少女漫画の当て馬キャラと恋人になったけどキャラ変激しすぎませんか??

和泉臨音

文字の大きさ
23 / 48
第三章 新隊員の選抜条件おかしくないですか??

第八話*side衛

しおりを挟む

 お仕置きされた日から早三日。
 俺は翌日発熱し、ぶっ倒れた。

 ヤりすぎ……というかヤられすぎたせいなのか、腕の怪我のせいなのか両方原因だったのか解らなかったが、どちらにしろ安静にするようにとのことだったので仕事は休むことにした。

 心配した三枝さえぐさ先輩と一条寺いちじょうじ少尉が見舞いに来てくれたのだが、どちらも「衛の体調不良は自分のせいだ」と言い張り、よく分からない責任の奪い合いが発生したので丁重にお引取りいただいた。
 こちらは病人なので静かに寝かせて欲しい。
 それに誰の責任かといえば、こんなことで熱を出した俺の貧弱さが問題なのだから俺の責任だ。二人が気に病む必要はない。

 そんなことがありつつも無事に回復した俺は、夜蝶部隊の待機場所兼事務室の扉を三日ぶりに開けた。

 出勤時間にはまだ早いので気合いを入れて拭き掃除でもしようと思っていたが、部屋の中には見知らぬ人物が佇んでいる。

 身長は俺より少し高いので一条寺少尉と同じくらいだろうか。
 すらりとした手足はバランスよく、赤髪に緑の瞳とこれまた少女漫画のキャラのような派手な出で立ちをしている。
 顔は少尉や二階堂程ではないが十分に整っており美人だ。

 誰だろう? 少女漫画では見たことがない。

 月光隊の制服を着ているので隊員なのは間違いない。階級章は曹長で夜蝶部隊でも少尉の次に偉い官職になる。それなりに軍功をあげているか、もしくは華族なのだろう。
 ここは架空の日本だからか華族階級は黒髪や黒目ではない人が多いので、少女漫画に出てこない人でも日本人離れした髪や目の人がいる。

「ああ、もしかしてきみが日凪ひなぎか?」

 予想よりも高い声の赤毛の麗人の問いかけに、俺は慌てて足を揃えて敬礼をした。
 思わずしげしげと見つめてしまったが、普通に考えて失礼だ。

「はっ。名のりが遅れて申し訳ありません。夜蝶部隊所属、日凪衛です」
「……ふーん」

 赤毛の麗人は直立した俺のそばまで歩み寄るとしげしげと観察するように顔を寄せてきた。
 どこかエキゾチックな香りがふわりと鼻をくすぐる。
 その距離の近さにぞわりと悪寒がして、後ずさりそうになるのをなんとか気力で押し留めた。

 一条寺少尉に同じくらい近寄られた時は、驚いたり恥ずかしさで後ずさってしまうが嫌悪感はない。
 だけど、いくら顔が良くてもこの距離は、少尉以外には嫌悪を感じるのだと実感して居た堪れなくなった。

 俺、どれだけ少尉のことが好きなんだよ……。

「なんともフツウだね。陽真はるまが夢中だというからどんな傾国の美人かと思ったけど、そこら辺にいる野郎どもと変わらないな」

 真正面からつまらなさそうに言い放たれて、俺は返事に困る。
 たしかに俺はどう考えてもただのモブキャラなので、普通だし、その他大勢だ。

 だけど、俺がなんと言われようと構わないし事実だけど、少尉の趣味が悪いみたいに言われるのは納得出来ない。

 それに少尉はこんな俺だけど「代わりはいない」と言ってくれた。
 少なくとも少尉にとって俺は、その他大勢ではないのだ。

「あの……」

 思わず口を開いたはいいものの、なんと反論すればいいのか判らず言葉を止めれば、ふわりと甘い香りが俺を包んだ。

 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ぼくが風になるまえに――

まめ
BL
「フロル、君との婚約を解消したいっ! 俺が真に愛する人は、たったひとりなんだっ!」 学園祭の夜、愛する婚約者ダレンに、突然別れを告げられた少年フロル。 ――ああ、来るべき時が来た。講堂での婚約解消宣言!異世界テンプレ来ちゃったよ。 精霊の血をひく一族に生まれ、やがては故郷の風と消える宿命を抱えたフロルの前世は、ラノベ好きのおとなしい青年だった。 「ダレンが急に変わったのは、魅了魔法ってやつのせいじゃないかな?」 異世界チートはできないけど、好きだった人の目を覚ますくらいはできたらいいな。 切なさと希望が交錯する、ただフロルがかわいそかわいいだけのお話。ハピエンです。 ダレン×フロル どうぞよろしくお願いいたします。

悪役を幸せにしたいのになんか上手くいかない ~推しは間もなく退場予定~

はかまる
BL
ぼっちオタク高校生が転生したのはなんと大大大好きな恋愛小説。 …の、モブになっていた。しかも気づいた時点で既にストーリーはド終盤。 今まさに悪役のシルヴァ・ヴェントスが追放されそうになっている。 推しであるシルヴァの追放を阻止したい前世の記憶がゴリゴリあるオタク、アルス・チェルディは追放イベントを失敗に終わらせ強制的に悪役に学園生活を続行させる。 その後、悪役が幸せに学園を卒業できるようオタ活をしながら見守っていくはずが、なんだか悪役シルヴァの自分への態度が段々とおかしくなってきて……? 【CP】ヤンデレ?攻め×オタク包容力受け 短い話になりますがお付き合い頂けると嬉しいです。1日2回更新。 かっこいい攻めはいない不器用な青い恋。 (元となるSSから加筆した作品になります)

魔王に転生したら、イケメンたちから溺愛されてます

トモモト ヨシユキ
BL
気がつくと、なぜか、魔王になっていた俺。 魔王の手下たちと、俺の本体に入っている魔王を取り戻すべく旅立つが・・ なんで、俺の体に入った魔王様が、俺の幼馴染みの勇者とできちゃってるの⁉️ エブリスタにも、掲載しています。

追放された『呪物鑑定』持ちの公爵令息、魔王の呪いを解いたら執着溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
「お前のそのスキルは不吉だ」 身に覚えのない罪を着せられ、聖女リリアンナによって国を追放された公爵令息カイル。 死を覚悟して彷徨い込んだ魔の森で、彼は呪いに蝕まれ孤独に生きる魔王レイルと出会う。 カイルの持つ『呪物鑑定』スキル――それは、魔王を救う唯一の鍵だった。 「カイル、お前は我の光だ。もう二度と離さない」 献身的に尽くすカイルに、冷徹だった魔王の心は溶かされ、やがて執着にも似た溺愛へと変わっていく。 これは、全てを奪われた青年が魔王を救い、世界一幸せになる逆転と愛の物語。

陰気な令息は騎士の献身に焦がれるも、光の王子に阻まれる

マジ卍
BL
憧れの騎士を観察していただけなのに。光り輝く完璧王子が、シャツを脱ぎ捨て「俺じゃダメなの?」と迫ってきました。

元執着ヤンデレ夫だったので警戒しています。

くまだった
BL
 新入生の歓迎会で壇上に立つアーサー アグレンを見た時に、記憶がざっと戻った。  金髪金目のこの才色兼備の男はおれの元執着ヤンデレ夫だ。絶対この男とは関わらない!とおれは決めた。 貴族金髪金目 元執着ヤンデレ夫 先輩攻め→→→茶髪黒目童顔平凡受け ムーンさんで先行投稿してます。 感想頂けたら嬉しいです!

【本編完結】転生先で断罪された僕は冷酷な騎士団長に囚われる

ゆうきぼし/優輝星
BL
断罪された直後に前世の記憶がよみがえった主人公が、世界を無双するお話。 ・冤罪で断罪された元侯爵子息のルーン・ヴァルトゼーレは、処刑直前に、前世が日本のゲームプログラマーだった相沢唯人(あいざわゆいと)だったことを思い出す。ルーンは魔力を持たない「ノンコード」として家族や貴族社会から虐げられてきた。実は彼の魔力は覚醒前の「コードゼロ」で、世界を書き換えるほどの潜在能力を持つが、転生前の記憶が封印されていたため発現してなかったのだ。 ・間一髪のところで魔力を発動させ騎士団長に救い出される。実は騎士団長は呪われた第三王子だった。ルーンは冤罪を晴らし、騎士団長の呪いを解くために奮闘することを決める。 ・惹かれあう二人。互いの魔力の相性が良いことがわかり、抱き合う事で魔力が循環し活性化されることがわかるが……。

処理中です...