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那雪と美雪
最後の戦い
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美雪は一族の力を解き放つ。
「姉と名乗りし下等生物に死の呪いを!」
悪魔を不完全に宿した祈りの使い手と天使の加護を受けし呪いの使い手の戦いは今、幕を開けた。
美しき翼を広げた美雪は黒々とした禍々しい力を振るい、那雪に牙を向ける。那雪は昏い夜の水の底のような力を目の当たりにしても目を閉じることなくただ祈る。
「呪いを打ち消して、聖なる力」
美しき羽根を散らしながら呪いと向かい合いぶつかる祈りの輝き。
そのふたつの相殺を見届けて美雪は更に強大な力を練り、力を乱しながら撃ち出す。
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」
同じ言葉を幾重にも重ねた呪いの塊、その濃厚な力はそこらに転がる絶望よりも重く強く恐ろしい。
単純な感情だからこそ分かりやすい。
那雪は祈りを捧げるも、薄っぺらな希望の力はいとも容易く破られた。
那雪は余りある死の呪いを被り、飲み込まれる。
-このままじゃあ……このままで、死んでいいかな-
絶対的に強大な絶望に引き摺られていく心。那雪はその手を生から手放してしまいそうになっていた、その時、とても大切な何かの声がどこか遠く深い底から響いてきた。
「なゆきちのその目、またアテられたか」
那雪の細い身体を抱き締めて一真は背中を撫でる。
「安心して、俺がついてる。絶望しても俺が助けるから」
そんな2人の中に割って入るひとりの少女。
「やあ、ラブコメやってんねぇ。いいね」
-あ、あぁぁ、ダメ、死んじゃ……絶対に死んじゃダメ!-
那雪は気が付いた時には小さな口を微かに動かしながら呪いの中、呪詛に対抗する祈りを呟き続けていた。
「耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ絶えるな耐えろ絶えるな絶えるな絶えるな絶えるな耐えろ絶やして呪いを」
思い浮かべる、大切な人たちを。ヴァレンシア、満明、奈々美、十也、茜、真昼、刹菜、洋子、一真。
「みんなで笑って過ごすから! きっと最後は笑えるから!!」
呪いに対する祈りによる跳ね返りが遂に美雪の身体を侵し始めた。天使の羽はそのままに、美雪の身体にヒビが入り、血が吹き始める。
死に近付き行く美雪を見て溢れ出る涙を衝撃の風で吹き飛ばしながら那雪は叫ぶ。
「ダメ! 美雪も助けるの! この世をマトモに見てすらいない天使の分際で私の大切な妹を持って行かないで!!」
「那雪……私の事なんか置いて行ってよ、私上へ昇りたい、誰にも届かない処まで」
那雪は呪いと祈りに挟まれて苦しみを叩き付けられ感じつつも無理やり美雪の元へと歩み寄ろうと一歩を踏み出した。
「ダメ! 上なんか行ってもそこに誰もいなかったら……ツマラナイよ!」
「いやだいやだ私は誰よりも優れていたいの誰にも分からないような凄い人でいたいの」
那雪はそんな妹を叱りつける。
「帰って来て!! 私だっていやだ、美雪のことが分からないのは絶対にいやだ! 妹がどんなに凄くても誰も分からないのは誇れないよ!!」
一歩一歩確実に近付き、そして美雪の手を握り、那雪は美雪の背後の存在を睨みつけた。
「天使! 私の妹を返して!! もうどこかに消えてよ!!!」
悪魔の闇のオーラと那雪の言葉の裏に潜ませた負の感情が混ざり合い、天使を美雪から剥がしていく。
結局のところ何もかもが嫉妬と引きずり落とし、上位存在となることを否定しているだけの醜い『人間』でしかないのだ。
剥がれた天使に向けて、那雪は自身が支配しなかった悪魔を引き剥がして放り込む。
「天使を地獄まで追放して!」
そうして混ざり合うふたつの存在は何処かへと消えて行った。
那雪は力なく膝をつく。
美雪は身体に力を入れることすら出来ずに床に倒れ込もうとしていた。
それを抱き締めて、泣きながら那雪は地声混じりに囁くのであった。
おかえり
「姉と名乗りし下等生物に死の呪いを!」
悪魔を不完全に宿した祈りの使い手と天使の加護を受けし呪いの使い手の戦いは今、幕を開けた。
美しき翼を広げた美雪は黒々とした禍々しい力を振るい、那雪に牙を向ける。那雪は昏い夜の水の底のような力を目の当たりにしても目を閉じることなくただ祈る。
「呪いを打ち消して、聖なる力」
美しき羽根を散らしながら呪いと向かい合いぶつかる祈りの輝き。
そのふたつの相殺を見届けて美雪は更に強大な力を練り、力を乱しながら撃ち出す。
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」
同じ言葉を幾重にも重ねた呪いの塊、その濃厚な力はそこらに転がる絶望よりも重く強く恐ろしい。
単純な感情だからこそ分かりやすい。
那雪は祈りを捧げるも、薄っぺらな希望の力はいとも容易く破られた。
那雪は余りある死の呪いを被り、飲み込まれる。
-このままじゃあ……このままで、死んでいいかな-
絶対的に強大な絶望に引き摺られていく心。那雪はその手を生から手放してしまいそうになっていた、その時、とても大切な何かの声がどこか遠く深い底から響いてきた。
「なゆきちのその目、またアテられたか」
那雪の細い身体を抱き締めて一真は背中を撫でる。
「安心して、俺がついてる。絶望しても俺が助けるから」
そんな2人の中に割って入るひとりの少女。
「やあ、ラブコメやってんねぇ。いいね」
-あ、あぁぁ、ダメ、死んじゃ……絶対に死んじゃダメ!-
那雪は気が付いた時には小さな口を微かに動かしながら呪いの中、呪詛に対抗する祈りを呟き続けていた。
「耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ絶えるな耐えろ絶えるな絶えるな絶えるな絶えるな耐えろ絶やして呪いを」
思い浮かべる、大切な人たちを。ヴァレンシア、満明、奈々美、十也、茜、真昼、刹菜、洋子、一真。
「みんなで笑って過ごすから! きっと最後は笑えるから!!」
呪いに対する祈りによる跳ね返りが遂に美雪の身体を侵し始めた。天使の羽はそのままに、美雪の身体にヒビが入り、血が吹き始める。
死に近付き行く美雪を見て溢れ出る涙を衝撃の風で吹き飛ばしながら那雪は叫ぶ。
「ダメ! 美雪も助けるの! この世をマトモに見てすらいない天使の分際で私の大切な妹を持って行かないで!!」
「那雪……私の事なんか置いて行ってよ、私上へ昇りたい、誰にも届かない処まで」
那雪は呪いと祈りに挟まれて苦しみを叩き付けられ感じつつも無理やり美雪の元へと歩み寄ろうと一歩を踏み出した。
「ダメ! 上なんか行ってもそこに誰もいなかったら……ツマラナイよ!」
「いやだいやだ私は誰よりも優れていたいの誰にも分からないような凄い人でいたいの」
那雪はそんな妹を叱りつける。
「帰って来て!! 私だっていやだ、美雪のことが分からないのは絶対にいやだ! 妹がどんなに凄くても誰も分からないのは誇れないよ!!」
一歩一歩確実に近付き、そして美雪の手を握り、那雪は美雪の背後の存在を睨みつけた。
「天使! 私の妹を返して!! もうどこかに消えてよ!!!」
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那雪は力なく膝をつく。
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おかえり
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