私立章愛学院ハンドメイド部!

白山小梅

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プロローグ

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「ん? どういうこと?」

 美晴は日和の顔の前にチラシをグイっと押し付けると、ここを読めとばかりに一か所を指差した。

「えーっと、『尚、一チーム六人でのエントリーとさせていただきます。同一校でなくても構いません。様々なハンドメイドを取り入れたオリジナリティーのある作品をお待ちしています。』なるほど。ということは私も参加なんだね。でもさ、私を入れたって三人だよ。あと三人の当てってあるの?」

 日和に言われ、大きなため息と共に二人は窓の外を眺めながら肩を落とす。どうやらないらしい。

「しかもエントリーの受付、今月中だよ。あと三人なんて見つかる?」
「何言ってるの、ひーちゃん。意地でも見つけるの。私はこの大会に出たい。ハンドメイドは所詮趣味だって思われがちだけど、それで戦える場所があるなら参加したい。こんなチャンス滅多にないよ。だからせっかくのチャンスを無駄にしたくない。でもまぁ新入部員がもし見つからなかったら、とりあえず誰でもいいから名前だけ借りてエントリーしよう!」

 やる気に満ち溢れた美晴を見ながら、チラシを持ってきた張本人の木乃香も困ったように天を仰いだ。

 これがチャンスであることはわかってる。とはいえ木乃香自身も、あと三人を月末までに集めることの難しさを感じているようだった。

「そういえばこのチラシってどこにあったの?」

 日和がチラシを指差しながら尋ねると、木乃香ははっと我に帰る。

「ああ、さっき職員室に行った時に竹代ちゃんに渡された」

 竹代ちゃんとは三人が所属するハンドメイド部の顧問で、普段は家庭科の教諭のおばあちゃん先生だった。いつものんびりとしていて、癒し系先生と生徒たちから人気があった。

「ばりちゃんが喜ぶはずだから渡してあげてって」
「さすが竹代ちゃん。私のことわかってる!」
「でもさすがに名前だけ借りるのは良くないから、ちゃんと新入部員を探そう! ズルして勝っても嬉しくないよ」

 二人の顔を真剣な表情で見つめ、木乃香は言い切った。それに対して美晴は眉間に皺を寄せ、日和は大きく頷く。

「ばりちゃんが洋裁、こんちゃんが和裁、で私がビーズ細工。同じ特技の人でもいいけど、なんか違う系統の人がいたら強みになるんじゃない?」
「確かに。オリジナリティだもんね。でもどうやって見つけるんだ?」
「ひたすら持ち物とか見て回る」
「そんなんで見つかるかな……一か月しかないんだよ?」
「出たいなら探すしかないよ。頑張ろう、ばりちゃん!」

 二人に励まされ、美晴はやや困惑気味に頷いた。

「とりあえず今度の部活動紹介の日が勝負かな。ばりちゃんの演説で目を輝かせた子をスカウトする!」

 目を輝かせた子? それってどうやって判別するんだ? 期待と不安が入り混じった奇妙な感覚。それでも少しの希望を信じて、やるしかないのだと自分自身に納得させるのだった。
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