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二章「奴隷との初めての冒険」
外で食べるご飯は美味しいです
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早く食べたいのならルナも手伝えよ」
「もちろんですご主人様! 私、何をしたらいいですか?」
やけに食い気味に聞いてくるな。そんなに慌てなくなっていいのにな。
「そうだな、燃やせそうな薪を集めてくれ」
「薪ですね。分かりました」
おっと重要なことを言っていなかった。ルナはもう飛び出してしまいそうなのでさっさと言わないと。
「俺の張った魔法は今、俺がいるあたりから半径15メートル位までしかないからそこから出ないようにな。迂闊に出たら腹をすかせた魔物の餌になりかねないから注視してくれよ」
「そんな大事なことは最初に言ってください!」
ルナはぷんすかと怒ってしまった。しかし『ぷんすか』という擬音がルナの顔の横に出てきそうな表情だな。
「悪い悪い。ルナがあまりにも積極的だから勢いに負けてしまったんだよ」
「もう勘弁してください。お願いしますね」
「気を付ける。さ、早く薪を拾ってくるといい」
ルナはその言葉で周囲の木の周りに落ちている枝を集め始めた。アイテムボックスできちんとした薪を持ってきた方がいいのかもしれないが、討伐した魔物の素材を入れることを加味すると少々心もとないので明らかに現地で調達することができる薪は入れていないのだ。いや、いれていないことはないのだが、それは緊急用で普段使いのために入れているわけではない。
「もう少しアイテムボックスの容量があればなあ」
普通、転生者が持っているアイテムボックスって無限大の容量があるだろう。俺はないけどさ。まあ、アイテムボックス自体が割とレアで重宝されるスキルではあるからそれだけで十分なのかもしれないけどさ。普通はマジックバックみたいな超高価なモノ買わないといけないし……。そういえばルナはアイテムボックスは使えるのかな。また試させてみよう。もし使えなかったらマジックバッグを買わないとな。もっと稼がないとだめだな……先は長いみたいだ。
ともあれ、ルナが薪を集めてくれている間に鍋や調味料、皿の準備をしていく。かまどはないから大きな石で簡易的に作る。今、思いついたがこの世界に七輪のようなものはないのだろうか。もしあったら非常に便利だろうから探してみよう。
「集めてきました」
大方、準備が終わって食材を出そうとしていたところでルナが戻ってきた。狭い範囲で集めてきたはずなのに、太い枝から細い枝までたくさん抱えている。これだけあれば十分だ。
「これはすごいな。これだけあれば美味しい夕食になりそうだ。ありがとう」
「へへっ。楽しみです」
うわっ、なんか今すごく悪い笑みを浮かべたな。いやいや、無垢な笑顔だったのかもしれない。うん、そう思うようにしよう。
さて、何を作ろうか。正直、このような環境なので水は貴重だと言いたいところだが幸い魔法のおかげで水には困らない。ルナは肉肉しい料理も食べたいだろうからそれも作るか。どうせあと2,3日二人だけじゃ、食べきれない量の肉があるんだ。多少贅沢な使い方をしても誰も怒らないだろう。
「シチュー作ってステーキを焼くぞ」
「豪快ですね」
「こういうのは豪快にいくのがいいんだよ」
ステーキみたいな料理はプロがやればもっと違うことを言ってくるのだろうけど、俺みたいな素人で場所も良くないというのであれば豪快に焼くのが一番おいしく感じることだろう。
「ルナはステーキ用に肉を切っておいてくれ。量は多くても構わないけど、食べきれる量にしておくんだぞ」
「も、もちろんです」
コイツ、目が泳いでいたな。多分、想像の斜め上を行く量を切り出そうとしていたに違いない。成長期なのかもしれないが、限度というのもあることは覚えておいて欲しいな。
「あんまり大きく切りすぎると中まで火が入らないかもしれないからな。それでもいいのなら大きく切り出しても構わないけど」
「生のお肉は嫌です。ちゃんと焼いてないと……」
「だったら切り出す大きさは考えろよ。何枚かに分けるとかな」
ルナはその手があったかと切り出していた随分と大きな肉を程よく薄くしていった。というか、あの手の平と同じくらいの厚さがあるのにあれでステーキが焼けると思っていたのか。きちんと想像の斜め上だったみたいだ。
ルナが一生懸命、肉を切っている間に俺はシチューを作っている。シチューとはいうが、ただのごった煮だ。アイテムボックスに入れてある適当な野菜と調味料に肉を鍋にぶち込んで煮込むだけの簡単仕様だ。硬いパンもあるがこのシチューに浸せば柔らかくなってそれなりに美味しく食べられる。パンも主食なのでないと腹持ちが悪いのだ。だから適当でも何でもいいから汁物はこういう野営において俺は絶対に汁物を作ることにしている。
「そのシチューというかごった煮、美味しそうですね」
「ルナにまでごった煮認定された。面倒にはなるけどトロミでもつければいいのかな……」
「そんなに落ち込まないでください。とってもいい匂いですよ」
褒めてもくれるならそこまで落ち込むことはないか。そのシチュー改めごった煮の入った鍋を火からおろして別のフライパンのような鍋を火にかけ肉を焼く。ジュージューという音がしてきて、同時に香ばしい香りが立ち込める。魔法の効果で魔物が寄ってくることはないが、魔法を張っていなければ俺たちはあっという間に魔物の餌になりかねないな。いい匂いだ。
ルナの肉は枚数がかなり多かった気がするが、本人が食べられると言っているのだから大丈夫だろう。それにしても食事はいいな。嫌なこと考えていることが一瞬でも頭から離れてくれるんだから。
「さ、できたし食べようか」
テーブルはないのでそこら辺の倒木か、地面に直接座って食べることになる。ルナがいるのなら椅子を買ってもいいな。それくらいならアイテムボックスも圧迫はしないだろう。ものによるだろうけど。
「どうだルナ、ちゃんと焼けているか?」
「あつっ、あふ。あい、ひゃんとやけてます」
喋るか食べるかどっちかにしてくれ。でもまあ焼けているみたいだからよかった。美味しそうに食べてくれている本当に食事は偉大だな。
「もちろんですご主人様! 私、何をしたらいいですか?」
やけに食い気味に聞いてくるな。そんなに慌てなくなっていいのにな。
「そうだな、燃やせそうな薪を集めてくれ」
「薪ですね。分かりました」
おっと重要なことを言っていなかった。ルナはもう飛び出してしまいそうなのでさっさと言わないと。
「俺の張った魔法は今、俺がいるあたりから半径15メートル位までしかないからそこから出ないようにな。迂闊に出たら腹をすかせた魔物の餌になりかねないから注視してくれよ」
「そんな大事なことは最初に言ってください!」
ルナはぷんすかと怒ってしまった。しかし『ぷんすか』という擬音がルナの顔の横に出てきそうな表情だな。
「悪い悪い。ルナがあまりにも積極的だから勢いに負けてしまったんだよ」
「もう勘弁してください。お願いしますね」
「気を付ける。さ、早く薪を拾ってくるといい」
ルナはその言葉で周囲の木の周りに落ちている枝を集め始めた。アイテムボックスできちんとした薪を持ってきた方がいいのかもしれないが、討伐した魔物の素材を入れることを加味すると少々心もとないので明らかに現地で調達することができる薪は入れていないのだ。いや、いれていないことはないのだが、それは緊急用で普段使いのために入れているわけではない。
「もう少しアイテムボックスの容量があればなあ」
普通、転生者が持っているアイテムボックスって無限大の容量があるだろう。俺はないけどさ。まあ、アイテムボックス自体が割とレアで重宝されるスキルではあるからそれだけで十分なのかもしれないけどさ。普通はマジックバックみたいな超高価なモノ買わないといけないし……。そういえばルナはアイテムボックスは使えるのかな。また試させてみよう。もし使えなかったらマジックバッグを買わないとな。もっと稼がないとだめだな……先は長いみたいだ。
ともあれ、ルナが薪を集めてくれている間に鍋や調味料、皿の準備をしていく。かまどはないから大きな石で簡易的に作る。今、思いついたがこの世界に七輪のようなものはないのだろうか。もしあったら非常に便利だろうから探してみよう。
「集めてきました」
大方、準備が終わって食材を出そうとしていたところでルナが戻ってきた。狭い範囲で集めてきたはずなのに、太い枝から細い枝までたくさん抱えている。これだけあれば十分だ。
「これはすごいな。これだけあれば美味しい夕食になりそうだ。ありがとう」
「へへっ。楽しみです」
うわっ、なんか今すごく悪い笑みを浮かべたな。いやいや、無垢な笑顔だったのかもしれない。うん、そう思うようにしよう。
さて、何を作ろうか。正直、このような環境なので水は貴重だと言いたいところだが幸い魔法のおかげで水には困らない。ルナは肉肉しい料理も食べたいだろうからそれも作るか。どうせあと2,3日二人だけじゃ、食べきれない量の肉があるんだ。多少贅沢な使い方をしても誰も怒らないだろう。
「シチュー作ってステーキを焼くぞ」
「豪快ですね」
「こういうのは豪快にいくのがいいんだよ」
ステーキみたいな料理はプロがやればもっと違うことを言ってくるのだろうけど、俺みたいな素人で場所も良くないというのであれば豪快に焼くのが一番おいしく感じることだろう。
「ルナはステーキ用に肉を切っておいてくれ。量は多くても構わないけど、食べきれる量にしておくんだぞ」
「も、もちろんです」
コイツ、目が泳いでいたな。多分、想像の斜め上を行く量を切り出そうとしていたに違いない。成長期なのかもしれないが、限度というのもあることは覚えておいて欲しいな。
「あんまり大きく切りすぎると中まで火が入らないかもしれないからな。それでもいいのなら大きく切り出しても構わないけど」
「生のお肉は嫌です。ちゃんと焼いてないと……」
「だったら切り出す大きさは考えろよ。何枚かに分けるとかな」
ルナはその手があったかと切り出していた随分と大きな肉を程よく薄くしていった。というか、あの手の平と同じくらいの厚さがあるのにあれでステーキが焼けると思っていたのか。きちんと想像の斜め上だったみたいだ。
ルナが一生懸命、肉を切っている間に俺はシチューを作っている。シチューとはいうが、ただのごった煮だ。アイテムボックスに入れてある適当な野菜と調味料に肉を鍋にぶち込んで煮込むだけの簡単仕様だ。硬いパンもあるがこのシチューに浸せば柔らかくなってそれなりに美味しく食べられる。パンも主食なのでないと腹持ちが悪いのだ。だから適当でも何でもいいから汁物はこういう野営において俺は絶対に汁物を作ることにしている。
「そのシチューというかごった煮、美味しそうですね」
「ルナにまでごった煮認定された。面倒にはなるけどトロミでもつければいいのかな……」
「そんなに落ち込まないでください。とってもいい匂いですよ」
褒めてもくれるならそこまで落ち込むことはないか。そのシチュー改めごった煮の入った鍋を火からおろして別のフライパンのような鍋を火にかけ肉を焼く。ジュージューという音がしてきて、同時に香ばしい香りが立ち込める。魔法の効果で魔物が寄ってくることはないが、魔法を張っていなければ俺たちはあっという間に魔物の餌になりかねないな。いい匂いだ。
ルナの肉は枚数がかなり多かった気がするが、本人が食べられると言っているのだから大丈夫だろう。それにしても食事はいいな。嫌なこと考えていることが一瞬でも頭から離れてくれるんだから。
「さ、できたし食べようか」
テーブルはないのでそこら辺の倒木か、地面に直接座って食べることになる。ルナがいるのなら椅子を買ってもいいな。それくらいならアイテムボックスも圧迫はしないだろう。ものによるだろうけど。
「どうだルナ、ちゃんと焼けているか?」
「あつっ、あふ。あい、ひゃんとやけてます」
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