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神が買ったハンバーガー
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両手で顔を覆っていたティナにジュリアが駆け寄る。
「大丈夫ですか?ティナさん。ご気分がすぐれませんか?」
「ジュリア・・・そう・・・あなたはジュリアというの。きれいな名前ね。お母様が亡くなったのは幾つの時なの?」
「ティナさん?・・・母が亡くなったのは私が5歳の時です。今から15年前ですね・・・その時からマダムマリアンのお世話になったのです」
「ちょっと待って!マダムマリアンですって?」
「ええ、週に一度か二度くらいでしょうか。この地区に住む子供たちの様子を見に来てくださっていたのです。パンやお菓子を持って」
「そう・・・マダムマリアンが・・・」
「ご存じなのですか?」
「ええ、私もマダムマリアンに助けていただいたのよ」
「では・・・もしかして・・・姉さん?」
「っつ・・・マダムから何か聞いてるの?」
「あなたには12歳上のお姉さんがいるのよと・・・とっても頑張り屋さんで・・・ピアノが上手で・・・ハイスクールを卒業してすぐに街を出たと・・・姉さんなの?」
「・・・ごめんね。あなたの存在さえ知らなかった私を許して」
「本当に?本当に姉さん?ティナ・・・マダムは名前を教えてくれなかったから」
「そう・・・きっと知らない方が良いと判断されたのね」
「ああ・・・神よ・・・」
アルフレッドが反応した。
「ん?呼んだ?」
ティナが慌ててアルフレッドの足を踏む。
「ぐっ・・・痛いぞティナ・・・」
「ちょっと黙って!・・・ジュリア、あなたも信じられないでしょうけれど、私も信じられないわ。母親の名前を同時に言ってみる?」
「ええ・・・良いですよ」
二人は息を合わせて同時に言った。
「「アンジェラ」」
数秒の間、まったく動かなかった二人だったがどちらともなく抱き合った。
「ああ・・・神よ・・・」
ぴくっと動いただけで、アルフレッドは返事をぐっと堪えた。
教会の祭壇に腰かけたティナとジュリアは、お互いの存在を確かめ合うように手を握りあったまま話していた。
シェリーが子供たちを集めて遊んでやっている。
バンと音を立てて教会の扉が開いた。
「ほら!たくさん買ってきたぞ」
両手に大きな紙袋を抱えたアルフレッドが嬉しそうな顔でずんずんと入ってきた。
「凄い!いいにおい~」
子供たちがアルフレッドを囲んでキラキラとした笑顔を見せた。
その子供たちよりキラキラした笑顔のアルフレッドが紙袋をシェリーに渡しながら言った。
「どれが良いのかわからなかったから全種類買ってきた」
「あ・・・ありがとうございます。凄いですね・・・こんなにたくさんのハンバーガー・・・初めて見ます」
「いや、いつも手を差し伸べることができず歯がゆい思いをしていたから・・・なんというか・・・とてもうれしい!」
そんなアルフレッドをティナは苦笑いで見ていた。
子供たちに囲まれるアルフレッドの周りには天使がたくさん飛んでいる。
(天使たちに守ってもらえないかしら)
「ねえアル?この教会を復活させない?」
「ああ、良いな。今のお前ならできるだろう。でも時間が無いな・・・あっあいつか?」
「へへへ・・・ケヴィン様にお願いしようかな」
「悪い顔して善行を行うティナ・・・愛してるぞ」
「アル・・・あなたこそ、神々しい笑顔で悪だくみするところがとても好きよ」
「「ふふふふふふふ」」
そんな二人を見てジュリアとシェリーは顔を引き攣らせた。
ふと思いついたようにアルフレッドがティナに聞いた。
「そうだ、あいつのことは話したのか?」
「あいつ・・・ゼロアのこと?」
「ああ、腹違いの兄弟になるだろう?」
「そうね・・・でも・・・言うべき?言うべきよね・・・現実だもんね」
ジュリアが口を挟んだ。
「腹違いの?兄弟がいるのですか?」
ティナはぐっと唇をかみしめた。
「大丈夫ですか?ティナさん。ご気分がすぐれませんか?」
「ジュリア・・・そう・・・あなたはジュリアというの。きれいな名前ね。お母様が亡くなったのは幾つの時なの?」
「ティナさん?・・・母が亡くなったのは私が5歳の時です。今から15年前ですね・・・その時からマダムマリアンのお世話になったのです」
「ちょっと待って!マダムマリアンですって?」
「ええ、週に一度か二度くらいでしょうか。この地区に住む子供たちの様子を見に来てくださっていたのです。パンやお菓子を持って」
「そう・・・マダムマリアンが・・・」
「ご存じなのですか?」
「ええ、私もマダムマリアンに助けていただいたのよ」
「では・・・もしかして・・・姉さん?」
「っつ・・・マダムから何か聞いてるの?」
「あなたには12歳上のお姉さんがいるのよと・・・とっても頑張り屋さんで・・・ピアノが上手で・・・ハイスクールを卒業してすぐに街を出たと・・・姉さんなの?」
「・・・ごめんね。あなたの存在さえ知らなかった私を許して」
「本当に?本当に姉さん?ティナ・・・マダムは名前を教えてくれなかったから」
「そう・・・きっと知らない方が良いと判断されたのね」
「ああ・・・神よ・・・」
アルフレッドが反応した。
「ん?呼んだ?」
ティナが慌ててアルフレッドの足を踏む。
「ぐっ・・・痛いぞティナ・・・」
「ちょっと黙って!・・・ジュリア、あなたも信じられないでしょうけれど、私も信じられないわ。母親の名前を同時に言ってみる?」
「ええ・・・良いですよ」
二人は息を合わせて同時に言った。
「「アンジェラ」」
数秒の間、まったく動かなかった二人だったがどちらともなく抱き合った。
「ああ・・・神よ・・・」
ぴくっと動いただけで、アルフレッドは返事をぐっと堪えた。
教会の祭壇に腰かけたティナとジュリアは、お互いの存在を確かめ合うように手を握りあったまま話していた。
シェリーが子供たちを集めて遊んでやっている。
バンと音を立てて教会の扉が開いた。
「ほら!たくさん買ってきたぞ」
両手に大きな紙袋を抱えたアルフレッドが嬉しそうな顔でずんずんと入ってきた。
「凄い!いいにおい~」
子供たちがアルフレッドを囲んでキラキラとした笑顔を見せた。
その子供たちよりキラキラした笑顔のアルフレッドが紙袋をシェリーに渡しながら言った。
「どれが良いのかわからなかったから全種類買ってきた」
「あ・・・ありがとうございます。凄いですね・・・こんなにたくさんのハンバーガー・・・初めて見ます」
「いや、いつも手を差し伸べることができず歯がゆい思いをしていたから・・・なんというか・・・とてもうれしい!」
そんなアルフレッドをティナは苦笑いで見ていた。
子供たちに囲まれるアルフレッドの周りには天使がたくさん飛んでいる。
(天使たちに守ってもらえないかしら)
「ねえアル?この教会を復活させない?」
「ああ、良いな。今のお前ならできるだろう。でも時間が無いな・・・あっあいつか?」
「へへへ・・・ケヴィン様にお願いしようかな」
「悪い顔して善行を行うティナ・・・愛してるぞ」
「アル・・・あなたこそ、神々しい笑顔で悪だくみするところがとても好きよ」
「「ふふふふふふふ」」
そんな二人を見てジュリアとシェリーは顔を引き攣らせた。
ふと思いついたようにアルフレッドがティナに聞いた。
「そうだ、あいつのことは話したのか?」
「あいつ・・・ゼロアのこと?」
「ああ、腹違いの兄弟になるだろう?」
「そうね・・・でも・・・言うべき?言うべきよね・・・現実だもんね」
ジュリアが口を挟んだ。
「腹違いの?兄弟がいるのですか?」
ティナはぐっと唇をかみしめた。
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