実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら

文字の大きさ
87 / 103
そして出会う俺とお前

19





 突然だが、αという生き物は支配する側の人間である。時に例外はいるらしいが、基本的には人の上に立つ人間だ。よりαとしての遺伝子が強いと完璧な男として、貴族としてはより高い地位に立てる。この世界の第二性とは、とても重要なものだ。

 そう、とても重要なのだ。このロンバウトという男はバランスの良い体つきで、王家にしかない黄金色の瞳は他のαを圧倒する存在だ。筋肉質な180cmの身長に、幼い頃より受けた英才教育は生かされ、今では公爵として立派に仕事をこなす優良物件……それは女性やΩからすれば、たが。

 同じαに熱量をぶつけるのはおかしい。俺はロンバウトより身長もあるし、それなりに筋肉質。見た目は完全にαだ。昔も女の子みたいに可愛かった訳ではない俺に、異様なまでに執着するこの男…絶対に変だ。

 明らかに俺へ向ける視線が、熱い。そりゃもうあっつあつ。流石の俺でもわかる。これは恋い焦がれている乙女のような……いや、気持ち悪いから考えるのやめよう。




 「ロンバウト様は本当に気持ち悪いですねぇ…。」
 「お前は頭ん中腐ってっから気持ち悪いんだよ。気づけ。」
 「うるさい兄弟だ。私は真面目にアルディウスのことを考えているだけだ。気持ち悪いのはお前らだろうに。」
 「私達は大事な弟の身を案じているだけです。貴方と一緒にしないでください。」
 「俺らはお前みたいな突拍子なことはしていない。黙ってなストーカー。」
 「ストーカーではないと言ってるだろう!」



 元ではあるがロンバウトは王子なんだ。同じ公爵とはいえ言いたい放題だなフィリスティウス。まぁ、そう言われるほど変態行動してたのかロンバウト。詳しく知りたいような、知りたくないような…。

 会話を聞けば聞くほどドン引きなんだが…こいつ、ただの拗らせとかのレベルじゃないぞ。



 「う~ん、本当に気持ち悪いねぇ~。アル様に近寄って欲しくないよ~。」
 「ここまでくると病気だな…。」
 「時に一途な想いは病的な執着になる。勉強になったではないか。」
 「なにを冷静に話してんだ!ハクア、しみじみと思い耽るんじゃない!コハクもドン引きしてないで!コクヨウまで体ごと引かないでよ!!」
 「しかし、ここまでくると本気度が違うな。普通はここまで追いかけてこないし、今のお前を見ても夢見る乙女の顔してたぞ。」
 「気持ち悪いこと言うなコクヨウーっ!」




 ゾワワワワ、全身に鳥肌が立った。体を擦りながら俺が怒鳴ると全く悪びれた様子のないコクヨウが、すまんと特に感情の篭っていない声で謝った。絶対に反省してない。

 向こうはまた喧嘩しているようだが、会話の内容がエグい。幼い頃の俺が可愛かったみたいな話くらいなら恥ずかしい程度で済むが、今の俺を性的に見ている話を兄弟にしないでほしい。

 保護者達はそんな会話を聞いても平然と…いや、予測はしていたのは意外と対応は冷静だった。当の本人は絶叫したが。

 俺は別にすっごい肉体美な訳じゃないし、ロンバウトは俺の全裸見たことないだろう。想像でうっとりするの…ぎもぢわるい(心底気持ち悪い)です。



 「やめろーっ!俺のち○この話とかは本人のいないところでしてくれーっ!」
 「話はしていいんだねぇ~アル様~。」
 「まぁアルのは立派だよな。」
 「人間にしてはなかなか凛々しいブツを持っておるのは事実よな。」
 「なんでお前らが知ってんだ!ふざけるな私のアルディウスなのに!」
 「お前のアルディウスじゃない!」
 「我らはアルディウスの保護者だぞ?共に風呂に入ることもあるわ。裸の付き合いはよいものだ。」
 「あああぁぁーっ!!ズルい、ズルい私もアルディウスとお風呂入りたい!」
 「コハクは一緒に寝てるよ~。アル様体温高いから一緒に寝るの気持ちいいんだ~。」
 「ぎゃーっ!なんで!私だって同衾したい!」
 「同衾って言い方やめろ!」



 

あなたにおすすめの小説

【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる

木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8) 和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。 この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか? 鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。 もうすぐ主人公が転校してくる。 僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。 これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。 片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。

愛され方を教えて

あちゃーた
BL
主人公リハルトは自分を愛さなかった元婚約と家族のために無惨に死んだ…はずだった。 次に目が覚めた時、リハルトは過去に戻っていた。 そこは過去のはずなのにどこかおかしくて…

異世界転生してひっそり薬草売りをしていたのに、チート能力のせいでみんなから溺愛されてます

ひと息
BL
突然の過労死。そして転生。 休む間もなく働き、あっけなく死んでしまった廉(れん)は、気が付くと神を名乗る男と出会う。 転生するなら?そんなの、のんびりした暮らしに決まってる。 そして転生した先では、廉の思い描いたスローライフが待っていた・・・はずだったのに・・・ 知らぬ間にチート能力を授けられ、知らぬ間に噂が広まりみんなから溺愛されてしまって・・・!?

流れる星、どうかお願い

ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる) オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年 高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼 そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ ”要が幸せになりますように” オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ 王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに! 一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが お付き合いください!

運命の番なのに別れちゃったんですか?

雷尾
BL
いくら運命の番でも、相手に恋人やパートナーがいる人を奪うのは違うんじゃないですかね。と言う話。 途中美形の方がそうじゃなくなりますが、また美形に戻りますのでご容赦ください。 最後まで頑張って読んでもらえたら、それなりに救いはある話だと思います。

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

時間を戻した後に~妹に全てを奪われたので諦めて無表情伯爵に嫁ぎました~

なりた
BL
悪女リリア・エルレルトには秘密がある。 一つは男であること。 そして、ある一定の未来を知っていること。 エルレルト家の人形として生きてきたアルバートは義妹リリアの策略によって火炙りの刑に処された。 意識を失い目を開けると自称魔女(男)に膝枕されていて…? 魔女はアルバートに『時間を戻す』提案をし、彼はそれを受け入れるが…。 なんと目覚めたのは断罪される2か月前!? 引くに引けない時期に戻されたことを嘆くも、あの忌まわしきイベントを回避するために奔走する。 でも回避した先は変態おじ伯爵と婚姻⁉ まぁどうせ出ていくからいっか! 北方の堅物伯爵×行動力の塊系主人公(途中まで女性)