36 / 41
三章「奴隷と大規模戦闘」
戦いが始まりました
しおりを挟む
「おい若大将、上がっているよなあれ」
「間違いないな。それも複数だ。それにお前だってもう感じているんだろう?」
「ああ、すごい気配だ。空気が変わったことを察知した奴らが、臨戦体制になっているぜ」
複数個所からのろしが上がっている上に、異様な気配を感じている者が俺含め多数。間違いないだろう。
「ご主人様、何だか寒気がします。それに何だか落ち着きません」
「ルナも感じるか。もう相当近いから杖をきちんと準備しておけよ。それに短刀もすぐに使えるようにしておくんだ。何かあって杖が使えないときに役にたつはずだ」
ルナには杖を買ったときに、短刀も併せて買った。それは、杖だけだと対応できない事象に対応可能になるためだ。今日までの戦闘は俺が側にいたし、そこまで凶悪な魔物に遭遇してはいなかったので、短刀を使うことはなかったし、それを使う可能性があることを示唆することもなかった。でも今回はその示唆が必要だと直感が言っているのだ。
「震えているのか」
「震えているのかもしれません。そんなつもりはないのに……」
ルナは過去のことから本能的にこの事態を避けようとしているのかもしれない。俺がどうこうすることができない、しにくい部分だ。
「さて、若大将自分のガールフレンドとの会話は終わったか? そろそろみんなと仕事の話をしよう。さっき、確認してみたら軍側も臨戦態勢に入ったらしい。俺たち冒険者も当然準備をも進めているから、いつでも戦闘できるぜ」
「分かった。俺たちも臨戦態勢を取ろう」
「了解だ。若大将も無事でいてくれよ」
「お前もな」
何だか死亡フラグにしか聞こえないが、多分大丈夫だろう。あいつだけギャグ時空に生きていると思えば何とかなるだろうきっと。
前の方が何だか騒々しいし戦闘音が近づいてくる。これは来たな。それを確信し、剣を構える。ルナもそれが分かっているようで、杖を構えている。しかしその額からは汗が一筋流れている。冷汗だろうか。
「「「ぎえ”え”え”あ”!!!!」」」
「おお、お前は俺の獲物だよ。かかってこいやア!」
目の前に現れたのは、オークとゴブリン。周囲にはそういった系統の魔物がたくさんいる。個体としての強さはそれほどでなくても、数が多ければそれだけ脅威になる。それに、そんない強い魔物が大群で押し寄せたら、それこそ街どことか国の消滅だ。そんな大群などありえない、ボリュームゾーンはゴブリンとオークという想定で作戦の編成は組まれている。
その何体ものオークとゴブリンは俺を見ると、ニチャアと笑みを浮かべた。俺のこと、一人だし後ろにはルナがいるからそれを見たのだろうか。いずれにせよ、いい気分のするものではない。
「お前らの汚ない顔なんぞ見たかねんだよ。さっさと失せやがれこの野郎! はああああ!!!!!!」
剣を必死で振る。斬撃は魔物たちにあたり当然、出血し俺はその返り血を浴びて始まったばかりだというのに真っ赤に染まっている。血まみれの剣も持っているし、これでは死神か何か不吉なものに、見えてしまうではないか。
「まだまだあ!!」
剣を振る。魔物の首が吹き飛んでいく。同じような血みどろの光景があちらこちらで広がっている。これが魔物を大量に倒すということなのだ。俺が数か月であっても生きるために、その環境に適応せざるを得なかった。だがルナはどうだろうか。
「私の邪魔を、するな!」
その心配は杞憂だった。ルナは血があまり流れない方法で精一杯魔物を倒している。本当なら俺の支援をしてもらおうと思っていたのだが、それも必要ないのかもしれない。ルナも生きるために必死なのだ。我に返った時にはどうなるかは分からないが、少なくとも、戦いに集中している今ならまだ大丈夫だろう。
「しかし始まってすぐだが本当に多いな」
そんな愚痴をこぼしたくもなる魔物の数だ。最前線で戦う者が一戦目を終え、次の魔物たちと戦おうとしているところで、後衛の支援や魔法の攻撃が届き始めた。やっとか遅かったな。でもこれで少し戦いが有意に進められる。
その場で戦う者の身体が淡く光る。これが魔法支援を受けている状態だ。光自体はすぐに収まるが、これでしばらくの間、攻撃力が上がったり、身体能力が上がったりする優れものだ。
「これでもっと戦えるぞルナ!」
「はい!」
ルナも必死だ。俺も必死だ。この中に必死でない奴など一人もいない。必死でなければ死ぬ。ただそれだけだ。
「もっと歯ごたえのあるヤツこいやあ! この俺が相手してやるよ!」
「いい咆哮だ」
「そりゃどうも。そうでも言ってなきゃ、気持ちで負けてしまいそうだ」
「はは、同感だな」
「いくぞ!」
さらに囲まれてる中で、見知ら兵士や冒険者たちと協力してことを進める。この中ではなにも関係ない。そこに戦う者すべてが仲間だ。
剣を構え、魔物の集団に一気に突っ込む。先ほどの強化魔法などのおかげ体の動きが非常に軽い。これならいける!
「間違いないな。それも複数だ。それにお前だってもう感じているんだろう?」
「ああ、すごい気配だ。空気が変わったことを察知した奴らが、臨戦体制になっているぜ」
複数個所からのろしが上がっている上に、異様な気配を感じている者が俺含め多数。間違いないだろう。
「ご主人様、何だか寒気がします。それに何だか落ち着きません」
「ルナも感じるか。もう相当近いから杖をきちんと準備しておけよ。それに短刀もすぐに使えるようにしておくんだ。何かあって杖が使えないときに役にたつはずだ」
ルナには杖を買ったときに、短刀も併せて買った。それは、杖だけだと対応できない事象に対応可能になるためだ。今日までの戦闘は俺が側にいたし、そこまで凶悪な魔物に遭遇してはいなかったので、短刀を使うことはなかったし、それを使う可能性があることを示唆することもなかった。でも今回はその示唆が必要だと直感が言っているのだ。
「震えているのか」
「震えているのかもしれません。そんなつもりはないのに……」
ルナは過去のことから本能的にこの事態を避けようとしているのかもしれない。俺がどうこうすることができない、しにくい部分だ。
「さて、若大将自分のガールフレンドとの会話は終わったか? そろそろみんなと仕事の話をしよう。さっき、確認してみたら軍側も臨戦態勢に入ったらしい。俺たち冒険者も当然準備をも進めているから、いつでも戦闘できるぜ」
「分かった。俺たちも臨戦態勢を取ろう」
「了解だ。若大将も無事でいてくれよ」
「お前もな」
何だか死亡フラグにしか聞こえないが、多分大丈夫だろう。あいつだけギャグ時空に生きていると思えば何とかなるだろうきっと。
前の方が何だか騒々しいし戦闘音が近づいてくる。これは来たな。それを確信し、剣を構える。ルナもそれが分かっているようで、杖を構えている。しかしその額からは汗が一筋流れている。冷汗だろうか。
「「「ぎえ”え”え”あ”!!!!」」」
「おお、お前は俺の獲物だよ。かかってこいやア!」
目の前に現れたのは、オークとゴブリン。周囲にはそういった系統の魔物がたくさんいる。個体としての強さはそれほどでなくても、数が多ければそれだけ脅威になる。それに、そんない強い魔物が大群で押し寄せたら、それこそ街どことか国の消滅だ。そんな大群などありえない、ボリュームゾーンはゴブリンとオークという想定で作戦の編成は組まれている。
その何体ものオークとゴブリンは俺を見ると、ニチャアと笑みを浮かべた。俺のこと、一人だし後ろにはルナがいるからそれを見たのだろうか。いずれにせよ、いい気分のするものではない。
「お前らの汚ない顔なんぞ見たかねんだよ。さっさと失せやがれこの野郎! はああああ!!!!!!」
剣を必死で振る。斬撃は魔物たちにあたり当然、出血し俺はその返り血を浴びて始まったばかりだというのに真っ赤に染まっている。血まみれの剣も持っているし、これでは死神か何か不吉なものに、見えてしまうではないか。
「まだまだあ!!」
剣を振る。魔物の首が吹き飛んでいく。同じような血みどろの光景があちらこちらで広がっている。これが魔物を大量に倒すということなのだ。俺が数か月であっても生きるために、その環境に適応せざるを得なかった。だがルナはどうだろうか。
「私の邪魔を、するな!」
その心配は杞憂だった。ルナは血があまり流れない方法で精一杯魔物を倒している。本当なら俺の支援をしてもらおうと思っていたのだが、それも必要ないのかもしれない。ルナも生きるために必死なのだ。我に返った時にはどうなるかは分からないが、少なくとも、戦いに集中している今ならまだ大丈夫だろう。
「しかし始まってすぐだが本当に多いな」
そんな愚痴をこぼしたくもなる魔物の数だ。最前線で戦う者が一戦目を終え、次の魔物たちと戦おうとしているところで、後衛の支援や魔法の攻撃が届き始めた。やっとか遅かったな。でもこれで少し戦いが有意に進められる。
その場で戦う者の身体が淡く光る。これが魔法支援を受けている状態だ。光自体はすぐに収まるが、これでしばらくの間、攻撃力が上がったり、身体能力が上がったりする優れものだ。
「これでもっと戦えるぞルナ!」
「はい!」
ルナも必死だ。俺も必死だ。この中に必死でない奴など一人もいない。必死でなければ死ぬ。ただそれだけだ。
「もっと歯ごたえのあるヤツこいやあ! この俺が相手してやるよ!」
「いい咆哮だ」
「そりゃどうも。そうでも言ってなきゃ、気持ちで負けてしまいそうだ」
「はは、同感だな」
「いくぞ!」
さらに囲まれてる中で、見知ら兵士や冒険者たちと協力してことを進める。この中ではなにも関係ない。そこに戦う者すべてが仲間だ。
剣を構え、魔物の集団に一気に突っ込む。先ほどの強化魔法などのおかげ体の動きが非常に軽い。これならいける!
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる