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もののけとの出会い
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「……。えっと?」
「なんでじゃー! 妾の妖力が! みなから褒め称えられた妖力が! こやつには効かんというのかー」
愕然とした表情で叫んでいる人形ちゃんに、なぜか罪悪感が生まれた私。申し訳ない気分になってきたから謝った方がいいよね?
「ごめんね?」
「なんで疑問形なんじゃー。びぇぇぇぇぇぇ! なんで妾の妖力が効かんのじゃー。もう、やじゃ! こんなところなんてもう居られん! 妾はおうちに帰る! びぇぇぇぇぇぇん」
「や、それって密室の屋敷で2番目の被害者が殺害されるフラグじゃ――」
「うるさいのじゃー。うえぇぇぇぇん!」
誰が聞いてもフラグな発言に思わずツッコむ私だけど仕方ないよね? あんな台詞を言われたら誰でもツッコむよね? そんな事を考えていた私の耳に人形ちゃんの絶叫が続いていた。
「えぐぅ。えくぅぅぅ。ひっく、ひっく」
30分は経ったかな? 泣き続けていた人形ちゃんが、やっと落ち着いてくれたようだ。なにかよく分からないけど、まずは人形ちゃんに謝罪が必要だと思った私は恐る恐る話し掛けてみた。
「えっと……本当にごめんね。ジュースでも飲む?」
「にょゅむぅぅぅ。えぐえぐ」
私がジュースを飲むかと問い掛けると、人形ちゃんは目をこすりながら頷いて渡されたコップを受け取るとコクコクと飲み始めてくれた。
やだ。めちゃくちゃ可愛い。
はっ! そうじゃない。そうじゃないぞ、私。癒やされてる場合じゃないんだ。この目の前でジュースをのむ人形ちゃんが何者なのかを確認しないと。昨日からテンションがおかしいぞ、私よ。
「どう? このお菓子も食べる?」
「たべうぅぅ」
はぅ! なにこの子。可愛い過ぎる! お持ち帰りしたい! どうしてこんなに可愛いの? どうしたいの! この子は確実に私を籠絡しに来てるよね!?
駄目だ、駄目だ。この子が何者かをしっかりと確認しないと。昨日から続くこの摩訶不思議現象を理解しないと、今日の夜は寝れそうにないよ。
人形ちゃんを鞄に詰め込んで持ち帰りそうなのを自制心を総動員して押さえ付ける。そして美味しそうにクッキーを頬張っている人形ちゃんに声を掛けてみた。
「ねえ。お名前を教えてくれる?」
「ん? 妾の名をか? その前にお主が何者かを名乗るのが筋じゃないかの? 人に名を尋ねる時は、自ら名乗ると学校で教わらんかったか?」
「ふん」との擬音が聞こえそうな感じで、人形ちゃんが鼻で笑ってきた。ちょっとイラッとしたから、半眼になって睨むと「ひっ!」との小さな悲鳴が上がる。いけない、いけない。脅してどうする。
「私の名前は美裕って言うの。貴方の名前を教えて欲しいな?」
極力、優しい声色を意識しながら伝えると、オドオドした感じでこっちを見てた人形ちゃんが、気を取り直したのか胸を張って名乗ってくれた。
「まあ、よかろう。妾の名は葉子《ようこ》じゃ。それにしても、このクッキーは美味いの。美裕とやら、もう一枚おくれ」
「妖狐ちゃん? 変わった名前だね。いいよ。一枚と言わずに何枚でもあげるよ」
私が手渡したクッキーを機嫌良く食べている妖狐ちゃんに私は癒やされつつ、次の質問を考え始めた。
「なんでじゃー! 妾の妖力が! みなから褒め称えられた妖力が! こやつには効かんというのかー」
愕然とした表情で叫んでいる人形ちゃんに、なぜか罪悪感が生まれた私。申し訳ない気分になってきたから謝った方がいいよね?
「ごめんね?」
「なんで疑問形なんじゃー。びぇぇぇぇぇぇ! なんで妾の妖力が効かんのじゃー。もう、やじゃ! こんなところなんてもう居られん! 妾はおうちに帰る! びぇぇぇぇぇぇん」
「や、それって密室の屋敷で2番目の被害者が殺害されるフラグじゃ――」
「うるさいのじゃー。うえぇぇぇぇん!」
誰が聞いてもフラグな発言に思わずツッコむ私だけど仕方ないよね? あんな台詞を言われたら誰でもツッコむよね? そんな事を考えていた私の耳に人形ちゃんの絶叫が続いていた。
「えぐぅ。えくぅぅぅ。ひっく、ひっく」
30分は経ったかな? 泣き続けていた人形ちゃんが、やっと落ち着いてくれたようだ。なにかよく分からないけど、まずは人形ちゃんに謝罪が必要だと思った私は恐る恐る話し掛けてみた。
「えっと……本当にごめんね。ジュースでも飲む?」
「にょゅむぅぅぅ。えぐえぐ」
私がジュースを飲むかと問い掛けると、人形ちゃんは目をこすりながら頷いて渡されたコップを受け取るとコクコクと飲み始めてくれた。
やだ。めちゃくちゃ可愛い。
はっ! そうじゃない。そうじゃないぞ、私。癒やされてる場合じゃないんだ。この目の前でジュースをのむ人形ちゃんが何者なのかを確認しないと。昨日からテンションがおかしいぞ、私よ。
「どう? このお菓子も食べる?」
「たべうぅぅ」
はぅ! なにこの子。可愛い過ぎる! お持ち帰りしたい! どうしてこんなに可愛いの? どうしたいの! この子は確実に私を籠絡しに来てるよね!?
駄目だ、駄目だ。この子が何者かをしっかりと確認しないと。昨日から続くこの摩訶不思議現象を理解しないと、今日の夜は寝れそうにないよ。
人形ちゃんを鞄に詰め込んで持ち帰りそうなのを自制心を総動員して押さえ付ける。そして美味しそうにクッキーを頬張っている人形ちゃんに声を掛けてみた。
「ねえ。お名前を教えてくれる?」
「ん? 妾の名をか? その前にお主が何者かを名乗るのが筋じゃないかの? 人に名を尋ねる時は、自ら名乗ると学校で教わらんかったか?」
「ふん」との擬音が聞こえそうな感じで、人形ちゃんが鼻で笑ってきた。ちょっとイラッとしたから、半眼になって睨むと「ひっ!」との小さな悲鳴が上がる。いけない、いけない。脅してどうする。
「私の名前は美裕って言うの。貴方の名前を教えて欲しいな?」
極力、優しい声色を意識しながら伝えると、オドオドした感じでこっちを見てた人形ちゃんが、気を取り直したのか胸を張って名乗ってくれた。
「まあ、よかろう。妾の名は葉子《ようこ》じゃ。それにしても、このクッキーは美味いの。美裕とやら、もう一枚おくれ」
「妖狐ちゃん? 変わった名前だね。いいよ。一枚と言わずに何枚でもあげるよ」
私が手渡したクッキーを機嫌良く食べている妖狐ちゃんに私は癒やされつつ、次の質問を考え始めた。
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