地上に降り立った。
「き、きみはいったい?」
僕は目の前でおこった現象に頭がついていかずにそう問いかけることしか出来なかった。
「うー、みたわね。あなたは見てしまいましたね。見られたからにはあなたの記憶を消して……」
涙目になりながらその子がなにやら物騒なワードを言いかけたとき『ぐぅ』とその子のお腹の音がなった。
「ぬぉっ!? これは違うのじゃ! わらわはお腹が空いて倒れていたわけでは決してないぞ。雷……雷に驚いて転んでただけの普通の人間なのじゃ、決して女神などではないぞ」
(うわっ この子、自分で女神って言っちゃってるよ。さっき僕が蹴り飛ばしたせいで頭を打って妄想の世界に浸ってるんじゃないだろうな。それとももともと天然系の思考の持ち主なのか?)
僕はもともと神が現実に存在しているとは思っていなかったので目の前にいる幼い子供が女神と言われても信じることができなかった。
(だけど、いま浮いていたよな。あんなの手品でもなければ現実にあるはずがないし)
僕は自分の中にある常識とたった今、目にした非現実的なことを天秤にかけて頭がこんがらがっていたが目の前にいる女の子のお腹が鳴ったことを思い出して思い切って話しかけてみた。
「女神とかどうとかは置いといて君はお腹がすいてるのかい? 残念ながらここはお店じゃなくて作物を育てるハウスの中だからあっても野菜ばかりしか無いんだけど」
「やさい……。やさいはあんまり好きではないのじゃ。特に青臭い匂いと苦味のあるものは苦手なのじゃよ」
「青臭いのが苦手ならそうだなこれならどうかな?」
僕はそう言ってハウス内に栽培している真っ赤なイチゴを2つばかりもいで幼女に手渡した。
「これはなんじゃ?」
幼女は受け取ったイチゴを眺めながら匂いを嗅いでみるがなんとなく甘い匂いがして僕に「食べてもよいのか?」と聞いてくる。
僕は「どうぞ、手元の緑のヘタは食べないように」と言って笑いかけた。
「はむっ」
幼女は大きめに品種改良されたイチゴをほおばるとたちまち目を輝かせて夢中にイチゴにかぶりついた。
「うまい! こんなものはじめてじゃよ。もっとないのかえ?」
そんな幼女を僕は微笑ましく感じてもう数個イチゴを渡す。
「うほほっ。地上にはこのようなうまい食べ物が存在するのか。これは是非とも天界でも栽培できないか検討してみなければ……」
イチゴをリスのように頬張りながら幼女がそうひとりごとをつぶやくが僕はそれには気が付かないふりをして嬉しそうにイチゴを食べるのを眺めていた。
「うむ。わらわは満足したぞよ」
結局その幼女は子供の握りこぶし大のイチゴを10個ばかり食べきったあたりで満足してふわふわと空中に浮かびだした。
(あー、やっぱりこの子は人間じゃないのか。それか僕が夢をみているだけなのかもしれないけれど)
僕がそんなことを考えていると幼女が急に光を放ちだして光がおさまると彼女の背中には真っ白な天使の羽が生えていた。
「わらわは大変満足したのでお礼に魔法を授けようと思う。どんなものでも良いとは言えんがおぬしの仕事を手助け出来るものが良いだろうと考えておるのでなんでも困ったことがあれば言ってみるとよいぞ」
幼女は無い胸を張ってそう宣言をする。
「魔法……? それってなんでも出来るのか?」
「もちろん! と言いたいが魔法にも限界はあるぞ。たしかにあまり複雑なものは出来んが普通は人間にはつかえん魔法だから存分に味わうがよいぞ」
(ふむ。機械の上位バージョンってところかな?もし本当ならば手間でしょうがなかった除草作業や収穫作業があっという間に終わったりするんじゃないのか? ものは試しだ、頼んでみるとするかな)
僕はそう考えてぷかぷか浮かぶ幼女にお願いしてみることにした。
その結果がどうなるかなど全く考えもせずに……。
僕の存在には気がつかない様子の子供は空に向かって両手をあげて気の抜けた口調で「あめあめあがれ、おひさまきらり~」と歌いだした。
次の瞬間、あれだけの雷が鳴るどんよりとした厚い雨雲が急に消えていき薄くなった雲の隙間から明るい太陽の光が差し込んでくる。
「は、晴れた。あれだけ土砂降りの雨が降っていたのに!?」
あまりの天気の急変に驚いた僕は天を見上げながらそう叫んでいた。
「あーっ! に、人間がいるー!」
僕の叫びに気づいた子供は今度は僕を指差しながらそう叫んで慌てて地上に降り立った。
「き、きみはいったい?」
僕は目の前でおこった現象に頭がついていかずにそう問いかけることしか出来なかった。
「うー、みたわね。あなたは見てしまいましたね。見られたからにはあなたの記憶を消して……」
涙目になりながらその子がなにやら物騒なワードを言いかけたとき『ぐぅ』とその子のお腹の音がなった。
「ぬぉっ!? これは違うのじゃ! わらわはお腹が空いて倒れていたわけでは決してないぞ。雷……雷に驚いて転んでただけの普通の人間なのじゃ、決して女神などではないぞ」
(うわっ この子、自分で女神って言っちゃってるよ。さっき僕が蹴り飛ばしたせいで頭を打って妄想の世界に浸ってるんじゃないだろうな。それとももともと天然系の思考の持ち主なのか?)
僕はもともと神が現実に存在しているとは思っていなかったので目の前にいる幼い子供が女神と言われても信じることができなかった。
(だけど、いま浮いていたよな。あんなの手品でもなければ現実にあるはずがないし)
僕は自分の中にある常識とたった今、目にした非現実的なことを天秤にかけて頭がこんがらがっていたが目の前にいる女の子のお腹が鳴ったことを思い出して思い切って話しかけてみた。
「女神とかどうとかは置いといて君はお腹がすいてるのかい? 残念ながらここはお店じゃなくて作物を育てるハウスの中だからあっても野菜ばかりしか無いんだけど」
「やさい……。やさいはあんまり好きではないのじゃ。特に青臭い匂いと苦味のあるものは苦手なのじゃよ」
「青臭いのが苦手ならそうだなこれならどうかな?」
僕はそう言ってハウス内に栽培している真っ赤なイチゴを2つばかりもいで幼女に手渡した。
「これはなんじゃ?」
幼女は受け取ったイチゴを眺めながら匂いを嗅いでみるがなんとなく甘い匂いがして僕に「食べてもよいのか?」と聞いてくる。
僕は「どうぞ、手元の緑のヘタは食べないように」と言って笑いかけた。
「はむっ」
幼女は大きめに品種改良されたイチゴをほおばるとたちまち目を輝かせて夢中にイチゴにかぶりついた。
「うまい! こんなものはじめてじゃよ。もっとないのかえ?」
そんな幼女を僕は微笑ましく感じてもう数個イチゴを渡す。
「うほほっ。地上にはこのようなうまい食べ物が存在するのか。これは是非とも天界でも栽培できないか検討してみなければ……」
イチゴをリスのように頬張りながら幼女がそうひとりごとをつぶやくが僕はそれには気が付かないふりをして嬉しそうにイチゴを食べるのを眺めていた。
「うむ。わらわは満足したぞよ」
結局その幼女は子供の握りこぶし大のイチゴを10個ばかり食べきったあたりで満足してふわふわと空中に浮かびだした。
(あー、やっぱりこの子は人間じゃないのか。それか僕が夢をみているだけなのかもしれないけれど)
僕がそんなことを考えていると幼女が急に光を放ちだして光がおさまると彼女の背中には真っ白な天使の羽が生えていた。
「わらわは大変満足したのでお礼に魔法を授けようと思う。どんなものでも良いとは言えんがおぬしの仕事を手助け出来るものが良いだろうと考えておるのでなんでも困ったことがあれば言ってみるとよいぞ」
幼女は無い胸を張ってそう宣言をする。
「魔法……? それってなんでも出来るのか?」
「もちろん! と言いたいが魔法にも限界はあるぞ。たしかにあまり複雑なものは出来んが普通は人間にはつかえん魔法だから存分に味わうがよいぞ」
(ふむ。機械の上位バージョンってところかな?もし本当ならば手間でしょうがなかった除草作業や収穫作業があっという間に終わったりするんじゃないのか? ものは試しだ、頼んでみるとするかな)
僕はそう考えてぷかぷか浮かぶ幼女にお願いしてみることにした。
その結果がどうなるかなど全く考えもせずに……。
30
あなたにおすすめの小説
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
義妹がピンク色の髪をしています
ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる