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始まり
呪われ壊れた家の元住人は別の術者に呪われる事を望むようだ
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家に着いた2人。一真は那雪の家に上がる事に対して未だに高揚を拭い去る事が出来ないでいた。
「早くアパートでも借りたいな。このままじゃ俺の心臓がもたない」
「いいじゃない。心臓の鼓動は生きてる証、激しく感じてるのはいい事だって思うよ」
「俺が醜い獣になってもいいと思うか? 乙女の心をもかっ食らう卑しき獣に成り果てても」
一真には余裕の一つも残されておらず、那雪はそんな歳上の頼りないイケメンを可愛いと思っていた。
「いいよ、私のこと食べても。明日お別れになるくらいならここで一真に食べられた方がいいかも。少しの間だけど楽しかったよ」
「悲しい事言うなよ。っていうか今のネガティブに見せかけて実は誘ってるだろ」
那雪は歳不相応の色気を持つ表情を無理やり作って妖しく笑う。
「バレたね。やっぱり私さ、おかしいよね」
「ああ、おかしいよ。色々とおかしい。でもだからこそ俺にとって心惹かれるものを持ってるんだって胸を張って言えるんだ」
どれが本性なのかどれもが本性なのか、呪いの影響を完全に無くしたら何が残るのか一切分からないが那雪がどう変わってもこの男は那雪と関わり続けるつもりであろう。そんな想いが那雪を見る一真の瞳から見て取る事が出来た。
「なゆきちの事は明日絶対助けるから信じてくれ。もしも助けられなかったら一生呪ってくれてもいいから」
「そう、なら失敗しないように今呪ってあげる」
窓ガラスから家の中へと差し込む微かな光は那雪の表情を半端に隠していた。
「ありがとう、どんな呪いだろうか」
「一真が死ぬまで互いにこの世を去る事が出来ない呪い」
一真が見た那雪の顔は紅潮した頬と奇妙なニヤけと好意の眼差しを持っていた。
「恋の呪いってものよ」
「随分と重い想いだな。でもおかげでなゆきちが生きてるって分かるよ」
突然、一真は那雪を抱き締める。強く強く抱き締める。好きの想いを好きな人と一緒に包み込む。
「なゆきちの柔らかな肌、温もり、息づかい。それが感じられる全てかな」
那雪は一真に抱かれて心地よく身を任せていた。
「言葉、心、想い。もっともっと見せて欲しい。なゆきちの声でなゆきちの仕草の一つ一つで」
「惚れすぎよ、一真。私なんかの声で良かったらいつでも聞かせてあげるから」
なゆきちの声が良いんだよ。なゆきちの言葉が。ただそれだけの言葉を声に出す事が出来ないでいた。
那雪は一真の首筋を細くて綺麗な指でなぞっていく。
「くすぐったいな、そんな事するなんてなゆきちも俺の事好きなのか」
「勘違いしないで。私は一真の事が好きなんじゃない」
そして一息おいて心を込めて言う。
「大好きなの」
一真の顔は赤くなっていた。心は跳ね回り、落ち着きがなく、気持ちは昂り熱くなっていく。恥ずかしさの限界に達した一真はこれ以上は耐えられないと言わんばかりに別の話題を作る事にした。
「なゆきち。今回の戦いが終わるまででいいから、ホントにかけてくれよ。例の呪い」
「ふふっ、離れたくない離れない、私の本気の呪いで離れられなくしてあげる」
それは問題を抱えている中に割り込んで来た極上極天の幸せな夜であった。
「早くアパートでも借りたいな。このままじゃ俺の心臓がもたない」
「いいじゃない。心臓の鼓動は生きてる証、激しく感じてるのはいい事だって思うよ」
「俺が醜い獣になってもいいと思うか? 乙女の心をもかっ食らう卑しき獣に成り果てても」
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どれが本性なのかどれもが本性なのか、呪いの影響を完全に無くしたら何が残るのか一切分からないが那雪がどう変わってもこの男は那雪と関わり続けるつもりであろう。そんな想いが那雪を見る一真の瞳から見て取る事が出来た。
「なゆきちの事は明日絶対助けるから信じてくれ。もしも助けられなかったら一生呪ってくれてもいいから」
「そう、なら失敗しないように今呪ってあげる」
窓ガラスから家の中へと差し込む微かな光は那雪の表情を半端に隠していた。
「ありがとう、どんな呪いだろうか」
「一真が死ぬまで互いにこの世を去る事が出来ない呪い」
一真が見た那雪の顔は紅潮した頬と奇妙なニヤけと好意の眼差しを持っていた。
「恋の呪いってものよ」
「随分と重い想いだな。でもおかげでなゆきちが生きてるって分かるよ」
突然、一真は那雪を抱き締める。強く強く抱き締める。好きの想いを好きな人と一緒に包み込む。
「なゆきちの柔らかな肌、温もり、息づかい。それが感じられる全てかな」
那雪は一真に抱かれて心地よく身を任せていた。
「言葉、心、想い。もっともっと見せて欲しい。なゆきちの声でなゆきちの仕草の一つ一つで」
「惚れすぎよ、一真。私なんかの声で良かったらいつでも聞かせてあげるから」
なゆきちの声が良いんだよ。なゆきちの言葉が。ただそれだけの言葉を声に出す事が出来ないでいた。
那雪は一真の首筋を細くて綺麗な指でなぞっていく。
「くすぐったいな、そんな事するなんてなゆきちも俺の事好きなのか」
「勘違いしないで。私は一真の事が好きなんじゃない」
そして一息おいて心を込めて言う。
「大好きなの」
一真の顔は赤くなっていた。心は跳ね回り、落ち着きがなく、気持ちは昂り熱くなっていく。恥ずかしさの限界に達した一真はこれ以上は耐えられないと言わんばかりに別の話題を作る事にした。
「なゆきち。今回の戦いが終わるまででいいから、ホントにかけてくれよ。例の呪い」
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それは問題を抱えている中に割り込んで来た極上極天の幸せな夜であった。
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