魔物をお手入れしたら懐かれました -もふプニ大好き異世界スローライフ-

うっちー(羽智 遊紀)

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2巻

2-3

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「しっかりなさい。グラモの後任として諜報部隊となったのでしょうが。この程度の小物の蠢動しゅんどうに気づかないようでは、魔王様への忠誠を証明できませんよ。諜報能力を磨きなさい。グラモからはすでに報告を受けていたというのに」
「も、申し訳ありません」
「ふう。まあいいわ。とりあえずは、そこに転がっている者達を牢へ連れていきなさい。そして沙汰さたがあるまで監視を続けるように」
「は! お前達、連行するぞ!」

 フェイの言葉に、トッバが慌てた様子で部下を呼び、倒れている魔族を拘束して連行していく。最後の一人が連れていかれると、静寂が謁見の間を包んだ。
 マリエールとフェイは軽くため息をついた。それからマリエールは、先ほどまでの威厳ある雰囲気を解いて言う。

「ふう。それにしても小物がこれほど多いとはね。まだ行動を移す前だったからマシなのかな?」
「そうですね。今回はグラモのお陰で不穏分子ふおんぶんしがわかりましたが……急な任命で慣れていないから仕方ないとはいえ、トッバはまだまだですね。まずは、あのひねくれた性格から直さないと。しばらく質の低下は量で補いましょう。グラモが推薦する種族はありますか?」

 フェイから急に話を振られたグラモが答える。

「そうですな。私が推薦するなら小鼠族こねずみぞく小栗鼠族こりすぞくですね。身体の小ささを活かしての活動が可能です。また、種族として臆病おくびょうなのも隠密おんみつ部隊としてはいいと考えます」
「そうね。確かにあの子達ならいいかもね。可愛いし」
「マリエール?」

 マリエールが嬉しそうに言うと、フェイがジト目を向けた。マリエールは慌てたように表情をつくろって威厳のある声で命令を出す。

「じょ、冗談よ。ただ、面談は必要だと思うから明日にでも連れてきて」

 そんな二人のやりとりを微笑ましそうに眺めていたグラモだったが、和也達の活動を報告するために胸元から書状を取りだしてマリエールに手渡す。

「こちらが無の森での活動報告書となっております。和也様から許可をもらって作成しておりますのでご安心ください」
「それは助かるわ。相変わらず和也殿は非常識なことをしているのでしょう?」

 マリエールに苦笑を返しながら、グラモは説明を始める。
 人口が増え、拠点の数も増え、街道整備が順調に行われていることを伝えた。また、鉱石をはじめとする資源、農作物も増産傾向であるとも報告する。

「以前に魔王様に献上されたコイカの糸ならば、今なら一週間ほどで作れます。それと、同じく献上されたアクセサリーに使われたミスリルやオリハルコンも、大量ではありませんが、日々採掘されております。またそれらは和也様のおもちゃとなっており……」

 フェイが呆然とした口調で呟く。

「ミスリルやオリハルコンがおもちゃ……」
「ねえ、ひょっとして、国の価値で勝負したら瞬殺されるんじゃないの? どう思うフェイ?」

 マリエールが問いかけると、フェイはぎこちない動きで首を回して答えた。

「瞬殺でしょうね。前のお土産だけでも国家予算レベルよ。和也殿から私に渡された提灯ちょうちんも国宝級だし、そんな物がポンポンと作れる組織と勝負なんてしたくないわ。仮に武力で蹂躙じゅうりんしようとしても、エンシェントスライムが八体もいるのよ? 勝てるわけないじゃない」
「だよね。昔の魔王が討伐された際に、勇者に付き添っていたエンシェントスライムは一体だけだと記録に残っているもの。それに、エンシェントスライムの分体も数え切れないほどいるのでしょ?」

 マリエールとフェイから視線を向けられたグラモは困った顔で頷いて答える。

「そうですね。ちびスラちゃんの数は私どもでも把握できませんでした。ちびスラちゃんの数は次々と増えており、そのうちにどなたかの配下となるのでは? と言われております」
「え?」
「エンシェントスライムの分体をあげてるの?」

 グラモの言葉に呆気に取られる二人。
 エンシェントスライムの分体は、本体ほどの力はないとしても各属性を極めていると伝えられている。また、強力な魔法も使えるため、エンシェントスライムと同じく厄介な魔物であると考えられていた。
 和也の拠点でいったい何が起きているのか考えてもわからず、二人はパニックになってしまうのだった。


    ❖ ❖ ❖


 その数日後。

「ん? 和也殿から荷物が届いた? 嫌な予感しかしないが――あれ? フェイは?」

 報告を受けたマリエールが首を傾げながら横を見る。普段、常に隣にいる四天王筆頭のフェイの姿がなかった。
 報告に来た者にマリエールが問いかけると、ありえない回答が来た。

「先ほど『お腹が痛いからお家に帰る。探さないでください』と言われ……」
「え? 逃げたの!?」

 一瞬呆然とするマリエール。報告者が、和也からの荷物をどうすれば良いのか質問してきたので、マリエールは慌てて答える。

「そうね、謁見の間に運ぶように。私はフェイを呼びに行くわ」

 マリエールは、フェイの執務室へ向かった。


 部屋の中で、何やらバタバタとしている音がする。
 荷作りでもしているかのような音だが、マリエールがノックをすると同時に止んだ。わかりきっているが、フェイは居留守をしているらしい。
 マリエールはノック音を次第に強めて声を上げる。

「いるのはわかっているのよ、早く出てきなさい! ……そう、出てこないつもりね。いいわ。『我、灰燼かいじんと帰すこともいとわず、すべての者に等しく滅びを与える業火ごうかをこの身に宿し、目の前の敵を討たん』」

 扉に手を当てて詠唱を始めるマリエール。すると扉の向こうでフェイが声を上げる。

「ちょっ! それって極魔法きょくまほうじゃない。シャレにならない! 『我が身を守るのは我が身のみ。そのために魔力は障壁となって顕現する』」

 直後、極炎と障壁がぶつかり合い、魔王城を揺るがした。



 6.新しい登場人物がやって来た


「それで、申し開きをしたいと?」
「え、ええ。ちょっと反省はしていますので許してほしいかなー……なんてね」
「我も反省しておるぞ。扉を開けるのに極魔法は使ってはならんと学んだ。だから、我の反省にかんがみて、この後を考慮するべきだと……」

 大広間から謁見の間に続く廊下で、直立不動状態の四天王筆頭フェイと魔王マリエール。
 申し訳なさそうに立つ二人の前には、整った顔立ちの男装の女性が立っており、手にはむちが握られていた。
 その女性は自らの手のひらに鞭を何度も当てると、大きな声で二人を叱責する。

「魔王様はいつまで子供のような行動を取るのです? それとフェイ、私が貴女に四天王筆頭の座を譲った理由を理解していないのですか?」
「いえ、その。話を聞いて……いえ、申し訳ありません」
「フェイを責めないでくれ。我が怒りに任せて行動し――」
「当然です。魔王様は反省してください。明日までに反省文を十枚提出するように」
「じゅ、十枚! ちょっと待って! そんな長い文章を書いたことが……いえ、なんでもないです。明日には持っていきます」

 男装の女性に責め立てられ、敬語でコクコクと頷いているマリエールと、涙目になっているフェイ。
 その様子を、魔王城の関係者が遠巻きに眺めていた。若い魔族が隣にいる先輩魔族に小声で問いかける。

「先輩。あの女性はどなたですか?」
「知らないのか? あの御方は四天王筆頭であるフェイ様の母君であり、先代の火の四天王でもあるヒーノ様だぞ」
「え! あ、あのヒーノ様ですか! ですが、今は竜族との戦いで最前線に向かわれていると……」

 魔族達の声を耳にし、ヒーノが視線を向ける。
 視線に宿る炎の魔力の余波を受け、話していた魔族達だけでなく、近くにいた者も硬直して動けなくなった。

「何をこそこそと話をしているのです。この場にいる者は後で訓練をしますので集まるように。全員の顔は覚えましたからね」
「「「はっ!」」」

 青い顔で敬礼した魔族達を見て、ヒーノが頷く。
 フェイが話を逸らそうと、勢いよく質問する。

「そうよ、お母様! 竜族との戦いはどうなっているのです? 最前線は激戦になっているからと、四天王の座を私に譲ってまでおもむかれたではないですか」

 ヒーノは手に持っていた鞭を、ビシッとフェイの喉元に突きつける。先ほど炎の魔力が宿っていた目は、今は嘘のように冷たい目になっていた。
 その姿勢のまま、ヒーノは厳しく詰問する。

「四天王筆頭であるフェイ様。今、お母様とおっしゃいましたか?」
「い、いえ。そんなことは言ってないわ。征竜せいりゅう大将軍ヒーノ。それで、今回の帰還は何があったのです?」

 急に態度を改めたフェイにヒーノはため息をつくと、全身に宿していた魔力を収めて告げる。

「それについては後回しにしましょうか。そのことよりも、まずは貴女達の話を聞きましょう。まあまさか、緊急事態で魔王城に戻ってきた途端に、極魔法が炸裂するとは思わなかったから……魔王様と四天王筆頭を叱りつけましたけど。ともかく、そうならざるをえない何かがあったのでしょうね?」

 そこへマリエールが割って入る。

「そうだ! 今は貴君の知恵が必要なのだ! 早く謁見の間で話をしよう! 我を助けてくれ」
「そうですね。貴女の報告も聞きたいですが、まずはこちらの混乱状況を聞いてくれますか?」

 マリエールとフェイのすがるような言葉に、ヒーノは大きく頷き、手に持っていた鞭を再度叩いて笑みを浮かべた。

「では、陛下達の話を聞きましょうか。ですが、反省文は明日中に出しなさい。これは陛下と四天王の教育係であるヒーノとしての言葉です。フェイも十枚提出するのですよ」
「「……はい」」

 しれっと反省文の話を有耶無耶うやむやにしようとした二人だったが、ガッカリと項垂うなだれながら謁見の間に向かった。


    ❖ ❖ ❖


 征竜大将軍ヒーノ。
 先代の魔王から仕えており、魔王マリエールやフェイ、マウント、その他の四天王達の教育係でもある。そして何よりフェイの母親であり、現在は竜族との間で行われている討伐軍の総司令官に着任していた。
 謁見の間に入るやいなやマリエールが尋ねる。

「それで、急に魔王城に戻ってくるような緊急事態が発生したのか?」
「そうですね。前回の報告では『竜族の橋頭堡きょうとうほとしていた砦が陥落するのも時間の問題である』とありましたよね?」

 魔王マリエールと四天王筆頭フェイが首を傾げている。
 ヒーノ率いる軍勢の士気は高く、安心して任せていた。こうして戻ってきたことが、二人には不可解だった。
 ヒーノが眉根を寄せながら報告する。

「ええ、確かに途中までは順調でした。しかし、ゴーレムを前面に出した波状攻撃を行い、最終突撃を命じようとした瞬間、謎の違和感に包まれました。身体中から力が抜け始めたのです。最初は私だけの身に起きた、ただの体調不良のようなものかと思いましたが、周囲からも戸惑った声が上がり、全軍で同じ現象が発生していることを確認しました。このままでは、軍に甚大じんだいな影響が出ると考え――」
「……撤退した、のですか。確かに、そのまま戦況が引っくり返るよりはいい判断ですが……」

 フェイがそう言うと、マリエールが口にする。

「そういえば、確かに我も最近は全力が出せない感覚があるな」

 この時、彼女達は気づいていなかったが、実はこれには和也が関係していた。
 マリエールが贈った服従のガントレットを、和也がボクシングの真似事をして壊してしまった影響により、魔族全体の能力が落ちたのだ。

「しばらくは全軍に、体調管理をしっかりとするように伝えておきます」

 ヒーノが報告した問題はなかなか重大なのだが、今はそれどころではない事情があるということもあって、ひとまず簡単な対処がされるのだった。
 謁見の間には、マリエール、フェイ、ヒーノだけしかない。自然と肩の力の抜けた雰囲気になり、ヒーノは母親のような感じで確認してくる。

「それでフェイ。混乱状態というのは何なのです? もっとしっかりと魔王様を支えなさい。これはお前の母としての言葉です」
「実は、お母様に助けてもらいたいことがあるの」

 フェイは心底困っている顔で、和也からのお土産攻勢の話をする。続いて、マリエールも補足するように伝える。

「本人に悪気がないから困っているのよ。お土産の代わりに、グラモやマウントを派遣しているけど、その返礼と言わんばかりのお土産がさらにやって来る。これの繰り返しなの」
豪気ごうぎな方ですね、それほどのプレゼントができるとは。国家予算レベルのお土産への返礼ですか。魔王様を嫁に出しても足りなさそうですね」

 一通り話を聞いたヒーノは感心したように何度も頷いていた。その後、和也が贈ってきたプレゼントを見てもらうということになった。


「これがそうよ」

 マリエールに案内された宝物の保管庫で、ヒーノは一振りで国が滅ぶと言われている刀などと同じように並べられている和也のお土産を眺めていた。
 そして、無造作な感じで詰め込まれたオリハルコンを手に取ってため息をつく。

「神代の鉱石を放置するなんて……もっと他に使いようはあるのでは?」
「こんな物を何に使うのよ? オリハルコンの原石なんて争いの種にしかならないわ。それと、和也殿から頂いているのはこれだけではないの。コイカの糸ももらっていて、歴代魔王の悲願だった魔王の礼服はすでに修繕済みよ。あと、修復で使ったコイカの糸が大量に余っていて、残りは隣のチェストに収納しているわ」

 マリエールの言葉に、ヒーノは目を見開く。

「魔王の礼服を修繕!? あと数百年はかかると言われていたのに? コイカの糸が余る?」
「そう。余ったから大事に保管しているけど、和也殿が治める無の森ではコイカの糸が大量生産されているし、住民達の遊び道具として使われているわ」
「は?」

 唖然とするヒーノを見て、マリエールは嬉しそうに話を続ける。

「後はミスリル鉱石の大きさも見たでしょ? あれで国家予算の数か月分はあると試算が出てる。あんなのをポンポンとプレゼントされたうえに、コイカの糸やオリハルコンまで渡されている。さらには、伝説級の魔物肉を燻製にして渡されているのよ。だから、ヒーノに助けてほしいのよ」

 ヒーノは一瞬パニックになったものの、いったん呼吸を整えると、年長者らしく落ち着いた口調で告げる。

「ま、まあ、これくらいの量なら国家予算レベルですし、数年かけて人材や知識を渡しておけば釣り合いは取れると思いますよ。すでに地の四天王であるマウントを派遣し、砦まで作ってあげたのでしょう? 彼を派遣するだけでも十分な返礼ですよ」
「そ、そうよね! 大丈夫よね!」

 マリエールはヒーノからお墨付きをもらったことにホッとし、魔王の威厳も忘れて喜んだ。

「そうですね。それほど気にしなくてもいいかと――」

 マリエールとヒーノが魔王の保管庫から出て、和也に対する今後の話を始めようとすると、二人のもとを離れていたフェイが泣きそうな表情でやって来た。

「魔王様! 和也殿から新たな荷物が――」
「却下! 忘れてたのにー。無理して無視していたのにー。あーあー! 聞きたーくなーい」

 今にも泣きそうなフェイに、耳を塞いで叫ぶマリエール。
 ヒーノは強い口調で叱責する。

「何事です? 四天王筆頭である貴女が泣きそうな顔をするとは! 常に冷静に行動するようにといつも言っているでしょう。それと魔王様も! 魔王様のする行動ではありませんよ。子供ですか!」

 フェイはヒーノを見て何か思いつくと、急に真顔になって命じるように言う。

「魔王様。和也殿から手紙と荷物が届いておりますので、早急に謁見の間へ来てください。それと、征竜大将軍ヒーノも一緒に来るように。これは四天王筆頭からの命令です」


 その後、再び謁見の間に戻った三人は、和也から新たに届いたという荷物と対面していた。マリエールが言う。

「もう覚悟を決めたわよ」
「私は中身を確認しておりますので、マリエール様がご確認ください。早く見てよ。笑いしか出てこないから」

 フェイはそう言い、二人を大きな荷物と小さな荷物の前に連れていった。マリエールが目で恐怖を訴えると、フェイは乾いた笑いを浮かべて言う。

「大きい荷物から見ることをお勧めするわ」
「何でよ? まあいいわ、とりあえず大きい荷物から見ればいいのね」

 マリエールが大きな箱の蓋を開けると、中には巨大な巻物が入っていた。

「え? 巻物? 和也殿からの手紙なのか? ヒーノ。反対側を持ってくれ」
御意ぎょい

 巻物の端を握ったヒーノの動きが止まる。上質な最高級の布よりも滑らかな手触りと艶やかさ。彼女が少し前に、魔王の宝物庫で触った生地と似ていた。

「え? コイカの糸で編まれた布?」
「じゃあ、内容を確認するぞ。しっかりと持っておいてくれ!」

 勢いよく広げた巻物には、デカデカと「グラモの借金は俺が払うので許してください」と書かれていた。

「は?」

 巻物を広げた姿勢のまま、マリエールが固まる。
 その文字はこの世界の共通語で書かれているので、もちろんマリエールもヒーノも読めるのだが、その内容はまったく理解できなかった。
 ヒーノが眉間にしわを寄せながら尋ねる。

「この『グラモの借金は俺が払うので許してください』とは?」
「グラモの借金を和也殿が払ってくれるのだろう」
「それは魔王様に聞かなくてもわかります。なぜ、このような巨大な巻物を? それもコイカの糸で作った布ですよね? それをこんな物のために……」

 ヒーノは、マリエールから説明されたものの、なぜ和也がこんなことをしたのか、まったく意味がわからないのだった。



 7.世の中には理解できないことがある


「え? この巻物にはこれだけしか書いてない? 本文は? 署名は?」

 ヒーノが横断幕の裏表、縫い目まで確認するが、デカデカと書いてある文字以外は何も書かれていなかった。

「あぶり出し? いや、コイカの糸をあぶるなんてできない。水にひたす――同じことね。本当にこれだけしか書かれていないのか」

 フェイが用意した椅子に、崩れ落ちるように座ったヒーノ。横断幕が地面に付かないように丁寧に収納したのはさすがであったが、その目はすでに疲れきっていた。
 マリエールは変なテンションでヒーノに告げる。

「ヒーノ。まだまだ荷物はあるぞ。次はこれだ! オリハルコンの詰め合わせのようだな」
「なんです!? このお菓子の詰め合わせみたいなのは!」

 箱を手渡されたヒーノは中身を見て天をあおぐ。
 そこには、箱詰めクッキーのようにオリハルコンが所狭しと詰められていた。入っていたのは、魔王の保管庫で見たビー玉サイズ以上のオリハルコンが三十個ほどである。

「何に使います? 大量にありすぎても使い道がないですね?」
「それをヒーノに聞きたいのよ! でも、これだけあれば少しくらいは使ってもいいよね? 壊れかけているアーティファクトを修復でもしてみる? ちなみに、このオリハルコンをお金にしたらどのくらいだと思う?」
「これに価値を付けろと? さっきのビー玉サイズで1000万マリだとすると、一つ3000万マリですかね?」

 先ほどのヒーノの勢いは完全になくなっており、和也の精神攻撃を受けた仲間が増えたとマリエールが嬉しそうにしていた。
 そんなことをしている状況ではないはずなのだが、自分だけ苦労するのは嫌だとの思いがあるのか、マリエールは揉み手をしながら何度も頷く。
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