呪う一族の娘は呪われ壊れた家の元住人と共に

焼魚圭

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風使いと〈斬撃の巫女〉

何も知らない朝

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 目を開いた鈴香を出迎えたのは明るい桃色の日差し。カーテンが防いだ日差しが微かにカーテンを輝かせていた。鈴香は隣りで寝ている男を揺すり起こす。男は微かに目を開いて気怠そうにしていた。
「おはよう……怜」
「おぉ、おはよう鈴香」
 昨日の魔力切れ、それが影響しているのか、まだ回復しきれていないようで怜は疲れ果てた身体を無理やり起こそうとした。したのだが、起き上がる事は叶わない。起き上がろうとした怜に鈴香が覆い被さり、互いに顔を見つめ合っていた。
「むり……しないで…………キツい……よね。分かる……よ」
 あまりにも近い距離、しかし怜は特に恥じるわけでもなく照れるわけでもなく、あくまでも平常心。波立たぬ静かな想い。
「まだ…………回復……してないよね。ごめんね……ごめん」
「謝らなくていいから学校」
「目覚まし……鳴るまであと…………30分……傍に…………いていい……かな」
 特に何をする気も起きない怜はただ身体を寝かせた状態まま言った。
「好きにしろ」
 昨夜のこと、菜穂と会ったこと、それは心の中に仕舞っておくことにした。敢えて言うまでもない、そう思ったから。何も知らない、それでいい。朝から教えるのはあまりにも酷な事実、それが如何に酷なことか怜は知らなかった。

 この朝、ふたりは相手のことをよく知らず、互いに相手の隠し事も抱く想いも何も知らないのであった。

「ふふ…………怜の……首…………えへへ」
 鈴香は怜の隠し事など知ることもなく怜の首筋を柔らかで小さな指でなぞって甘い顔で微笑んでいた。
「鈴香、俺のことなんだと思ってんだ」
「秘密。言ったら…………壊れそう……だから」
 怜もまた、鈴香の想いなど知ることもなく気怠い身体を心に任せてされるがまま、甘い時間を過ごしていた。
 それから目覚まし時計がなるまでの間、魔法の練習が始まるまでの間、ふたりして甘え合っていた。
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