Luv hate

ななな

文字の大きさ
3 / 9

会議

しおりを挟む
物資の書類作成にも慣れ、最近は会議の書記をやらせてもらっている。

「さて、アルバーン。君はどうするべきだと思う?」

先輩は、最近、俺の同期のアルバーンに質問するのにハマっているようだ。
同期とはいえ、55歳の部隊上がりの人だ。

「はい。まず西で先制攻撃を仕掛け、手薄になった南を叩き、物資の供給を断ちます」
「うーん。物資の供給を断つのは良いと思う。けど、僕は......」
「ですが、それだとこちらの戦力が......」
「それは大丈夫。ここの部隊には物資も......」

結局、アルバーンの意見は通らず、先輩達の意見が合わさってやっと、シャルル先輩は納得した。
先輩は自分が考えた最適解にたどり着くまで、質問し続ける。
もう、自分の中では答えが決まっているというのに会議をする先輩が分からなかった。

「アランの上官は、難しい人だな」
「自分もいつも悩まされています。あの人についていける人はすごいですね」
「アランはついていけてるじゃないか。半年もついてこれたのは、君が初だと聞いた」

部下としてはそうなのかもしれない。
だけど、俺は知っている。
半年よりもはるかに長い、10年間も先輩といた人を。
それは先輩の髪を褒めた人で、先輩を強くした人。
そして、先輩の悪夢である。
ある日先輩はうなされながら、イヴァンという名前を漏らした。
気になって先輩の同期を調べた。
イヴァン。
ロルド軍事学校21期生。
第7部隊所属。
9月6日セリン地域4区の戦いで殉死。
それ以外の情報は無かった。
セリン地域での戦いは6年前。
先輩が21歳の時だ。
学校時代から知り合いだとすると10年も先輩の側にいた人だ。


「先輩はなんで軍人になったのですか」
「......理由はとうの昔に無くしてしまった。ただ他にすることも無くて続けているだけさ。そういう、アランはどうなんだい?」
「戦を無くしたかったからです。戦いは自分から全てを奪ったので」
「戦いを無くすためか。そうだな。僕も大切な人を持っていかれてしまった。もう2度とあんな経験はごめんだ」

きっとイヴァンという男の事だ。
6年経った今でも、先輩の心に残り続けるその人を羨ましく思った。
昔のことを思い出したからか、先輩は一段とうなされていた。

「ところで、アラン。書記をやってもう3ヶ月だ。そろそろ君にも聞こう?先ほどまでの案を踏まえて君はどうする?」
「はい。そうですね。まず部隊を東に移動させ......」
「流石!僕の見込んだ子だ!僕も同意見だ。他に提案がある人はいるかい?」

昔の記録を読みあさり、会議中、他の人の意見が飛び交う中、先輩ならどうするか、この数ヶ月書記をしていた。
今ならチェスも勝てるかもしれない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?

キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。 知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。 今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど—— 「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」 幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。 しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。 これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。 全8話。

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

【完結】下級悪魔は魔王様の役に立ちたかった

ゆう
BL
俺ウェスは幼少期に魔王様に拾われた下級悪魔だ。 生まれてすぐ人との戦いに巻き込まれ、死を待つばかりだった自分を魔王様ーーディニス様が助けてくれた。 本当なら魔王様と話すことも叶わなかった卑しい俺を、ディニス様はとても可愛がってくれた。 だがそんなディニス様も俺が成長するにつれて距離を取り冷たくなっていく。自分の醜悪な見た目が原因か、あるいは知能の低さゆえか… どうにかしてディニス様の愛情を取り戻そうとするが上手くいかず、周りの魔族たちからも蔑まれる日々。 大好きなディニス様に冷たくされることが耐えきれず、せめて最後にもう一度微笑みかけてほしい…そう思った俺は彼のために勇者一行に挑むが…

出戻り王子が幸せになるまで

あきたいぬ大好き(深凪雪花)
BL
初恋の相手と政略結婚した主人公セフィラだが、相手には愛人ながら本命がいたことを知る。追及した結果、離縁されることになり、母国に出戻ることに。けれど、バツイチになったせいか父王に厄介払いされ、後宮から追い出されてしまう。王都の下町で暮らし始めるが、ふと訪れた先の母校で幼馴染であるフレンシスと再会。事情を話すと、突然求婚される。 一途な幼馴染×強がり出戻り王子のお話です。 ※他サイトにも掲載しております。

【8話完結】僕の大切な人はBLゲームの主人公でした。〜モブは主人公の幸せのためなら、この恋も諦められます〜

キノア9g
BL
転生先は、まさかのBLゲームの世界。 モブであるリセルは、恋を自覚した瞬間、幼馴染・セスがこの世界の“主人公”だと気づいてしまう。 このまま一緒にいても、いつか彼は攻略対象に惹かれていく運命——それでも、今だけは傍にいたい。 「諦める覚悟をしたのに、どうしてこんなにも君が愛おしいんだろう」 恋の終わりを知っているモブと、想いを自覚していく主人公。 甘さと切なさが胸を締めつける、すれ違いから始まる運命の物語。 全8話。

君さえ笑ってくれれば最高

大根
BL
ダリオ・ジュレの悩みは1つ。「氷の貴公子」の異名を持つ婚約者、ロベルト・トンプソンがただ1度も笑顔を見せてくれないことだ。感情が顔に出やすいダリオとは対照的な彼の態度に不安を覚えたダリオは、どうにかロベルトの笑顔を引き出そうと毎週様々な作戦を仕掛けるが。 (クーデレ?溺愛美形攻め × 顔に出やすい素直平凡受け) 異世界BLです。

処理中です...