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第二十六話
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壮年の騎士が腰に吊る長剣の柄頭を撫でた。それがこの男の癖である。
帰路に着く壮年の騎士の付ける黒いマントが風に揺れてなびいた。
彼の身に付けているマントの真ん中辺りに赤い髑髏が刺繍されている。それがとても印象的に残る。見た者に不気味さと恐怖を与え、一度見たら忘れられないだろう。
赤い髑髏を団章にしているのは一つだけだ。
それはこの大陸でレッド・ザード傭兵団という傭兵団の団章にしているものだ。つまり彼らはその傭兵団に所属していることを示す。
レッド・サード傭兵団―――――傭兵ギルドに登録されている傭兵団の中ではかなり小規模な傭兵団になる。
軍隊のような規律とは無縁の彼らだが、腕は確かなようで、誰もが一度は耳にした事がある有名な傭兵団だ。田舎の若者が憧れを抱いて、その傭兵団に入りたい、というやつまでいるほどだった。
そのレッド・サード傭兵団は元帝国軍騎士だった団長を含めてたった十人。とても少ない構成員数だ。
彼らのことをまったく知らない素人からするとたったそれだけで傭兵団だって? 笑わせるなよ、っと言いたくなるだろう。
なぜなら、傭兵ギルドに登録されている傭兵団の基本構成人数は少なくとも百人前後からになっているからだ。
というのも、この大陸は他の大陸とは違い、少し特殊で、帝国は帝国兵の消耗を避ける為、傭兵をしばしば雇う事がある。傭兵一人ひとりと契約していくよりも、傭兵団をまるまる一括契約する方が報酬支払いなどを含めて手続き的には楽なので、傭兵団を基本は契約していて、また、兵の数が戦いを左右すると考えから数人単位の傭兵団には用がない。
だから、帝国にいる傭兵のほとんどが傭兵団に所属し、身を置いていないと仕事が振られないのだ。たまに、一人で依頼をこなす一匹オオカミもいるがそいつらの事はさて置いて、傭兵を生業にしている者からするとレッド・サード傭兵団の名を聞くだけで、顔色が変わる。彼らにはあまり関わりたくないという者が多いのだ。
傭兵ギルドでは待遇や報酬が良い依頼などがあると奪い合いが起きたり、報酬を巡ってトラブルも起きるが、レッド・サード傭兵団が受注した依頼には絶対に誰も手を出さない。
なぜなら彼らの報復を恐れているからだ。
昔、新参者の時、レッド・サード傭兵団は執拗な嫌がらせを受けていた。よくある話で、傭兵らの間には暗黙の了解があり、縄張りがあるらしい。
この区画の依頼はこの傭兵団が請け負い、この場所はあの傭兵団………と細かく分かれている。めんどくさいほどに。
新参の彼らは当然、そんな事を知らなかったようで、常識外れなランク五の依頼を受けてしまったのだ。
ランク五となると高難易度、それにより高額報酬となり、熟練傭兵団が請け負う仕事で、素人が受けるようなことは出来ない。
最初に受けれるのはランク1の雑務的な依頼だけだ。それから実績を残して、傭兵ギルド協会に認められたらランク5の依頼が解禁される。
だが、レッド・サード傭兵団は受付でその依頼を受ける、と一点張り。呆れ果てた受け付け係はどうにでもなれ、と苛立ちを見せながら受理した。
その話を聞いた傭兵団の団長らはなんて生意気な奴らなんだ、と不愉快になった。
ある名の知れた傭兵団はレッド・サード傭兵団の態度が気に入らなかったようで、彼らが受けた依頼の内容目的を横取りして、報酬金も奪ったことがあった。
普通なら怒るだろうし、報復も考えるだろう。それが当然の動きだろうがレッド・サード傭兵団は違った。
最初の態度で自分たちに非があったと認め、何も言わなかったのだ。
そんな彼らに嫌がらせを続けたある日の事だ。
ある事件でレッド・サード傭兵団の団長の怒りを買った。
その日、レッド・サード傭兵団に所属していた女魔導師が魔物に襲われ死んでしまうといった事件が起きたのだ。
それは傭兵あるあるで、ただの死亡なら不運だったね、で終わるのだが、あとあと調べると嫌がらせをしていた傭兵団が討伐予定だった魔物をわざと取り逃がし、レッド・サード傭兵団の方へと誘導したという事実があったのだ。
それはとても有益な情報で、街道をたまたま通りかかった商人が腹を抱えて、笑う傭兵たちから直接、聞いたと言うのだから。
胴を引き裂かれ、無惨な姿で、見つかった魔導師を躊躇することなく抱き抱えた団長は無言のまま涙を流したのだそうだ。
次の日、レッド・サード傭兵団の団長は復讐の鬼と化した。
ベシタルという街の外で休息を取っていた傭兵団の野営地に一人で訪れると、挨拶もなしに見張りの男の首を叩き斬った。
そこからすぐさま、寝ている傭兵らの胴体をベッドごと叩き斬り、生き残りの傭兵に魔物を取り逃がして誘導した者を聞き出すと、すぐさま探しに行った。
血塗られた鎧姿で怒りの表情をしたレッド・サード傭兵団の団長は首謀者を見つけると両腕、両足を斬り落とし、すぐに死なないように止血する。
それから用意していた荷馬車に乗せて、深い森に連れて行くとその男を森に投げ捨てたのである。
生きながら獣の餌になる男の悲鳴を聞きながらレッド・サード傭兵団の団長は何も言わないまま、ただ見つめているだけだった。
報復はそれで収まらない。
生き残った傭兵団の団員を片っ端から殺していき、首をベシタルの街の石壁に並べるというおぞましい事をした。
ベシタルを治める街の領主ガリアン男爵はその光景を見て、恐怖のあまり、気を失ってしまったそうだ。
ガリアン男爵は彼らの行為を咎めようとしたが、厳重注意でということで収めた。
それが妥当な懲罰ではないと知っていても街の住民も文句は言わなかった。
その日以来、誰も彼らに手を出すことはなくなった。
団長以外にも一人一人の能力が高いのがこの傭兵団の特徴だろう。そこらの傭兵団よりも戦力的には高いし、実績も残している。傭兵ギルドからのどんな無茶な依頼でも、余裕。
レッド・ザード傭兵団の団長の名はオセス・ベルドラン。元帝国軍騎士団に所属していた古強者である。
なぜ、帝国の騎士を辞めたのかは誰にも明かされていない。
思い出したくない昔の事をふと思い出していたオセスは気が付かないうちに怖い顔をしていた。
それに気が付いたカイラスが気になって声をかけた。
「オセス団長?」
「なんだ?」
「どうしてそんな険しい顔を?」
「俺の勘が言っている。この先にでかい敵がいるとな……」
意味深いことを言うとおもむろに馬の横腹を蹴り、馬の足を速めさせたのであった。
帰路に着く壮年の騎士の付ける黒いマントが風に揺れてなびいた。
彼の身に付けているマントの真ん中辺りに赤い髑髏が刺繍されている。それがとても印象的に残る。見た者に不気味さと恐怖を与え、一度見たら忘れられないだろう。
赤い髑髏を団章にしているのは一つだけだ。
それはこの大陸でレッド・ザード傭兵団という傭兵団の団章にしているものだ。つまり彼らはその傭兵団に所属していることを示す。
レッド・サード傭兵団―――――傭兵ギルドに登録されている傭兵団の中ではかなり小規模な傭兵団になる。
軍隊のような規律とは無縁の彼らだが、腕は確かなようで、誰もが一度は耳にした事がある有名な傭兵団だ。田舎の若者が憧れを抱いて、その傭兵団に入りたい、というやつまでいるほどだった。
そのレッド・サード傭兵団は元帝国軍騎士だった団長を含めてたった十人。とても少ない構成員数だ。
彼らのことをまったく知らない素人からするとたったそれだけで傭兵団だって? 笑わせるなよ、っと言いたくなるだろう。
なぜなら、傭兵ギルドに登録されている傭兵団の基本構成人数は少なくとも百人前後からになっているからだ。
というのも、この大陸は他の大陸とは違い、少し特殊で、帝国は帝国兵の消耗を避ける為、傭兵をしばしば雇う事がある。傭兵一人ひとりと契約していくよりも、傭兵団をまるまる一括契約する方が報酬支払いなどを含めて手続き的には楽なので、傭兵団を基本は契約していて、また、兵の数が戦いを左右すると考えから数人単位の傭兵団には用がない。
だから、帝国にいる傭兵のほとんどが傭兵団に所属し、身を置いていないと仕事が振られないのだ。たまに、一人で依頼をこなす一匹オオカミもいるがそいつらの事はさて置いて、傭兵を生業にしている者からするとレッド・サード傭兵団の名を聞くだけで、顔色が変わる。彼らにはあまり関わりたくないという者が多いのだ。
傭兵ギルドでは待遇や報酬が良い依頼などがあると奪い合いが起きたり、報酬を巡ってトラブルも起きるが、レッド・サード傭兵団が受注した依頼には絶対に誰も手を出さない。
なぜなら彼らの報復を恐れているからだ。
昔、新参者の時、レッド・サード傭兵団は執拗な嫌がらせを受けていた。よくある話で、傭兵らの間には暗黙の了解があり、縄張りがあるらしい。
この区画の依頼はこの傭兵団が請け負い、この場所はあの傭兵団………と細かく分かれている。めんどくさいほどに。
新参の彼らは当然、そんな事を知らなかったようで、常識外れなランク五の依頼を受けてしまったのだ。
ランク五となると高難易度、それにより高額報酬となり、熟練傭兵団が請け負う仕事で、素人が受けるようなことは出来ない。
最初に受けれるのはランク1の雑務的な依頼だけだ。それから実績を残して、傭兵ギルド協会に認められたらランク5の依頼が解禁される。
だが、レッド・サード傭兵団は受付でその依頼を受ける、と一点張り。呆れ果てた受け付け係はどうにでもなれ、と苛立ちを見せながら受理した。
その話を聞いた傭兵団の団長らはなんて生意気な奴らなんだ、と不愉快になった。
ある名の知れた傭兵団はレッド・サード傭兵団の態度が気に入らなかったようで、彼らが受けた依頼の内容目的を横取りして、報酬金も奪ったことがあった。
普通なら怒るだろうし、報復も考えるだろう。それが当然の動きだろうがレッド・サード傭兵団は違った。
最初の態度で自分たちに非があったと認め、何も言わなかったのだ。
そんな彼らに嫌がらせを続けたある日の事だ。
ある事件でレッド・サード傭兵団の団長の怒りを買った。
その日、レッド・サード傭兵団に所属していた女魔導師が魔物に襲われ死んでしまうといった事件が起きたのだ。
それは傭兵あるあるで、ただの死亡なら不運だったね、で終わるのだが、あとあと調べると嫌がらせをしていた傭兵団が討伐予定だった魔物をわざと取り逃がし、レッド・サード傭兵団の方へと誘導したという事実があったのだ。
それはとても有益な情報で、街道をたまたま通りかかった商人が腹を抱えて、笑う傭兵たちから直接、聞いたと言うのだから。
胴を引き裂かれ、無惨な姿で、見つかった魔導師を躊躇することなく抱き抱えた団長は無言のまま涙を流したのだそうだ。
次の日、レッド・サード傭兵団の団長は復讐の鬼と化した。
ベシタルという街の外で休息を取っていた傭兵団の野営地に一人で訪れると、挨拶もなしに見張りの男の首を叩き斬った。
そこからすぐさま、寝ている傭兵らの胴体をベッドごと叩き斬り、生き残りの傭兵に魔物を取り逃がして誘導した者を聞き出すと、すぐさま探しに行った。
血塗られた鎧姿で怒りの表情をしたレッド・サード傭兵団の団長は首謀者を見つけると両腕、両足を斬り落とし、すぐに死なないように止血する。
それから用意していた荷馬車に乗せて、深い森に連れて行くとその男を森に投げ捨てたのである。
生きながら獣の餌になる男の悲鳴を聞きながらレッド・サード傭兵団の団長は何も言わないまま、ただ見つめているだけだった。
報復はそれで収まらない。
生き残った傭兵団の団員を片っ端から殺していき、首をベシタルの街の石壁に並べるというおぞましい事をした。
ベシタルを治める街の領主ガリアン男爵はその光景を見て、恐怖のあまり、気を失ってしまったそうだ。
ガリアン男爵は彼らの行為を咎めようとしたが、厳重注意でということで収めた。
それが妥当な懲罰ではないと知っていても街の住民も文句は言わなかった。
その日以来、誰も彼らに手を出すことはなくなった。
団長以外にも一人一人の能力が高いのがこの傭兵団の特徴だろう。そこらの傭兵団よりも戦力的には高いし、実績も残している。傭兵ギルドからのどんな無茶な依頼でも、余裕。
レッド・ザード傭兵団の団長の名はオセス・ベルドラン。元帝国軍騎士団に所属していた古強者である。
なぜ、帝国の騎士を辞めたのかは誰にも明かされていない。
思い出したくない昔の事をふと思い出していたオセスは気が付かないうちに怖い顔をしていた。
それに気が付いたカイラスが気になって声をかけた。
「オセス団長?」
「なんだ?」
「どうしてそんな険しい顔を?」
「俺の勘が言っている。この先にでかい敵がいるとな……」
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