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とっても良い作戦?
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まだ動きづらい体を無理やり伸ばしたり曲げたりさせられながら検査は進んでいった。
次は担当医が言っていた痛い検査らしいが、あまりにもティナが怖がるので麻酔を使ってくれることになっていた。
「ティナさん・・・麻酔を打ちますね?ゆっくり息をしてください・・・そうです・・・ゆっくりと・・・」
ティナはだんだんと意識が遠のくのを自覚した。
(ああこのまま気を失うっていうのがベストなんだけど。一度あっちに戻って・・・すぐにこっちに帰ってきて・・・住むところを・・・)
ティナは完全に深い闇に沈んだ。
ーーーーーーーーーーーーーーー
『ティナ戻るのか?予定通りだな・・・それが例の?』
『あら?大魔神じゃないの。ってい事は私は気を失ったのね?』
『麻酔とはうまい事やったな。でもどうやってその本を手に持ってたんだ?』
『担当医にこの本が無いとすぐに心臓が止まる病だって言ったら検査着の中に入れてくれたのよ。男っていつの時代もチョロいわね』
『いやいや・・・その医者がバカなんじゃなの?まあ上手くいって良かったじゃないか』
『うん・・・どうしたの?あんたらしくないわね。元気が無いよ?』
『いや・・・ちょっと言いにくいことだが・・・お前が戻った日にあのシスターは息が止まるよ』
『そうなの?最後まで意識が戻らないってこと?』
『最後に少し戻してやる事はできるが・・・』
『じゃあ戻してよ。とっても良い作戦を考えたのよ。検査受けながら』
『作戦?』
『そう。どうもあっちの世界で動ける体になるためにはリハビリが必要らしくて、一か月位掛かるらしいのよ』
『結構長いな』
『ずっと寝てたから筋肉をつけるところから始めないといけないそうよ。で、この本をこっちの世界に置いてから宝石持ってあっちにすぐ戻ろうと思うのよ』
『そんなにすぐに戻る必要あるのか?』
『うん。動けるようになっておかないと不便だし、こっちの世界に来ている間にあっちの世界で体を隠しておける家も探さないといけないでしょう?』
『教会で良いんじゃね?』
『バカねぇ~今どきの奴らが神やら聖女やら信じるわけないでしょうに・・・』
『世知辛いな・・・なんというか・・・身につまされる思いだ』
『まあね・・・現実を受け止めなさい。私は神様信じてるよ?だってリアルに会ってるし』
『なぜだろう・・・あまり嬉しくない』
ティナは吹き出した。
つられて神も笑っている。
『でさぁ、こっちから宝石持って行ってケヴィンに売ってもらってお金にして、人里離れた所に別荘でも買っておけば体を隠せるでしょう?』
『なるほどな・・・使える加害者はとことん使い倒すそのお前の性格・・・割と好きだな』
『告白ならあんたの番にしなさいよ?』
『そんなのではない!』
『まあ良いから・・・でね?リハビリと物件探しと購入まで同時進行で一か月で片づける!』
『超特急だな』
『だからこっちの世界に戻っても十日くらいはまた気を失ってないといけないでしょう?』
『そうだな』
『その上に教会で生活できるようにするためには私を特別視させる必要があるわけ』
『我が僕たちも利用するのか・・・ティナ・・・神の鉄槌って知ってるか?』
『あんたが下さなければ回避できるでしょうが!まあ聞いてよ。あんたの協力は不可避なんだから』
『聞くのが怖い・・・』
『ふふふ・・・私がこっちに戻った時にロージーがまだ目覚めない状態で、私が神の声を聞くの。敬虔な信者であるロージーに最後の十日間を与えるとお告げがあったって』
『・・・‥‥‥それから?』
『十日間ロージーの意識を戻してアランと最後の時間を持たせるの。その十日間と引き換えに私がロージーの代わりに神に仕えるために仮死状態になるという設定にするの』
『要するに俺は十日間ロージーの意識を持たせれば良いのか?』
『やっぱあんた頭良いわ。伊達に神やってないわね』
『不敬なヤツだな・・・まあそれは承知した。上手いことやれよ?』
『任せなさい!』
『不安だ・・・』
『なんか言った?』
『いいえ、何も言っていません』
『じゃあそういう段取りで。私がペンダントを握ったらロージーの意識を戻してね。引き換えに私が気を失ったふりをするから』
『なるほど・・・別室で人が居ない時に本当に気を失う算段をするという事だな?』
『そう。まあその時に思い切り床に頭をぶつける勢いで倒れる予定だけど』
ものすごく不安そうな顔の神を残し、ティナは冊子を片手に颯爽と時空を超えた。
次は担当医が言っていた痛い検査らしいが、あまりにもティナが怖がるので麻酔を使ってくれることになっていた。
「ティナさん・・・麻酔を打ちますね?ゆっくり息をしてください・・・そうです・・・ゆっくりと・・・」
ティナはだんだんと意識が遠のくのを自覚した。
(ああこのまま気を失うっていうのがベストなんだけど。一度あっちに戻って・・・すぐにこっちに帰ってきて・・・住むところを・・・)
ティナは完全に深い闇に沈んだ。
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『ティナ戻るのか?予定通りだな・・・それが例の?』
『あら?大魔神じゃないの。ってい事は私は気を失ったのね?』
『麻酔とはうまい事やったな。でもどうやってその本を手に持ってたんだ?』
『担当医にこの本が無いとすぐに心臓が止まる病だって言ったら検査着の中に入れてくれたのよ。男っていつの時代もチョロいわね』
『いやいや・・・その医者がバカなんじゃなの?まあ上手くいって良かったじゃないか』
『うん・・・どうしたの?あんたらしくないわね。元気が無いよ?』
『いや・・・ちょっと言いにくいことだが・・・お前が戻った日にあのシスターは息が止まるよ』
『そうなの?最後まで意識が戻らないってこと?』
『最後に少し戻してやる事はできるが・・・』
『じゃあ戻してよ。とっても良い作戦を考えたのよ。検査受けながら』
『作戦?』
『そう。どうもあっちの世界で動ける体になるためにはリハビリが必要らしくて、一か月位掛かるらしいのよ』
『結構長いな』
『ずっと寝てたから筋肉をつけるところから始めないといけないそうよ。で、この本をこっちの世界に置いてから宝石持ってあっちにすぐ戻ろうと思うのよ』
『そんなにすぐに戻る必要あるのか?』
『うん。動けるようになっておかないと不便だし、こっちの世界に来ている間にあっちの世界で体を隠しておける家も探さないといけないでしょう?』
『教会で良いんじゃね?』
『バカねぇ~今どきの奴らが神やら聖女やら信じるわけないでしょうに・・・』
『世知辛いな・・・なんというか・・・身につまされる思いだ』
『まあね・・・現実を受け止めなさい。私は神様信じてるよ?だってリアルに会ってるし』
『なぜだろう・・・あまり嬉しくない』
ティナは吹き出した。
つられて神も笑っている。
『でさぁ、こっちから宝石持って行ってケヴィンに売ってもらってお金にして、人里離れた所に別荘でも買っておけば体を隠せるでしょう?』
『なるほどな・・・使える加害者はとことん使い倒すそのお前の性格・・・割と好きだな』
『告白ならあんたの番にしなさいよ?』
『そんなのではない!』
『まあ良いから・・・でね?リハビリと物件探しと購入まで同時進行で一か月で片づける!』
『超特急だな』
『だからこっちの世界に戻っても十日くらいはまた気を失ってないといけないでしょう?』
『そうだな』
『その上に教会で生活できるようにするためには私を特別視させる必要があるわけ』
『我が僕たちも利用するのか・・・ティナ・・・神の鉄槌って知ってるか?』
『あんたが下さなければ回避できるでしょうが!まあ聞いてよ。あんたの協力は不可避なんだから』
『聞くのが怖い・・・』
『ふふふ・・・私がこっちに戻った時にロージーがまだ目覚めない状態で、私が神の声を聞くの。敬虔な信者であるロージーに最後の十日間を与えるとお告げがあったって』
『・・・‥‥‥それから?』
『十日間ロージーの意識を戻してアランと最後の時間を持たせるの。その十日間と引き換えに私がロージーの代わりに神に仕えるために仮死状態になるという設定にするの』
『要するに俺は十日間ロージーの意識を持たせれば良いのか?』
『やっぱあんた頭良いわ。伊達に神やってないわね』
『不敬なヤツだな・・・まあそれは承知した。上手いことやれよ?』
『任せなさい!』
『不安だ・・・』
『なんか言った?』
『いいえ、何も言っていません』
『じゃあそういう段取りで。私がペンダントを握ったらロージーの意識を戻してね。引き換えに私が気を失ったふりをするから』
『なるほど・・・別室で人が居ない時に本当に気を失う算段をするという事だな?』
『そう。まあその時に思い切り床に頭をぶつける勢いで倒れる予定だけど』
ものすごく不安そうな顔の神を残し、ティナは冊子を片手に颯爽と時空を超えた。
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