俺の旅の連れは美人奴隷~俺だって異世界に来たのならハーレムを作ってみたい~

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三章「奴隷と大規模戦闘」

戦いが近いです

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「そろそろ時間だな。移動が近い」

 軍の方はきちんと整列し、冒険者の方はまばらに集まっている。この緊急依頼を受けた冒険者は全員この場にいるだろうから、冒険者と軍の差というものが如実に表れている光景と言っていいだろう。前では軍の司令官が登壇している。どうやら何か演説でもするようだ。ギルマスなどもすればいいのだろうが、軍もいる手前、こういった役割は軍の司令官が適任ということか。

 初めに、冒険者諸君、街を襲わんとする魔物の大群討伐のためにこの場にいること、街の防衛をつかさどるものとして感謝する。そして、軍人諸君はその職責を果たすのだ。諸君ら全員の武運を祈る。ともに、この非常事態を乗り切ろうではないか!」

 その声で主に軍の方から大きな歓声が上がる。冒険者もそれに連動するように冒険者も声を上げる。こういった鼓舞は大事なことだろう。誰であっても、戦いの場面において、精神的なことが作用する部分が多い。そのため、このように普段なら眠くなる校長の挨拶のようなものであっても、戦場という場でならば、非常に重要な役割を持つのだ。

「ご主人様、ここから移動するんですよね。どの位時間がかかるんでしょうか。というか、ずっと気になっていたのですが、この門から結構な距離があると思うのですけど、城壁の方や高台から魔物が来た時にきちんと見えるものなのでしょうか」

 なるほど、ルナの疑問はもっともなことだ。何も知らないのならば、見えないかもしれないと考えるのは自然だろう。もちろん普通の人間には確かに見ることはできない。どっかの狩猟部族みたいに視力10とか20あるような人ならばあるいは見えるのかもしれないが、さすがにそこまでの視力を持つ人はこの世界でも少ないだろう。

「ルナの考えている通り、直接見ることが出来る人なんてほとんどいない。だけど、魔法やスキル、あるいは魔道具によってかなり遠くのものを視認できるようにすることは可能なんだ。今回の作戦においてどのパターンが採用されているかどうかまでは知らないけど、きちんと見えるようにはなっているはずだよ」
「そうだったんですか。でもそんな魔道具まであるなんてすごいですね。私も便利な魔道具見てみたいです」

 魔道具もあるにはあるのだが、まあ欠点がないわけではない。

「見ること自体があると思うけど、使うことは難しいかもしれないな」
「それはどうして?」
「単純にすごく高い。軍事技術にも転用できるものだから、まだ国の方で厳格な管理が行われているんだ。それに、好んで研究している人も少ないんだろうな。知らんけど」

 そのうち、いい方に持って行ってくれるとありがたいが、なにせ俺は魔道具については素人だ。安易な考えもすべきではないだろう。可能性がありそうな代物ではあるけどな。

「もったいないですね。そんな色々なことに使えそうな技術が独占されているなんて」
「まあ、そうは言っても軍事技術だし俺たちにはどうしようもないかもな。魔道具に興味ある奴がすごい出世して規制を取っ払ってくれるといいんだけどな」

 実際には結構難しいだろう。市民がほとんどその効果を知らないというのが障壁だろうな。

「今、そんな話をしてもしょうがないさ。それよりも最終的な確認だけど、ルナは本当に最前線で戦うんだな」

 ルナはまっすぐ俺の方を見てきた。

「今更そんなことを聞かないでください。私は覚悟を決めています」
「そうか。一応の最終確認だよ。ルナの覚悟はもう伝わっているよ」

 そんなことを話していたりすると、野営地に到着した。ここが最前線となり、そしてこの少し後ろには本陣が貼られることになり、そこに司令官などがいる。俺は最前線にいる冒険者に指示を出していく役割だ。

「着いたら、俺たちもひと段落だな。知らせがあるまでは少し落ち着こうか」
「いつ来るかわからないですからね。ご主人様はいつくらいに魔物がここに到達すると考えているのですか?」
「今日の午後から明日の朝にかけてくると思っている。夜だと戦闘がしにくいから昼間に来てくれるとやりやすいんだが、こればかりは分からないな」

 そう、本当に夜間の強襲は勘弁してほしい。俺の魔法で防ぐことなど不可能なのだからどうあがいても守るしかない。というか、そんなことしたらここにいる意味それ自体がなくなってしまう。俺が出来ることは、とにかく魔物を倒していくことだけだ。

「暗い間にこないように神様に祈るしかありませんね」
「こればかりはあの神様を信じるしかないな」

 俺をこの世界に送り込んだ神様だが、どうも抜けていて最高権威のはずが、かなり人間臭い神様だった記憶がある。だから今回も神様パワーで何とかしてくれないかなと思っていたりする。

「今は精神統一の時間だな。でも腹ごしらえは必要だろう。ルナ、なんか食べるか?」
「お肉ありますか?」

 そういうと思っていた。生の肉を焼く時間はないかもしれないとも思ったが、焚火くらいはするだろうし、最悪、魔法で何とかすればいいかなと感じて、ちょっと用意してみたものがある。

「お前のために用意しておいたものがある。見よ!」

 ルナの前に焼く前の串焼きを何本か出すと、涎を垂らしかけている狐の姿がそこにはあった。

「おい、今にも俺の持っている串を奪い取りそうな感じだけどな、これ生だから火を入れないと腹壊すぞ。さっき、あんなに壮大な決意を俺に聞かせてくれたのに、腹を下して戦闘に参加できませんでしたなんて、笑い話にもならないだろう」
「……確かにそうですね」

 ルナはその串に伸びている手をゆっくりとひっこめた。ルナのこともあるので、さっさと串を焼くことにしよう。火はどこかにあるだろうかと探していると、近くで火を焚いている奴らがいたのでそいつらも串で買収して、使わせてもらうことにした。

「さあ、焼けたぞ。ゆっくり食えよ」

 ルナは渡した瞬間にあついといいながら、パクパクと串を食べている。まったく、朝ご飯も食べているはずなのにどうしてそうも食欲があるのか不思議でならない。これが成長期というやつなのか。

「美味しいですご主人様」

 この場において実に幸せそうな顔である。

「気を抜くなよ」
「はい、もちろんです」

 分かっているのか分かっていないのか微妙だな。でもここまできているんだ大丈夫ではあるだろう。
 さあ、あとはいつ来るかだな。ふと、のろしが上がっていないかを確認する。

「ん? あれは上がっているのか?」

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