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もののけとの出会い
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「まずは妖狐ちゃんは、なんでここにいるの? 見た目は座敷わらしだけど……。座敷わらしの『妖狐』ってお名前なの?」
美裕の問い掛けに葉子が頬を膨らせて両手をパタパタとさせながら抗議をしてきた。その姿はどう見ても人形だが、なぜかその仕草は親戚の姪っ子が可愛らしく抗議しているように美裕には見えた。
「なにを言うか! 妾は座敷わらしなぞではない! 先ほども名乗ったであろうが。いいか、もう一度だけ言ってやるから耳をかっぽじって聞くがよい。妾は伏見稲荷大社に名を連ねる妖狐である。妖狐になってより100年。まだまだ若輩者じゃが、仲間の皆には『葉子ちゃんは凄いね』と褒められるほど優秀なのじゃ! 葉っぱの子供と書いて葉子じゃ! しかと覚えておけ! 分かったか!」
「葉っぱの子供と書くのね。てっきり座敷わらしだと思っていたよ。よろしくね、葉子ちゃん」
「ああ、そうじゃ。妾は妖狐の葉子であるぞ!」
「分かりにくっ! その名乗りは絶対に分かりにくいよ。まあ、いいか。まだ子供だもんね。ところでジュースのお代わりはいる?」
「うむ!」
胸を張った状態で腰に手を当てている葉子に美裕がツッコむ。自信満々な葉子の様子に美裕は呆れた表情になったが、苦笑いしながらジュースのお代わりを手渡し、自らはコーヒーを淹れて椅子に腰掛けると改めて質問を続けた。
「じゃあ、葉子ちゃん。妖狐なのに人形なのはなぜなの? その格好で妖狐だと言われても説得力ないよ? なにか理由があるの?」
「……じゃ」
「え? なに?」
「じゃから、……じゃと言うておろうが!」
小さな声でボソボソと言っている葉子に、聞き取れなかった美裕が耳を近付けて確認する。言いづらいのか何度も小声で肝心の場所を誤魔化している様子に美裕が首を傾げていると、真っ赤な顔になって葉子は大声で叫んだ。
「じゃから! お主の能力を暴こうと人形に変装して近付いて探ろうとしたら、お主に捕まって失敗したと言うておろうが! 満足か! 妾を晒して満足か! うにゅぅぅぅ」
「待った! 泣かないで! 晒してない! 晒してないから。ちょっと確認しただけなの! ほら! ここに金平糖があるよー。ほら、葉子ちゃん。日本のもののけだから和菓子とか好きでしょ?」
目をウルウルさせて泣きそうになっている葉子に、美裕は慌てて旅行鞄に入れていた金平糖を取り出して手渡す。最初は胡散臭そうに渡された袋を眺めていた葉子だったが、袋を開けて一つを口に放り込むと蕩けた表情で頬を押さえた。
「なんじゃこれは! 昔ながらの金平糖ではないか! それもイチゴ味!」
葉子が嬉しそうな顔で頬張っているのを見て、美裕は小さくほくそ笑むとご機嫌取りを始める。
「あ、やっぱり分かる? 流石は葉子ちゃんだね! この金平糖は緑寿庵清水ってお店が昔ながらの製法で、日本で1軒しか作っていないのだよ。わざわざ京阪出町柳駅で降りて、本店まで行って買ってきたのよ。一口食べただけで本物の味が分かるとは、お客さんやりますねー。他にも色々な味があるよ」
「ふ、ふふん。おべんちゃらを言ってもなにもでやせんぞ。ま、まあ、お主の妾に対する態度が改まったから許してやらんでもない。それと妾がこの姿なのは仮の姿じゃ。今、お主に真の姿を見せてやろうぞ!」
葉子は人形の姿のままで勢いよく机の上から飛び降りると、呪文を唱えだした。
美裕の問い掛けに葉子が頬を膨らせて両手をパタパタとさせながら抗議をしてきた。その姿はどう見ても人形だが、なぜかその仕草は親戚の姪っ子が可愛らしく抗議しているように美裕には見えた。
「なにを言うか! 妾は座敷わらしなぞではない! 先ほども名乗ったであろうが。いいか、もう一度だけ言ってやるから耳をかっぽじって聞くがよい。妾は伏見稲荷大社に名を連ねる妖狐である。妖狐になってより100年。まだまだ若輩者じゃが、仲間の皆には『葉子ちゃんは凄いね』と褒められるほど優秀なのじゃ! 葉っぱの子供と書いて葉子じゃ! しかと覚えておけ! 分かったか!」
「葉っぱの子供と書くのね。てっきり座敷わらしだと思っていたよ。よろしくね、葉子ちゃん」
「ああ、そうじゃ。妾は妖狐の葉子であるぞ!」
「分かりにくっ! その名乗りは絶対に分かりにくいよ。まあ、いいか。まだ子供だもんね。ところでジュースのお代わりはいる?」
「うむ!」
胸を張った状態で腰に手を当てている葉子に美裕がツッコむ。自信満々な葉子の様子に美裕は呆れた表情になったが、苦笑いしながらジュースのお代わりを手渡し、自らはコーヒーを淹れて椅子に腰掛けると改めて質問を続けた。
「じゃあ、葉子ちゃん。妖狐なのに人形なのはなぜなの? その格好で妖狐だと言われても説得力ないよ? なにか理由があるの?」
「……じゃ」
「え? なに?」
「じゃから、……じゃと言うておろうが!」
小さな声でボソボソと言っている葉子に、聞き取れなかった美裕が耳を近付けて確認する。言いづらいのか何度も小声で肝心の場所を誤魔化している様子に美裕が首を傾げていると、真っ赤な顔になって葉子は大声で叫んだ。
「じゃから! お主の能力を暴こうと人形に変装して近付いて探ろうとしたら、お主に捕まって失敗したと言うておろうが! 満足か! 妾を晒して満足か! うにゅぅぅぅ」
「待った! 泣かないで! 晒してない! 晒してないから。ちょっと確認しただけなの! ほら! ここに金平糖があるよー。ほら、葉子ちゃん。日本のもののけだから和菓子とか好きでしょ?」
目をウルウルさせて泣きそうになっている葉子に、美裕は慌てて旅行鞄に入れていた金平糖を取り出して手渡す。最初は胡散臭そうに渡された袋を眺めていた葉子だったが、袋を開けて一つを口に放り込むと蕩けた表情で頬を押さえた。
「なんじゃこれは! 昔ながらの金平糖ではないか! それもイチゴ味!」
葉子が嬉しそうな顔で頬張っているのを見て、美裕は小さくほくそ笑むとご機嫌取りを始める。
「あ、やっぱり分かる? 流石は葉子ちゃんだね! この金平糖は緑寿庵清水ってお店が昔ながらの製法で、日本で1軒しか作っていないのだよ。わざわざ京阪出町柳駅で降りて、本店まで行って買ってきたのよ。一口食べただけで本物の味が分かるとは、お客さんやりますねー。他にも色々な味があるよ」
「ふ、ふふん。おべんちゃらを言ってもなにもでやせんぞ。ま、まあ、お主の妾に対する態度が改まったから許してやらんでもない。それと妾がこの姿なのは仮の姿じゃ。今、お主に真の姿を見せてやろうぞ!」
葉子は人形の姿のままで勢いよく机の上から飛び降りると、呪文を唱えだした。
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