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風使いと〈斬撃の巫女〉
コーヒー
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アパートの部屋から出た。朝日はまだ微かな熱しか運んでいないようでとても過ごしやすい気温。
鈴香は発泡スチロールの立方体を持ち、そこに魔力を加えていく。その様子を見て下手ながらに指導する怜。手本を見せることは出来なくもないであろう、しかし、魔力はまだまだ快復には程遠いため取っておくことにしたのであった。
「そう、それでいい。内側から破裂させる勢いで、だが破裂はさせない加減」
鈴香は目を閉じて魔力の流れを感じ、発泡スチロールに慎重に魔力を加えていく。
「戦いの時には爆発する前に投げて爆弾扱いするからいいが、今は丁寧にして加減を覚える、いいな」
鈴香は目を閉じたまま頷く。
爆発しない程度、外側と内側の魔力の加圧バランスを絶妙な加減にしてそれを10秒保持する。如何に難しいことだろう。鈴香は気持ちを引き締めて保っていたものの、8秒、そこを超えたところで気が緩んでいく。
手の上に乗っている感覚は突如消失した。鈴香が目を開けると青い空を放物線を描いて飛んでいく物体、怜の身体の向きは物体の方を向いていて右手が下の方を向いていた。
物体は派手な音を立てて破裂したのだった。
恐らく物体を放り投げたであろう怜はそのさまを見届けて鈴香の方へと向きを変える。
「失敗しちまったら俺らが巻き込まれるわけだ。気を付けてな」
それからもう少しの間だけ練習して朝ごはんを食べる。ただのパンも怜が隣りにいるだけで美味しく感じられる。
鈴香は昨日買ったコーヒーミルを調理台へと持っていき、コーヒー豆の入った袋を缶の中へと移していく。黒くて微かに艶のある綺麗な豆と気高い香りがとても魅力的であった。コーヒー豆をミルの中に入れてレバーを回していく。豆を砕く音と共に香りが広がり、そしてミルの下部の引き出しを引っ張り出す。
ガラスで出来たコーヒーサーバーにドリッパーを乗せてペーパーのフィルターをはめる。そして砕かれて粉と化したコーヒー豆をフィルターに入れて、熱いお湯を少し入れて行く。膨らむ粉たちは香りを広げて湯気が昇っていく。それから20秒、豆を蒸らしてお湯を注いでいく。ドリッパーより少しずつサーバーに落ちていく黒い液体。サーバーに溜まっていくことでコーヒーらしさが出て来る。
そうしてコーヒーを淹れ終わった後はカップをふたつ取り出して少しずつ交互にコーヒーを注いでいく。
怜はその様子をずっと目を見開いて思わず口を開きっぱなしにして見ていた。
鈴香が運んで来たコーヒーを口に含む。微かな苦味と口の中で膨らむ柔らかな酸味、そしてコーヒーの芳ばしい香りに思わず頬を緩めるのであった。
「勇人のやつ、毎日こんなに美味しいコーヒーを飲んでたのか」
「毎日……淹れてたよ」
かつて勇人が堪能していた味や香りに想いを馳せるふたりであった。
鈴香は発泡スチロールの立方体を持ち、そこに魔力を加えていく。その様子を見て下手ながらに指導する怜。手本を見せることは出来なくもないであろう、しかし、魔力はまだまだ快復には程遠いため取っておくことにしたのであった。
「そう、それでいい。内側から破裂させる勢いで、だが破裂はさせない加減」
鈴香は目を閉じて魔力の流れを感じ、発泡スチロールに慎重に魔力を加えていく。
「戦いの時には爆発する前に投げて爆弾扱いするからいいが、今は丁寧にして加減を覚える、いいな」
鈴香は目を閉じたまま頷く。
爆発しない程度、外側と内側の魔力の加圧バランスを絶妙な加減にしてそれを10秒保持する。如何に難しいことだろう。鈴香は気持ちを引き締めて保っていたものの、8秒、そこを超えたところで気が緩んでいく。
手の上に乗っている感覚は突如消失した。鈴香が目を開けると青い空を放物線を描いて飛んでいく物体、怜の身体の向きは物体の方を向いていて右手が下の方を向いていた。
物体は派手な音を立てて破裂したのだった。
恐らく物体を放り投げたであろう怜はそのさまを見届けて鈴香の方へと向きを変える。
「失敗しちまったら俺らが巻き込まれるわけだ。気を付けてな」
それからもう少しの間だけ練習して朝ごはんを食べる。ただのパンも怜が隣りにいるだけで美味しく感じられる。
鈴香は昨日買ったコーヒーミルを調理台へと持っていき、コーヒー豆の入った袋を缶の中へと移していく。黒くて微かに艶のある綺麗な豆と気高い香りがとても魅力的であった。コーヒー豆をミルの中に入れてレバーを回していく。豆を砕く音と共に香りが広がり、そしてミルの下部の引き出しを引っ張り出す。
ガラスで出来たコーヒーサーバーにドリッパーを乗せてペーパーのフィルターをはめる。そして砕かれて粉と化したコーヒー豆をフィルターに入れて、熱いお湯を少し入れて行く。膨らむ粉たちは香りを広げて湯気が昇っていく。それから20秒、豆を蒸らしてお湯を注いでいく。ドリッパーより少しずつサーバーに落ちていく黒い液体。サーバーに溜まっていくことでコーヒーらしさが出て来る。
そうしてコーヒーを淹れ終わった後はカップをふたつ取り出して少しずつ交互にコーヒーを注いでいく。
怜はその様子をずっと目を見開いて思わず口を開きっぱなしにして見ていた。
鈴香が運んで来たコーヒーを口に含む。微かな苦味と口の中で膨らむ柔らかな酸味、そしてコーヒーの芳ばしい香りに思わず頬を緩めるのであった。
「勇人のやつ、毎日こんなに美味しいコーヒーを飲んでたのか」
「毎日……淹れてたよ」
かつて勇人が堪能していた味や香りに想いを馳せるふたりであった。
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