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第一章
30:ライブ後半
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ステージに戻って文月さんと歌った後も、心の中でさっきのやりとりが引っ掛かっていた。
再びステージ中央に進みながら、好きって何だろうと考えずにいられなかった。
アレンさんから直接、何かを求められていない。偶然聞いてしまっただけで、気持ちもちゃんと聞いてない。
だから俺が後ろめたさを感じる必要なんてないんだろうけれど、同じ想いになれないのはやっぱり辛い。
(樫部が俺と同じ想いにならないのがわかっているから、かな……好きになった相手に好きになってもらえたらと願ってしまうのは)
問題なのは相手が俺だと言うことで。
次の曲はアレンさんが悶絶するほど気に入ってくれた、恋が終わる夜を歌った曲だった。
せめて歌だけでも捧げよう、とスタンドにマイクをセットしながら目を閉じる。
(ごめん、樫部。この曲だけはアレンさんに向けて歌うよ)
意識を澄ませて、演奏に声を乗せた。
ふと見た客席の樫部と真柴が、驚いたような呆然とした表情で固まっていた。
そんなに変だろうか、と少しだけ不安になりながら歌い終わる。
奇妙な空白が会場を満たした。数秒後に大歓声が上がって、今度は俺が驚く。
スティックを打ち鳴らす音が聞こえて、振り返るとアレンさんが極上の笑みを浮かべていた。
そのまま次の曲の演奏がはじまり、俺も意識を切りかえて歌いだした。
一曲、一曲。
ライブが終わりに近づいていく。
足の痛みは曲が進むにつれて増しているはずだけれど、意識のかたすみにも引っ掛からなかった。
俺がみんなを引っ張っていきたいと思って歌っていたはずなのに、いつのまにか観客の方に俺が煽られているみたいだった。
仲間たちの演奏が俺の中からさらに熱を引き出す。
初ライブの後に感じた、体の底にくすぶっていた熱がいま、ようやく形になって解放できた気がする。
熱に浮かされて俺と言う存在の境目が、あやふやになって音に空気に溶けていく。
すべてを曲に注いで、まるで操られるように声を放つ。その快感に眩暈がしそうだ。
気のせいか、仲間たちの演奏がいつも以上にキレている。横目で見ると、ギターを弾きながら気持ちよさそうに、文月さんが魅惑的に笑っていた。
神音の自信に充ち溢れた不敵な笑顔と、輝く瞳にかげりはかけらもない。
ライブがはじまった時の引きつった笑顔が嘘のように、生き生きと演奏する八代さんは、すごくかっこいい。
暴走しないように、でも俺たちのやりやすいようにリズムを刻んでくれるアレンさんのドラムにも、抑えきれない熱を感じた。
ずっとこの時間が続けばいい。
そう願っても時間は過ぎていく。
そしてついに最後の曲だけになった。
「次の曲はぼくたちの新作で、新メンバーのキョウが作詞をしました。すっごく楽しくて名残り惜しいけど、この曲が最後になります。聞いてください」
神音の声を聞きながら、俺は体の底から息を吐き出した。
初夏の手前、山奥で道に迷って見上げた星空と、寒さから守ってくれた温もりを思い出す。
(俺は一緒に行けないから、どうかせめてこの歌だけでも一緒に連れて行ってくれ)
はじめて仲間たちと作り上げた曲を捧げたいと思うのは、ただひとり。
ステージに飛び出す直前まで思い描いていた姿がまた、目を閉じると浮かんでくる。
目を開けば客席に彼がいた。
歌詞に気持ちを同調させながら歌いだす。
ここに来るまでの苦労とか、ここがどこだとか、みんなが見ていることもすべて忘れた。
ただ、彼だけを心に描いて歌い続ける。
想いはすべて歌詞にこめた。
見返りを求めているわけではない。
ただ、聞いて欲しい。
そしていつか、樫部が折れてしまいそうな時に、支えになれたらいい。
俺が樫部に出来る、精一杯のことだった。
歌いながら樫部を見た。
(あぁ……泣かないで)
どこか遠くを見ているような表情が多かった樫部が、俺を確かに見上げたまま、涙を流し続けていた。
泣いて欲しいわけじゃない。いますぐそばに行って、涙を拭いてあげたかった。
けれど同時に胸の奥が温かくなる。
きっとこの声は樫部に届いたんだ。
(ありがとう、樫部。もういいよ)
俺の想いはいま、ちゃんと行くべきところへ行けた。
好きだと想う人の元へ、飛んで行けた。
だからもう、笑って樫部を見送ることができる。
ここから、俺の道を歩きだせる。
新曲を歌い終わると、また数秒間の静寂が客席に舞い降りた。
その幕を俺は声で切り裂いた。
「みんな、卒業おめでとう!」
叫んだ後に湧き上がった歓声に礼をして、俺たちはステージから降りた。
控室に戻ったとたん、俺は背後から抱きつかれてよろけた。
踏み止まろうとした足が右足だったせいで、支えきれずに倒れかける。
「おっ、と……」
「八代さん、ありがとうございます」
寄りかかる形になった八代さんが、上気した顔でにこりと笑った。
その時背後に抱きついた犯人が声を上げた。
「ひび~き~っ! ぼくは、生まれてはじめて、死にそうなくらいに感激しているよっ!」
神音だ。
「そう言ってもらえるのはうれしいけど、重いから離れて……神音」
「まさにぼくたちは一皮むけた! もういままでのぼくたちじゃない、いまこそ飛び立つ時だっ!」
「わ、わかったから……耳元で叫ぶのやめてよ」
何を言っても興奮している神音には通じないらしい。抱きついたまま騒ぐ神音をどうにかして欲しくて、目の前の八代さんに助けを求めて見上げる。
すると八代さんは神音を引きはがすどころか、一緒になって抱きついてきた。
「響ちゃん~、おれも神音と同じやで~っ」
「八代さんもですかっ!」
困ったことに無言で近づいてきた文月さんまで、神音の横から抱きついてくる。
これじゃあまるで玉ねぎだ。中心の俺の周囲に一枚ずつ、皮みたいに仲間たちが巻きついている。
最後の仕上げはアレンさんだ。
ぎゅぅっ、と全員を抱きしめるみたいにした後で、さすがリーダーだ。すぐに我に返ってくれた。
「感激ひとしおな場面だけどね。アンコールを待ってくれてるから、もうひと暴れしてきましょうか」
「アンコール?」
ようやく神音を引きはがすのに成功した俺が首を傾げると、神音が息を整えた後で言った。
「聞いてくれたみんなに、感謝の気持ちをこめてね。ほら、練習したでしょ」
「……あっ、あれか……」
ライブの演奏曲リストをもらった時に、ふたつ多く書かれていた。
何でだろうとずっと疑問だった。
聞いても笑うばかりで答えてくれなかった片割れが、こう言うことだよ、といまになって教えてくれた。
「さぁ、最後にもう一度、はっちゃけましょう~ッ!」
神音が両手を上に上げて、飛び跳ねそうな勢いで叫んだ。
汗を拭いて、水分補給をしてからステージに戻ると、観客はみんな待っていてくれたらしい。大歓声に迎えられて、ライブ開始の時との違いに驚いてしまった。
(すごいな~。いまさらだけど、すごい熱気だ)
よくここで歌っていたな、と自分自身に驚くくらいの熱気に再び身を委ねて、演奏に意識を合わせた。
最後を飾る二曲を歌う間に、樫部の涙は止まり、笑顔へと変わってくれた。
それに安堵しながら、音に心を乗せて、声を放つ。
アンコールに用意されていた曲は、卒業記念ライブにふさわしく、新たな門出に戸惑う人の背中を押す歌詞を、神音がはっちゃけようと言った通りのハイテンポな曲調で歌う曲だった。
この場にいる人がみんな卒業生と言うわけではないけれど、人はいつでも何かを決断して生きて行かなくてはいけない。
その時に踏みだす力の助けになれればいい。
俺はこの場に立って、ここに来てくれた人たちからその力をもらったと思うから。
歌で、みんなにその力を分けたいと、思いの限りを込めて歌った。
演奏の最後は全員の呼吸と音を合わせ、ジャンプして終わり、照明がすべて落とされた。
客席を照らす明かりだけすぐに戻り、その中で盛大な拍手と歓声が湧きあがる。
ステージ上でメンバーが横一列に並び、見計らったスタッフが照明を当ててくれた。
全員揃って客席に礼をする。
さらに大きくなる拍手に手を振りながら後退してステージから降りても、歓声は長い間鳴り止まなかった。
再びステージ中央に進みながら、好きって何だろうと考えずにいられなかった。
アレンさんから直接、何かを求められていない。偶然聞いてしまっただけで、気持ちもちゃんと聞いてない。
だから俺が後ろめたさを感じる必要なんてないんだろうけれど、同じ想いになれないのはやっぱり辛い。
(樫部が俺と同じ想いにならないのがわかっているから、かな……好きになった相手に好きになってもらえたらと願ってしまうのは)
問題なのは相手が俺だと言うことで。
次の曲はアレンさんが悶絶するほど気に入ってくれた、恋が終わる夜を歌った曲だった。
せめて歌だけでも捧げよう、とスタンドにマイクをセットしながら目を閉じる。
(ごめん、樫部。この曲だけはアレンさんに向けて歌うよ)
意識を澄ませて、演奏に声を乗せた。
ふと見た客席の樫部と真柴が、驚いたような呆然とした表情で固まっていた。
そんなに変だろうか、と少しだけ不安になりながら歌い終わる。
奇妙な空白が会場を満たした。数秒後に大歓声が上がって、今度は俺が驚く。
スティックを打ち鳴らす音が聞こえて、振り返るとアレンさんが極上の笑みを浮かべていた。
そのまま次の曲の演奏がはじまり、俺も意識を切りかえて歌いだした。
一曲、一曲。
ライブが終わりに近づいていく。
足の痛みは曲が進むにつれて増しているはずだけれど、意識のかたすみにも引っ掛からなかった。
俺がみんなを引っ張っていきたいと思って歌っていたはずなのに、いつのまにか観客の方に俺が煽られているみたいだった。
仲間たちの演奏が俺の中からさらに熱を引き出す。
初ライブの後に感じた、体の底にくすぶっていた熱がいま、ようやく形になって解放できた気がする。
熱に浮かされて俺と言う存在の境目が、あやふやになって音に空気に溶けていく。
すべてを曲に注いで、まるで操られるように声を放つ。その快感に眩暈がしそうだ。
気のせいか、仲間たちの演奏がいつも以上にキレている。横目で見ると、ギターを弾きながら気持ちよさそうに、文月さんが魅惑的に笑っていた。
神音の自信に充ち溢れた不敵な笑顔と、輝く瞳にかげりはかけらもない。
ライブがはじまった時の引きつった笑顔が嘘のように、生き生きと演奏する八代さんは、すごくかっこいい。
暴走しないように、でも俺たちのやりやすいようにリズムを刻んでくれるアレンさんのドラムにも、抑えきれない熱を感じた。
ずっとこの時間が続けばいい。
そう願っても時間は過ぎていく。
そしてついに最後の曲だけになった。
「次の曲はぼくたちの新作で、新メンバーのキョウが作詞をしました。すっごく楽しくて名残り惜しいけど、この曲が最後になります。聞いてください」
神音の声を聞きながら、俺は体の底から息を吐き出した。
初夏の手前、山奥で道に迷って見上げた星空と、寒さから守ってくれた温もりを思い出す。
(俺は一緒に行けないから、どうかせめてこの歌だけでも一緒に連れて行ってくれ)
はじめて仲間たちと作り上げた曲を捧げたいと思うのは、ただひとり。
ステージに飛び出す直前まで思い描いていた姿がまた、目を閉じると浮かんでくる。
目を開けば客席に彼がいた。
歌詞に気持ちを同調させながら歌いだす。
ここに来るまでの苦労とか、ここがどこだとか、みんなが見ていることもすべて忘れた。
ただ、彼だけを心に描いて歌い続ける。
想いはすべて歌詞にこめた。
見返りを求めているわけではない。
ただ、聞いて欲しい。
そしていつか、樫部が折れてしまいそうな時に、支えになれたらいい。
俺が樫部に出来る、精一杯のことだった。
歌いながら樫部を見た。
(あぁ……泣かないで)
どこか遠くを見ているような表情が多かった樫部が、俺を確かに見上げたまま、涙を流し続けていた。
泣いて欲しいわけじゃない。いますぐそばに行って、涙を拭いてあげたかった。
けれど同時に胸の奥が温かくなる。
きっとこの声は樫部に届いたんだ。
(ありがとう、樫部。もういいよ)
俺の想いはいま、ちゃんと行くべきところへ行けた。
好きだと想う人の元へ、飛んで行けた。
だからもう、笑って樫部を見送ることができる。
ここから、俺の道を歩きだせる。
新曲を歌い終わると、また数秒間の静寂が客席に舞い降りた。
その幕を俺は声で切り裂いた。
「みんな、卒業おめでとう!」
叫んだ後に湧き上がった歓声に礼をして、俺たちはステージから降りた。
控室に戻ったとたん、俺は背後から抱きつかれてよろけた。
踏み止まろうとした足が右足だったせいで、支えきれずに倒れかける。
「おっ、と……」
「八代さん、ありがとうございます」
寄りかかる形になった八代さんが、上気した顔でにこりと笑った。
その時背後に抱きついた犯人が声を上げた。
「ひび~き~っ! ぼくは、生まれてはじめて、死にそうなくらいに感激しているよっ!」
神音だ。
「そう言ってもらえるのはうれしいけど、重いから離れて……神音」
「まさにぼくたちは一皮むけた! もういままでのぼくたちじゃない、いまこそ飛び立つ時だっ!」
「わ、わかったから……耳元で叫ぶのやめてよ」
何を言っても興奮している神音には通じないらしい。抱きついたまま騒ぐ神音をどうにかして欲しくて、目の前の八代さんに助けを求めて見上げる。
すると八代さんは神音を引きはがすどころか、一緒になって抱きついてきた。
「響ちゃん~、おれも神音と同じやで~っ」
「八代さんもですかっ!」
困ったことに無言で近づいてきた文月さんまで、神音の横から抱きついてくる。
これじゃあまるで玉ねぎだ。中心の俺の周囲に一枚ずつ、皮みたいに仲間たちが巻きついている。
最後の仕上げはアレンさんだ。
ぎゅぅっ、と全員を抱きしめるみたいにした後で、さすがリーダーだ。すぐに我に返ってくれた。
「感激ひとしおな場面だけどね。アンコールを待ってくれてるから、もうひと暴れしてきましょうか」
「アンコール?」
ようやく神音を引きはがすのに成功した俺が首を傾げると、神音が息を整えた後で言った。
「聞いてくれたみんなに、感謝の気持ちをこめてね。ほら、練習したでしょ」
「……あっ、あれか……」
ライブの演奏曲リストをもらった時に、ふたつ多く書かれていた。
何でだろうとずっと疑問だった。
聞いても笑うばかりで答えてくれなかった片割れが、こう言うことだよ、といまになって教えてくれた。
「さぁ、最後にもう一度、はっちゃけましょう~ッ!」
神音が両手を上に上げて、飛び跳ねそうな勢いで叫んだ。
汗を拭いて、水分補給をしてからステージに戻ると、観客はみんな待っていてくれたらしい。大歓声に迎えられて、ライブ開始の時との違いに驚いてしまった。
(すごいな~。いまさらだけど、すごい熱気だ)
よくここで歌っていたな、と自分自身に驚くくらいの熱気に再び身を委ねて、演奏に意識を合わせた。
最後を飾る二曲を歌う間に、樫部の涙は止まり、笑顔へと変わってくれた。
それに安堵しながら、音に心を乗せて、声を放つ。
アンコールに用意されていた曲は、卒業記念ライブにふさわしく、新たな門出に戸惑う人の背中を押す歌詞を、神音がはっちゃけようと言った通りのハイテンポな曲調で歌う曲だった。
この場にいる人がみんな卒業生と言うわけではないけれど、人はいつでも何かを決断して生きて行かなくてはいけない。
その時に踏みだす力の助けになれればいい。
俺はこの場に立って、ここに来てくれた人たちからその力をもらったと思うから。
歌で、みんなにその力を分けたいと、思いの限りを込めて歌った。
演奏の最後は全員の呼吸と音を合わせ、ジャンプして終わり、照明がすべて落とされた。
客席を照らす明かりだけすぐに戻り、その中で盛大な拍手と歓声が湧きあがる。
ステージ上でメンバーが横一列に並び、見計らったスタッフが照明を当ててくれた。
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