27 / 68
26 子供たちとの日々
しおりを挟む
私たちの卒業式は厳かに行われました。
今年も皇太子殿下が祝辞を述べられましたが、後ろに控えているのはエヴァン様ではなく、真っ白な正装がとても素敵な騎士様でした。
ララが真っ赤な顔で私の袖を引きました。
「素敵ね、あの方。私ってもしかしたら一目ぼれしたかも」
「ララ?大丈夫?顔が真っ赤だよ?」
「うん、ドキドキして倒れそう」
私はのぼせたような顔のララを心配するのが忙しく、せっかくの祝辞をあまり聞いていませんでした。
卒業式が終わり、ダンスパーティーのために一旦寮に戻ります。
今日でこの部屋ともお別れですので、昨日のうちに奇麗に掃除も済ませています。
ドイル家から派遣されたメイド達が、手際よくララと私を飾り立ててくれました。
ドレスはもちろんエヴァン様が送ってくださったマーメイドラインのドレスです。
今年はエヴァン様が私のエスコートをして下さいました。
私たちが婚約者であることはあまり知られていませんが、今日の装いで全員が知ることとなるでしょう。
皇太子殿下の開会宣言のあと、エヴァン様と二曲踊りました。
ララはエヴァン様と一曲踊った後、先ほど皇太子殿下の後ろに控えておられた騎士様と一曲踊りました。
きっとエヴァン様におねだりしたのでしょうね。
この学園で経験したことは一生の宝です。
私は予定通り領地には戻らず、明日からさっそく国立研究所に助手として勤務します。
ドイル家の皆さんのご厚意で、一旦はドイル家に居候することになりましたが、早いうちに研究所の寮に移ろうと思っています。
このままズルズルとお世話になり続けるのは、如何に言っても心苦しいですから。
勤務に慣れたらエヴァン様に相談しようと思っています。
ドイル家ではいつも使わせてもらっていた客間が私の自室になりました。
クローセットが大きなものに変わり、読書デスクが撤去されて立派な執務机が据えられました。
あくる日の朝は、少し早めに出勤しました。
サリバン所長から所員証と一緒に白衣を渡され、私の仕事の説明がありました。
私の仕事は子供達四人の特徴を分析することです。
ほとんど一日中張り付いていないといけませんが、それぞれが好き勝手に行動するのでなかなか忙しいそうです。
子供たちは食事時間も決まっていませんし、食べる場所も決まっていません。
その日にやるべきことなどの決まりもなく、ただ興味が向くまま過ごしています。
約半年ほど観察を続けた結果、ある程度のパターンをみつけることができました。
聴覚をトリガーとして記憶する能力を持つエスメラルダは、起きたらすぐに朝食をとります。
朝食の後は庭を散歩したり、サリバン博士や私の後をついて回ります。
見たものの細部までを瞬時で記憶し、絵として再現できる空間認識能力をもったアレクは、ほとんどお昼まで起きてきません。
ランチとして用意されたものを食べると、昨日の続きに取り掛かります。
気分が乗れば夜まで描き続けますが、そうでないときはペンを持つことさえせず、ずっと屋上から塀の外を眺めています。
視覚を通して記憶する能力があるドレックは、私が入所する前に百科事典の記憶を修了したそうで、今は自国の法律全書を広げています。
覚えるといっても、彼の場合は内容を把握するわけではなく、絵として記憶しているのでは無いかとサリバン博士は言っていました。
その理由は、指定したページの内容を端から順に読み上げたり、指定した箇所だけを読み上げたりできるにもかかわらず、その内容について質問しても無反応だからという事でした。
歩く百科事典そのものですね。
ここに所属する子供たちの中で唯一通って来るのがジョアンです。
彼が神から与えられたギフトは分析能力です。
ジョアンは積み上げられた土砂の量を瞬時に言い当てますし、研究所の池の水の量も目で見ただけで計算して見せました。
土の特性についても詳しくて、研究所の裏山を何日も見続けた後、場所を指定して土のサンプルを取り寄せて触りながらこういいました。
「あと二回の大雨で、あそこが崩れる」
私と一緒にそれを聞いていたサリバン博士は、大急ぎで補強工事の指示をしました。
私が理由を聞くと、あの裏山の土は保水力が高い腐葉土でできた斜面と、水はけのよい小さな石が多い土でできた斜面があり、保水量が限界を超えると表層が滑るように崩れる可能性が高いのだそうです。
彼の特徴でもありますが、単語の羅列のような喋り方ですから、ここまで聞き出すのに三日ほどかかりましたが。
「凄いねジョアン。見ただけでわかるの?」
「見て触る」
それぞれのペースに合わせて、やりたいことだけを優先させてやりつつ、私は毎日彼らに挨拶を続けました。
挨拶という行為の意味など理解してくれなくて良いのです。
ただ相手に伝わるように伝え続けるという行動を通して、この先彼らが不要な摩擦に巻き込まれないようにしたいという一心での行動でした。
約一年ほど続けた結果、私の顔を見ると全員が『こんにちは』と言ってくれるようになりました。
昼でも夜でも『こんにちは』ですし、一日に何度会っても『こんにちは』ですが、私の努力が少しだけ実を結んだような気がします。
私は半年ほど前に爵位を承継しました。
領地も予定通りハイド子爵に全権委任する形で承継しましたが、本来なら数年かかるであろう隣地買収の手続きがスムーズに進んだお陰です。
これはもちろんエヴァン様が皇太子殿下の側近だったことが大きいです。
以前予告されていた皇太子殿下との対面はまだ実行されていません。
とてもお忙しい方なのですね。
書面上の手続きが全て終わったあと、私はドイル伯爵家から研究所の寮に移りました。
伯爵も夫人も引き止めて下さいましたが、できるだけ子供たちと長く過ごしたいという私の希望をいれる形で了承してくださいました。
ララは卒業式で出会った騎士様と順調に交際を続けています。
彼は子爵家の嫡子で去年から近衛に配属になったマイロ・ハーレン様といいます。
エヴァン様曰く、同年代の中ではエースなのだそうです。
そんな暮らしの中、休みの度にデートに誘ってくださるエヴァン様から話があると言われました。
珍しく真剣なお顔です。
今年も皇太子殿下が祝辞を述べられましたが、後ろに控えているのはエヴァン様ではなく、真っ白な正装がとても素敵な騎士様でした。
ララが真っ赤な顔で私の袖を引きました。
「素敵ね、あの方。私ってもしかしたら一目ぼれしたかも」
「ララ?大丈夫?顔が真っ赤だよ?」
「うん、ドキドキして倒れそう」
私はのぼせたような顔のララを心配するのが忙しく、せっかくの祝辞をあまり聞いていませんでした。
卒業式が終わり、ダンスパーティーのために一旦寮に戻ります。
今日でこの部屋ともお別れですので、昨日のうちに奇麗に掃除も済ませています。
ドイル家から派遣されたメイド達が、手際よくララと私を飾り立ててくれました。
ドレスはもちろんエヴァン様が送ってくださったマーメイドラインのドレスです。
今年はエヴァン様が私のエスコートをして下さいました。
私たちが婚約者であることはあまり知られていませんが、今日の装いで全員が知ることとなるでしょう。
皇太子殿下の開会宣言のあと、エヴァン様と二曲踊りました。
ララはエヴァン様と一曲踊った後、先ほど皇太子殿下の後ろに控えておられた騎士様と一曲踊りました。
きっとエヴァン様におねだりしたのでしょうね。
この学園で経験したことは一生の宝です。
私は予定通り領地には戻らず、明日からさっそく国立研究所に助手として勤務します。
ドイル家の皆さんのご厚意で、一旦はドイル家に居候することになりましたが、早いうちに研究所の寮に移ろうと思っています。
このままズルズルとお世話になり続けるのは、如何に言っても心苦しいですから。
勤務に慣れたらエヴァン様に相談しようと思っています。
ドイル家ではいつも使わせてもらっていた客間が私の自室になりました。
クローセットが大きなものに変わり、読書デスクが撤去されて立派な執務机が据えられました。
あくる日の朝は、少し早めに出勤しました。
サリバン所長から所員証と一緒に白衣を渡され、私の仕事の説明がありました。
私の仕事は子供達四人の特徴を分析することです。
ほとんど一日中張り付いていないといけませんが、それぞれが好き勝手に行動するのでなかなか忙しいそうです。
子供たちは食事時間も決まっていませんし、食べる場所も決まっていません。
その日にやるべきことなどの決まりもなく、ただ興味が向くまま過ごしています。
約半年ほど観察を続けた結果、ある程度のパターンをみつけることができました。
聴覚をトリガーとして記憶する能力を持つエスメラルダは、起きたらすぐに朝食をとります。
朝食の後は庭を散歩したり、サリバン博士や私の後をついて回ります。
見たものの細部までを瞬時で記憶し、絵として再現できる空間認識能力をもったアレクは、ほとんどお昼まで起きてきません。
ランチとして用意されたものを食べると、昨日の続きに取り掛かります。
気分が乗れば夜まで描き続けますが、そうでないときはペンを持つことさえせず、ずっと屋上から塀の外を眺めています。
視覚を通して記憶する能力があるドレックは、私が入所する前に百科事典の記憶を修了したそうで、今は自国の法律全書を広げています。
覚えるといっても、彼の場合は内容を把握するわけではなく、絵として記憶しているのでは無いかとサリバン博士は言っていました。
その理由は、指定したページの内容を端から順に読み上げたり、指定した箇所だけを読み上げたりできるにもかかわらず、その内容について質問しても無反応だからという事でした。
歩く百科事典そのものですね。
ここに所属する子供たちの中で唯一通って来るのがジョアンです。
彼が神から与えられたギフトは分析能力です。
ジョアンは積み上げられた土砂の量を瞬時に言い当てますし、研究所の池の水の量も目で見ただけで計算して見せました。
土の特性についても詳しくて、研究所の裏山を何日も見続けた後、場所を指定して土のサンプルを取り寄せて触りながらこういいました。
「あと二回の大雨で、あそこが崩れる」
私と一緒にそれを聞いていたサリバン博士は、大急ぎで補強工事の指示をしました。
私が理由を聞くと、あの裏山の土は保水力が高い腐葉土でできた斜面と、水はけのよい小さな石が多い土でできた斜面があり、保水量が限界を超えると表層が滑るように崩れる可能性が高いのだそうです。
彼の特徴でもありますが、単語の羅列のような喋り方ですから、ここまで聞き出すのに三日ほどかかりましたが。
「凄いねジョアン。見ただけでわかるの?」
「見て触る」
それぞれのペースに合わせて、やりたいことだけを優先させてやりつつ、私は毎日彼らに挨拶を続けました。
挨拶という行為の意味など理解してくれなくて良いのです。
ただ相手に伝わるように伝え続けるという行動を通して、この先彼らが不要な摩擦に巻き込まれないようにしたいという一心での行動でした。
約一年ほど続けた結果、私の顔を見ると全員が『こんにちは』と言ってくれるようになりました。
昼でも夜でも『こんにちは』ですし、一日に何度会っても『こんにちは』ですが、私の努力が少しだけ実を結んだような気がします。
私は半年ほど前に爵位を承継しました。
領地も予定通りハイド子爵に全権委任する形で承継しましたが、本来なら数年かかるであろう隣地買収の手続きがスムーズに進んだお陰です。
これはもちろんエヴァン様が皇太子殿下の側近だったことが大きいです。
以前予告されていた皇太子殿下との対面はまだ実行されていません。
とてもお忙しい方なのですね。
書面上の手続きが全て終わったあと、私はドイル伯爵家から研究所の寮に移りました。
伯爵も夫人も引き止めて下さいましたが、できるだけ子供たちと長く過ごしたいという私の希望をいれる形で了承してくださいました。
ララは卒業式で出会った騎士様と順調に交際を続けています。
彼は子爵家の嫡子で去年から近衛に配属になったマイロ・ハーレン様といいます。
エヴァン様曰く、同年代の中ではエースなのだそうです。
そんな暮らしの中、休みの度にデートに誘ってくださるエヴァン様から話があると言われました。
珍しく真剣なお顔です。
66
あなたにおすすめの小説
言いたいことはそれだけですか。では始めましょう
井藤 美樹
恋愛
常々、社交を苦手としていましたが、今回ばかりは仕方なく出席しておりましたの。婚約者と一緒にね。
その席で、突然始まった婚約破棄という名の茶番劇。
頭がお花畑の方々の発言が続きます。
すると、なぜが、私の名前が……
もちろん、火の粉はその場で消しましたよ。
ついでに、独立宣言もしちゃいました。
主人公、めちゃくちゃ口悪いです。
成り立てホヤホヤのミネリア王女殿下の溺愛&奮闘記。ちょっとだけ、冒険譚もあります。
【完結】婚約者?勘違いも程々にして下さいませ
リリス
恋愛
公爵令嬢ヤスミーンには侯爵家三男のエグモントと言う婚約者がいた。
先日不慮の事故によりヤスミーンの両親が他界し女公爵として相続を前にエグモントと結婚式を三ヶ月後に控え前倒しで共に住む事となる。
エグモントが公爵家へ引越しした当日何故か彼の隣で、彼の腕に絡みつく様に引っ付いている女が一匹?
「僕の幼馴染で従妹なんだ。身体も弱くて余り外にも出られないんだ。今度僕が公爵になるって言えばね、是が非とも住んでいる所を見てみたいって言うから連れてきたんだよ。いいよねヤスミーンは僕の妻で公爵夫人なのだもん。公爵夫人ともなれば心は海の様に広い人でなければいけないよ」
はて、そこでヤスミーンは思案する。
何時から私が公爵夫人でエグモンドが公爵なのだろうかと。
また病気がちと言う従妹はヤスミーンの許可も取らず堂々と公爵邸で好き勝手に暮らし始める。
最初の間ヤスミーンは静かにその様子を見守っていた。
するとある変化が……。
ゆるふわ設定ざまああり?です。
良いものは全部ヒトのもの
猫枕
恋愛
会うたびにミリアム容姿のことを貶しまくる婚約者のクロード。
ある日我慢の限界に達したミリアムはクロードを顔面グーパンして婚約破棄となる。
翌日からは学園でブスゴリラと渾名されるようになる。
一人っ子のミリアムは婿養子を探さなければならない。
『またすぐ別の婚約者候補が現れて、私の顔を見た瞬間にがっかりされるんだろうな』
憂鬱な気分のミリアムに両親は無理に結婚しなくても好きに生きていい、と言う。
自分の望む人生のあり方を模索しはじめるミリアムであったが。
完結 女性に興味が無い侯爵様 私は自由に生きます。
ヴァンドール
恋愛
私は絵を描いて暮らせるならそれだけで幸せ!
そんな私に好都合な相手が。
女性に興味が無く仕事一筋で冷徹と噂の侯爵様との縁談が。 ただ面倒くさい従妹という令嬢がもれなく付いてきました。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
婚約破棄された私は、号泣しながらケーキを食べた~限界に達したので、これからは自分の幸せのために生きることにしました~
キョウキョウ
恋愛
幼い頃から辛くて苦しい妃教育に耐えてきたオリヴィア。厳しい授業と課題に、何度も心が折れそうになった。特に辛かったのは、王妃にふさわしい体型維持のために食事制限を命じられたこと。
とても頑張った。お腹いっぱいに食べたいのを我慢して、必死で痩せて、体型を整えて。でも、その努力は無駄になった。
婚約相手のマルク王子から、無慈悲に告げられた別れの言葉。唐突に、婚約を破棄すると言われたオリヴィア。
アイリーンという令嬢をイジメたという、いわれのない罪で責められて限界に達した。もう無理。これ以上は耐えられない。
そしてオリヴィアは、会場のテーブルに置いてあったデザートのケーキを手づかみで食べた。食べながら泣いた。空腹の辛さから解放された気持ちよさと、ケーキの美味しさに涙が出たのだった。
※本作品は、少し前に連載していた試作の完成版です。大まかな展開や設定は、ほぼ変わりません。加筆修正して、完成版として連載します。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
大好きなあなたを忘れる方法
山田ランチ
恋愛
あらすじ
王子と婚約関係にある侯爵令嬢のメリベルは、訳あってずっと秘密の婚約者のままにされていた。学園へ入学してすぐ、メリベルの魔廻が(魔術を使う為の魔素を貯めておく器官)が限界を向かえようとしている事に気が付いた大魔術師は、魔廻を小さくする事を提案する。その方法は、魔素が好むという悲しい記憶を失くしていくものだった。悲しい記憶を引っ張り出しては消していくという日々を過ごすうち、徐々に王子との記憶を失くしていくメリベル。そんな中、魔廻を奪う謎の者達に大魔術師とメリベルが襲われてしまう。
魔廻を奪おうとする者達は何者なのか。王子との婚約が隠されている訳と、重大な秘密を抱える大魔術師の正体が、メリベルの記憶に導かれ、やがて世界の始まりへと繋がっていく。
登場人物
・メリベル・アークトュラス 17歳、アークトゥラス侯爵の一人娘。ジャスパーの婚約者。
・ジャスパー・オリオン 17歳、第一王子。メリベルの婚約者。
・イーライ 学園の園芸員。
クレイシー・クレリック 17歳、クレリック侯爵の一人娘。
・リーヴァイ・ブルーマー 18歳、ブルーマー子爵家の嫡男でジャスパーの側近。
・アイザック・スチュアート 17歳、スチュアート侯爵の嫡男でジャスパーの側近。
・ノア・ワード 18歳、ワード騎士団長の息子でジャスパーの従騎士。
・シア・ガイザー 17歳、ガイザー男爵の娘でメリベルの友人。
・マイロ 17歳、メリベルの友人。
魔素→世界に漂っている物質。触れれば精神を侵され、生き物は主に凶暴化し魔獣となる。
魔廻→体内にある魔廻(まかい)と呼ばれる器官、魔素を取り込み貯める事が出来る。魔術師はこの器官がある事が必須。
ソル神とルナ神→太陽と月の男女神が魔素で満ちた混沌の大地に現れ、世界を二つに分けて浄化した。ソル神は昼間を、ルナ神は夜を受け持った。
【完結】すり替えられた公爵令嬢
鈴蘭
恋愛
帝国から嫁いで来た正妻キャサリンと離縁したあと、キャサリンとの間に出来た娘を捨てて、元婚約者アマンダとの間に出来た娘を嫡子として第一王子の婚約者に差し出したオルターナ公爵。
しかし王家は帝国との繋がりを求め、キャサリンの血を引く娘を欲していた。
妹が入れ替わった事に気付いた兄のルーカスは、事実を親友でもある第一王子のアルフレッドに告げるが、幼い二人にはどうする事も出来ず時間だけが流れて行く。
本来なら庶子として育つ筈だったマルゲリーターは公爵と後妻に溺愛されており、自身の中に高貴な血が流れていると信じて疑いもしていない、我儘で自分勝手な公女として育っていた。
完璧だと思われていた娘の入れ替えは、捨てた娘が学園に入学して来た事で、綻びを見せて行く。
視点がコロコロかわるので、ナレーション形式にしてみました。
お話が長いので、主要な登場人物を紹介します。
ロイズ王国
エレイン・フルール男爵令嬢 15歳
ルーカス・オルターナ公爵令息 17歳
アルフレッド・ロイズ第一王子 17歳
マルゲリーター・オルターナ公爵令嬢 15歳
マルゲリーターの母 アマンダ・オルターナ
エレインたちの父親 シルベス・オルターナ
パトリシア・アンバタサー エレインのクラスメイト
アルフレッドの側近
カシュー・イーシヤ 18歳
ダニエル・ウイロー 16歳
マシュー・イーシヤ 15歳
帝国
エレインとルーカスの母 キャサリン帝国の侯爵令嬢(前皇帝の姪)
キャサリンの再婚相手 アンドレイ(キャサリンの従兄妹)
隣国ルタオー王国
バーバラ王女
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる