転生したアラフォーママはハリボテ公爵家に振り回される

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「へぁっ!?」


 馬車に乗る際、公爵様に手を差しだされて変な声が漏れてしまった!いや、だってそうでしょう!女性をエスコートするところなんて誰も見たことないって有名だし!
 てか、そもそも自ら迎えに来ると思わなかったわ。だって、前世で言えばチャリで30分くらい。ちょっと隣町まで~の距離だ。
 やっとベッドから起きれるようになった母も、公爵様の姿を見た途端乙女のようにウキウキしだすし。メイド達も泣きながら顔を赤らめて…外に出れば甘いマスクの騎士団長が居て、私の輿入れを悲しんでたのを完全に忘れて、しまいには黄色い声援が飛び交ってたわ。
 はぁ…とにかくこんな厚待遇。どんだけ子供の世話係を逃したくないのよ。

「…シア、アリシア?」
「あ、はい!」
「気分でも悪いのか?」
「いいえ、大丈夫ですわ」
「ならいいが。そういえば本当にメイドを連れて来なくてよかったのか?事前に伝えた通り、執事長の夫人以外の使用人は全員男なんだが」
「自分の事は自分で出来ますので問題ありません。執事長の奥様も、これまで通りお嬢様方のお世話に従事していただいて結構ですわ」
「…君は本当に…しっかりしているな」
 人生2回目ですから。まぁ、隠してるわけでもないけど、わざわざ今言う必要はないかな。
 メイドも三ヶ月間だけだし、慣れない場所で苦労させるのも悪いからね。何より子爵邸は少人数で回してるから1人抜けると皆が困るだろうし。
 公爵邸のメイドは、キリアンが爵位を継いだ後に全員解雇してしまったとか。
 今は問題ないだろうけど、女の子が2人もいるんだからゆくゆくはお世話するメイドを入れるべきだ。
 まぁ、その頃には私は部外者だから関係ないけどね。


 ガチャッ
「公爵様、奥様、お疲れ様でございます」
 大して疲れもしないうちに、公爵邸に到着っと。
「奥様、お手…」
「いくぞ、アリシア」グイッ
 コントか?これ。しょぼんとしてるコルディ卿もなんか可愛いけど。

 ザワッ
 (公爵様がエスコートしてる!?)
 ザワッザワッ
 (わざわざ迎えに行ってたのか!?)

「旦那様、お帰りなさいませ」
「あぁ、マージス。皆もいるな。今日から俺の妻となるアリシアだ。公爵家の女主人として丁重に扱うように」
 そんな大層なっ!ウウッ視線が痛い…けど。
 フワッ
「アリシアと申します。新参者ゆえ、至らぬ点は皆様のお力を貸していただければと思います。よろしくお願いしますわ」ニコッ

 ホゥ……

「執事長のマージス・カブスと申します。それと、妻のクロエです。屋敷の事は私共になんなりとお申し付けください」
「女の使用人は私だけですので、必要な際は何でも仰って下さいませ。」
 素敵な熟年夫婦~!二人とも涙ぐんでるのが心配だけども。

「あとは子供達だな」

 長男・エダン(13)双子の兄
「こんな美しいレディに出逢えるとは、何てよい日なんでしょう!よろしくね、アリシア」チュッ
 …手の甲にキスされたよ。末恐ろしいな。なんとなーくコルディ卿を見ると、スーッと視線そらしたわね。なるほど…

 次男・ロダン(13)双子の弟
「ちっさ!本当にあんた年上かよ!まぁ、どうせ短い間だろうけど、オレの邪魔だけはするなよ!」
 …ある意味年相応?躾がいがあるわぁ…

 次女・クリスティーナ(3)前妻タンブル伯爵令嬢の娘
「しんのおんなしじんはティーナなんだから!かんちがいしないことね!!」びしぃ!
 …指さされました。可愛いけど、これは手強そう。

「クロエ、シエラはどこだ?」
「申し訳ありません!奥様がいらっしゃる事はお伝えしていたのですが」
「部屋には居なかったぜ。なぁエダン」
「うん」
「ったく、アイツはまたか…アリシア悪いな。長女はまた後で紹介しよう」
「わかりました」
「さて、疲れたろう?部屋まで案内するよ」
 また公爵自ら!?
「い、いえっ全く疲れてませんので!」
「では屋敷をご案内した後、庭園でお茶でもどうかな?」
 だからあなたはキャラ変わりすぎ!
「そ、そんな、お忙しい公爵様に案内だなんて…そうですわっ子供達に…」
「クロエー!ティーナおやつたべたい!」
「お嬢様、お待ちくださいませ!」
「ノア!稽古付けてくれ!」
「ロダン様、今日は奥様と過ごされては?」
「興味ない」
 グサッ
「僕が案内しようか」
「エダン!」
「いや、俺が…」
「旦那様!実は先程、陛下から登城するよう伝令が…」
「チッ!…仕方ない。エダン頼んだぞ」
「はい」
「アリシア、すまない。今日は仕事をする予定はなかったのだが。用を済ませたらすぐに戻ってくるよ」
「陛下がお呼びなんですから、私の事は気にせず。行ってらしゃいませ、旦那様」
「うっ…!行ってきます…」
 何故か顔を赤らめた公爵様を見送り、
「じゃあ、エダン宜しくね!」
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