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あの公開プロポーズから2ヶ月。今日はアレンとリリアナの結婚式だ。
「━━っ疲れたぁ……」
煌びやかに飾られた侯爵家のホールの壁に手を付き、そっと独りごちていると、
「俺とリリアナの素晴らしい日に辛気臭いため息とは…いい度胸だなワーグナー君」
ドスの効いた声の主とは到底思えない、キラッキラな笑顔で今日の主役がやってきた。
きめ細かい白い肌に少し垂れ気味の青い目。サラサラの金髪は軽く後ろに流され、額を出すといつもより色気が増しているようだ。
服装は、白と青を基調とした布地に金糸で細やかな刺繍を施した夜会服。アクセサリーは花嫁の目の色と同じ、最高級のグリーンダイヤモンドを身に付けている。
しっかり筋肉はあるが、着痩せするタイプであるらしく、昼間の真っ白なタキシード同等しなやかに着こなしているのが憎らしい……。
「……今日の為に2ヶ月間休みなく働いたんですよ!?夜会も終盤だし、壁際でひっそりため息ぐらいいいじゃないですか、アレン殿下!」
「おっと、殿下じゃないだろう?」
「はいはい、そうでした……アレン・スピナー小侯爵様!!」
俺はジト目でアレンを見て、今日何回も訂正されている呼び名を口にする。
「ふふん、いい響きだ」
……まったく、普通は小侯爵より殿下と呼ばれる方が嬉しいんだがな。本当、昔から地位に執着しないやつだよ。
この結婚でアレンはスピナー侯爵家の婿養子となり、小侯爵、そして次期宰相という立場になった。
ロバート・スピナーは現在50歳。当主としてはまだまだ現役でいるそうだが、宰相の仕事はジルムンド王太子が王位を継承する時にアレンに引き継ぎたいそうだ。なので、当面アレンは宰相補佐として働くことになる。
ちなみに俺もアレンと一緒に侯爵家に入り、秘書兼護衛として小侯爵夫妻に仕える事になった。ここだけの話、王宮勤めより給料も待遇も良くて最高である。
ただ、今日に至るまでのこの2ヶ月間は本当に忙しかった……ただの顔合わせのつもりが公開プロポーズにまで発展したあの日、城に帰ったアレンはそのまま国王の執務室に突撃し、明日リリアナと結婚すると宣言した。
この国の貴族の結婚は、婚約してから半年以上かけて念入りに結婚式の準備をするのが一般的だ。式も挙げずに籍だけ入れるのは、訳ありだと様々な憶測をされてしまう。
当然、悪魔の形相で登城してきた侯爵様に秒で却下されたが。
アレンはそれならば、2週間で結婚式と身内だけの晩餐会を準備すると言うと、それを聞いた王妃様が、私が主催でパーティーを開くわ!とノリノリで話に入ってきてしまい、最終的に2ヶ月後に結婚式と侯爵家での披露パーティーを開くと国王が話をまとめたのだ。
「俺より休む暇もなかったのに、なんでそんな元気なんですか、あなたは……」
すると、ホールの中央を眩しそうに見ながらアレンが言う。
「こんなにも手に入れたいと思った女性は初めてなんだ。彼女とこれからずっと一緒にいられると思うと、疲れなんて感じないさ」
人が群がっている中心で、王妃様に連れられて貴族達に挨拶をしているリリアナ様が見えた。
「いくら主催者だからって、全員に紹介して回るつもりかな母上は。今日が社交界デビューのリリアナには酷だろう」
「あぁ、そろそろ助けてあげた方がいいかも知れませんね」
「そうするよ。しばらくテラスでリリアナを休ませる」
「分かりました」
柔らかい笑みを浮かべて、愛しい妻を迎えにいくアレンを見送り、俺も少し口角が上がってる事に気づく。
「……ほんとよかったな、親友」
「━━っ疲れたぁ……」
煌びやかに飾られた侯爵家のホールの壁に手を付き、そっと独りごちていると、
「俺とリリアナの素晴らしい日に辛気臭いため息とは…いい度胸だなワーグナー君」
ドスの効いた声の主とは到底思えない、キラッキラな笑顔で今日の主役がやってきた。
きめ細かい白い肌に少し垂れ気味の青い目。サラサラの金髪は軽く後ろに流され、額を出すといつもより色気が増しているようだ。
服装は、白と青を基調とした布地に金糸で細やかな刺繍を施した夜会服。アクセサリーは花嫁の目の色と同じ、最高級のグリーンダイヤモンドを身に付けている。
しっかり筋肉はあるが、着痩せするタイプであるらしく、昼間の真っ白なタキシード同等しなやかに着こなしているのが憎らしい……。
「……今日の為に2ヶ月間休みなく働いたんですよ!?夜会も終盤だし、壁際でひっそりため息ぐらいいいじゃないですか、アレン殿下!」
「おっと、殿下じゃないだろう?」
「はいはい、そうでした……アレン・スピナー小侯爵様!!」
俺はジト目でアレンを見て、今日何回も訂正されている呼び名を口にする。
「ふふん、いい響きだ」
……まったく、普通は小侯爵より殿下と呼ばれる方が嬉しいんだがな。本当、昔から地位に執着しないやつだよ。
この結婚でアレンはスピナー侯爵家の婿養子となり、小侯爵、そして次期宰相という立場になった。
ロバート・スピナーは現在50歳。当主としてはまだまだ現役でいるそうだが、宰相の仕事はジルムンド王太子が王位を継承する時にアレンに引き継ぎたいそうだ。なので、当面アレンは宰相補佐として働くことになる。
ちなみに俺もアレンと一緒に侯爵家に入り、秘書兼護衛として小侯爵夫妻に仕える事になった。ここだけの話、王宮勤めより給料も待遇も良くて最高である。
ただ、今日に至るまでのこの2ヶ月間は本当に忙しかった……ただの顔合わせのつもりが公開プロポーズにまで発展したあの日、城に帰ったアレンはそのまま国王の執務室に突撃し、明日リリアナと結婚すると宣言した。
この国の貴族の結婚は、婚約してから半年以上かけて念入りに結婚式の準備をするのが一般的だ。式も挙げずに籍だけ入れるのは、訳ありだと様々な憶測をされてしまう。
当然、悪魔の形相で登城してきた侯爵様に秒で却下されたが。
アレンはそれならば、2週間で結婚式と身内だけの晩餐会を準備すると言うと、それを聞いた王妃様が、私が主催でパーティーを開くわ!とノリノリで話に入ってきてしまい、最終的に2ヶ月後に結婚式と侯爵家での披露パーティーを開くと国王が話をまとめたのだ。
「俺より休む暇もなかったのに、なんでそんな元気なんですか、あなたは……」
すると、ホールの中央を眩しそうに見ながらアレンが言う。
「こんなにも手に入れたいと思った女性は初めてなんだ。彼女とこれからずっと一緒にいられると思うと、疲れなんて感じないさ」
人が群がっている中心で、王妃様に連れられて貴族達に挨拶をしているリリアナ様が見えた。
「いくら主催者だからって、全員に紹介して回るつもりかな母上は。今日が社交界デビューのリリアナには酷だろう」
「あぁ、そろそろ助けてあげた方がいいかも知れませんね」
「そうするよ。しばらくテラスでリリアナを休ませる」
「分かりました」
柔らかい笑みを浮かべて、愛しい妻を迎えにいくアレンを見送り、俺も少し口角が上がってる事に気づく。
「……ほんとよかったな、親友」
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