転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球

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【第六章】ヒロイン、覚醒。そして暴走

65 “ヒロイン”、覚醒。そして暴走――その先へ

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こうして、リリィとの戦いに決着をつけた私は、アレクシスとの婚約を強化しながら学園生活を続けている。見渡すと、周囲には穏やかな笑顔が増え、かつてのような陰険な視線は感じられない。
ただ、手紙の一件や派閥の動きなど、まだ“闇”が完全に晴れたわけではない。王都ではリリィへの処分が進行しており、彼女が禁術に手を染めた理由を追及されているが、真相すべてを説明できるのは私だけかもしれない。しかし、それを表に出せば私も“転生者”として疑われかねない。

(いつか、アレクシスには真実を打ち明ける時が来るだろう。でも、それは今じゃない。私は彼との時間を育てながら、自分をもっと強くしていきたいの)

悪役令嬢から、王子の婚約者へ。何も知らずに過ごしていた前世の私なら想像もできない道だが、ここまで進んできたのだから、もっと遠くへ行けるはず――そう信じる。
リリィという絶対的な“ヒロイン”がいなくなった今、私も、アレクシスも、そして学園も、新しい未来へ向けて大きく動き始めている。

ひょっとしたら、リリィの内面には、まだ未知の“暴走”に繋がる鍵が残っているかもしれない。あるいは、王宮の闇が再び私たちに牙を剥くこともあるかもしれない。
それでも、私はこの世界で生きる覚悟を決めた。クールに無関心だった自分はもういない。転生して得た第二の人生は、たとえ“悪役”と言われようが、私が自分で選んで歩むのだから。

(リリィ、あなたがいなくても、私は自分のシナリオを壊すわけにはいかない。これからも私はアレクシスと一緒に道を切り開く。それがあなたを超えて、自分を確立する道……)

そんな決意を胸に、私は放課後の学園を歩く。ノエルが少し後ろをついてきて、「セレナ様、今日は殿下はご一緒ですか?」と尋ねてくる。
「ううん、王都の公務で忙しいみたい。私は私で、自分の勉強を続けるわ。……まだまだ、ここで学ぶことがたくさんあるの」

意外かもしれないが、私は結構“勉強家”なのだ。転生前も真面目に学業をこなしていたし、この世界でも貴族の必須科目や魔法理論などに興味を持っている。いつかアレクシスの手助けをするためにも、知識を蓄えておきたい。
ノエルが「そうですね。ご無理のない範囲で」と微笑んでいる横を、私は意気揚々と図書館へ向かう。

悪役令嬢であろうと何であろうと、学びは自由だ。私が自分で選んだ道を進むため、まだやることは山ほどある。
――そして、この“第六章”が指し示すように、リリィがいなくなった今こそが本当の意味での“転”の始まり。ゲームのシナリオが崩れた世界で、私たちがどう立ち回り、何を築いていくのかは、まだ誰にも分からない。

王都の陰謀や、転生という謎が絡み合う中、私はヒロインだったリリィの“覚醒と暴走”を乗り越え、新しい物語を紡いでいく。
――悪役令嬢としてではなく、“公爵令嬢セレナ”として、そして“第一王子アレクシス”の最愛の婚約者として、世界を変えてみせるのだ。

(もし“修正力”があるなら、かかってきなさい。私はもう、二度と敗れない――)

軽く息を吐き、私は図書館の扉を開ける。そこには本の匂いと静寂が広がり、前世の私が好きだった“知識の宝庫”が今世でも変わらず待っていてくれる。
ここから、私の真の“物語”が始まるのだろう。リリィという“偽物の聖女”を超えた先で、私が手に入れるのは“偽物ではない”本当の未来。
第六章は、静かな幕引きとともに次章へ続いていく。リリィが去り、転生者がもう一人いるのかもしれない謎、そして私が王子との絆をどこまで深められるのか――物語は加速度的に動き出す。
だがもう迷わない。私は自分の道を自分で選んだからこそ、この世界で幸せを掴んでみせるのだ。
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