俺の最愛の天使が処女じゃないはずないだろう!?

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「ほっんとうにすみませんでしたぁ!!」

 俺は今、全力で土下座をしている。国王陛下の執務室の床に額を擦り付けて。
 あの後、アシャ国王の側妃とひっぺがされた俺は王宮騎士達に連行され、自室に閉じ込められた。
 そして一夜明けて現在。
 以前東国の書物で知った、相手にひれ伏し、最大限の誠意を見せる謝罪を実践している。それも、相手に何かを言われる前に謝罪してしまうという、高度なスライディング土下座をやってみせた。

 ………プッ……クスクスクスッ

 頭を上げずに目だけ声がした方を見ると、昨夜のお色気側妃と何度が会ったことがあるアシャ国の王妃が並んで上品に笑っている。
 (本当に側妃だったんだな……それにしても、二人ともイイ身体してる……)  にへらっ
「アレン・ベルート!!」
「っは!国王陛下!」
「おっ前と言うヤツはっ!私の誕生祭で大事な友人の妃に手を出しよってぇ!」
「はっ!申し訳ございません!しかし未遂でございます!」
「そんなこと重要ではないわっっ!」ドスッ
「ぐっ父上、頭に御足が乗っております」
「踏んでおるのだ愚息よ」

 父上に誠意は伝わらなかったか。それならば!
 俺は父上の足を持ち上げるように顔を上げ、隣に立つ大男を見上げた。
「本当に知らなかったんです。アシャ国王がこんな美しい側妃様を娶っていたなんて!」
「あら嬉しい」
「む、そうであろう!サリーは元踊り子でな。去年見初めて娶ったのだ!特にこの腰のラインが……」
「わかるわかるーさっすがカメルンド叔父さん、見る目あるー」

 伊達に長年末っ子やってない。父上と古くからの友人のカメルンド・アシャ国王は、俺の事も実の息子のように可愛がってくれている。
 そして俺は叔父さんの性格も熟知している!自分の物を自慢するのが大好きなのだ!そしてエロい!

「オッホン!」
「あ、あぁ、ではなくて!ゴホンッ」
「アレンよ。おまえの醜聞は我が国にも轟いておるぞ。未婚の令嬢から夫人に未亡人。メイドに娼婦、パン屋の女将に教会の聖女まで!来るもの拒まず、去るもの追わずの統計市場最低のクズ王子だと!」
 いや、何調べだよ!?

「これまでは友好国であり、治安の良いベルート国を貴族達の旅行先や商人達の商いの場としてアシャ国の民に推奨していたが、お前の様な獣が居るとなると、危険区域として制定せねばなるまい」
「えっ、いやそこまで……」
「実際に我が側妃以外にも、お前に食われて帰ってきた娘達が何人もいるが?」
「くっ心当たりがありすぎる」
「これは不味いな。アシャ国の貴族はよく長期滞在してくれる上に、我が国の装飾品をかなり購入してくれるからな」
「ジル兄上……」
「商人が自由に来れないとなると、庶民達の市場などにも影響がでるだろうな。最悪暴動が起きる事も懸念しなくては」
「ユノン兄上ぇぇ」
「あぁ~なんてこと……」
「王妃様っ気を確かに!!」

 ……これは……やばい……
 変な汗が出る……体が震える……
 俺が馬鹿な事をしただけなのに……国民にまで迷惑かけてしまう……

「アレン・ベルート第3王子よ」
「はい……」
「どう責任をとるのだ?」
「……っ!この度の不祥事、全て私の責任でございます。ベルートの民達には何も罪はございません。私がどんな罰も受けますからっ……アシャ国王陛下!どうかベルートの民に御慈悲を!!」
 正座をしていた俺は再び土下座の姿勢をとる。

「……どんな罰も受けると?」
「はい!!」
「何でもすると?」
「何でもします!」
「言ったな?」
「はいっ!……は、い?」

「結婚しろ。アレン」
「………………何て?」
「結婚して身を固めろと言ったんだ。息子よ」
「それは良い案だな。さすがに家庭を持てば獣も大人しくなるだろう」
「えっ!?……は?……でも……だ、誰と?」
 当然俺に婚約者など居ない。クズ王子だからな。
 あ、まさかお色気ムンムン側妃様を責任とって!?
 グリンっとサリー側妃を見るとカメルンド叔父さんが反応する。
「こらっサリーはやらんぞ!」
 ちぇ、違うのか。だったら……
 すると、今の今まで無言を貫いていたあの男が口を開いた。

「アレン殿下。私っ、と結婚してください!!」
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