呪う一族の娘は呪われ壊れた家の元住人と共に

焼魚圭

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〈お菓子の魔女〉と呪いの少女

民家、そして。

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 民家にて待ち受けていたのは1人の老人。
 真昼はタバコを吸いながらその老人に訊ねた。
「あんたが〈森の魔女〉の居場所を知っている老人か」
 老人は年老いた気怠げな目を向けて答えた。
「いかにも。しかし、本当に行くつもりか」
「もちろん、平和のためなら当然のこと」
 ただただ立派なだけのつまらない回答。それが老人にとって模範解答となり得るのか、それは謎。ヴァレンシアは楽しげのない会話に耐え切れずに外へと飛び出した。
「すみませんね、あの子猫みたいな子でつまらなくなったらすぐにいなくなるの」
 老人はただ笑う。
 真昼はそんな老人に対してもう一度懇願する。頭を地に付けて丁寧な土下座をして。
「分かった、手に持ってるタバコの灰を落とされても困るからのう。もっと奥の集落にいる」
 それを聞いた真昼は立ち上がり、深々とお辞儀をして「お世話になりました、お邪魔しました」とだけ言ってその場を立ち去った。
 真昼が出て来た途端、言葉が飛んで来る。
「何か得られた? いい情報。それがなきゃなにも出来やしない」
 真昼は親指を立てた。ヴァレンシアは頷く。それからヴァレンシアは再び車に揺られる事になるのであった。



 それは山奥の一つの小さな集落。木々に覆われたそこはまさにこの世から隔離された場所。深い霧に覆われた森は先を見通す事すら難しく真昼は他の人を轢いてしまわないように集落の入り口に車を停めた。真昼はヴァレンシアに降りるように催促して自分も降りた。
 ヴァレンシアは車から降りると腕を伸ばし、背伸びしながら大きく口を開けて欠伸をしていた。大きく開いた胸元は強調され、殆ど閉められていないボタンの下、開かれた腹は細くありながらも健康的でヴァレンシアの色気を目の当たりにした真昼はあまり良くないニヤけを浮かべてしまう。
「ヴァレンシアはなんでネクタイの締めがそんなに緩いの? 私アンタの姿見る度に正気ではいられないんだけど」
 ヴァレンシアは素直に答える。
「私は大嫌い。ネクタイの締め付けはキツいから。堅苦しくて嫌だ」
 真昼は霧をかき分けながら進んで行く。
 そこに待つ人は大抵が老人。その老人は真昼の姿を見るや否やお辞儀をする。
「ようこそ。こんな辺境までお疲れ様」
「そう……ところで、〈森の魔女〉の居場所は分からない?」
 それは気持ちのいい程の直球。しかし老人は首を横に振る。
 それから6人程の老人たちに訊ねるも、みな真っ白な頭を抱えるか質問の意味そのものが分からずに聞き返すか何も答えないか。
 何一つ有益な情報は得られないのであった。
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