34 / 64
ルルベ草4
しおりを挟むその成果か今、マルガレーテの魔力はもりもりと回復している。
回復したはしからクロ、いやクラウス様を撫で回してある程度の呪いの解呪も同時に出来るようになった。
最後は一気に勢いよく。だけれど、出来るだけ下準備もしたかったのだ。底上げというか。
なにしろ最後の仕上げが成功するとは限らないのだから。
そんな二重の解呪方法がとれるようになったのも、全ては豊富なルルベ草のおかげだった。
マルガレーテが自然に回復するよりも、ずっと早く大量に魔力が補給されるのはとてもありがたかった。
それと同時に最初は魔力を制御する指輪の調整を緩めることは、今までは危ないので慎重にしなければならなかったけれど、大量のルルベ草の前には多少今までよりもたくさん魔力が流れ出てもすぐに補給できるからと、そのうち少し緩めても良いことになった。
そのころにはマルガレーテもイグナーツ先生から魔力に関する訓練や解説を受けていたので、これを機にマルガレーテが自分で指輪の調整が出来るようになりたいと思ったのは自然なことだった。
「これは非常に高度で繊細な技なのです」
イグナーツ先生は最初はそう言って心配そうにしていたけれど、それでもマルガレーテは日夜練習して、その技をなんとか身につけた。といっても、イグナーツ先生が設けた制限のラインを多少上下できるようになっただけなのだけれど。
それでも自分でたくさん魔力を使いたいとき、またはあまり魔力を使いたくないとき、そんな必要に応じてある程度調整できるようになったのはマルガレーテも嬉しかった。
これでできるだけ効率的に白の魔力をクラウス様に入れられる。
もちろん体調が悪いときやルルベ草による魔力の補給が出来ないときは、自分で魔力を絞ることも出来る。
自分の魔力の状態も自分で見られるようになったので、そんな調整も出来るようになったのがとても便利だった。
いつしかマルガレーテは、どれくらい魔力を入れるとクラウス様にかけられた呪いが抵抗するようになるのかもわかるようになった。ある時点で、明らかに何かの魔術が発動して魔力の流入を防いでいることを感じることが出来るようになったのだ。
だからその時点を超えないように魔力を入れるようになった。それはそれほど多くはなかったけれど、それでもやらないよりはマシだろうとマルガレーテは日々頑張った。
そして同時に王妃様の呪いの核も消せないだろうかと密かにマルガレーテは考えていた。
もっと沢山の魔力があれば出来るかも知れない。
もっとたくさんの白の魔力が必要だ。
マルガレーテは、おそらくこの国にきて、始めて自分の能力に欲が出ていた。
もっと力を。
もっと魔力を。
もっと私に白の魔力を。
そうすれば、もっと沢山の人を救うことができるのだから。
でもねえ……。
いくらとても美味しいとはいえ、こうも毎日食べ続けていると、さすがに飽きるというかなんというか。
まだ、不味いとは思わない。体が魔力を欲している限り、それなりに美味しくいただいてはいるのだけれど。
でも飽きると言えば飽きる……。
周りもいろいろ工夫してくれて、ジュースにしたり他の味付けを足したりしてバリエーションを広げてくれてはいるのだけれど。
「さすがに飽きるな……。まさかそんな日が来るとは思わなかったが」
綺麗に切りそろえられたルルベ草をつまみ上げながら、王妃様もため息をついた。
「食べられないわけではないのですが……」
マルガレーテも苦笑する。
ルルベ草があまりにも採れるので、今や王妃様もマルガレーテと同じようにルルベ草を大量に供されていた。
「今や使用人たちも魔力を持て余しているぞ。イグナーツ先生でさえこの前ルルベ草を断っていた。あのじじい、最近はあまり魔力を使うような仕事をしていないんだろう」
「私の授業のために毎日のようにこちらに来ていただいてますものね。授業だけでは魔力はそれほど使わないということでしょう」
「マルガレーテはあいつのお気に入りだからな。姫とか呼んでうっとりしているあの顔を見ると笑ってしまう。どれだけレイテが好きなんだ。いつもはプライドも高くすましているくせに」
王妃様が鼻で笑いながら言った。
「良い弟子だと思っていただけたらいいのですけれど」
本来はあのイグナーツ先生の弟子になるのもきっと大変なんだろうに、マルガレーテはレイテの王女という立場、そして王妃様の実家ラングリー公爵家の財力のおかげでたっぷりとその技術と知識を教えてもらえることに感謝していた。
教われば教わるほど、魔力というものはとても不思議で、そしてとても便利なものだと思うようになったのもイグナーツ先生のおかげだろう。
祖国レイテにいたときは、魔力というものは単に邪魔なもので、いっそ無い方が嬉しいとさえ思っていた。
魔力があるせいで自分は捨てられたのだから、どうして魔力なんて持ってしまったのだろうと何度も泣いた。
でも。
今では魔力があって良かったと思う。
私に白い魔力があったから王妃様を助けられた。
そしてその私の魔力で、クラウス様も助けられるかもしれない。
自分を好いてくれる人たちの力になれることが、とても嬉しかった。
ルルベ草にはちょっとだけ飽きたけれど……。
それでも草は食べなければならない。
出来るだけ新鮮なうちに。出来るだけ生の状態で。
10
あなたにおすすめの小説
「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い
腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。
お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。
当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。
彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。
前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のソフィーナは、非常に我が儘で傲慢で、どしうようもないクズ令嬢だった。そんなソフィーナだったが、事故の影響で前世の記憶をとり戻す。
前世では体が弱く、やりたい事も何もできずに短い生涯を終えた彼女は、過去の自分の行いを恥、真面目に生きるとともに前世でできなかったと事を目いっぱい楽しもうと、新たな人生を歩み始めた。
外を出て美味しい空気を吸う、綺麗な花々を見る、些細な事でも幸せを感じるソフィーナは、険悪だった兄との関係もあっという間に改善させた。
もちろん、本人にはそんな自覚はない。ただ、今までの行いを詫びただけだ。そう、なぜか彼女には、人を魅了させる力を持っていたのだ。
そんな中、この国の王太子でもあるファラオ殿下の15歳のお誕生日パーティに参加する事になったソフィーナは…
どうしようもないクズだった令嬢が、前世の記憶を取り戻し、次々と周りを虜にしながら本当の幸せを掴むまでのお話しです。
カクヨムでも同時連載してます。
よろしくお願いします。
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
夫と愛し合った翌朝、一方的に離縁されました【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
美しい公爵夫人マルグリートは、冷徹な夫ディートリヒと共に、王国の裏で密かに任務をこなす“悪女”。
だがある日、突然夫から離婚を言い渡される。しかもその裏には、平民の愛人の存在が──。
失意の中、王命で新たな婚約者・エルンストと結ばれることに。
どうやら今回の離婚再婚は、王家の陰謀があるよう。
「悪女に、遠慮はいらない」
そう決意した彼女は、華やかな舞踏会で王に真っ向から言い放つ。
「わたくし、人の家庭を壊しておきながら悪びれない方に、下げる頭は持っていませんの。
王族であられる前に、人におなりくださいませ。……失礼」
愛も、誇りも奪われたなら──
今度はこの手で、すべてを取り戻すだけ。
裏切りに燃える、痛快リベンジ・ロマンス!
⚠️本作は AI の生成した文章を一部に使っています。タイトル変えました。コメディーです。主人公は悪女です。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
前世で孵した竜の卵~幼竜が竜王になって迎えに来ました~
高遠すばる
恋愛
エリナには前世の記憶がある。
先代竜王の「仮の伴侶」であり、人間貴族であった「エリスティナ」の記憶。
先代竜王に真の番が現れてからは虐げられる日々、その末に追放され、非業の死を遂げたエリスティナ。
普通の平民に生まれ変わったエリスティナ、改めエリナは強く心に決めている。
「もう二度と、竜種とかかわらないで生きていこう!」
たったひとつ、心残りは前世で捨てられていた卵から孵ったはちみつ色の髪をした竜種の雛のこと。クリスと名付け、かわいがっていたその少年のことだけが忘れられない。
そんなある日、エリナのもとへ、今代竜王の遣いがやってくる。
はちみつ色の髪をした竜王曰く。
「あなたが、僕の運命の番だからです。エリナ。愛しいひと」
番なんてもうこりごり、そんなエリナとエリナを一身に愛する竜王のラブロマンス・ファンタジー!
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】
iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる