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〈お菓子の魔女〉と呪いの少女
対面
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夜闇は視界を覆い眠りへと誘う。静寂は耳に心地よくそれもまた眠りへと誘う。2人は夢の世界へと静かに落ちて行った。
それからどれだけの時が過ぎて行ったであろうか。洋子は目を開く。暗闇の中で微かに見える光景。そこにいたのは洋子1人。
ー那雪ちゃんは?ー
その疑問を胸に那雪を探し始める。何もかもが微かにしか見えない闇の中、孤独は不安を掻き立て恐怖を踊らせる。洋子は不安に押し潰されそうであった。暗闇の中、耳を澄ました向こうで聞こえるのはある2人の会話。
「やあ、ここが〈お菓子の魔女〉の家なんだね。お菓子の家じゃあないみたいで安心したよ。『あの子』にとっての『お菓子』の家でもなくて本当に」
「何が言いたいんですか、勇人さん」
ー那雪ちゃんとあの時の人、何を話してるのー
洋子は物音を立てないように注意深くドアに耳を近づけ2人の会話に 耳を傾ける。
「取り敢えずどいてって言いたいね。〈お菓子の魔女〉は危険過ぎる。本人は、洋子は母親が死んだって事しか知らないみたいだけど」
「だから……何が言いたいんですか!」
那雪の怒りの篭った棘のある声をその時初めて洋子は耳にした。
「迷惑なので帰って下さい」
勇人は首をゆっくりと横に振る。
「そうは行かないよ。何せあの子、洋子と同じ魂の裏側の羊子が暴れ出したら俺の大切な鈴香が狙われる。魔力の量が多いから見つけたらきっと真っ先に食べに来ると思うんだ」
ー私と同じ魂? どういうことー
その言葉の意味は一切分からなかった。頭が理解したくないなんて次元ではなく、全くもって分からなかった。
「洋子ちゃんはそんなことしません。あの子はとてもいい子だから」
「ふうん、よく言うよ。何も知らないくせに。例え女子高生の小城 洋子さんがいい子でも〈お菓子の魔女〉小城 羊子はあまりにも危ない」
「洋子ちゃんは危ない人じゃありません! そうだったとしても私がさせません!」
普段の那雪からは想像もつかないような怒声。洋子は一瞬身を震わせつつも守ってくれている事に感謝の気持ちを抱く。
「やっぱ分かってないね。羊子は……自分の母親を食べたんだよ。腹を満たすためにまるでお菓子のように食べたんだ。もう2ヶ月近く前の話らしいけど」
「ふざけないで下さい」
「俺はさ、あの魔女を仕留めたと思ったんだ。所詮は魔力を食うだけの魔女だと思って手負いで逃げるあの子を放っておいて。でもさ、あの子は生きてた。どうしてだと思う?」
「もうあの子の悪口を言わないで! 呪いますよ」
勇人は鋭い笑みを浮かべた。
「そっか、きみの力は呪いとは少し違うとは思ってたけどどうやらそれを呪いとして使ってたからあんなに暗かったんだね。呪い封じを受けたきみは……少々荒っぽい」
那雪は勇人を睨みつける。
「そんな事ありません! 誰だって友だちの事を悪く言われたら怒ります」
「当然か……でも本当にきみにそんな度胸なんかあったのかな」
やり取りの意味はよく分からなかったが、洋子はただ一つの事実を突き付けられた事だけは理解した。
ー私が……お母さんを食べた?ー
朧気な記憶から母は死んだのだと理解していた洋子の脳内にはっきりと浮かんで来た。そう、洋子は空腹感と高揚感を抱きながら母親を、自分を産んだ大切な人を嬉々として食べていたのだというその詳細な記憶が。
「嘘……私…………食べちゃった……」
洋子は頭を押さえる。迸る熱と痛みは洋子から正気を奪い、狂気の存在、〈お菓子の魔女〉小城 羊子を呼び起こす。
「この気配、間違いないね。出て来たら殺す」
その言葉を言い終えるか終わらないかその時にドアは開かれた。
それからどれだけの時が過ぎて行ったであろうか。洋子は目を開く。暗闇の中で微かに見える光景。そこにいたのは洋子1人。
ー那雪ちゃんは?ー
その疑問を胸に那雪を探し始める。何もかもが微かにしか見えない闇の中、孤独は不安を掻き立て恐怖を踊らせる。洋子は不安に押し潰されそうであった。暗闇の中、耳を澄ました向こうで聞こえるのはある2人の会話。
「やあ、ここが〈お菓子の魔女〉の家なんだね。お菓子の家じゃあないみたいで安心したよ。『あの子』にとっての『お菓子』の家でもなくて本当に」
「何が言いたいんですか、勇人さん」
ー那雪ちゃんとあの時の人、何を話してるのー
洋子は物音を立てないように注意深くドアに耳を近づけ2人の会話に 耳を傾ける。
「取り敢えずどいてって言いたいね。〈お菓子の魔女〉は危険過ぎる。本人は、洋子は母親が死んだって事しか知らないみたいだけど」
「だから……何が言いたいんですか!」
那雪の怒りの篭った棘のある声をその時初めて洋子は耳にした。
「迷惑なので帰って下さい」
勇人は首をゆっくりと横に振る。
「そうは行かないよ。何せあの子、洋子と同じ魂の裏側の羊子が暴れ出したら俺の大切な鈴香が狙われる。魔力の量が多いから見つけたらきっと真っ先に食べに来ると思うんだ」
ー私と同じ魂? どういうことー
その言葉の意味は一切分からなかった。頭が理解したくないなんて次元ではなく、全くもって分からなかった。
「洋子ちゃんはそんなことしません。あの子はとてもいい子だから」
「ふうん、よく言うよ。何も知らないくせに。例え女子高生の小城 洋子さんがいい子でも〈お菓子の魔女〉小城 羊子はあまりにも危ない」
「洋子ちゃんは危ない人じゃありません! そうだったとしても私がさせません!」
普段の那雪からは想像もつかないような怒声。洋子は一瞬身を震わせつつも守ってくれている事に感謝の気持ちを抱く。
「やっぱ分かってないね。羊子は……自分の母親を食べたんだよ。腹を満たすためにまるでお菓子のように食べたんだ。もう2ヶ月近く前の話らしいけど」
「ふざけないで下さい」
「俺はさ、あの魔女を仕留めたと思ったんだ。所詮は魔力を食うだけの魔女だと思って手負いで逃げるあの子を放っておいて。でもさ、あの子は生きてた。どうしてだと思う?」
「もうあの子の悪口を言わないで! 呪いますよ」
勇人は鋭い笑みを浮かべた。
「そっか、きみの力は呪いとは少し違うとは思ってたけどどうやらそれを呪いとして使ってたからあんなに暗かったんだね。呪い封じを受けたきみは……少々荒っぽい」
那雪は勇人を睨みつける。
「そんな事ありません! 誰だって友だちの事を悪く言われたら怒ります」
「当然か……でも本当にきみにそんな度胸なんかあったのかな」
やり取りの意味はよく分からなかったが、洋子はただ一つの事実を突き付けられた事だけは理解した。
ー私が……お母さんを食べた?ー
朧気な記憶から母は死んだのだと理解していた洋子の脳内にはっきりと浮かんで来た。そう、洋子は空腹感と高揚感を抱きながら母親を、自分を産んだ大切な人を嬉々として食べていたのだというその詳細な記憶が。
「嘘……私…………食べちゃった……」
洋子は頭を押さえる。迸る熱と痛みは洋子から正気を奪い、狂気の存在、〈お菓子の魔女〉小城 羊子を呼び起こす。
「この気配、間違いないね。出て来たら殺す」
その言葉を言い終えるか終わらないかその時にドアは開かれた。
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