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二章「奴隷との初めての冒険」
奴隷の頭を撫でました
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「処理も終わったし、お昼にしようか」
「さっきのお肉ですね!」
目を輝かせている。なんだか言い出しにくいじゃないか。
「残念だけど。昼はもう持ってきているんだ。手軽につまめそうなものを見繕っておいたんだ。これは日持ちしないからさっきの肉は今日の夜から食べような」
「えぇ……分かりました」
明らかに落胆しているじゃないか。俺が買っておいた軽食を渡す。これはサンドイッチとかハンバーガーみたいな食べ物でパンの間に色々と挟んである。パンは堅いけど中の焼いた肉や野菜なんかはすごくいいな。パンの表面が固いのが惜しいな。
「これ、美味しいです。街に戻ったらまた食べてみたいです」
良かった。ルナも気に入ってくれたみたいだ。
「まだいくつかあるからな。食べ過ぎない程度にしっかり食べて午後に挑もう」
「お代わりお願いします」
ルナは食べることに夢中であまり聞いていなかったらしい。いくつか渡して、俺ももう一つつまむ。癖になりそうだがパンの表面も硬いし食べ続けるとそれ以外にも結構しょっぱいことに気が付いた。持ち運ぶということを考慮にいれれば理解はできる。俺も今度自分好みの味付けで作ってみるか。
「さ、食べ終わったら再開しよう。こんなところで長いこと止まっていたら、数日で終わらなくなるからな」
「元気一杯です」
拳を自分の目の前に持ってきて何かするでもないよくわからんポーズをとって気合を入れているようだ。だが、さっきは極力、ルナに血を見せないようにボアを倒したが、そうも言っていられなくなるだろう。気合を入れないといけなないのは俺の方かもしれないな。
剣を抜いて曇りがないかを確認する。どうにも落ち着かない。一人の時はこんなことなかったのに。
「歩いていくだけで済めばそれほど楽なことはないんだけどなあ」
思わず口に出てしまうが、やっぱりそんなことはあり得なかった。
「ご主人様、オークです!」
「下がっていろルナ! フラグ発言をしたとは言え回収早すぎやしねえか!?」
言わずにはいられない。食事をしてすぐにこれだもんな。やっぱり森の中は危険だ。考えているうちにも凶悪な顔をした豚頭の魔物は俺を攻撃しようとしてくる。オークは強い魔物とは一般的にみなされていない。しかし、なにせ大きいので油断すれば足元をすくわれかねない。実際、ベテランでオークなど息をするように討伐することができる冒険者でも少しのミスで大きなケガをしてきたことがある。油断大敵というやつだ。魔法で身体能力を向上させ、剣を構える。一撃で倒す!
「はあああ!」
オークに切りかかり、頭を落とした。やはり武器屋のおっさんにメンテナンスをしてもらった直後なだけに切れ味は抜群だ。剣についてしまった血を空振りすることで落とした。図体が大きいので、血は周囲に飛散した。俺は幸い返り血は浴びていない。しかしルナはというと、顔に少しついてしまっているし、死んだオークと目が合っている。これは怖いかもしれないな。その証拠に地面に座り込んで青い顔をしているし、震えているではないか。
「ケガはないか」
「は、はいですが怖いです……」
やっぱり怖かったか。
「動けそうか?」
「な、なんとか」
歩くことはできるだろうが、少しペースは落ちるな。とりあえずルナはそこにいてもらうことにして、魔石とかを回収しよう。こういう道中で討伐した魔物の魔石や素材も貴重な収入源だ。手早くそれらを回収してアイテムボックスに放り込んだ。
「さあ、大丈夫ならいこうか」
ルナはうなずくと静かに立ち上がって俺の後をついてきた。
「無理はしなくていいんだからな」
「無理しているとかじゃなくて、血をたくさんみるとその、昔のこと思い出してしまって……」
フラッシュバックというやつか。過去の辛い記憶が血がたくさん出ているところを見てしまうと脳裏によみがえってしまうということだな。これは克服するのは難しいか。慣れでなんとかはならないかもしれない。いろんな意味で屈服させるにはこういうのも解決しないとダメかあ。
「その申し訳ありません……」
「別に謝ることでもないだろう。でも、血をみることでフラッシュバックを起こすっていうのは単純に危険なことでもあるからそれは何とかしないと」
「はい……」
すっかり元気をなくしてしまった。顔色はさすがに戻ったが。しおれた尻尾と耳はまだ戻っていない。
「わっ、いきなりなにしゅるんですかあ」
とりあえず頭をわしゃわしゃと撫でてみた。髪がぐちゃぐちゃになってもしまうけど、こういう暗いときには一番いいだろう。
「ルナがかわいくて撫でたくなったから撫でているんだよ」
「なんですかそれ」
少し笑ってくれた。ルナは耳をピンとさせるといたずらっ子っぽい笑みを浮かべてありがとうございますと言ってくれた。
「もう大丈夫だな」
「はい!」
とりあえず元気を出させたが、こんなのがあと何回続くのだろう。でも都度、ルナのメンタルの安定を図っていこう。信頼関係の構築にはそれもきっと必要なコトだと信じることにしよう。
結局、それからも数回魔物に遭遇したがオークは現れなかった。もう少しいるかもしれないと思ったが、運がいいみたいだ。
「さっきのお肉ですね!」
目を輝かせている。なんだか言い出しにくいじゃないか。
「残念だけど。昼はもう持ってきているんだ。手軽につまめそうなものを見繕っておいたんだ。これは日持ちしないからさっきの肉は今日の夜から食べような」
「えぇ……分かりました」
明らかに落胆しているじゃないか。俺が買っておいた軽食を渡す。これはサンドイッチとかハンバーガーみたいな食べ物でパンの間に色々と挟んである。パンは堅いけど中の焼いた肉や野菜なんかはすごくいいな。パンの表面が固いのが惜しいな。
「これ、美味しいです。街に戻ったらまた食べてみたいです」
良かった。ルナも気に入ってくれたみたいだ。
「まだいくつかあるからな。食べ過ぎない程度にしっかり食べて午後に挑もう」
「お代わりお願いします」
ルナは食べることに夢中であまり聞いていなかったらしい。いくつか渡して、俺ももう一つつまむ。癖になりそうだがパンの表面も硬いし食べ続けるとそれ以外にも結構しょっぱいことに気が付いた。持ち運ぶということを考慮にいれれば理解はできる。俺も今度自分好みの味付けで作ってみるか。
「さ、食べ終わったら再開しよう。こんなところで長いこと止まっていたら、数日で終わらなくなるからな」
「元気一杯です」
拳を自分の目の前に持ってきて何かするでもないよくわからんポーズをとって気合を入れているようだ。だが、さっきは極力、ルナに血を見せないようにボアを倒したが、そうも言っていられなくなるだろう。気合を入れないといけなないのは俺の方かもしれないな。
剣を抜いて曇りがないかを確認する。どうにも落ち着かない。一人の時はこんなことなかったのに。
「歩いていくだけで済めばそれほど楽なことはないんだけどなあ」
思わず口に出てしまうが、やっぱりそんなことはあり得なかった。
「ご主人様、オークです!」
「下がっていろルナ! フラグ発言をしたとは言え回収早すぎやしねえか!?」
言わずにはいられない。食事をしてすぐにこれだもんな。やっぱり森の中は危険だ。考えているうちにも凶悪な顔をした豚頭の魔物は俺を攻撃しようとしてくる。オークは強い魔物とは一般的にみなされていない。しかし、なにせ大きいので油断すれば足元をすくわれかねない。実際、ベテランでオークなど息をするように討伐することができる冒険者でも少しのミスで大きなケガをしてきたことがある。油断大敵というやつだ。魔法で身体能力を向上させ、剣を構える。一撃で倒す!
「はあああ!」
オークに切りかかり、頭を落とした。やはり武器屋のおっさんにメンテナンスをしてもらった直後なだけに切れ味は抜群だ。剣についてしまった血を空振りすることで落とした。図体が大きいので、血は周囲に飛散した。俺は幸い返り血は浴びていない。しかしルナはというと、顔に少しついてしまっているし、死んだオークと目が合っている。これは怖いかもしれないな。その証拠に地面に座り込んで青い顔をしているし、震えているではないか。
「ケガはないか」
「は、はいですが怖いです……」
やっぱり怖かったか。
「動けそうか?」
「な、なんとか」
歩くことはできるだろうが、少しペースは落ちるな。とりあえずルナはそこにいてもらうことにして、魔石とかを回収しよう。こういう道中で討伐した魔物の魔石や素材も貴重な収入源だ。手早くそれらを回収してアイテムボックスに放り込んだ。
「さあ、大丈夫ならいこうか」
ルナはうなずくと静かに立ち上がって俺の後をついてきた。
「無理はしなくていいんだからな」
「無理しているとかじゃなくて、血をたくさんみるとその、昔のこと思い出してしまって……」
フラッシュバックというやつか。過去の辛い記憶が血がたくさん出ているところを見てしまうと脳裏によみがえってしまうということだな。これは克服するのは難しいか。慣れでなんとかはならないかもしれない。いろんな意味で屈服させるにはこういうのも解決しないとダメかあ。
「その申し訳ありません……」
「別に謝ることでもないだろう。でも、血をみることでフラッシュバックを起こすっていうのは単純に危険なことでもあるからそれは何とかしないと」
「はい……」
すっかり元気をなくしてしまった。顔色はさすがに戻ったが。しおれた尻尾と耳はまだ戻っていない。
「わっ、いきなりなにしゅるんですかあ」
とりあえず頭をわしゃわしゃと撫でてみた。髪がぐちゃぐちゃになってもしまうけど、こういう暗いときには一番いいだろう。
「ルナがかわいくて撫でたくなったから撫でているんだよ」
「なんですかそれ」
少し笑ってくれた。ルナは耳をピンとさせるといたずらっ子っぽい笑みを浮かべてありがとうございますと言ってくれた。
「もう大丈夫だな」
「はい!」
とりあえず元気を出させたが、こんなのがあと何回続くのだろう。でも都度、ルナのメンタルの安定を図っていこう。信頼関係の構築にはそれもきっと必要なコトだと信じることにしよう。
結局、それからも数回魔物に遭遇したがオークは現れなかった。もう少しいるかもしれないと思ったが、運がいいみたいだ。
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