クロヴァンの探偵日記

高松 津狼

文字の大きさ
16 / 31
第二章 東の市場編

第16話 宿の殺害事件 I

しおりを挟む
仕方ない、ここは私の得意な状況整理を以て解決してみよう...

私はそう決意を固めて、304号室へ近づいた。
周囲の人は最初に発見した女性のことを疑っており、部屋の中にある死体についての情報を女性から聞いていた。

受付の人・女性A「私は、それでこのアップルパイを届けようと...」
男性B「そのアップルパイに毒とか入ってるんじゃないのか?」
男性A「さっきだって、受付するときに過剰なまだに人に話しかけていたじゃないか!」

私は話を遮るように304号室の前にいる女性A(受付の人)に話を聞いた。

私「すみません。詳しいお話を聞かせてもらえますか?」

女性A「え...あ。はい。」
女性A「私はこの宿の料理を運ぶ仕事もやっているのです。なのでこのアップルパイを届けようとこの部屋の前まで来て、いつもどおりお客様にドアをノックして呼びかけを行ったのですが...」
女性A「返事がなかったので、部屋に入ってアップルパイをお届けしようとしたところ死体があったのでそれ悲鳴を...」

男性A「そもそも普通部屋に入ってまで届けないだろ!」
男性B「そうだそうだ。普通はドア前横に置いておくだろう!」

そう野次が飛ぶと、女性Aはさらに萎縮した。

私「なるほど、状況は理解しました。これから部屋の中を見るのでそれであなたがやったかどうかはすぐに分かると思います。」

と私は返事をした。すると男性Bは

男性B「なるほど...?ということはすぐに分かる判断材料があるということですね?」

私は軽くうなずくと

男性たちは女性Aを咎めるのはやめた。

私はその人たちに念の為ドアは開けておくように指示した。
私は部屋の中に入る前にハンカチで口を覆い、念の為目の周りも覆うことが出来るメガネをポケットから出して装着した。
部屋の中に入ると布団の近くに転げ落ちた死体があった。
状況からして明らかになにかがあったのだけは分かる。

まずは死体の状況を調べてみよう。
まず一番に目が行ったのは口からキノコのように吹き出したアワである。
ここから激しい咳をして死んだ様子が分かる。つまるところ陸上で溺死したような感覚で窒息死したということだ。
目立った外傷はない...ということは殴打による殺害の路線はない...かな?
ただし、この状況で考えられるのは事件の路線。すなわち他人が意図的に殺した可能性があるということ。事故である可能性は低いだろう。
ポケットからは宿の鍵やなにかの名刺、お金が見えている。普段からいろいろなものをポケットにいれているんだな...

となるとさっき食べた食べ物が怪しい...?でもだとしたらなぜ私やその他の人たちが死んでないんだろうか?

と、なると毒物が使用された路線が一番有り得そうだ。
今はこの路線で考えることにしよう。

では、仮に使われた毒があるのだとしたら一体なんだろうか。もし気体であるならば、私がこの部屋に居続ければ曝露して死んでしまう可能性がある。
私はその危険性に気づいたが、状況を判断するのにはまだ情報が少ない。短い間に集められる情報を集めておこう。

私はこの部屋になにか原因があるのか調べてみた。
部屋の中には食べかけの食べ物がテーブルの上にある。内容は私が食べたものと同じものであるが...ここに毒が含まれているとするならば、恐らくは毒を盛った人物がいることになる。
が、推理小説であるまいし、こんなわかりやすい手法で殺すだろうか。

ヒ素が使われているのであれば、水銀を用いれば呈色反応が出るはず。ヒ素の路線であるならば、ヒ素の入手方法を知ってそうな人物は限られてくるので犯人の特定は容易になる。あとは犯人の動機を裏付けて片付けるだけだが・・・

もう一つの可能性を考えておこう。気体の毒が使われた可能性だ。
気体の毒であれば、この密閉された空間である場合、気体が充満してさえいれば確実に殺害が出来る。この路線の場合、水溶液や活性炭を用いなければならないためこの部屋のどこかに明確な証拠があるはずである。それに臭いも明確になるはず...しかし、木の匂いがするという点以外では変わった匂いは感じられない。この建物は木製なので木の匂いがすること自体はそれほど不思議じゃない。

が、これは検証が難しいが...あお剤という路線はアリ得るだろうか?希薄なあお剤であるならば、木材の匂いと似ていることから気づかれにくい。製法は極めて難しいものであると思われるが...

もし仮にそうであるならば犯人は相当に頭が賢いことになるが...ということはいわゆる『能力者』に該当するのでは...?であるならば、ヒョウタン人によってすでに殺されていそうなものなんだが...なにか特殊な条件があるならば、その路線も出来なくは...ないのかな?

他の可能性も考えてみよう。他人を殺害するのであれば、洗剤とクエン酸を混ぜた溶液を容器に入れるという手もありだろう。放っておけば塩素が充満するからだ。それに時間がある程度たったころに窓を外部から開ければバレない上、そっちのほうが容易に殺害が出来るからだ。それにある程度頭が悪くてもこれは誰でも出来るものであるから犯人を絞りにくい。が、犯人はそこまでしてこの人を殺害する理由があったのか...?

私は毒の情報について考えていたが、憶測の域を過ぎない。というより証拠が少なすぎて確定できなかった。そもそももっと情報が必要であると考えた私はふと目線を右にずらした。

するとそこには蓋のついた花瓶が見えた。
私の部屋には奥の細長いテーブルに花瓶が2つ置かれていたが、どうやらここには私の部屋より少し広いのか部屋の奥にあるキャビネットの横にある小さな物置の上に、花瓶が置かれていた。
私は花瓶が気になり、花瓶の中をみるとそこには...
蓋があった。

私は蓋を開けて花瓶の中身を確認すると、そこには水がなく真っ黒な物体が底の方にあった。
なるほど。これは活性炭だろう。
もしこれが使われたのであれば、塩素系の毒素を用いたことを示している。

つまり、犯人はいわゆる『能力者』である可能性が高いことになるが...
仮にそうなら犯人は絞れるはず。あとは動機の裏付けさえ取れれば特定は容易だ。

毒は塩素系の毒素ということであるならば、考えられるのは塩素ガス か あお剤だろう。

あお剤であるならば、トリホスゲンの入った容器に活性炭を入れれば容易に生成が可能である。恐らくこの路線で犯人を殺したのだろう。

ということは花瓶もこのホテルのものではない可能性が高い...のか?
いやこれに関しては判断が時期尚早かもしれない。もう少し聞き込み調査をしてみよう。そもそもこれは私の憶測をただ並べまくってるだけにすぎない。そもそも死んだ理由や犯人の動機がわからない以上、これ以上、殺害方法の詮索は無意味か...

これ以上、この場所にいると自分もガスもしくは毒に曝露してしまう可能性があるので、私は部屋を出ることにした。

にしても色々とおかしい...鍵は本人が持っているのにどうして殺害が可能だった?そもそもドアは最初から空いていたのだろうか?それだけではない...犯人の動機はなんなんだろうか。
でも、こんなことが簡単に出来るのはきっとこの宿のことをある程度よく知ってる人であることは確か。
それにガスで殺害していた場合、ある程度科学的な知識を持ち合わせていることになる。そんな犯人が尻尾を巻くことを考えていないわけがない。詮索の仕方を間違えれば...おそらく逃げられる。


「ところで誰が犯人なんですか!」


と、入り口前で考え込んでいた男性Bは私にそう聞いた。
私は状況的に女性Aが犯行を起こして殺害した可能性だけは低いと考えた。もちろん確定ではないが...

私「少なくともその女性が犯行を起こすには時間が足りない可能性がある。」

と私は伝えた。

男性B「なるほど。ってことは犯人は彼女以外ってことは確定したんですね?」

そう食い気味に聞いてきた。
私は

私「わかりません。可能性が低くなったとだけとしか言いようがないです。」

と言った。
すると男性Bは私に急に怒鳴りつけ、私を罵倒しはじめた。

--続く...-- 近いうちにリリースします

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

処理中です...