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第三章 新隊員の選抜条件おかしくないですか??
第八話*side衛
しおりを挟むお仕置きされた日から早三日。
俺は翌日発熱し、ぶっ倒れた。
ヤりすぎ……というかヤられすぎたせいなのか、腕の怪我のせいなのか両方原因だったのか解らなかったが、どちらにしろ安静にするようにとのことだったので仕事は休むことにした。
心配した三枝先輩と一条寺少尉が見舞いに来てくれたのだが、どちらも「衛の体調不良は自分のせいだ」と言い張り、よく分からない責任の奪い合いが発生したので丁重にお引取りいただいた。
こちらは病人なので静かに寝かせて欲しい。
それに誰の責任かといえば、こんなことで熱を出した俺の貧弱さが問題なのだから俺の責任だ。二人が気に病む必要はない。
そんなことがありつつも無事に回復した俺は、夜蝶部隊の待機場所兼事務室の扉を三日ぶりに開けた。
出勤時間にはまだ早いので気合いを入れて拭き掃除でもしようと思っていたが、部屋の中には見知らぬ人物が佇んでいる。
身長は俺より少し高いので一条寺少尉と同じくらいだろうか。
すらりとした手足はバランスよく、赤髪に緑の瞳とこれまた少女漫画のキャラのような派手な出で立ちをしている。
顔は少尉や二階堂程ではないが十分に整っており美人だ。
誰だろう? 少女漫画では見たことがない。
月光隊の制服を着ているので隊員なのは間違いない。階級章は曹長で夜蝶部隊でも少尉の次に偉い官職になる。それなりに軍功をあげているか、もしくは華族なのだろう。
ここは架空の日本だからか華族階級は黒髪や黒目ではない人が多いので、少女漫画に出てこない人でも日本人離れした髪や目の人がいる。
「ああ、もしかしてきみが日凪か?」
予想よりも高い声の赤毛の麗人の問いかけに、俺は慌てて足を揃えて敬礼をした。
思わずしげしげと見つめてしまったが、普通に考えて失礼だ。
「はっ。名のりが遅れて申し訳ありません。夜蝶部隊所属、日凪衛です」
「……ふーん」
赤毛の麗人は直立した俺のそばまで歩み寄るとしげしげと観察するように顔を寄せてきた。
どこかエキゾチックな香りがふわりと鼻をくすぐる。
その距離の近さにぞわりと悪寒がして、後ずさりそうになるのをなんとか気力で押し留めた。
一条寺少尉に同じくらい近寄られた時は、驚いたり恥ずかしさで後ずさってしまうが嫌悪感はない。
だけど、いくら顔が良くてもこの距離は、少尉以外には嫌悪を感じるのだと実感して居た堪れなくなった。
俺、どれだけ少尉のことが好きなんだよ……。
「なんともフツウだね。陽真が夢中だというからどんな傾国の美人かと思ったけど、そこら辺にいる野郎どもと変わらないな」
真正面からつまらなさそうに言い放たれて、俺は返事に困る。
たしかに俺はどう考えてもただのモブキャラなので、普通だし、その他大勢だ。
だけど、俺がなんと言われようと構わないし事実だけど、少尉の趣味が悪いみたいに言われるのは納得出来ない。
それに少尉はこんな俺だけど「代わりはいない」と言ってくれた。
少なくとも少尉にとって俺は、その他大勢ではないのだ。
「あの……」
思わず口を開いたはいいものの、なんと反論すればいいのか判らず言葉を止めれば、ふわりと甘い香りが俺を包んだ。
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