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第五章 俺の扱い雑すぎませんか??
第六話*side衛
しおりを挟む「君は本当に真面目でいい子だね。君こそ謝る必要はないよ」
「……え?」
顎に指をかけられたかと思えば、チュッと頬にキスされる。
????
あれ?
軽蔑されるか叱責されるかだと思っていたのに。
少尉の行動の真意が読めずにずキョトンと見つめれば、苦笑する美貌がそこにはあった。
「相手を殺したいほど憎むことなんて誰にでもある。僕だって毎日5人くらいは頭の中で葬っているよ」
「え、いや、あの……俺は実行しようとして」
妄想するのと実行するのとでは話が違う。
「でも、してはいないだろう?」
「それは、少尉が助けに来てくれたからで……」
あと少しでも遅ければ俺は彼女を……。
「それは違うよ、衛」
至近距離で真面目な顔をした少尉に見つめられて、そんな場合ではないと解っているのに思わず俺は見惚れてしまった。
息を飲むほど格好良いとはこのことか。
見惚れている俺と視線を絡めれば、ふわりと優しく微笑まれる。
「殺す機会はあったのに君は彼女を殺さなかった。それが全てだよ」
「……っ」
「僕は君にそれが出来る技量があることを知っている。僕があの時行かなくても、君は彼女を殺せなかったよ」
そんなことは……。
「あそこにいた他の者たちも、殺すまでしなくても致命傷を与えた方が手っ取り早いというのに、昏倒させるだけにとどめたのはとても衛らしい選択だよ。良く耐えたね」
一条寺少尉が優しい笑顔のまま、頭をゆっくり撫でてくれる。
俺……そんな、少尉が思うほど善人ではないはずだ。
汚く不気味な子どもで、孤児で、その他大勢のモブで……だけど。
少尉の前なら俺は、綺麗で特別な存在になれるのかもしれない……。
頭を撫でてくれる手がとても気持ちよくて、嬉しくて、なんだか訳がわからない熱いものが心の奥から溢れ出てきて、思わず俺は少尉のバスローブを握った。
「それから、こちらの方が重要なことだが、君自身の身を守ってくれてありがとう、衛。僕の望みを叶えてくれて感謝するよ、良く頑張った」
そっと頬に口付けられて泣きたいような叫びたいような、なんとも言えない気分になった。
ズットずっと、俺はバケモノで、みんなに忌み嫌われていた。
だからジッと隠れて生きてきた。目立たないようひっそりと、モブになるんだって生きてきた。
そんな俺の頭をよしよしと少尉は撫でてくれる。
嬉しすぎて。幸せで、溶けてしまいそうだ。
ふわふわの気持ちのまま俺は耐えられなくなって少尉に抱きつく。
「ふふ、きっと今までの君だったら抵抗しなかっただろうからね」
「さすがに無抵抗ということは……」
少尉に愛される前でも強姦されかければ大人しくヤられはしない。だけど前の俺なら揉めないよう、夜蝶部隊から出ていけと言われた時に従っただろう。
そういう意味では抵抗しなかったかもしれない。
「ちゃんと彼らに反撃してくれて本当に良かった。そこでだ」
少尉が少しだけ身体を離すと俺の顔を覗き込んでくる。
優しい笑顔は変わらないのに、瞳の色が先程までとは明らかに違い、俺は思わず息を呑んだ。
「頑張った衛にご褒美をあげたいんだが、何か欲しいものはあるかい?」
少尉の瞳には情欲の炎が煌めいていて、優しく撫でていた手がスーッと背筋を辿ったかと思うと、俺の腰をゆったりと撫でる。
「え、あの、」
少尉の手はそのまま俺の太腿を撫で、バスローブの隙間をくぐり直接肌に触れてきた。
先程までの優しい触り方とは違う。明らかに意志を持った艶めかしい指に身体が震えてしまう。
「なんでも、欲しいモノを言ってごらん?」
顔を上げれば色香を振り撒き妖艶に微笑む男の顔がある。
間近で見る愛しい人の欲望を隠さない瞳に、俺は無意識に言葉を発していた。
「……少尉……陽真様が欲しい、です」
身も心も全部が欲しい。
もちろん、熱くて硬くて逞しい少尉を腹の中に受け入れたいという意味もあったんだけど、それだけではなくて。
少尉の全部が欲しいと思った。
身体も心も、この先の未来も……全部、全部、俺のものにしたい。
「ふふ、いいよ」
俺の強欲に気付きもしない少尉は満足そうに快諾してくれて、それはもう綺麗に微笑むと「おいで」と俺の手を引きベッドへ誘った。
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