二度捨てられた白魔女王女は、もうのんびりワンコと暮らすことにしました ~え? ワンコが王子とか聞いてません~

吉高 花

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ルルベ草4

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 その成果か今、マルガレーテの魔力はもりもりと回復している。
 回復したはしからクロ、いやクラウス様を撫で回してある程度の呪いの解呪も同時に出来るようになった。

 最後は一気に勢いよく。だけれど、出来るだけ下準備もしたかったのだ。底上げというか。
 なにしろ最後の仕上げが成功するとは限らないのだから。

 そんな二重の解呪方法がとれるようになったのも、全ては豊富なルルベ草のおかげだった。
 マルガレーテが自然に回復するよりも、ずっと早く大量に魔力が補給されるのはとてもありがたかった。

 それと同時に最初は魔力を制御する指輪の調整を緩めることは、今までは危ないので慎重にしなければならなかったけれど、大量のルルベ草の前には多少今までよりもたくさん魔力が流れ出てもすぐに補給できるからと、そのうち少し緩めても良いことになった。

 そのころにはマルガレーテもイグナーツ先生から魔力に関する訓練や解説を受けていたので、これを機にマルガレーテが自分で指輪の調整が出来るようになりたいと思ったのは自然なことだった。

「これは非常に高度で繊細な技なのです」

 イグナーツ先生は最初はそう言って心配そうにしていたけれど、それでもマルガレーテは日夜練習して、その技をなんとか身につけた。といっても、イグナーツ先生が設けた制限のラインを多少上下できるようになっただけなのだけれど。

 それでも自分でたくさん魔力を使いたいとき、またはあまり魔力を使いたくないとき、そんな必要に応じてある程度調整できるようになったのはマルガレーテも嬉しかった。

 これでできるだけ効率的に白の魔力をクラウス様に入れられる。
 もちろん体調が悪いときやルルベ草による魔力の補給が出来ないときは、自分で魔力を絞ることも出来る。
 自分の魔力の状態も自分で見られるようになったので、そんな調整も出来るようになったのがとても便利だった。

 いつしかマルガレーテは、どれくらい魔力を入れるとクラウス様にかけられた呪いが抵抗するようになるのかもわかるようになった。ある時点で、明らかに何かの魔術が発動して魔力の流入を防いでいることを感じることが出来るようになったのだ。
 だからその時点を超えないように魔力を入れるようになった。それはそれほど多くはなかったけれど、それでもやらないよりはマシだろうとマルガレーテは日々頑張った。


 そして同時に王妃様の呪いの核も消せないだろうかと密かにマルガレーテは考えていた。

 もっと沢山の魔力があれば出来るかも知れない。
 もっとたくさんの白の魔力が必要だ。

 マルガレーテは、おそらくこの国にきて、始めて自分の能力に欲が出ていた。

 もっと力を。
 もっと魔力を。
 もっと私に白の魔力を。

 そうすれば、もっと沢山の人を救うことができるのだから。

 

 でもねえ……。

 いくらとても美味しいとはいえ、こうも毎日食べ続けていると、さすがに飽きるというかなんというか。

 まだ、不味いとは思わない。体が魔力を欲している限り、それなりに美味しくいただいてはいるのだけれど。
 でも飽きると言えば飽きる……。

 周りもいろいろ工夫してくれて、ジュースにしたり他の味付けを足したりしてバリエーションを広げてくれてはいるのだけれど。

「さすがに飽きるな……。まさかそんな日が来るとは思わなかったが」

 綺麗に切りそろえられたルルベ草をつまみ上げながら、王妃様もため息をついた。

「食べられないわけではないのですが……」

 マルガレーテも苦笑する。
 ルルベ草があまりにも採れるので、今や王妃様もマルガレーテと同じようにルルベ草を大量に供されていた。

「今や使用人たちも魔力を持て余しているぞ。イグナーツ先生でさえこの前ルルベ草を断っていた。あのじじい、最近はあまり魔力を使うような仕事をしていないんだろう」

「私の授業のために毎日のようにこちらに来ていただいてますものね。授業だけでは魔力はそれほど使わないということでしょう」
「マルガレーテはあいつのお気に入りだからな。姫とか呼んでうっとりしているあの顔を見ると笑ってしまう。どれだけレイテが好きなんだ。いつもはプライドも高くすましているくせに」

 王妃様が鼻で笑いながら言った。

「良い弟子だと思っていただけたらいいのですけれど」

 本来はあのイグナーツ先生の弟子になるのもきっと大変なんだろうに、マルガレーテはレイテの王女という立場、そして王妃様の実家ラングリー公爵家の財力のおかげでたっぷりとその技術と知識を教えてもらえることに感謝していた。
 
 教われば教わるほど、魔力というものはとても不思議で、そしてとても便利なものだと思うようになったのもイグナーツ先生のおかげだろう。
 祖国レイテにいたときは、魔力というものは単に邪魔なもので、いっそ無い方が嬉しいとさえ思っていた。
 魔力があるせいで自分は捨てられたのだから、どうして魔力なんて持ってしまったのだろうと何度も泣いた。

 でも。

 今では魔力があって良かったと思う。
 私に白い魔力があったから王妃様を助けられた。
 そしてその私の魔力で、クラウス様も助けられるかもしれない。

 自分を好いてくれる人たちの力になれることが、とても嬉しかった。

 ルルベ草にはちょっとだけ飽きたけれど……。

 それでも草は食べなければならない。
 出来るだけ新鮮なうちに。出来るだけ生の状態で。
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