勇者のその後~地球に帰れなくなったので自分の為に異世界を住み良くしました~

十一屋 翠

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第146話 勇者、姫の名前を知る

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 ババァの件でどたばたしているキュウさんの屋敷を出た俺は、かつて帝が暮していたという内裏に向かって歩いていた。
 しっかし、一人で出てきたけど、本当に入れるんかな?
 門前払いとかされないかな?

「トウヤさーん!」

 と、後ろから俺を呼ぶ声が聞こえたので振り返ると、そこには俺を追ってきたクロワさんの姿があった。
 いやクロワさんだけじゃない。タンポポと姫の姿もある。
 あと何故かカンゾウさんの姿も。

「どうしたんですかクロワさん?」

「どうしたんですかじゃないですよ。夕べは色々あったみたいなのに私を除け者にしてー」

 あ、すんません。深夜だったからキュウさん以外を起こすのが申し訳なくて。
 まぁホントの事言うとすっかり忘れていたのだが。

「内裏に向かうんですよね?」

「なんでソレを?」

「キュウノスケ将軍から問題が発生して今日の会談は中止と言われたんです。その際に昨夜の事をお伺いしました」

 へー、会談なんてしてたのか。

「あれ? でも帝国に無断で勝手に会談なんて良いんですか?」

 クロワさんは皇帝を辞めた身だ。
 自分の行動が帝国に余計なトラブルを誘発する事を嫌って俺のところに転がり込んできたのだから、ここで勝手な行動をするのはそれこそ不味いのでは?

「その心配には及びません。今回の会談は帝国ではなく、勇者トウヤの納めるイナカイマとの交渉の為の下準備です」

「俺の?」

 どういう事だ?

「ええ。霊水の取得は私だけではどうにも出来ない状況になってしまいましたので、トウヤさんと合流する前にやれる事をやっておこうと思って交渉していたのです」

 あー、確かに霊域が帝かその血族しか入れないとなると完全に詰みだったもんなぁ。

「えーっと、それはどんな内容の交渉だったんですか?」

「はい、トウヤさんは西側諸国と表向き縁を切りました。一応裏では一部の時期王位継承者達と交渉していますがそれもまだ表立って発表できる内容ではありません。ですがイナカイマが発展してくれば色々と物入りになってきます。その時に大規模な交易を行う事のできる相手と今のうちに交渉しておく必要があるのです」

 まぁ確かに今のイナカイマは完全に自前の生産だけで成り立っているわけじゃないからな。もしも大量の食料などが必要になったら外部からの輸入に頼らないといけなくなる。

「帝国との交渉はそれなりに容易でしょうが、一国としか取引が無いのは交易としては危険です。ですのでこの国とも交易を行うべきと判断しました」

「一応ミナミッカ群島とも取引は出来ると思うけど……」

 あそこは実質俺が支配者みたいなもんだからなぁ。

「あそこは、国というには安定してませんので」

 いやいや、タンポポが居る前でそんな……

「お気遣い無く。確かにこの方がおっしゃる通り我々獣人は安定した生産が苦手です。そういう意味では大規模の取引は向かないでしょう」

 タンポポが冷静で良かったぜぇ……

「と、それはともかくです。トウヤさんが内裏に向かわれるとの事ですので、キュウノスケ将軍より入場の許可を頂いてきました」

 クロワさんがそう言うと、カンゾウさんが懐から折りたたまれた紙を取り出す。
 そこにはこの国の言葉で何かが書かれていた。
 漢字っぽいのだが、なんと言うか読みにくい。
 なんつーか古典の教科書に乗っている様なミミズののたくった様な文字だ。

「これは勇者殿が神剣を抜いた次期帝である事を証明する手紙でござる。将軍様の直臣である某が門番にコレを見せればすぐに中にいれてもらえるでござるよ」

 ああ、それでカンゾウさんが付いてきたのか。
 異国人である俺やクロワさんが将軍からの手紙を見せても素直に信じてもらえるとは思えないモンなぁ。

「カンゾウさん、お手数かけます」

「いやいや、勇者殿のお役に立てるのならばこの程度造作もないでござるよ」

 と、カンゾウさんが朗らかに笑う。

「じー……」

 なにやら横から視線が……
ちらりと視線だけを向けると、クロワさんがこちらをじーっと見つめていた。

「私も頑張って手紙を用意してもらったのになー、イナカイマの事を考えて対策を練っていたのになー」

 めっちゃ期待されとる。

「ええっと、クロワさんも色々手を回してくれてありがとうね。凄く感謝してるよ」

「……えへへー、どういたしましてー」

 良かった、機嫌が直ったみたいだ。
 
「じゃあ、内裏に行くとしようか」

「「「おー!」」」

 ところでタンポポと姫も付いてくる気満々だけど良いのかな? まぁいいか。

 ◆

「こちらが将軍様からの書状でござる」

 カンゾウさんが門番に書状を見せている間、俺達は目の前に広がる長い長い壁を見つめていた。

「……めっちゃ広い」

 いや本当に広いのだ。
 内裏の壁ははるか彼方、は言い過ぎにしても相当長い。
 この辺りのどの屋敷よりも広いのだ。
 ここまで来ると屋敷の敷地というよりは何かの大型建造物の敷地といえる。
 そうだな、グラウンドや体育館込みの学校か、駐車場込みの大型ショッピングモールクラスの広さだ。
 とても広い。

「……一体この中の屋敷とはどれだけ大きいのでしょうね」

 サザンカも内裏の規模に驚いている。
 はっきり言ってこの壁の中はタンポポたちの村サザンドラがいくつも入りそうな広さだった。
 そうした背景を考えれば彼女が驚くのも無理からぬ話というものだろう。

「勇者殿、許可が出たでござるよ」

 と、門番と話し合っていたカンゾウさんが戻ってくる。

「助かりました。ありがとうございます」

「いやいや、勇者殿より受けた恩を考えればこの程度、苦労にもならぬでござるよ」

 照れた様な顔を見せるカンゾウさん。

「じゃあ入りますか」

「おっと某はコレにて失礼するでござる。まだまだやることもあります故」

「分かりました。ではまた後ほど」

 俺達はカンゾウさんと別れると、内裏の中へと入っていく。
 ちょっと門番の視線が気になったが、まぁそれは我慢するとしよう。
 どちらかというと視線はクロワさん達女性人に向いていたような気もするが、まぁそれは考えない様にしよう。
 誰だって見るなら美人の方だよね。

 ◆

「でだ、何処に向かおう?」

 屋敷に入った俺達だったが、内部のあまりの広さに何処に行ったものかと悩んでいた。
 なにしろこの屋敷、中に入ったらやたらとでかい庭が広がっており、その奥にこれまた大きな屋敷が見えたのだ。
 ただし大きいといっても10階建てビルとかみたいに縦方向に大きいのでは無い。横方向に広いのだ。
 建物が四方に広く伸びて居る為にどこが目的の帝の部屋なのか分からないのである。

「これは手当たり次第に調べるしかないかなぁ」

 それはそれで重労働になりそうだ。
 と、ローラー戦術の覚悟を決めていた俺達に元に救いの声が上がった。

「お待ちしておりました」

 屋敷の中から着物を着た女性が現れたのだ。

「私の名はツムギ。次期帝様のお世話をおおせつかった者です」

 そういってツムギと名乗った女性は深く頭を下げてくる。

「ええと、トウヤ・ムラクモです。トウヤと読んでください」

 次期帝様とかくすぐったいにも程があるわ。

「承知いたしました次期帝様」

……あかん、これ何言っても呼び方代わらんヤツだわ。

「こちらは俺の嫁のクロワさんと友人のタンポポ」

「愛人のタンポポです」

 訂正された。

「そしてこの子が姫。新しく見つかった皇族の生き残りです」

「っ!? は、春姫様!?」

 ツムギさんが姫を見て目を大きく見開く。
 やはり姫の片親は春姫と見て間違いなさそうだなぁ。

「……失礼しました」

 ツムギさんは謝罪するとすぐに呼吸を整えて姿勢を正す。
 
「屋敷内で困った事がありましたらなんなりとご命令ください」

 困った事ねぇ。今まさに困ってるんだよなぁ。

「じゃあ、先代の帝の部屋に案内してもらえませんか?」

「承知いたしました。こちらです」

 割とあっさりとツムギさんは俺達を案内してくれる。
 早すぎず遅すぎずの速度で先行し、5分ほど廊下を歩いた先でツムギさんが立ち止まる。

「こちらのお部屋が先代帝様のお部屋でございます」

 そういって障子戸を開けたツムギさんは、再び深く礼をして一歩下がる。

「じゃあ入らせてもらうかな」

 遠慮しても意味は無い。俺はためらうことなく中へと入る。

「ここが帝の部屋か……」

 帝の部屋は、きれいに整頓されていた。
 机の上には誇りの欠片も無く、定期的に掃除がされていた事が伺える。

「この部屋のどこかに姫の秘密が隠されているのかな?」

 俺はおもむろに机の引き出しを開ける。

「さすがに引き出しの中に……」

 重要情報がある訳無いよなーと言おうと思ったのだが、引き出しの中には一冊のノートが入っていた。
 ノートと言っても学校で使うようなヤツでも日記調のものでも無く、紙の束を紐で縛って本の形にされたタイプの古風なノートである。

 俺はノートを手にとってパラパラとページをめくる。
 するとそこにはミミズののたくった様な文字でなにやら書かれていた。
 ……ぶっちゃけ読めん。
 なんか全部の文字が繋がって書かれてるから単語の予測が付かないんだよな。
 
「しまった、エリーを連れてくれば良かった」

 俺はウォーターゴーレムのエリーを思い出す。
 あの無駄に翻訳機能が付いたゴーレムが居れば、このミミズののたくった様な文字も翻訳してくれた事だろう。

「ええと、姫はこの日記読めるかい?」

「えっ? わ、わたしですか? えとその、すみません! 私は読み書きを教わっていないので読めま……せん」

 姫は申し訳なさそうに俺に謝罪してくる。

「いや、かまわないよ。姫が悪いわけじゃない」

 イヤホント、悪いのは養い親であるのにまともな教育をしてこなかったババァが悪いのだから。

「ああそうだ。ツムギさん」

 俺は部屋の前で待機しているツムギさんに声をかける。

「はい、何か御用でしょうか?」

「この日記を読んで欲しいんだ」

「私が先代帝様の日記を!? それはいくらなんでも……」

 故人の、それもかつての主の日記を読むのは気が引けるか。

「申し訳ない。けどこの日記には大切な事が書いてあるはずなんだ。頼みます」

 俺がお願いすると、ツムギさんは少し悩んだ顔を見せたものの、俺の命令とあって意を決した顔になってノートを受け取る。

「……今日、私は父より帝の座を受け継いだ。それを記念して日記を綴ろうと思う……」

 日記は先代の帝が帝の座に着いた時から始まっていた。
 最初のうちは帝となった事の大変さなどのマジメな内容だったが、すこし経ったら飽きてきたのか日々の生活といった日常的な内容へと変わって言った。
文字通り日記って感じの内容だ。
 だが、ある日の日記からきな臭い内容に変わっていく。

「今日の夜、春姫と雪姫の婚約者である霖之助がやってきた。なんと二人は恋をしてしまったというではないか。だが霖之助は雪姫の婚約者。私は考え直す様に告げたが、熱に浮かされた二人の心には届いていないようだ」

 やはり、キュウさんの予想は正しかったって訳か。

「頭の痛いことになった。なんと春姫が霖之助の子を宿したという。こうなっては春姫の腹が大きくなる前に世間から隔離しなければならない。騒動の原因とならぬ様、この子には寺に入ってもらうより他無いだろう。生まれてくる子もお家騒動の原因にならぬよう、捨て子として皇族とは関わりない人間という事にせねばな……さすがに孫の命を奪うのは忍びない」

 ちらりとツムギさんがこれ本当に読んでいいの? といった目で見つめてくる。
 うん、まぁ思いっきりスキャンダルだもんなぁ。
 だが俺は彼女の訴えを無視して続きを読んでもらう。

「雪姫と霖之助の婚約を解消させた。雪姫がそれはもう恐ろしい形相で飛び込んできたが、家臣達が引っ張って屋敷から追い出してくれた。帝で良かった」

 めっちゃ弱気だな帝。それともソレほどまでにババァの剣幕が恐ろしかったのだろうか?

「霖之助が姿を消した。まぁ実際には頭を丸めて春姫の寺に向かったのだが。住職から苦情が来ないか心配だ。そして雪姫が事情を察した気配がある。まだ確信は無い様だが時間の問題であろう」

 あー、元婚約者がこんだけあからさまに行動したらババァも察するか。
 もうちっと時間をおいてから失踪しろよな。

「皆もうちょっと考えて行動して欲しい」

 帝に同情するわー。

「春姫より娘が生まれたとの手紙が届いた。名は桜姫と名づけるそうだ。ぜひ見に行きたい。きっと春姫が生まれた時の姿にそっくりだろう。いや、あの霖之助の子だ、私似の部分はそれ以上に美しい事だろう」

 俺達は誰とも無く姫の顔を見る。

「え? 何ですか皆さん?」

「えー、皆さん。ここで姫の名前が判明しました」

 こくりと頷くクロワさんとタンポポ。ツムギさんは状況が分かっていないみたいだが、俺がしゃべり始めたので日記を読むのを止める。

「名前が判明しておめでとう桜姫!」

「おめでとうございます桜姫!」

「おめでとうございます桜姫様」

「おめでとうございます桜姫様」

 クロワさん達だけでなく、ツムギさんもなんとなく察したのか桜姫を祝ってくれた。

「え、え、えと……あ、ありがとうございましゅ!」

 あ、噛んだ。
 まぁ、何はともあれ名前が判明して何よりである。
 俺達は桜姫の名前が判明した事を祝う。

「な、なんだか恥ずかしいです……」

 と、言いつつも桜姫の目じりには涙が浮かんでいる。
 今までまともな名前を呼ばれずに虐げられてきた少女が、ようやく親から授けられた名前を知る事が出来たのだ。
 きっと本人にしか分からない感慨があるのだろう。

「桜姫……それが私の名前……」

 まだまだ解決指定無い事は多いが、それでも今はただただめでたいこの出来事を祝うのだった。
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