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一章 和歌(中一)の場合
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真新しいセーラー服に身を包み、少し重たいカバンを持って、三池和歌は母親と一緒にこれから通うことになる学校の門をくぐった。
私立章愛学院。希望すれば誰でも入学出来ると言われている女子校だった。
緊張から顔が強張り、心臓は驚くほどの速さで打ち続けていた。これから始まる学校生活に、今はまだ希望が見出せず、胃がキリキリと痛む。
和歌の目に、昔からここに立っていたかのような大きな桜の木が目に入る。花びらが半分ほど散ってしまっていたが、満開だった時が想像出来た。
来年、二年生になる時には満開の桜が見られるのかなぁ……私、ちゃんと学校に通えるのかな……。
不安は抱えきれないくらいある。でも私はこの学校で、私自身を再スタートするって決めたんだ。新しい自分になりたいの。
和歌は顔を上げると、拳に力を入れた。
今度こそ大丈夫。嫌われないように、みんなと上手くやれるように頑張るんだ。
* * * *
入学式の翌日は皆緊張しているからか、クラスメイトに話しかける様子も少なく、先生が来るまで教室は静けさに包まれていた。
それが二日ほど経つと、お喋りの声も聞かれるようになってくる。
それでも和歌はクラスメイトが話す様子を見ながら、ただ笑顔でいるしかなかった。
どうしよう……自分から話しかけた方がいいのかな……。そう思いながら両隣を見れば、それぞれ別の子と話している。
会話しているところに入っていく勇気なんてないよ……やっぱり中学校でも友達は出来ないのかな……。
その時、担任の高丘先生が教室に入ってくる。四十代の理科の先生で、モジャモジャの髪と黒縁メガネが特徴的だった。
「はい、ではこれから部活紹介があるので体育館に行きますね。出席番号順に廊下に並びましょう」
先生の言葉を聞くなり生徒たちはすぐに立ち上がると、お互いの出席番号を確認し合いながら廊下に並び始める。
「うんうん、新入生は動きが早くて助かるなぁ」
和歌の前には三つ編みの女の子が立っていた。いつも後ろの席から話しかけようか悩みながら、なかなか声をかけられなかった。
よ、よし、今日こそ……と思ったのも束の間、
「じゃあついてきてね~」
と先生は歩き始めてしまった。
私立章愛学院。希望すれば誰でも入学出来ると言われている女子校だった。
緊張から顔が強張り、心臓は驚くほどの速さで打ち続けていた。これから始まる学校生活に、今はまだ希望が見出せず、胃がキリキリと痛む。
和歌の目に、昔からここに立っていたかのような大きな桜の木が目に入る。花びらが半分ほど散ってしまっていたが、満開だった時が想像出来た。
来年、二年生になる時には満開の桜が見られるのかなぁ……私、ちゃんと学校に通えるのかな……。
不安は抱えきれないくらいある。でも私はこの学校で、私自身を再スタートするって決めたんだ。新しい自分になりたいの。
和歌は顔を上げると、拳に力を入れた。
今度こそ大丈夫。嫌われないように、みんなと上手くやれるように頑張るんだ。
* * * *
入学式の翌日は皆緊張しているからか、クラスメイトに話しかける様子も少なく、先生が来るまで教室は静けさに包まれていた。
それが二日ほど経つと、お喋りの声も聞かれるようになってくる。
それでも和歌はクラスメイトが話す様子を見ながら、ただ笑顔でいるしかなかった。
どうしよう……自分から話しかけた方がいいのかな……。そう思いながら両隣を見れば、それぞれ別の子と話している。
会話しているところに入っていく勇気なんてないよ……やっぱり中学校でも友達は出来ないのかな……。
その時、担任の高丘先生が教室に入ってくる。四十代の理科の先生で、モジャモジャの髪と黒縁メガネが特徴的だった。
「はい、ではこれから部活紹介があるので体育館に行きますね。出席番号順に廊下に並びましょう」
先生の言葉を聞くなり生徒たちはすぐに立ち上がると、お互いの出席番号を確認し合いながら廊下に並び始める。
「うんうん、新入生は動きが早くて助かるなぁ」
和歌の前には三つ編みの女の子が立っていた。いつも後ろの席から話しかけようか悩みながら、なかなか声をかけられなかった。
よ、よし、今日こそ……と思ったのも束の間、
「じゃあついてきてね~」
と先生は歩き始めてしまった。
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