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22話 お花摘み
しおりを挟むミーアが気がつくも日暮れとなり、俺とローラ、ダインとミーアの四人で固まり夜営することとなった。
ランドルフの指揮の下、冒険者達は辺りの警戒に当たり、兵士達は盗賊達の見張りと馬車の修理で人手が足りない。
その為、急遽護衛として俺達二人も雇われた。いや、二人と一羽か。
「ふぁ~マルマル、モリモリ、フワフワですね。それに温かいです」
「ZZZ……キュッ……ZZZ……」
「ホルスちゃんは可愛いですよね~」
「はい、可愛いです」
ダインは、「僕の世話はいいから今日はゆっくり休んで」と、ミーアに伝え、今は焚火を俺、ダインと抱かれたホルス、ローラと並んで囲んでいる。
焚火で温まりながら、ダインがローザに話かけると、起きたホルスが谷間の巣穴?から顔を出した。
――ポンッ
「キュイ?」
「わぁ!」
「あら、起きたのホルスちゃん。もうそろそろ夜のご飯の時間かしら」
ダインがホルスに興味津々だったので、ローラと一緒に世話をしたり、抱きかかえて優しく撫でている。
襲われた後で気分転換にもなるだろう。アニマルセラピーってやつかな。
うん、ホルスも可愛いがダインも可愛いぞ。
とは思うが絶対口に出さない。それは年頃男子のプライドを傷つける言葉だからな。
「ダインは眠くないのか?」
「少し眠いけど大丈夫。みんなが働いてるのに一人だけ眠るのは……」
出来すぎだ。もうこれは教育したから出来るレベルを超えている。しかし気負いすぎだな。
「休める時に休むのも大事だぞ。体力の回復も出来ないし、判断力が鈍る原因にもなるからな」
「そうなんだ。でも、もう少し起きていたいな……」
「余り遅くならなければ問題ないさ」
「うん、ならもう少しだけ」
前世で結婚したことは無かったが、別に子供は嫌いじゃない。友人の息子や娘とは仲が良かった。
まぁ、俺の精神年齢が子供レベルだということもあるだろうが……
「ねぇ、フウガ、喉が乾いたわ」
随分と遠慮が無くなったローラの要望に応え、収納魔法から一本の瓶と三つの木製カップを取り出す。
「なら、これに氷を頼む」
「お安い御用よ」
そう言って魔法で空中に氷の結晶からクラッシュアイスを作り、カップを満たすローラ。
「すごいですね!綺麗な人は魔法も綺麗だなぁ」
「…………」
何この子!天然のたらしですか?
ローラも照れて黙ってしまった。俺は氷で満たされたカップに、瓶の中身を注いで、スプーンをさす。そして二人に差し出した。
「ワインじゃないぞ、濃厚ぶどうジュースだ」
「「おお~!!!」」
確かこれは、ぶどう畑の害獣駆除のクエストを受けた時の成功アイテムだ。確か場所はこの国の北にある農村だったっけ。
「凄く濃厚ね~甘味も強く酸味が少ないわ」
「これ美味しい~僕大好きです」
「気に入ってくれたなら良かったよ。ローラは火照った顔に丁度いい冷たさだよな。いてっ」
あれ、ローラに脛を蹴られたけど何故か痛みが。
どう考えてもステータスの差でダメージなんて通らないはずなのに。不思議だ……
そんな感じでほのぼのしていたら突然、
「ワオ~~~~~ン」
遠吠えが聞こえてくる。皆作業を止めて武器を取り辺りを警戒し始めた。
クソッこれじゃ明朝に出発出来ない……
「ローラ、ダインを頼む」
「は~い、行ってらっしゃい」
「お、おう……」
美人エルフの笑顔での見送りは破壊力が凄いな……
「えっ、フウガ何処行くの?」
「トイレだよ、ト・イ・レ 先に寝てていいぞダイン」
さて、さっさと片付けに行きますか。
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