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神からの提案
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張り切って病室を出て行ったケヴィンの後ろ姿を見送りながらティナは思った。
(あのフットワークの軽さ!凄いわね・・・彼ってお金持ちっぽいけど独身かしら)
タイミングよく神の声が響く。
『お疲れさん。お前さぁ時空の扉出るとき衝撃受けないの?』
『ああ、凄い突風が吹き付ける感じの事?あんなのへっちゃらよ?』
『なんというか・・・おまえかっこいいな。この世界にスカウトしたいくらいだ』
『ギャラによっては考えるわよ?』
『・・・やっぱ止めとく』
『まあそれが賢明かもね。でさあちょっと教えてほしいんだけど・・・ケヴィンって独身?』
『ティナ・・・もはや流石としか言いようがない・・・ああ、独身だ。一回結婚したけど離婚してる。子供はいない。ついでに言うとかなり大きな企業体トップの御曹司だよ』
『あら!優良物件!』
『止めないが・・・ちょっと変わった性癖持ってるぞ?』
『何よ』
『ババ専・・・』
『・・・・・・聞かなかったことにする』
『ああ・・・』
神とティナの間に微妙な空気が流れた。
『それはそうと家の場所なんだけど心当たり無い?』
『かなり都心からは離れるが、とても敬虔な我が僕が運営する教会の裏手の丘に、新しい一軒家がるんだが・・・こればかりはお前の考え次第だな』
『へぇぇぇ~どこよ?』
『ヘインズ・・・お前の知っている奴が神官でその母親が孤児院をやっている』
『知り合いって・・・良く分からないけど。ヘインズって良いところなの?』
『地理的には都心から車で二時間くらいの田舎町だ。国境に近いから移民が多くて孤児が溢れてるが治安はいいぞ。俺が言ってるのは神官の事だ』
『神官?その人が知り合い?何か問題が?』
『ああ・・・ゼロアという名前だ。覚えているんだろう?』
『ゼロア・・・・・・そう・・・やっぱり神官になったの・・・奥さんは?同い年の人じゃない?』
『いや、独身だ。誰とも付き合ったこと無いんじゃないか?女っけは全くない』
『じゃあ、あの子はいなくなったのね・・・』
『お前の言う子供なら引っ越してすぐにいなくなったよ。若い男についていった』
『そう・・・ゼロアはまた裏切られたのね』
『いや、違うだろう。生きる道を見つけたといって親子で喜んでいたから』
『お父さんの方は?』
『彼は従軍神官になって・・・戦死した』
『そうなの・・・心が痛むわ』
『まあそういうわけでお勧めなんだけど、お勧めしていいかわからないってところだ』
『なるほどね・・・でも・・・そこに・・・しようかな』
『え?お前・・・良いのか?お前が背負うようなことじゃないぞ?』
『孤児院の助けになるかも知れないし・・・恩義もあるしね。それにどうせ体を置いておくだけの場所だから・・・』
『お前がそういうなら・・・まあ教会と孤児院は助かるが・・・ゆっくり考えろよ』
『うん、わかった。ちゃんと考える・・・ってそんな時間ないでしょう!早急に決めるわ!』
『やっぱ・・・俺、お前の事好きだわ。女としてじゃないけど』
『今コクった?』
『違うし!コクってないし!あ~~~~~もう帰る!』
突然神の気配が消えた。
「あらあら照れちゃって~」
何の気配も無い窓辺に向かってティナがそっと呟いた。
ティナの独り言が続く。
「そうよね・・・ゼロアの助けになるならいい事かもね。都心から二時間かぁ~ちょっと遠いかな・・・都心の高層マンションっていう手もあるのよねぇ」
ティナはゆっくりと目を閉じてそのまま深い眠りについた。
すっと窓から光が差し込みティナの顔を照らす。
神がティナの枕元に現れ、じっと寝顔を見つめていた。
(あのフットワークの軽さ!凄いわね・・・彼ってお金持ちっぽいけど独身かしら)
タイミングよく神の声が響く。
『お疲れさん。お前さぁ時空の扉出るとき衝撃受けないの?』
『ああ、凄い突風が吹き付ける感じの事?あんなのへっちゃらよ?』
『なんというか・・・おまえかっこいいな。この世界にスカウトしたいくらいだ』
『ギャラによっては考えるわよ?』
『・・・やっぱ止めとく』
『まあそれが賢明かもね。でさあちょっと教えてほしいんだけど・・・ケヴィンって独身?』
『ティナ・・・もはや流石としか言いようがない・・・ああ、独身だ。一回結婚したけど離婚してる。子供はいない。ついでに言うとかなり大きな企業体トップの御曹司だよ』
『あら!優良物件!』
『止めないが・・・ちょっと変わった性癖持ってるぞ?』
『何よ』
『ババ専・・・』
『・・・・・・聞かなかったことにする』
『ああ・・・』
神とティナの間に微妙な空気が流れた。
『それはそうと家の場所なんだけど心当たり無い?』
『かなり都心からは離れるが、とても敬虔な我が僕が運営する教会の裏手の丘に、新しい一軒家がるんだが・・・こればかりはお前の考え次第だな』
『へぇぇぇ~どこよ?』
『ヘインズ・・・お前の知っている奴が神官でその母親が孤児院をやっている』
『知り合いって・・・良く分からないけど。ヘインズって良いところなの?』
『地理的には都心から車で二時間くらいの田舎町だ。国境に近いから移民が多くて孤児が溢れてるが治安はいいぞ。俺が言ってるのは神官の事だ』
『神官?その人が知り合い?何か問題が?』
『ああ・・・ゼロアという名前だ。覚えているんだろう?』
『ゼロア・・・・・・そう・・・やっぱり神官になったの・・・奥さんは?同い年の人じゃない?』
『いや、独身だ。誰とも付き合ったこと無いんじゃないか?女っけは全くない』
『じゃあ、あの子はいなくなったのね・・・』
『お前の言う子供なら引っ越してすぐにいなくなったよ。若い男についていった』
『そう・・・ゼロアはまた裏切られたのね』
『いや、違うだろう。生きる道を見つけたといって親子で喜んでいたから』
『お父さんの方は?』
『彼は従軍神官になって・・・戦死した』
『そうなの・・・心が痛むわ』
『まあそういうわけでお勧めなんだけど、お勧めしていいかわからないってところだ』
『なるほどね・・・でも・・・そこに・・・しようかな』
『え?お前・・・良いのか?お前が背負うようなことじゃないぞ?』
『孤児院の助けになるかも知れないし・・・恩義もあるしね。それにどうせ体を置いておくだけの場所だから・・・』
『お前がそういうなら・・・まあ教会と孤児院は助かるが・・・ゆっくり考えろよ』
『うん、わかった。ちゃんと考える・・・ってそんな時間ないでしょう!早急に決めるわ!』
『やっぱ・・・俺、お前の事好きだわ。女としてじゃないけど』
『今コクった?』
『違うし!コクってないし!あ~~~~~もう帰る!』
突然神の気配が消えた。
「あらあら照れちゃって~」
何の気配も無い窓辺に向かってティナがそっと呟いた。
ティナの独り言が続く。
「そうよね・・・ゼロアの助けになるならいい事かもね。都心から二時間かぁ~ちょっと遠いかな・・・都心の高層マンションっていう手もあるのよねぇ」
ティナはゆっくりと目を閉じてそのまま深い眠りについた。
すっと窓から光が差し込みティナの顔を照らす。
神がティナの枕元に現れ、じっと寝顔を見つめていた。
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