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それぞれの決意
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楽しく笑いあった雰囲気を鎮める様に、マリアンヌがティナの手強く握った。
「ティナロア様、本当になんとお詫びを申してよいか・・・この身に代えましても必ずや・・・」
ティナがマリアンヌの手を握り返した。
「何を仰いますか。今回のことは全て私の行動が招いたことですわ。マリアンヌ姫が責任を感じることではございません。でもそのお気持ちはわかります。ですので当日はアーレントのこと、よろしくお願い申し上げます」
キリウスが急に跪いた。
「ティナ嬢・・・いえ、皇后陛下。此度のことは私の言葉足らずが全ての原因です。これは捕えたスパイから得た証言で確認いたしました。私があの時ティナロア嬢は聖女ではないときっぱり言い切っていれば・・・申し訳ございません」
今度はハーベストが口を開く。
「お前のせいじゃないさ。ほとんどの国でティナは聖女と認識されているんだ。そうでしょう?キアヌ殿」
「ええ、ティナロア嬢は聖女という認識はスタンダードですね。私もずっとそう思っていたし。キリウス殿がいくら否定されたとしても、いずれ起こったことでしょう。それよりも一度聞いてみたかったのですが・・・」
「なんでしょうか?」
キリウスが顔を上げた。
「大帝国の皇帝の婚姻が済崩しとか、危険を予知できたのに、よりにもよってこの時期に懐妊とか・・・謎ですよねぇ」
ハーベストが口を手で覆って一歩後ずさった。
全員の目がハーベストに向いている。
ハーベストが搔っ攫うようにしてアーレントを盾にした。
「メンボクシダイモゴザイマセン・・・だって・・・ティナが・・・可愛すぎて・・・」
キアヌが遠い目をしてキリウスに向き直った。
「なるほど・・・まさかとは思いますが?マリアンヌ姫?」
マリアンヌが真っ赤になってお腹を庇う。
キリウスが小さな声で言った。
「メンボクシダイモゴザイマセン・・・だって・・・マリアンヌが・・・」
「もう結構です」
キアヌがバッサリと言い訳をぶった切った。
ティナが声を出して笑った。
「何か月になられますの?」
「三か月に入りましたわ」
キリウスはどんどん小さくなっていく。
そんなキリウスを見ながらティナは口角を上げた。
「まあ、お辛い時期ではありませんか。順調ですの?」
「はい、お陰様で悪阻は軽くすんでおります」
「それは何よりですわ。どうぞお大事になさって下さいませね。ところでお式はどうなさるのかしら」
これ以上小さくはなれないほど縮こまったキリウスが返事をする。
「認証式が終わってから・・・来月辺りにと考えております」
「おめでとうございます。私は少し真面目過ぎたかなと反省させられましたよ。私も可愛いお嫁さんが欲しいなぁ~」
キアヌがお道化る様に言い、場を和ませた。
アーレントを迎えに来た侍女にレナード伯爵とベルツ王国のハロッズ侯爵を呼ぶように伝えると、五人はソファーに座った。
二人が到着し、七人は当日の役割について話し合った。
夕食の準備が整ったと侍従が報告に来た時には、全員が疲労困憊という顔をしていた。
キリウスが全員の顔を見まわして口を開く。
「もう一度確認しますね。ハーベストと私は会場に詰めるしかないですが、壇上から怪しい動きには細心の注意を払います。何かあれば・・・レナード」
レナード伯爵がサムズアップしながら頷く。
「私が会場内に潜ませた騎士達に指示を出します。ですのでハロッズ侯爵は・・・」
ハロッズ侯爵が頷きながら言う。
「私はすぐにナサーリアを連れて会場を出ます。会場の周りを固めているのは連合軍の兵士ですので公平性は保たれる。それにシルバー卿が直接指揮をとりますからね」
全員が一度頷いた。
キリウスがマリアンヌを見て言葉を続ける。
「マリアンヌはとにかくアーレント皇子の側を離れないで。あなたの安全より・・・アーレント皇子の身を・・・守ってほしい・・・」
マリアンヌは嬉しそうな顔で大きく頷いた。
「よく言って下さいましたわ。お任せください。何があろうともお守りしてみせます」
「うっ・・・すまない・・・マリアンヌ」
二人が見つめあう中、ハーベストが口を開いた。
「まあそう心配するな。マリアンヌ姫に危険が及ぶような事があれば、このキリウスが真っ先に駆けつけるさ。私は自分で身を守れるから安心して離れてくれキリウス」
「ああ・・・ありがたくそうさせてもらう」
キアヌが口を開いた。
「私はベルツ国王の側に張り付いて見張るんだったね。どんな些細なことでもおかしいと感じたらレナード殿に合図を送る」
レナードが引き取った。
「はい。合図を受け取ったら壇上のキリウスに知らせながら会場を確保する」
ティナがしゅぴっと手を挙げて言う。
「私はお部屋でひたすらいい子にしております!」
「ティナロア様、本当になんとお詫びを申してよいか・・・この身に代えましても必ずや・・・」
ティナがマリアンヌの手を握り返した。
「何を仰いますか。今回のことは全て私の行動が招いたことですわ。マリアンヌ姫が責任を感じることではございません。でもそのお気持ちはわかります。ですので当日はアーレントのこと、よろしくお願い申し上げます」
キリウスが急に跪いた。
「ティナ嬢・・・いえ、皇后陛下。此度のことは私の言葉足らずが全ての原因です。これは捕えたスパイから得た証言で確認いたしました。私があの時ティナロア嬢は聖女ではないときっぱり言い切っていれば・・・申し訳ございません」
今度はハーベストが口を開く。
「お前のせいじゃないさ。ほとんどの国でティナは聖女と認識されているんだ。そうでしょう?キアヌ殿」
「ええ、ティナロア嬢は聖女という認識はスタンダードですね。私もずっとそう思っていたし。キリウス殿がいくら否定されたとしても、いずれ起こったことでしょう。それよりも一度聞いてみたかったのですが・・・」
「なんでしょうか?」
キリウスが顔を上げた。
「大帝国の皇帝の婚姻が済崩しとか、危険を予知できたのに、よりにもよってこの時期に懐妊とか・・・謎ですよねぇ」
ハーベストが口を手で覆って一歩後ずさった。
全員の目がハーベストに向いている。
ハーベストが搔っ攫うようにしてアーレントを盾にした。
「メンボクシダイモゴザイマセン・・・だって・・・ティナが・・・可愛すぎて・・・」
キアヌが遠い目をしてキリウスに向き直った。
「なるほど・・・まさかとは思いますが?マリアンヌ姫?」
マリアンヌが真っ赤になってお腹を庇う。
キリウスが小さな声で言った。
「メンボクシダイモゴザイマセン・・・だって・・・マリアンヌが・・・」
「もう結構です」
キアヌがバッサリと言い訳をぶった切った。
ティナが声を出して笑った。
「何か月になられますの?」
「三か月に入りましたわ」
キリウスはどんどん小さくなっていく。
そんなキリウスを見ながらティナは口角を上げた。
「まあ、お辛い時期ではありませんか。順調ですの?」
「はい、お陰様で悪阻は軽くすんでおります」
「それは何よりですわ。どうぞお大事になさって下さいませね。ところでお式はどうなさるのかしら」
これ以上小さくはなれないほど縮こまったキリウスが返事をする。
「認証式が終わってから・・・来月辺りにと考えております」
「おめでとうございます。私は少し真面目過ぎたかなと反省させられましたよ。私も可愛いお嫁さんが欲しいなぁ~」
キアヌがお道化る様に言い、場を和ませた。
アーレントを迎えに来た侍女にレナード伯爵とベルツ王国のハロッズ侯爵を呼ぶように伝えると、五人はソファーに座った。
二人が到着し、七人は当日の役割について話し合った。
夕食の準備が整ったと侍従が報告に来た時には、全員が疲労困憊という顔をしていた。
キリウスが全員の顔を見まわして口を開く。
「もう一度確認しますね。ハーベストと私は会場に詰めるしかないですが、壇上から怪しい動きには細心の注意を払います。何かあれば・・・レナード」
レナード伯爵がサムズアップしながら頷く。
「私が会場内に潜ませた騎士達に指示を出します。ですのでハロッズ侯爵は・・・」
ハロッズ侯爵が頷きながら言う。
「私はすぐにナサーリアを連れて会場を出ます。会場の周りを固めているのは連合軍の兵士ですので公平性は保たれる。それにシルバー卿が直接指揮をとりますからね」
全員が一度頷いた。
キリウスがマリアンヌを見て言葉を続ける。
「マリアンヌはとにかくアーレント皇子の側を離れないで。あなたの安全より・・・アーレント皇子の身を・・・守ってほしい・・・」
マリアンヌは嬉しそうな顔で大きく頷いた。
「よく言って下さいましたわ。お任せください。何があろうともお守りしてみせます」
「うっ・・・すまない・・・マリアンヌ」
二人が見つめあう中、ハーベストが口を開いた。
「まあそう心配するな。マリアンヌ姫に危険が及ぶような事があれば、このキリウスが真っ先に駆けつけるさ。私は自分で身を守れるから安心して離れてくれキリウス」
「ああ・・・ありがたくそうさせてもらう」
キアヌが口を開いた。
「私はベルツ国王の側に張り付いて見張るんだったね。どんな些細なことでもおかしいと感じたらレナード殿に合図を送る」
レナードが引き取った。
「はい。合図を受け取ったら壇上のキリウスに知らせながら会場を確保する」
ティナがしゅぴっと手を挙げて言う。
「私はお部屋でひたすらいい子にしております!」
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