伏見稲荷で出会った可愛い妖狐の葉子ちゃんと綺麗な楓さん。そして普通なはずの私

うっちー(羽智 遊紀)

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もののけとの出会い

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 なんじゃ! なんなのじゃ! このオナゴは! 次々と恐ろしい事を笑顔で言ってくるのじゃ。どう見ても全力で楽しんでおるのじゃ。こやつは妾を水責めにする気満開なのじゃ。

「ふっふっふー。動かない人形だからなー。どんな事をしてもいいよねー。他は何がいいかなー? 掃除機で汚れを吸い取ってみる? 洗濯機に放り込むかな……。あ、ダメだ。ネットに入れないと痛んじゃう」

 『痛んじゃう』じゃないのじゃ! ちょっと待って欲しいのじゃ。何を言っておるのじゃこやつは? 掃除機で吸い取る? 洗濯機に放り込む?

 こんな可愛らしい人形を虐待するなんて鬼じゃ、鬼がここにおるのじゃ!  こやつは本当にやばい。本物にやばい奴じゃ。恐ろしい笑顔で妾を追い込んできよる!

 な、なんじゃ、今度は何なのじゃ。急に黙りこむでないぞ。急に無表情とかやめるのじゃ。本当に怖いのじゃ! なにを考えておる? 妾をベッドに運んで何を――何をする気なのじゃ!

 なんとかせんと! 早くこやつから逃げる方法を考えんと。なにをされるか本当に分からん! こんな奴の側にいてられるか。うなれ妾の脳みそ! 今こそフル回転させるのじゃ!

 そうじゃ、逃げよう。

 悩む必要なんぞなかったのじゃ。妾の妖力を使えば、握られているだけの拘束なんぞ簡単に抜けられるのじゃ。そして逆にこやつを拘束して水浸しにして、掃除機で吸い取ってやるのじゃ!

 ふふん。驚くが良いわ。そして妾の力に仰天して驚いてビックリするがよいぞ!

「そこな者! 妾を誰だと思っておる! 100年生き、伏見稲荷大社に名を連ねる妖孤であるぞ。そちの今までの狼藉を許すわけなく、妾が直々に断じてくれる。己の極悪非道さを後悔するがよい!」

「わー。また喋ってくれた!」

 ふん。その余裕に満ち溢れた腑抜け顔もここまでなのじゃ! このような時のために秘蔵しておった100円玉じゃ! 懐から取り出した100円玉に残っている肌のぬくもりを感じながら妾は真言を唱える。

「ダギニ・バザラ・ダトバン・ダキニ・アビラ・ウンケン・オン・キリカク・ソワカ!」

「え? なんの言葉? 呪文?」

 なにやら戸惑った声が聞こえるが気にせん。妾は思いっきり100円玉を投げつけてやった。妖力をまとった100円玉が淡い光を放って女に向かっていく。くっくっく。後悔しても遅いのじゃ! ん? なんじゃ? 100円玉の光が徐々に弱まっておるのか?

 ペチ

 なにやら、しょぼい音を立てて100円玉が女の額に張り付いたのが見えた。

 え? なんで?
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