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スキルの活用に気付く
第25話 収縮拡張魔法スキルの良さが判明し始める
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「よーし。じゃあ、市場に買い物に出かけよう! あれ? マリアさんは何をしているんですか?」
許可をもらったユーフェが花を買いに市場に行こうとすると、マリアが慌ててやってきて何やら唱え始めた。
「え? 祝福ですよ? この子達が買い物に行く時に怪我でもしたらと思うと心配ですからね。まあ簡単な擦り傷が治るくらいですけどね」
「便利ですね。私もその魔法が使えたらなー」
子供達に擦り傷が治るとの祝福を掛けていくマリアの様子に、ユーフェが羨ましそうな顔をしながら呟いているとマリアが意外だとの表情を浮かべながらも笑顔で提案する。
「え? 使えませんか? だったら教えますよ。もちろんお金は要りませんよ。先程の寄付でもお釣りが来ますから。ただ、ちょっと時間は掛かると思いますけど」
「時間はたっぷりありますから大丈夫ですよ。そんな簡単に教えてもらえるもんなんですね」
ユーフェの言葉にマリアが祝福は教会に寄付をすれば誰でも教えてもらえ、子供じゃなければ誰でも使っているとの事。
また、祝福以外にも着火や、軽い気温調整などもあると教えてくれた。
「生活に役立つ魔法も教えて欲しいですね。どこかで教えてもらえるんですか? マリアさんとか?」
「そうですね。お時間をもらえるのなら私がお伝えしますよ」
子供達に祝福を掛けながら話をしていたマリアがユーフェを見ると、詠唱を確認するようにブツブツと繰り返している姿があった。
そんな様子を微笑ましそうに見ていたマリアだったが、ユーフェが小さく「えい! 収縮魔法!」と呟きながら詠唱を開始すると指先が鈍く光り輝きユーフェの身体を包み込む。
「やった! 出来た。ステータス! おぉ! スキルが増えてる。これは収縮拡張魔法の活用方法を一つ見付けちゃった感じじゃない?」
「え? 私の詠唱を聞いただけで祝福が使えるように? う、嘘でしょ?」
マリアが子供達への祝福を途中で止めてユーフェの顔を見続ける。そんな視線に気付く事なく、純粋な眼差しでマリアに話しかける。
「私も出来る様になったので試してみてもいいですか?」
「え? い、いいですよ。失敗しても何も影響はありませんから。え? ユーフェさん。子供達を並べてどうするんですか?」
許可が出たとユーフェは喜びながら、祝福を受けていない子供達を並べると笑顔になる。
「では、みんなには私が祝福を掛けるね。えい! 拡張魔法からの『神の子達である汝らに祝福を与えん』。どう?」
「わー。みんなキラキラしてるー」「ユーフェちゃん凄い!」「お姫様じゃなくて、聖女様だったの!」
ユーフェの問い掛けに子供達が歓声を上げる。マリアのとは違い、エフェクトが発生しており、まるで英雄譚で出てくる聖女が最終決戦で勇者に与えた祝福のようであった。
「……。はっ! ちょっとユーフェさん。いまなにを?」
「え? マリアさんと同じ祝福をしただけですよ。私のスキル拡張魔法で範囲を広げましたけどね。ちゃんと祝福は掛かっていますよ」
呆然とした状態から再起動したマリアが混乱しながら確認したが、キョトンとしたユーフェが軽い感じで答える。
考えがまとまらない表情で、こめかみを押さえていたマリアだったが、自分の知識では回答が得られないと諦め、曖昧な表情を浮かべながら指摘をする。
「ユーフェさんが祝福を掛けた子供達は買い物に行けませんからね。そんなキラキラした状態で外に出たら、周りの人に何を言われるか分かりませんから。あと! その祝福はシスターが帰ってくるまで絶対に! 絶対に使わないでくださいね! いいですか!」
物凄い剣幕のマリアに、ユーフェはコクコクと頷く事しか出来なかった。
許可をもらったユーフェが花を買いに市場に行こうとすると、マリアが慌ててやってきて何やら唱え始めた。
「え? 祝福ですよ? この子達が買い物に行く時に怪我でもしたらと思うと心配ですからね。まあ簡単な擦り傷が治るくらいですけどね」
「便利ですね。私もその魔法が使えたらなー」
子供達に擦り傷が治るとの祝福を掛けていくマリアの様子に、ユーフェが羨ましそうな顔をしながら呟いているとマリアが意外だとの表情を浮かべながらも笑顔で提案する。
「え? 使えませんか? だったら教えますよ。もちろんお金は要りませんよ。先程の寄付でもお釣りが来ますから。ただ、ちょっと時間は掛かると思いますけど」
「時間はたっぷりありますから大丈夫ですよ。そんな簡単に教えてもらえるもんなんですね」
ユーフェの言葉にマリアが祝福は教会に寄付をすれば誰でも教えてもらえ、子供じゃなければ誰でも使っているとの事。
また、祝福以外にも着火や、軽い気温調整などもあると教えてくれた。
「生活に役立つ魔法も教えて欲しいですね。どこかで教えてもらえるんですか? マリアさんとか?」
「そうですね。お時間をもらえるのなら私がお伝えしますよ」
子供達に祝福を掛けながら話をしていたマリアがユーフェを見ると、詠唱を確認するようにブツブツと繰り返している姿があった。
そんな様子を微笑ましそうに見ていたマリアだったが、ユーフェが小さく「えい! 収縮魔法!」と呟きながら詠唱を開始すると指先が鈍く光り輝きユーフェの身体を包み込む。
「やった! 出来た。ステータス! おぉ! スキルが増えてる。これは収縮拡張魔法の活用方法を一つ見付けちゃった感じじゃない?」
「え? 私の詠唱を聞いただけで祝福が使えるように? う、嘘でしょ?」
マリアが子供達への祝福を途中で止めてユーフェの顔を見続ける。そんな視線に気付く事なく、純粋な眼差しでマリアに話しかける。
「私も出来る様になったので試してみてもいいですか?」
「え? い、いいですよ。失敗しても何も影響はありませんから。え? ユーフェさん。子供達を並べてどうするんですか?」
許可が出たとユーフェは喜びながら、祝福を受けていない子供達を並べると笑顔になる。
「では、みんなには私が祝福を掛けるね。えい! 拡張魔法からの『神の子達である汝らに祝福を与えん』。どう?」
「わー。みんなキラキラしてるー」「ユーフェちゃん凄い!」「お姫様じゃなくて、聖女様だったの!」
ユーフェの問い掛けに子供達が歓声を上げる。マリアのとは違い、エフェクトが発生しており、まるで英雄譚で出てくる聖女が最終決戦で勇者に与えた祝福のようであった。
「……。はっ! ちょっとユーフェさん。いまなにを?」
「え? マリアさんと同じ祝福をしただけですよ。私のスキル拡張魔法で範囲を広げましたけどね。ちゃんと祝福は掛かっていますよ」
呆然とした状態から再起動したマリアが混乱しながら確認したが、キョトンとしたユーフェが軽い感じで答える。
考えがまとまらない表情で、こめかみを押さえていたマリアだったが、自分の知識では回答が得られないと諦め、曖昧な表情を浮かべながら指摘をする。
「ユーフェさんが祝福を掛けた子供達は買い物に行けませんからね。そんなキラキラした状態で外に出たら、周りの人に何を言われるか分かりませんから。あと! その祝福はシスターが帰ってくるまで絶対に! 絶対に使わないでくださいね! いいですか!」
物凄い剣幕のマリアに、ユーフェはコクコクと頷く事しか出来なかった。
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